花開くコリア・アニメーション2020+アジア

毎年春の恒例行事となりました、“ここでしか見られない”
韓国インディーズ・アニメーションを一挙に鑑賞できる機会です。

「花開くコリア・アニメーション2020+アジア」は
最大限予定通りに開催することを念頭に準備中。


【大阪上映】
日程:4月4日(土)~4月8日(水)
会場:PLANET+1(大阪・中崎町)

【東京上映】
日程:4月25日(土)~4月26日(日)
会場:アップリンク渋谷


詳細はこちらで
公式サイト http://anikr.com/
ツイッター http://twitter.com/hanakoriJP
Facebook  http://www.facebook.com/koreanimation

イスラーム映画祭5 『ガザ・サーフ・クラブ』 3/14トーク 岡真理さん  (咲)

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3月14日(土) 11:00~『ガザ・サーフ・クラブ』
イスラーム映画祭5の一番最初に上映されました。 
上映後トークは、これまで神戸のイスラーム映画祭でアフタートークをしてきた京都大学教授の岡真理さん。京都から駆けつけてくださいました。

『ガザ・サーフ・クラブ』 
原題:Gaza Surf Club 英題:Gaza Surf Club  
2016年/ドイツ/87分/アラビア語・英語・ハワイ語
監督:フィリップ・グナート、ミッキー・ヤーミン / Philip Gnadt、Mickey Yamine


*ストーリー*

瓦礫と化したガザの町を、サーフボードを乗せて海に向かう車。
サーフボードを前に祈る二人。早く行こうと声がかかる。
どんよりとしたガザの空の下、サーフィンに夢中の若者たち。

イブラヒーム 23歳 病院勤務
両親がカタルから呼んだ2歳下の女の子が気に入ってプロポーズ。1週間経っても返事がなくて、せかしたら断られた。ガザには住みたくないと。
ビザが下りたら、ハワイに行ってサーフィンを学びたい。
エジプトのアメリカ大使館でビザ申請を5回したが、却下された。
2000ドルも検問所で支払ったのに。もうエジプトに行けない。
エルサレムのアメリカ大使館に申請する。
ハワイから、ビザがおりたと電話!
ハワイに来てみて、皆の外見に驚く。タトゥーをしている者も多い。
女性たちも肌を出しまくり。
ハワイの人は優しい。

アブー・ジャイヤブ 42歳 漁師 
若者たちにサーフィンを教えている。
カリフォルニアに注文したサーブボードは、2年もイスラエルに留め置かれた。
資材も機材もない中、自前で工夫してボードを作っている。
外国に行きたいという夢は破れた。
希望はどこを探せばある?
漁業のできる範囲がせばまり、大きな魚が捕れない。
小さな魚を獲ることになり、さらに魚が減る。
なんとか釣れた小魚を焼く。

サバーフ 15歳の少女
サーフィンを父から7年習ってる。
一つ上の16歳の姉は、もうサーフィンをしない。悲しげに見つめている。
父はまわりからサバーフにサーフィンをさせないよう注意を受けている。
スカーフをして泳いでいたら、クビに巻きついたので、腰に巻く。
ハラーム(禁忌)だといわれる。
ちょっと自粛。
久しぶりに父に連れられ海に出る。
船の後に繋いだボードに乗って微笑むサバーフ。
夢は医師になること!

*****

イブラヒームはまだハワイから戻ってない・・・で、映画は終わる
奇跡的にビザを取得できて、外に出ることのできたイブラヒーム。
まさに天国と地獄ほどの違い。
彼の夢は、サーフィンのことを学んでガザでそれを伝授すること。
決して自由を謳歌することじゃないはず。

カリフォルニアから24枚のボードを取り寄せたのに、2年間イスラエルに留め置かれて、やっと入手したという。どうして、そこまで意地悪をするのだろう。
ささやかな楽しみまで奪うイスラエル・・・


◆上映後トーク
《ガザ、それでもなお――完全封鎖から14年目の現実》
【ゲスト】 岡真理さん(京都大学大学院人間・環境学研究科教授/
 アラブ文学者、パレスチナ問題専門) 著書『ガザに地下鉄が走る日』
https://www.msz.co.jp/book/detail/08747.html

