『後継者』 *インディアンムービーウィーク2023パート2

varisu_main.jpg
©️Sri Venkateswara Creations ©️PVP Cinema

『後継者』 原題:Varisu  ★初上映
監督:ヴァムシー・パイディパッリ
出演:ヴィジャイ、ラシュミカー・マンダンナ、サラトクマール
2023年/タミル語/169分

大企業オーナー一族が住む屋敷に、当主と衝突して家を出ていた三男ヴィジャイが戻ってくる。彼は事業を引き継ぎバラバラの家族を結びつけようとする。ヴィジャイ(『マスター 先生が来る!』)主演、2023年1月公開のヒット作。

チェンナイを中心に鉱山採掘や港湾荷役などを行う実業家のラージェンドラン。65歳を目前にして、医師より膵臓癌で余命8~10ヶ月と告げられる。60歳の誕生日祝いは断ったラージェンドランだったが、妻スダーに65歳の誕生日祝いの会を開いてほしいと頼む。病気のことは誰にも打ち明けず、祝いの場で後継者を発表するつもりだ。
ラージェンドランには、3人の息子がいて、長男ジャイと次男アジャイは父の会社で働いているが、3男ヴィジャイは、7年前にハーヴァード大学を卒業するも入社を拒否し、父は勘当し追い出していた。
インド各地をバイクで駆け巡り、アプリの開発で人の役に立てればと活躍しているヴィジャイは、母から、父の65歳の誕生日会に出てほしいと懇願され、7年ぶりに家に帰ってくる。大邸宅に兄たち家族も暮らしているが、家族全員で食卓を囲むことがないことに驚く。皆、ばらばらに食事するのだ。
長男ジャイの妻アールティは、夫に愛人がいることを知っていて、そのせいで娘リヤーもぐれて、陰で煙草を吸っている。次男アジャイは投資家のムケーシュから多額の借金をしていた。
誕生日祝いの日、皆が踊っているところに、長男ジャイの愛人スミターが乗り込んでくる。さらに、ムケーシュが現れ、アジャイが借金を返済しない代わりに、入札の情報を流したと明かす。怒った父は、3男ヴィジャイに家も事業も継いでほしいと宣言するが、ヴィジャイは断って出ていく。ところがヴィジャイは、空港まで行ったところで戻ってくる。気が変わって、父の跡を継ぐ決意をしたのだ。出し抜かれた長男と次男は、父の事業のライバルであるJPと手を組み、ヴィジャイを社長の座から引きずり降ろそうとする・・・

大将(Thalapathy)ヴィジャイが、悪に立ち向かって大活躍する娯楽ムービー。
一方で、ヴィジャイは兄嫁アールティの妹ディヴィヤーと再会して、すっかり綺麗になった彼女に惚れてしまいます。大暴れする時とは打って変わって可愛いヴィジャイです。
インド映画お決まりともいえる群舞の場面もたっぷり。ヴィジャイの切れ味たっぷりのダンスが楽しめます。古典舞踊カタカリの化粧と衣装の人たち、ヒンドゥーのお祭りの山車、ヒンドゥーの神様なども登場する踊りの場面には南インドらしさもあります。
ヴァムスィ・パイディパリ監督はテルグ語映画界で活躍してきた方で、本作が初めてのタミル語映画とのこと。インド映画に詳しくない私には、テルグ語映画らしさ、タミル映画らしさの違いがわからないのですが、よく知っている方には、本作にどちらの要素がより多く感じられるのでしょうか・・・ (咲)




インディアンムービーウィーク2023パート2
2023年12月15日(金)~2024年1月11日(木)
会場:キネカ大森
★上映スケジュールは、こちらで!
IMW2023pt2_poster.jpg

『ストリートダンサー』 *インディアンムービーウィーク2023パート2

streetdancer_02.jpg
©️Remo D’Souza Entertainment ©️T-Series ©️UTV Motion Pictures

『ストリートダンサー』 原題:Street Dancer 3D   ★特別上映
監督:レモ・デソウザ
出演:ヴァルン・ダワン、シュラッダー・カプール、プラブ・デーヴァー
2020年/ヒンディー語/142分  (*ウルドゥー語も)

ロンドンを舞台に、インド系移民とパキスタン系移民の2つのダンスグループが、世界一のダンサーを決めるダンス大会「グラウンド・ゼロ」で、優勝を競う物語。

ロンドンで生まれ育ったインド人のサヘージ(ヴァルン・ダワン)は、インド系の仲間たちと「ストリート・ダンサー」というチームでダンスを踊っている。ダンスで膝を痛めた兄のインデル(プニト・パタク)が子どもたちにダンス指導ができるようにとダンススタジオを用意する。自分で踊れなくなったインデルにとって、弟サヘージがダンス大会「グラウンド・ゼロ」で優勝することが夢だ。
一方、パキスタン系移民の娘イナーヤト(シュラッダー・カプール)は、「ルール・ブレイカーズ」というグループを率いて踊っている。
超絶ダンサーのアンナー(プラブ・デーヴァー)がオーナーを務めるレストランで、二つのダンスグループは、インドとパキスタンのクリケットの試合を観戦しながら、喧嘩になる。「ここで喧嘩しないで、ダンス大会で競ってくれ」と仲介に入るアンナー。

ある日、イナーヤトは、アンナーがレストランの残り物を違法滞在している移民たちに配っていることを知る。違法移民の中には、国に帰りたくても帰れない人たちもいることを知ったイナーヤトは、ダンス大会の賞金10万ドルを彼らのために使いたいと、優勝を勝ち取ることを決意する・・・

