第10回わっかない白夜映画祭

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夏至の日、日本で一番日が長くなる稚内。10回目を迎える「わっかない白夜映画祭」のご案内をいただきました。日本最北端で開かれる映画祭です。

第10回わっかない白夜映画祭
(白夜映画祭2024 in 稚内)


2024年6月15日(土)~16日(日)
会場:T・ジョイ稚内 
北海道稚内市中央3丁目6番1号
(JR稚内駅複合商業施設「キタカラ」2階


特別上映作品として稚内出身のボーカル尾崎雄貴、ドラム尾崎和樹を中心に活動する4人組ロックバンド「Galileo Galilei」のこれまでの軌跡とこれからを映し出すドキュメンタリー&ライブ映像作品『劇場版 僕らのGalileo Galilei~会えたね~』が上映されるほか、アカデミー賞作品賞ノミネート作品など話題作を加えた全9作品がオールナイトで2日間にわたり上映されます。

【上映作品】
◆特別上映作品
劇場版僕らのGalileo Galilei~会えたね~

◆一般上映作品
エンドロールのつづき
バービー
SAND LAND
映画すみっコぐらしツギハギ工場のふしぎなコ
銀河鉄道の父
宇宙人のあいつ
渇水
大名倒産

スケジュール
https://saihoku-cinema.com/info0522/ (T・ジョイ稚内のサイト)


☆映画祭協賛のみどり湯(市内緑1-10-23)では6月15日(土)から23日(日)まで映画祭半券1枚につき3名まで入浴料が半額に!

イスラーム映画祭9 神戸編 4月27日開幕

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イスラーム映画祭9の神戸編が、いよいよ明日4月27日より始まります。

神戸・元町映画館 http://www.motoei.com/
4月27日(土)~5月.3日(金) 1日2回上映

タイムテーブルとトーク詳細は、こちらでご確認ください。
http://islamicff.com/timetable_talksession.html#kobe_timetable
なお、トークのない回は、藤本高之さんによるミニ解説があります。

☆イスラーム映画祭9 アーカイブ 1300円
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上映作品の詳しい解説や、研究者の方たちによるコラム満載。
ぜひ元町映画館受付でお買い求めください。


★元町映画館による藤本高之さんインタビューに、今年も開催した思いや、上映作品一つ一つの見どころが掲載されていますので、ぜひお読みください。
Interview vol.9 藤本高之さん(イスラーム映画祭主宰)映画で知るパレスチナ問題の原点


また、イスラーム映画祭9の会期中、関連の写真展も開催されます。

写真展「中東に生きる人々~パレスチナ 西岸地区より~」
日時: 4/27(土)~5/3(金)
場所:元町映画館1F受付前の壁面にて

西岸地区の手しごと展示販売会
日時:4/28(日)『ファルハ』14:45の回上映と岡真理さんトーク終了後、17:30ごろ~18:30ごろ
場所:元町映画館2Fロビーにて


シネマジャーナル 映画祭報告のコーナーに、上映作品ごとに見どころをまとめていますので、参考にしていただければ幸いです。
http://www.cinemajournal.net/eigasai/index.html

『アユニ/私の目、愛しい人』と『私は今も、密かに煙草を吸っている』につきましては、東京でのトークの模様も掲載しています。

イスラーム映画祭9『アユニ/私の目、愛しい人』 ★山崎やよいさんトーク「14年目のシリア革命」
http://cineja3filmfestival.seesaa.net/article/502699243.html


イスラーム映画祭9『私は今も、密かに煙草を吸っている』(アルジェリア)3/16ミニ解説と感想(咲)
http://cineja3filmfestival.seesaa.net/article/502700353.html

憲法映画祭2024

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2024年4月29日(月・休)10:30〜19:30(開場10:00)
場所:武蔵野公会堂ホール
(中央線・井の頭線吉祥寺駅南口2分)
公式サイト:http://kenpou-eiga.com/?p=2951

参加費:
1日券 : 2500円 学生・若者 : 1500円
1回券:1000円 学生・若者 : 500円
「しではら」「戦争のつくりかた」「荒野に希望の灯をともす」は3作品で1回券になります。
予約不要でどなたでも参加できます。