イナーヤトは、ダンスをしている時には、はじけていて、服装もお腹が見えたりしているのですが、家に入る前には、そっとスカーフを被ります。パキスタン移民の家族が、ムスリムらしく暮らしている様子が垣間見れます。イナーヤトがダンスをしていることは、もちろん家族には秘密です。

サヘージは、両親の故郷であるインドのパンジャーブに行った時に、近所のシク教徒の青年4人からイギリスに行きたいとせがまれ、仲介業者からお金を貰って、自分のダンスの音楽隊だと偽って、イギリスに入国させます。けれども入国後は彼らと決別してしまいます。
その後、サヘージはライバルチームのイナーヤトが、アンナーを手伝って違法移民の人たちに食事を配っていることを知るのですが、その中に、自分が見捨てたシク教徒の4人がいて驚きます。彼らは仲介業者に言われた場所に行ったものの、仕事は得られず、パスポートも燃やし、髪の毛も切られていました。シク教徒にとって髪の毛を切ることはご法度。涙が出ます。

現在のイギリス首相リシ・スナク氏は、イギリスで初めてのアジア系首相。父方の祖父母は英領インド帝国パンジャーブ地方のグジュラーンワーラー出身のヒンズー教徒でケニアに移住。グジュラーンワーラーは、印パ分離独立後にはパキスタン領となっています。

二つのダンスチームが、クリケットの観戦をしている時、応援しているのがインドなのかパキスタンなのかで、それぞれのルーツがわかりますが、見た目ではほとんどどっちがどっちかわかりません。 パンジャーブ地方が、印パ分離独立でインド側とパキスタン側に二つに分かれたごとく、広いインド亜大陸。多様な人たちがどっちに属しているかは、歴史的背景があってのことだと感じます。

本作では、イギリスで恵まれない人たちに炊き出しを行っているシク教徒系の団体Nishkam SWAT(Sikh Welfare and Awareness Team)の活動がベースになっていて、最後に実際の彼らの活動が映し出されています。
シク教といえば、お寺でのランガル(パンジャーブ語で無料で食事を提供するという意味)が有名。『聖者たちの食卓』(フィリップ・ウィチュス監督、2011年)を思い出しました。>

さて、二つのチームは準決勝まで勝ち進み、いよいよ優勝を競うことになります。
結果は、映画をどうぞご覧ください。(咲)




インディアンムービーウィーク2023パート2
2023年12月15日(金)~2024年1月11日(木)
会場:キネカ大森
★上映スケジュールは、こちらで!
IMW2023pt2_poster.jpg

東京国際映画祭 審査員特別賞&最優秀女優賞 W受賞『タタミ』 (咲)

tatami main.jpg
©Juda Khatia Psuturi

コンペティション部門で審査員特別賞と最優秀女優賞をダブル受賞した『タタミ』。
クロージングセレモニーでの喜びのビデオメッセージと、10月29日(日)上映後のQ&Aの模様をお届けします。


『タタミ』 Tatami
監督:ザル・アミール、ガイ・ナッティヴ
出演:アリエンヌ・マンディ、ザル・アミール、ジェイミー・レイ・ニューマン
2023年/ジョージア・アメリカ/103分/モノクロ/英語・ペルシア語
https://2023.tiff-jp.net/ja/lineup/film/3601CMP14
tatami poster.jpg
©Juda Khatia Psuturi

*物語*
ジョージアの首都トビリシで開かれている女子柔道選手権に参加しているイラン代表選手イラ。このまま勝ち抜くとイスラエル代表選手と当たる可能性があるため、負傷を装って棄権しろ、との命令をイラン政府から受ける。テヘランにいる両親が政府に拘束されていることを知るが、レイラは出場を諦めない。コーチのマルヤムは命令に従うよう説得するが、レイラの決意は固い。やがて、マルヤムは、自身もかつてソウルで、負傷したと嘘をついて棄権せざるを得なかったことを明かす。レイラと共にスカーフを脱ぎ、自由のために闘う決意をする・・・

『聖地には蜘蛛が巣を張る』(22)でカンヌ映画祭女優賞を受賞したザル・アミール。本作で、コーチのマルヤム役としてキャスティングされた後、共同監督も務めることになった。



◆第 36 回東京国際映画祭 クロージングセレモニー

審査員特別賞
『タタミ』監督:ザル・アミール、ガイ・ナッティヴ(ジョージア/アメリカ)

講評と発表:國實瑞惠さん(プロデューサー)
スリリングなストーリーを、女性二人の迫真の演技に手に汗を握りしめて、最後まで見入ってしまいました。鮮烈なモノクロ映像で、より緊張感を高める作品『タタミ』に審査員特別賞をお贈りします。

ザル・アミール(共同監督/俳優) ビデオメッセージ
DSCF5998 320.jpg
世界は燃えています。イランは燃えていて、そこに住む素晴らしい人々を殺害しています。パレスチナは燃えていて何千人もの市民の死を嘆いています。イスラエルは燃えていて、人々が殺されています。いたるところで無実の人々が不正により血を流し、私たちが生み出した混乱のなかで無力になっています。しかし、私たちは映画を作りました。この映画は憎しみ合うように育てられた人々の奇跡的な組み合わせにより生まれた物語です。イスラエルとイランの監督が一緒に仕事をするのはとても大変なことです。あらゆる困難を乗り越えて初めて団結し、歴史を作ることになるのです。しかし、映画が公開された時は歴史がこのように動くとは思っていませんでした。この映画にひとつの力があるとすれば、それは闇の時代に光と戯れることでしょう。日本で「柔道」という言葉は柔和な道を意味すると聞きました。それこそが私たちが進みたい道です。未来ある唯一の道です。この映画『タタミ』は日本の名前ですが、普遍的な問題を語っています。憎しみに向き合い敬意を示す勇気をどう持ちうるかです。