プログラム:
10:20 開会(プログラムの説明)
10:30~12:10 『ヤジと民主主義劇場拡大版』(100分)
12:10〜13:00 昼休み
13:00~13:40 『しではら』(40分)
13:40〜13:50 『戦争のつくりかた』8分
休憩10分
14:00〜15:30 『荒野で希望の灯をともす』(88分)
休憩10分
15:40~17:00 『島で生きる』(80分)
17:00〜17:20 湯本雅典監督さんトーク
休憩20分
17:40~19:00 『サイレント・フォールアウト』(81分)
19:00〜18:20 伊東英朗監督さんトーク
18:30 閉会予定


◆上映作品解説◆
『ヤジと民主主義 劇場拡大版』
(100分/2023年/山崎裕侍 監督作品)
ヤジ排除から見えてくる警察組織の法的根拠のない権力行使の問題、それを監視すべきメディア、ジャーナリズムの弱体化、そしてそもそも自由にものを言うという全ての人に与えられた権利が、安倍元首相の死亡事件をきっかけに加速度的に萎縮してしまうのではないか?という不安などさまざまな側面が本作には盛り込まれている。
これはもはや、ある選挙の応援演説中に起きたいち騒動ではない。この社会で生活していく全ての人、あなた自身に関わってくる問題だ。

『しではら かどま市が生んだ日本の総理』
(40分/2023年/齊藤勝 監督作品)
1872年、門真市で生まれた幣原喜重郎は、戦前は外務大臣として軍縮と国際協調の「幣原外交」を進めるも、軍部からは「軟弱外交」と非難され一度政界を退く。
しかし、戦後、幣原は首相として政界に復帰。GHQの元帥マッカーサーと会談し、幣原から平和主義の重要性・戦争放棄などを主張し、日本国憲法の草案にその考えが反映されることとなった。
彼のそうした考え方には、彼が戦前から取り組んできた「国際軍縮会議」で得た「国際協調」による平和主義の思想があった。

『戦争のつくりかた What Happens Before War』
(8分/2015年/アニメーションプロジェクトNOddIN制作)
私たち日本に住む国民は、約80年、直接には戦争を経験していない国の中で生きてきました。
しかしこのまま行けば、次の世代が戦争を経験することになってしまうかもしれません。
戦争を知らない世代が、自分たちの都合や責任感の無さによって、次の世代に戦争を押し付けてしまうことになるかもしれないのです。
映像作家など40人のクリエイターが反戦への思いを込め、力をあわせて完成したアニメーションです。

『荒野に希望の灯をともす 医師・中村哲 現地活動35年の軌跡』
(88分/2021年/谷津賢二 監督作品)
アフガニスタンとパキスタンで35年にわたり、病や戦乱、そして干ばつに苦しむ人々に寄り添いながら命を救い、生きる手助けをしてきた医師・中村哲。
その長さだけでなく、支援の姿勢がまったくぶれることなく、一貫していたこと。
その行動の根本には「真の信頼は非武装から生まれる」という「日本国憲法」の精神があった。
中村医師は人々から信頼され、愛されてきた。今、アフガニスタンに建設した用水路群の水が、かつての干ばつの大地を、恵み豊かな緑野に変え、65万人の命を支えている。

『ミサイル基地がやってきた 島で生きる 』
(82分/2024年/湯本雅典 監督作品)
2023年3月、沖縄石垣島では陸上自衛隊ミサイル基地が完成。住民投票を求める石垣市有権者による自衛隊配備の賛否を問う住民投票条例請求署名は、有権者の3分の1以上に当たる14263筆が集まった。
しかし石垣市は未だに住民投票を実施していない。
「住民投票を求める会」は、裁判で闘い続けている、署名をしてくれた人たちに応えるために。
住民投票を求める若者たち、農民兼市議会議員漁師などの基地に対する人々の思いを丹念に紡ぐ。