ガイ・ナッティヴ(共同監督)ビデオメッセージ
DSCF6007 320.jpg
このすばらしい驚きをザル・アミールと共に感謝したいと思います。私たちはちょうど東京からの長いフライトを終えロスに降り立ったところです。皆さんの反応を肌で感じ、美しい東京で過ごしたすばらしい1週間でした。『タタミ』は日本の伝統へのオマージュであり相手を敬うことでもあります。そして、イスラエル人とイラン人の初の共同作業でもありました。私たちは政府が阻止しようとしていたことを実行したのです。兄弟姉妹になるために協力し合いました。そのことを認めてくださり映画を見てくれて、感謝しています。そして困難な状況の中で生きている私たち全員にとって、それがどれほど重要なことなのかを理解してくれたことに感謝します。この映画が暗いトンネルの中の小さな光明となることを願っています。

最優秀女優賞受賞
『タタミ』ザル・アミール(監督/俳優)

講評と発表:審査委員長 ヴィム・ヴェンダース
この女優さんは、共同監督も務めた方です。『タタミ』のザル・アミールさんです。

ザル・アミール (ビデオメッセージ)
DSCF5967 320.jpg
大きな驚きとともに受賞を光栄に思います。日本で皆さんと一緒にお祝いしたかったです。現在深夜2時です。撮影から帰宅して受賞の知らせを聞きました。これは私にとって特別で大きな意味をもつ受賞です。俳優という職業はアスリートに似ていると思いました。両者とも人前でチャンスやタイミングをつかむ必要があり、身体的にも精神的にも重圧がかかります。イラン人アスリートは常にスポーツと国の狭間に置かれ恐怖を乗り越え、尊厳を失わないようにしています。その立場は私も共感できることばかりでした。この作品に登場するマリアムもそうした一人です。彼女は自由を得ながらも大きな代償を払うことになります。最高のパートナーであるアリエンヌ・マンディがいなければこのような作品にはならなかったでしょう。彼女の献身的な仕事に対する私の感謝の気持ちは計り知れません。改めて最優秀女優賞を受賞できたことを光栄に思います。この賞はイランの女性たちに捧げたいと思います。畳の上、路上、そして家庭の中でひっそりと虐げられている彼女たちへ。本当にありがとうございました。

ヴィム・ヴェンダース コメント:ザル・アミールさんが柔道のコーチとして政府の決断と自由の意志との間で葛藤する姿を演じて、大変信ぴょう性がありました。


◎10月29日 13:20からの上映後 Q&A @丸の内TOEI
DSCF5814 320.jpg
ゲスト: ジェイミー・レイ・ニューマン(プロデューサー/俳優)
予定していたガイ・ナッティヴ監督の参加はキャンセルとなりました。
司会:安田祐子
英語通訳 富田香里さん

ジェイミー:夫で共同監督であるガイ・ナッティヴは、今、アメリカに向かっています。中東で起こっている大きな出来事に関わっています。今日は私一人です。ごめんなさい。

司会:ガイ・ナッティヴ監督は、アメリカに住むイスラエル人です。フランスに住んでいるイラン人であるザル・アミールさんと二人で一緒に映画を作ったのが奇跡的で素晴らしいことです。

ジェイミー:映画の歴史の中で、イランとイスラエルが共同制作したのは、初めてだと思います。それ自体が奇跡的なプロジェクトだったと思います。ジョージアのトビリシの町で秘密裏に作りました。アメリカ大使館とイスラエル大使館が非常に協力してくれました。私たちは二人の子供を連れてトビリシに行きました。すべての俳優の名前は暗号化しました。特に、共同監督で女優でもあるザーラさんは危ないとのことで、トップシークレットで行いました。

会場より
― (女性)モノクロで撮られた意図は? 

ジェイミー:カラーバージョンはなくて、最初から二人の監督がモノクロで撮ると決めました。彼らの人生に色がないからです。いつも白か黒しかないのです。ヘジャーブを着けるか着けないか、運転していい、いけない。その間がないのです。アスペクト比がタイトなのですが、最後の方で難民チームの代表として登場するところで広くなります。
時代を感じさせないものにしたかったのです。50年代に撮られたのかもしれない、80年代に撮られたのかもしれない、今、撮ったのかもしれないという風に。ある意味、時代劇のようにも観てほしかった。自由になったときに振り返って、そういうことがあったのだと雰囲気が欲しかったのです。


司会:何も情報がないまま観ると昔の話なのかなと思うと、スマートフォンでビデオ通話している場面が出てきて、今の話なのだと衝撃でした。今のイランのアスリートたちが直面している現実に胸が痛くなりました。これはいろいろな実話を組み合わせたものなのでしょうか?