『サイレント・フォールアウト 乳歯が語る大陸汚染』
(80分/2023年/伊東英朗 監督作品)
1951年からアメリカ国内で始まった核実験は928回に及んだ。核実験によって生れた膨大な量の放射性物質は、アメリカ各地に運ばれ、地上を汚染し続けた。
アメリカ原子力委員会は、放射性物質が全米の牛乳を強く汚染していることを把握していたが、国民に知らせなかった。
1950年代半、大陸が放射能汚染していることを国民は徐々に知ることなり、とくに放射能汚染の影響が強いとされるセントルイスで女性を中心とした大きな動きが生まれる。「乳歯調査」と呼ばれる市民運動だった。

イスラーム映画祭9『私は今も、密かに煙草を吸っている』(アルジェリア)3/16ミニ解説と感想(咲)

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『私は今も、密かに煙草を吸っている』★日本初公開
原題:À mon âge je me cache encore pour fumer
監督:ライハーナ / Rayhana
2016年/フランス=ギリシャ=アルジェリア/90分/アラビア語・仏語

上映前に、イスラーム映画祭主宰 藤本高之さんよりミニ解説。

1995年のアルジェリアが舞台。
アルジェのハンマームの女性用時間を撮ったもの。アルジェリアではハンマームの場面を撮影することが出来ず、ギリシャのテッサロニキのベイ・ハンマーム(1444年、オスマン帝国ムラト2世建設)で撮影。
ライハーナ監督は、1990年代終わりにフランスに亡命。

なぜ、1995年を舞台にしているのか?
1830年~1962年 アルジェリアはフランスの植民地。完全な同化政策をした為、激しい独立運動が9年にわたって行われた結果、独立。
独立戦争については、『アルジェの戦い』で描かれているので、機会があればぜひ観てください。

石油や天然ガスがあって、独立当初はそこそこ上手くいった。農業政策が上手くいかないことなどから、独裁政権に対して、1988年、民衆が蜂起。
民衆の支持を受けたイスラーム主義を掲げたイスラーム教国戦線が選挙で勝利するも、政府がクーデターを起こし、内戦の時代に突入。その内戦のひどかった1995年を舞台にしたのが本作。 

「アルジェリアの200年を5分で無謀に語りました」と藤本さん。


*物語*
アルジェの海を見晴らす屋上。29歳半のサーミヤ。未婚の彼女に、母親はあまり屋上に出るなというが、屋上から海を眺めるのが好きなサーミヤは、屋上で洗濯物を干すのが好きだ。

買い物用のバケツを下げ、まず、こっそり煙草を買うファーティマ。オレンジを買い、急ぎ足で街を行く彼女は、眼下の通りで爆弾テロが起こるのを見かける。ハンマームに着き、まず一服する。ファーティマはハンマームの従業員。先ほど、屋上から海を眺めていたサーミヤは同僚。サーミヤが、夢に現れた男性への憧れを語る。
次々にハンマームに女性たちがやってくる。 そんな中、妊娠している16歳のマリヤムが兄の暴力から逃れて来る。ファーティマは、ほかの女性にばれないように、マリヤムを2階に匿う。
マリヤムの兄たちがやって来る。押し入ろうとする男たちを、なんとか入れないようにするファーティマたち。やがて、マリヤムが破水する・・・
ハイク(白い布)を纏って、押し入る男たちと対峙する女性たちの姿が圧巻。


ファーティマを演じるのは、ヒアム・アッバス。イスラエルのナザレ生まれのパレスチナ人。『シリアの花嫁』『扉をたたく人』『ガザの美容室』など数多くの作品で活躍している方。

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迫力ある助産師アイーシャを演じていたビューナや、どういう役柄か把握できなかったナディア・カシの二人は、2004年のフランス映画祭で上映された『ビバ!アルジェリア』に出演していて来日され、インタビューした懐かしい方たち。


アルジェリアで俳優と舞台演出の実績を持つライハーナ監督は、1990年代終わりにフランスに亡命後、本作の基となる戯曲を2009年にフランスで上演。内戦当時、女性たちにとって唯一自由になれるハンマームでさえ、自由の場でなくなりそうな状況を描いています。
群集劇で、個々の人物像を把握しきれなかったこともあり、もう一度、観たい思いにかられています。それだけ、力強く、素晴らしい映画でした。

東京では、あと1回、最終日の最後の作品として上映されます。

3/24(日) 20:40~

遅い時間ですが、ぜひ!