ジェイミー:最初のきっかけは、2018年~19年あたりに柔道大会に出ていたイランの男性が、イスラエルと対戦しないよう棄権しろと言われて、大会中に亡命したという事件でした。ガイが脚本を書いているうちに、2022年、マフサ・アミニさんがスカーフの被り方が悪いと注意され、亡くなった事件があり、違う方向に転換していきました。いろいろなスポーツでアスリートが亡命するという事件もありました。政府が強制して、棄権させていることもわかりました。ザル・アミールさんが制作に参加して、女性の権利の話も加わっていきました。

―(女性) 大きなテーマの映画で、日本人にとっても考えさせられるものでした。パリの場面で、子供はいましたが、お父さんの姿が見えませんでした。たどり着けなかったのでしょうか?

ジェイミー:夫も無事たどり着いたので、子供も一緒にたどり着いたのです。 イランに残してきた家族がどうなったのかはわかりませんが。 この映画に出ているイラン人は、皆、亡命していて、イランに戻れません。

―(男性)柔道のシーンも、裏で起きているシーンも緊張しました。試合前に和楽器(和太鼓)が緊張感を高め効果的に使われていましたが、誰のアイディアでしょうか?

ジェイミー:撮影現場はスタジアムで、廊下で監督がモニターで観ていました。撮影監督が柔道のシ-ンを撮影しているときに、監督は日本で戦争の時に使われた太鼓をずっと叩いていました。和太鼓を使うのは最初から考えていました。柔道発祥の地である日本へのオマージュがたくさん入れ込んであります。
レスリングでもボクシングでもよかったのですが、監督にとって、柔道はお互いを尊敬していて、美しい。スポーツマンシップがあって、血が一滴でも出てきたら、試合を中断しています。


DSCF5809 320.jpg

―(男性)権力や古い風習に抑圧されている人間がどう立ち向かうのかは日本人にも他人事でない内容だと思いました。 ザル・アミールさんは、当事者だと思うのですが、どのような意見を?
秘密裏に作られた映画とのことですが、上映にあたって何か圧力はありませんでしたか?

ジェイミー:もともと脚本は、ガイ・ナッティヴが書きました。ザル・アミールさんは、最初、女優としてキャスティングしました。『聖地には蜘蛛が巣を張る』を観て、コーチ役をしてほしいと思ったのです。パリで彼女がキャスティングディレクターをしているとわかって、パリでイラン人俳優をキャスティングしてもらいました。その後、ガイ・ナッティヴが一人では監督できない、イラン人女性の声が必要だと、共同監督を依頼しました。コスチュームも含めて、彼女の経験がこの映画に不可欠でした。
上映への圧力ですが、 ベネチアでは上映できました。来年公開するのですが、イランではもちろん上映できません。今、中東で起こっていることがあって、世界は刻々と変わっています。この映画がどうなっていくのかわかりません。とりあえず完成したことが嬉しいです。


司会:イランの人たちに観てもらえないのが残念ですね。世界中で公開が決まっていますが、日本での公開はどうなのでしょう。

ジェイミー:残念ながら日本の配給はまだ決まっていないのですが、公開できれば嬉しいです。個人的な物語でありながら、普遍的で世界に通じる話だと思います。

司会:皆さま、口コミで応援どうぞよろしくお願いします。

DSCF5821 320.jpg

★10月25日(水)13:05からの上映後のQ&Aレポート(TIFF公式サイト)
https://2023.tiff-jp.net/news/ja/?p=63144

***********

圧力のある中で、自由と権利を求める物語。確かに力強く、メッセージも明確なのですが、政治的見地から賞をおくった感が否めません。 
レイラが夫とのベッドの中での会話を回想したり、試合前に体重を測る場面で服を脱いで肌を見せたりの場面は、イランではもちろんご法度。こういう表現をしなくてもいい場面なのに、それを敢えて入れたような気がします。両親が人質として拘束されるということも実際あるのかもしれません。政府批判があからさまなのが気になりました。本作の関係者が逮捕されたりしませんように・・・  

報告:景山咲子

第24回東京フィルメックス 授賞式レポート

受賞者_R.jpg

2023年11月26日(日)17:10~
於 有楽町朝日ホール


11月19日に開幕した第24回東京フィルメックス。最終日の11月26日に各賞の授賞式が行われました。
コンペティション部門の8作品の受賞作のほか、同時開催のタレンツ・トーキョーの各賞も発表されました。


★第24回東京フィルメックス 受賞結果★
最優秀作品賞
ファム・ティエン・アン『黄色い繭の殻の中』

審査員特別賞
アリ・アフマザデ『クリティカル・ゾーン』
ゾルジャルガル・プレブダシ『冬眠さえできれば』

観客賞
ゾルジャルガル・プレブダシ『冬眠さえできれば』

学生審査員賞
キム・テヤン『ミマン』


タレンツ・トーキョー
タレンツ・トーキョー・アワード2023
サイ・ナー・カム『Mangoes are Tasty There』

スペシャル・メンション
アンジェリーナ・マリリン・ボク『Free Admission』
オーツ・インチャオ『Water Has Another Dream』



◎授賞式
発表順にお届けします。

タレンツ・トーキョー
スペシャル・メンション
『Free Admission』(アンジェリーナ・マリリン・ボク(Angelina Marilyn BOK)/シンガポール)
『Water Has Another Dream』(オーツ・インチャオ(OATES Yinchao)/中国)

タレンツ・トーキョー・アワード2023
『Mangoes are Tasty There』
(サイ・ナー・カム(Sai Naw Kham)/ミャンマー)
サイ・ナー・カム ミャンマー.jpg


授賞理由:
物語を読んで、聞いて、感じたここ数日間、美しさや、恐怖、希望や悲しみを織り交ぜた詩のような彼の視点から見る故郷の景色に私たちをこの受賞者は連れて行ってくれました。彼がこの東南アジアらしい物語を語る時、彼の個性や即興性、自信を見ることができ、私たちは、また少し彼の物語を知り、彼の物語を好きになります。この才能を発見できたことが喜ばしく、完成するのが楽しみな作品です。

<タレンツ・トーキョー2023 エキスパーツ(講師)>
モーリー・スリヤ(映画監督)、ビアンカ・バルブエナ(プロデューサー)、ポーリーン・ブーシェニー(ワールド・セールス)、フロリアン・ウェグホルン(ベルリン映画祭)


◆学生審査員賞
『ミマン』 Mimang
監督:キム・テヤン(KIM Taeyang)
韓国 / 2023 / 92分

授賞理由:
目の前で生きているかのような彼らの自然な会話から、物語が立ち上がっていく。
巧みな脚本と映像設計に魅了された。人々と共に描かれる街の変化と、その中でも変わらないもの。バスに揺られていくラストの余韻が心地好い。
開発が進み変わっていく街の中で、記憶を紡ぎ、覚えていることが、世の中に対する希望なのではないか。

PXL_20231126_082723316.MP.jpg

学生審査員
中山響一( NAKAYAMA Kyoichi / 武蔵野美術大学 )、大権早耶佳(DAIGON Sayaka / ENBUゼミナール)、藤﨑諄(FUJISAKI Itaru / 明治大学)

キム・テヤン監督
『ミマン』キム・テヤン監督_R.jpg

「観客の皆さんにお会いするといつもわくわくします。知らない方ばかりなのになぜか親しみを覚えます。光栄な場所に立たせていただきましたので、私の映画仲間を皆様に紹介させて下さい」
客席にいた大勢のスタッフと出演者が立ち上がりました。大きな拍手が贈られました。
「映画学校時代に恩師に言われた言葉があります。映画はたくさんの人が関わって作り、公開されれば観客もその一員になる。それは本当にロマンチックで大切なこと。申し訳ない気持ちでなく、感謝の気持ちで撮りなさいと。これからも映画を撮り続けられるよう頑張ります。カムサムニダ」


◆観客賞
『冬眠さえできれば』
監督:ゾルジャルガル・プレブダシ
モンゴル、フランス、スイス、カタール

上映された全作品の中から来場者の投票で選ぶ観客賞は、コンペティション部門の『冬眠さえできれば』が受賞しました。

ゾルジャルガル・プレブダシ監督は、1週間前にご出産されたばかりで来日できず、モンゴルからビデオメッセージで喜びを語りました。
観客賞『冬眠さえできれば』_R.jpg

「たくさんの人の愛と支援の気持ち、たくさんの努力で出来た映画です。恵まれない環境で生活する子どもたちの声を映画で叫びたい、彼らにいい機会を与え笑顔にしたい、モンゴルや同じような環境のもとにいる子供たちに良い社会を与えることができるようにしたいという心から作った映画が、皆さんに届いて本当に嬉しいです」と日本語で語りました。
ガンチメグ・サンダグドル バトヒシク・セデアユシジャブ1_R.jpg

共同プロデューサーのバトヒシク・セデアユシジャブさんと、母親を演じたガンチメグ・サンダグドルさんが登壇し、観客賞の賞状を受け取りました。


◎コンペティション部門
ここで、コンペティション部門 8作品の紹介。
いよいよ各賞の発表です。

第24回東京フィルメックス コンペティション審査員の3人が登壇。

PXL_20231126_083144620.MP.jpg
審査員長 ワン・ビン ( WANG Bing / 中国 / 映画監督 )写真:左端


アノーチャ・スウィチャーゴーンポン監督_R.jpg
アノーチャ・スウィーチャーゴーンポン ( Anocha SUWICHAKORNPONG / タイ / 映画監督・プロデューサー )


クオ・ミンジュンさん_R.jpg
クオ・ミンジュン ( KUO Ming Jung / 台湾 / 映画プログラマー・プロデューサー )



審査員特別賞 2作品に贈られました。
『冬眠さえできれば』(If Only I Could Hibernate)
監督:ゾルジャルガル・プレブダシ
モンゴル、フランス、スイス、カタール /2023 / 98分

授賞理由:
現代モンゴル社会の苦難を描いた珠玉の作品。的確な映画的表現と嘘のない観察で、苦闘する若者たちの姿に寄り添っている。

観客賞とダブル受賞となり、再びゾルジャルガル・プレブダシ監督がビデオメッセージで喜びを語りました。
ゾルジャルガル・プレブダシ監督1.jpg

「東京フィルメックスはとってもスペシャルなところです。2017年にタレンツ・トーキョーに参加してアワードをいただいたことが大きな励みになって、この作品を作りあげることができました。一緒に作ったフランス人プロデューサーのフレデリック・コルヴェさんともタレンツ・トーキョーで知り合いました。ですので、今回の授賞は何よりも嬉しいです」
審査員特別賞_R.jpg

共同プロデューサーのバトヒシク・セデアユシジャブさんと、母親を演じたガンチメグ・サンダグドルさんが再び登壇し、トロフィーと賞状を受け取りました。

ガンチメグ・サンダグドルさん:女優を志しましたが、この20年間はナレーションの仕事をしていました。この映画は初めての出演作です。監督から声をかけていただき、カンヌまで行き、世界を回って東京フィルメックスにまで来られたことを嬉しく思っています。
バトヒシク・セデアユシジャブプロデューサー _R.jpg