チケットは、こちらのサイトの右わきにある「先行予約 イスラーム映画祭」のところからどうぞ!
https://www.euro-ticket.jp/eurospace/schedule/


イスラーム映画祭9『アユニ/私の目、愛しい人』 ★山崎やよいさんトーク「14年目のシリア革命」

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『アユニ/私の目、愛しい人』原題・英題:Ayouni
監督:ヤスミーン・フッダ / Yasmin Fedda
2020年/シリア=イギリス/74分/アラビア語・英語・イタリア語

1970年から親子2代にわたるアサド独裁政権が続くシリア。2011年3月、シリアにも及んだアラブの春。アサド政権は民衆蜂起を弾圧。これまでに10万人以上が強制失踪している。
シリア系パレスチナ人で、ウィキペディアの創設に関わったプログラマーのバーセル・サファデイと、人権派弁護士のヌーラは、2013年、獄中結婚し、シリア革命家夫婦と言われる。
1970年代から中東を拠点に修道院の修復や宗教間の融和をはかる活動を続けてきたイタリア人神父パオロ・ダル・オグリオ。2013年にラッカで強制失踪する。妹マチが、神父の行方を追う・・・

「ダマスカス行き」と書かれた2階建てバスの外側いっぱいに掲げられた強制失踪した人たちの写真。家族がバスに乗り、愛しい人たちの解放を求めて世界各地を回ります。
そんな訴えも空しく、バーセル・サファデイ処刑のニュース。政府は肯定も否定もしない・・・

◆3/16(土) 10:00からの上映後トーク
【テーマ】《特集:14年目のシリア革命①― 震災後のシリア北西部と革命の現在地》
【ゲスト】山崎やよいさん(アラビア語通訳/「イブラ・ワ・ハイト」発起人/ NPO法人Stand with Syria Japan監事)

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山崎やよいさんは、考古学者として、シリアのアレッポに23年滞在。今回、本作の字幕監修をされ、「パソコンで見ていた小さな画面と違って、大きな画面で見た本作は、初めて見たような気持ち。独裁政権はともかく、シリアは気候・風土のいい国」

以下、山崎やよいさんの言葉より:
2011年のシリアでの民衆蜂起は、宗教や民族の違いを越えた革命。「内戦」と言われると、ちょっと違う。

去年、アサド政権は野戦軍事裁判を廃止したが、軍事裁判は今も残る。
処刑されたことが家族にはなかなかわからない。
今も15万人以上が拘束されているが、面会はほぼ無理。
かなりの賄賂を払って居場所を聞き出しても、さらに賄賂を積んで面会にこぎつけるのも難しい。

パオロ・ダル・オグリオ神父はフレスコ画などの修復で有名なイタリア人神父。
シリア政府は修復にお金を出さない。

ヤスミーン・フッダ監督は、元々パオロ神父を取材していて、その過程でバーセルさんのパートナーであるヌーラさんと知り合う。

バスの外側に掲げられたバーセル・サファデイさんの写真の隣に、知り合いのシリアの女性サマルさんの写真を見つけて、心臓が止まりそうに。サマルさんが失踪していることを忘れていたことにもハッとした。 ISIS(イスラム国)は、アサド政権の利益になることしかして来なかったとサマルさんから聞いたことがある。
2011年、革命が起きた時、アサド政権はイスラミスト(過激なイスラム思想を持つ人)を解放している。何かあった時に、過激派イスラームのせいにする意図。

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★『アユニ/私の目、愛しい人』は、あと1回 上映があります。

3月23日(土)17:50~
上映後トーク
【テーマ】《特集:14年目のシリア革命②― 「革命前のシリアは平和だった」言説のまやかし》
【ゲスト】黒井文太郎さん(軍事ジャーナリスト)