バトヒシク・セデアユシジャブさん:初めてプロデューサーを務めました。今までドキュメンタリーに関わってきましたが、モンゴルの教育がよくなり、子どもたちが平等な教育が受けられるようにというメッセージを込めた映画ですので、すぐに参加を決めました。


『クリティカル・ゾーン』Critical Zone 
監督:アリ・アフマザデ、イラン・独 

授賞理由:
この映画では、抑圧的な社会に生きる若者たちの生活を覗き見ることができる。制約の中で、この映画作家はユニークで説得力のある方法で、攻撃的な体制に立ち向かう力強い映画芸術作品を作り上げた。審査員特別賞は『クリティカル・ゾーン』に贈る。

アリ・アフマザデ監督は、イラン政府から出国許可が出ず、ビデオメッセージを寄せられました。
アリ・アフマザデ監督_R.jpg

「インディペンデント映画やアンダーグラウンド映画に注目して下さったこと、そして、『クリティカル・ゾーン』のような作品を認めて下さったことに感謝します。ほんとに嬉しいです。いつかフィルメックスに参加できることを楽しみにしています


最優秀作品賞
『黄色い繭の殻の中』 Inside the Yellow Cocoon Shell
監督:ファム・ティエン・アン(PHAM Thien An)
ベトナム、シンガポール、フランス、スペイン / 2023 / 178分

授賞理由:
突然の死が訪れた後、映画は生きることの意味を考えさせ、主人公を取り巻く人々の喪失、過去、欲望、決断を振り返る時間を与えている。映画における永遠の探求を、野心的かつ愛おしげに描いている。

ファム・ティエン・アン監督
ファム・ティエン・アン監督_R.jpg

光栄です。上映の機会をくださった神谷さんにまずお礼申し上げます。賞をくださった審査員の皆さまにお礼申し上げます。そして、観客の皆さまにお礼申し上げます。インディペンデント映画を支持していただき感謝します。
この映画は、多くの人の支援がなければ作ることができませんでした。製作チームにも感謝します。プロではない役者さんたちにもすごく頑張っていただきました。受賞をたいへん誇りに思うとともに、この賞を彼らに捧げたいと思います。ほんとうにありがとうございました。
最優秀作品賞 『黄色い繭の殻の中』_R.jpg


最後に、審査員長のワン・ビン監督より講評
PXL_20231126_084850485.MP.jpg

今回フィルメックスに集まった映画は、アジアの若い力のある監督たちの素晴らしい作品の数々でした。アジアの状況がよくわかりました。残念ながら賞は3つしかあげられなかったのですが、皆、良い作品でした。アジアの国々の作品は、ほんとうにだんだんと良くなっていると思います。以前は限られた国や地域で作られた作品しか見られませんでしたが、今では、長年作品がなかった国でも映画が作られて、アジアの異なる地域、異なる言語の素晴らしい作品が各地から出てきました。これが最近の大きな特徴だと思います。
実は、私自身、東京フィルメックスの場に初めて参加しました。審査員全員が審査を非常に楽しみました。謝謝。

PXL_20231126_085426060.jpg

受賞者、審査員 全員で写真を撮ったあと、クロージング作品『命は安く、トイレットペーパーは安い』のウェイン・ワン監督が、上映前に挨拶に立ちました。
●P1200740補正.jpg


撮影:宮崎暁美  報告・一部撮影:景山咲子




インディアンムービーウィーク2023パート2

IMW2023pt2_poster.jpg


インディアンムービーウィーク2023パート2
2023年12月15日(金)~2024年1月11日(木)
会場:キネカ大森
https://ttcg.jp/cineka_omori/topics/2023/11221800_25092.html
主催:映画配給会社SPACEBOX
公式サイト:https://imwjapan.com/

この度のインディアンムービーウィークでは、特別上映2作品、初上映2作品、タミル語映画界で「タミル民の宝」と呼ばれ注目される俳優ヴィジャイ・セードゥパティの出演作品特集に加え、アンコール上映作品も含め、計14本が上映されます。

◆特別上映
1.『PS1 黄金の河』 原題:Ponniyin Selvan: Part One
2.『ストリートダンサー』原題:Street Dancer 3D 

◆初上映
3.『後継者』原題:Varisu
4.『2つの愛が進行中』原題:Kaathuvaakula Rendu Kaadhal

◆ヴィジャイ・セードゥパティ特集
5. 『ピザ 死霊館へのデリバリー』原題: Pizza
6. 『途中のページが抜けている』原題: Naduvula Konjam Pakkatha Kaanom
7. 『キケンな誘拐』原題: Soodhu Kavvum
8. 『俺だって極道さ』原題:Naanum Rowdy Dhaan
9. 『’96』原題: ’96
10. 『マスター 先生が来る!』原題: Master

◆アンコール上映
11. 『お気楽探偵アトレヤ』原題: Agent Sai Srinivasa Athreya
12. 『狼と子羊の夜』原題: Onaayum Aattukkuttiyum
13. 『マジック』原題: Mersal
14. 『火の道』原題: Agneepath


◆特別上映
『PS1 黄金の河』 原題:Ponniyin Selvan: Part One
監督:マニラトナム
音楽:ARラフマーン
出演:ヴィクラム、アイシュワリヤー・ラーイ、カールティ、トリシャー、ジェヤム・ラヴィ
2022年/タミル語/167分
10世紀末のタミル地方中部、チョーラ朝は最盛期を目前にしていたが、宮廷では王位簒奪の陰謀が進行していた。マルチスターの歴史絵巻。
詳細:http://cineja3filmfestival.seesaa.net/article/501749965.html

『ストリートダンサー』原題:Street Dancer 3D 
監督:レモ・デソウザ
出演:ヴァルン・ダワン、シュラッダー・カプール、プラブデーヴァー
2020年/ヒンディー語/142分
舞台はロンドン。インド系移民とパキスタン系移民の2つのダンスグループは、常にライバル同士として争っていた。彼らはそれぞれのチームでダンスコンペティションに挑む。
詳細:http://cineja3filmfestival.seesaa.net/article/501746874.html

◆初上映
『後継者』原題:Varisu
監督:ヴァムシー・パイディパッリ
出演:ヴィジャイ、ラシュミカー・マンダンナ、サラトクマール
ジャンル:ファミリードラマ、アクション
2023年/タミル語/169分
大企業オーナー一族が住む屋敷に、当主と衝突して家を出ていた三男ヴィジャイが戻ってくる。彼は事業を引き継ぎバラバラの家族を結びつけようとする。ヴィジャイ(マスター 先生が来る!)主演、2023年1月公開のヒット作。
詳細:http://cineja3filmfestival.seesaa.net/article/501749147.html

『2つの愛が進行中』原題:Kaathuvaakula Rendu Kaadhal
監督:ヴィグネーシュ・シヴァン
出演:ヴィジャイ・セードゥパティ、ナヤンターラ、サマンタほか
2022年/タミル語/157分
昼はタクシー運転手、夜はクラブの黒服として働くランボー。それぞれのシーンでカンマニ、カティージャという女性と知り合い、奇妙な三角関係に陥る。『俺だって極道さ』のヴィグネーシュ・シヴァンが監督し、ヴィジャイ・セードゥパティ、ナヤンターラ、サマンタ共演のシュールなロマンス。

◆ヴィジャイ・セードゥパティ特集
『ピザ 死霊館へのデリバリー』原題: Pizza
監督:カールティク・スッバラージ
出演:ヴィジャイ・セードゥパティ、ラミャ・ナンビーサン、カルナーカラン
2012年/ タミル語/120分
ピザ配達員のマイケルは幼馴染のアヌと同棲中。ある夜マイケルがピザを届けにとある豪邸に赴くと、受取人の女性が途中で消え、不可思議な出来事が立て続けに起こり、彼はそこから逃れられなくなってしまう。2000年代後半のタミル語映画界に興こった「タミル・ニューウェーブ」の潮流から生まれた作品の中で、本作はホラー作品としては突出した高評価を得た。他の言語にもリメイクされたカルト的な1作。IMW2022上映作品。

『途中のページが抜けている』原題: Naduvula Konjam Pakkatha Kaanom
監督:バーラージ・ダラニダラン
出演:ヴィジャイ・セードゥパティ、ガーヤトリ、バガヴァティ・ペルマール、ラージクマール、ヴィグネーシュワラン・パラニサーミ
2012年/タミル語 /161分
プレーム、バグス、サラス、バッジは仲のいい4人組。プレームの結婚式の前日に、暇つぶしに草クリケットで遊んでいたところ、プレームは転倒して頭を打ち、一時的な記憶喪失になってしまう。プレームと恋人のダナは、懐疑的な親族を粘り強く説得して縁組を認めさせ、苦労の末にやっと式を挙げるところまで来ていたのだが、彼はダナのことすら覚えていない。プレームの症状を明かせば結婚自体がお流れになってしまうかもしれない危機に、3人の友人たちは知恵を絞って式を挙行しようとする。低予算作品ながら、驚異のヒットとなった作品。IMW2022上映作品。

『キケンな誘拐』原題: Soodhu Kavvum
監督・脚本:ナラン・クマラサーミ
出演:ヴィジャイ・セードゥパティ、アショーク・セルヴァン、ラメーシュ・ティラク、ボビー・シンハー
2013年/タミル語/133分
失業中のセーカル、ケーサヴァン、パガラヴァンは、酒場で出会った誘拐犯ダースから仲間に誘われる。3人は迷いながらも参加することになり、チームは次々と身代金目当ての誘拐を成功させてゆく。しかしある日舞い込んだ一発大逆転の儲け話からトラブルに巻き込まれてしまう。人物のキャラの濃さと予測不能のストーリー展開、全編に漂うシュールでシニカルな香りがあまりにも斬新な、タミルニューウェーブの傑作。IMWの前身、インディアン・シネマ・ウィーク2017上映作品。

『俺だって極道さ』原題:Naanum Rowdy Dhaan
監督:ヴィグネーシュ・シヴァン
出演:ヴィジャイ・セードゥパティ、ナヤンターラ、パールティバン
2015年/タミル語/139分
ポンディシェリに住む青年パーンディは、警官の母親を持ちながら極道になることに憧れており、友達のドーシと一緒に「極道ごっこ」で小遣いを稼いでいた。ある夜彼は聴覚障がいがある女性カーダンバリに出会い、一目惚れする。何とか彼女の心を開こうとするパーンディに対してカーダンバリが求めたのは、幼少時に起こって以来彼女のトラウマとなっている襲撃事件の首謀者である大物極道への仇討ちだった。へっぴり腰で始まった仇討ち作戦は、想定外の勢力が脇から加わり、思わぬ方向に転がり出す。人気のヴィジャイ・セードゥパティ(キケンな誘拐)とナヤンターラ(ビギル 勝利のホイッスル)を配し、旧フランス領ポンディシェリのお洒落な街並みを舞台にした、ちょっぴりシュールで、ふんわりと軽い、異色の新感覚リベンジ・コメディ。IMW2021上映作品。

『’96』原題: ’96
監督:C.プレームクマール
出演:ヴィジャイ・セードゥパティ、トリシャー・クリシュナン、アーディティヤ・バースカル、ガウリG.キシャン、ジャナガラージ
2018年/タミル語/158分
1996年に高校を卒業したクラスメートが20年ぶりに集う同窓会。旅行写真家のラームは、初恋の女性ジャーナキに再会して心が揺れる。宵の口から夜明けまでのチェンナイの街を舞台にした2人の対話。タミル映画の賑やかなイメージを覆すノスタルジックな純愛もの。ヴィジャイ・セードゥパティの不器用な男ぶり、トリシャーの涙目、主演2人の演技が圧倒的。夜のチェンナイの街路の詩情溢れる描写。IMW2019上映作品。

『マスター 先生が来る!』原題: Master
監督:ローケーシュ・カナガラージ
出演:ヴィジャイ、ヴィジャイ・セードゥパティ、マーラヴィカ・モーハナン、アルジュン・ダースほか
2021年 / タミル語 / 179分
名門大学で心理学を教えるJDはアル中気味の名物教授。彼が実施を強く主張した学生会長選挙で暴動が起きたため、責任をとり休職し、地方の少年院に赴く。そこではギャングのバワーニの支配の下、少年たちが薬物漬けにされて犯罪行為に従事させられていた。バワーニは、運送業という表向きの商売の裏であらゆる犯罪に手を染め、敵を粛清し、支配を固めるため政治家になろうとしていた。JDはアルコールを断ち、バワーニの支配を終わらせ少年たちを更生させようと立ち上がる。人気俳優ヴィジャイとヴィジャイ・セードゥパティが共演。『囚人ディリ』のローケーシュ・カナガラージ監督によるマルチスター・ノワール作品。2022年劇場公開作品。
http://cinejour2019ikoufilm.seesaa.net/article/493461537.html

◆アンコール上映
『お気楽探偵アトレヤ』原題: Agent Sai Srinivasa Athreya
監督:スワループ R. S. J.
出演:ナヴィーン・ポリシェッティ、シュルティ・シャルマー
2019年/テルグ語/148分
アーンドラ・プラデーシュ州の小都市ネッルールで探偵業を始めた若いアトレヤ。レイプ殺人事件を調査するうちに、線路脇で身元不明死体が多数見つかるという別の怪事件に絡めとられていき、彼自身が容疑者となってしまう。『きっと、またあえる』で重要な脇役を演じたナヴィーン・ポリシェッティが主演のユーモア・クライム映画。笑わせるだけではなく、インド特有の事情に根差した犯罪の恐るべき実態についても鋭く切り込む、考え抜かれた脚本が見事。IMW2020上映作品。

『狼と子羊の夜』原題: Onaayum Aattukkuttiyum
監督:ミシュキン
出演:シュリー、ミシュキン、アーディティヤ・メーノーン
2013年/タミル語/ 143分
医学生のチャンドルは、ある夜街路で銃創を負って倒れている男を助け、自宅に運んで手術をする。しかし翌朝男の姿は消えていた。男はウルフという名の殺し屋で、チャンドルは犯罪者を匿ったとして警察の尋問を受け、協力させられる。その後ウルフがチャンドルに接触してきたのを知った警察は、彼に銃を渡し、ウルフを殺すよう命じる。ほぼ全編が夜の街で展開する異色のクライム・スリラー。IMW2023パート1上映作品。

『マジック』原題: Mersal
監督:アトリ
出演:ヴィジャイ、サマンタ、カージャル・アグルワール、ニティヤ・メーノーン、S・J・スーリヤー、サティヤラージ
2017年 /タミル語 /169分
チェンナイの低所得者層地域で開業するマーラン医師は、低額で患者を診る人徳者で、国際会議でも表彰される。しかしその周りで医療関係者の不審死が起こり、警察は彼を拘束して尋問する。そこで浮かび上がったのは、ヴェトリという名の彼と瓜二つの奇術師だった。V・ヴィジャエーンドラ・プラサード(『バジュランギおじさんと、小さな迷子』)が脚本に加わり、娯楽性がある社会派スリラーに仕上がっている。インディアン・シネマ・ウィーク2018上映の人気作品。

『火の道』原題: Agneepath
監督:カラン・マルホートラー
出演:リティク・ローシャン、リシ・カプール、サンジャイ・ダット、プリヤンカー・チョープラー
ジャンル ドラマ、アクション
2012年/ヒンディー語/174分
ムンバイ沖の小島に暮らす少年ヴィジャイは、教師の父から人生訓として、「火の道」という詩を教わりながら育つ。ヴィジャイの父は人々の尊敬を集めていたが、麻薬ビジネスを興そうとした地主の息子カーンチャーに反対したことで、彼に殺害されてしまう。母と共にムンバイに逃れたヴィジャイは、父の仇を討つために麻薬マフィア・ラーラーの手下となり、アンダーワールドでのし上がっていく。