ガザを描いた映画にこんなに来てくださって嬉しい。
この映画は知りませんでした。
ガザにサーフクラブ? 悪い冗談かと最初思いました。
海に面しているのでサーフィンは出来るはずですが、「白い黒板」といったような相容れない組み合わせだと、ガザを知っていると思います。
サーフィンの持っているイメージは、何の憂いもない人のスポーツ。湘南とサーフィンならぴったりですが、『ガザ・サーフ・クラブ』は相容れないもの。
この映画が公開されたのは2016年。映画の中で「昨年の戦争」と言っているのは、2014年に51日間続いた戦争。2014年から2015年にかけての冬のガザが舞台。
イブラヒームがハワイに行って、モノクロのガザから、カラーの世界に変わります。
地中海は、アラビア語で「白い海」の意味。冬は雨季。曇って波が白いことから。
冬が舞台なのは、たまたまその時期に入れたのか、冬の方が波が高いからかでしょうか。
ハワイとの対比で暗さを強調。
2014年の時点で、封鎖8年目。今、14年目。

ガザとは?
日本とほぼ同緯度。
海に面した部分 約40キロ
エジプトと接している部分 約10キロ。
一番狭いところで幅4~5キロ。
東京都の半分の面積に、200万人が住む。
人口密度 1km2あたり、5000人だが、単純にそうではない。
難民キャンプに人が集中している。

1947年11月29日 イスラエル建国
1948年 ナクバ(大災厄) パレスチナ人が集団虐殺されたり、強制追放されたりする。
当時占領されてなかったガザに、19万人が難民としてやって来た。
国連が難民キャンプを設営。貧しくてキャンプから出られない人たちが、今や曾孫の代になり200万人に増えている。
イブラヒームやサバーフは、暮らしぶりからみて、難民ではなく先祖が元々ガザにいたと思われる。イブラヒームがハワイに行けたのも病院での定職についていたから。

1967年 第3次中東戦争(6日戦争)で、歴史的パレスチナがすべて占領され、ガザも占領される。

2005年、ガザの入植者がすべて撤退したことにより、イスラエルは占領を解いたが、出入国はイスラエルが管理。

2007年、完全封鎖。
パレスチナの評議会選挙。民主的選挙でハタファではなく、ハマースが選ばれたが、そのハマースをテロ集団だとしてイスラエルも米国も認めず、政権移譲しなかったために内戦状態に。イスラエルが検問所をすべてコントロールしてガザを完全封鎖。
ヨルダン川西岸地区にも行けなくなった。
「世界最大の野外監獄」ノーム・チョムスキーの言葉。

2014年3度目の“芝刈り”
7月~8月にかけて、51日間ジェノサイド攻撃ともいえる激しい攻撃。
町が破壊されても、建設資材が入ってこないので再建できない。
イスラエルが地場産業を破壊し、イスラエルに頼らないと生きていけないようにしている。
半世紀以上の占領と封鎖で貧しい状態におかれている。元々貧しいのではない。
燃料がなく、1日8~11時間停電。(2014年)
今、1日3~4時間しか電力が供給されておらず、医療の現場で必要な医療もできず、下水ポンプが稼動せず下水の洪水に。未浄化の生活排水で海も汚染されている。
かつてサーフィンをしていた人たちも、今はほとんどがやめている。

*******

限られた時間の中で、駆け足で解説してくださったガザの状況に、たたただため息。
地中海に面したガザで、サーフィンをしたいというささやかな夢も奪ってしまうイスラエル。ガザの人たちが、人間的な暮らしの出来る日の来ることを願うばかりです。

参加できませんでしたが、下記のトークも行われました。
➁3/16(月)13:30
上映後トーク《2019年8月パレスチナ・ガザ最新リポート》
【ゲスト】 古居みずえさん(ジャーナリスト/映画監督)
『ガーダ パレスチナの詩』 『ぼくたちは見た -ガザ・サムニ家の子どもたち-』

3回目の上映は3/20(金)16:00から。


景山咲子





イスラーム映画祭5開幕! 会場で公式ムックを限定発売中 (咲)

楽しみにしていた「イスラーム映画祭5」が、予定通り3月14日(土)に開幕しました。
新型コロナウイルス感染予防の自粛要請で、開催されるのかどうか、ぎりぎりまでやきもきしていました。
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主宰の藤本高之さんもモヤモヤとしながら開催を決断。蓋を開けてみれば、自粛ムードどころか、大勢のイスラーム映画祭ファンが駆け付けました。
藤本さんの「すべての座席を自ら拭きました」との挨拶で、イスラーム映画祭5は始まりました。

チケットは、3日前の深夜0時からネットで売り出し開始。
初日14日2時からの『アル・リサーラ/ザ・メッセージ アラブ・バージョン』は、1回限りの上映とあって、30分程で売り切れる人気。
初日のほかの2本もほぼ満席。
2日目の15日(日)も、すべての回が満席になりました。
昨年までは、立見席があったのですが、今年はさすがに無し。当日券を当てにして来て泣いた方も多かったようです。
また、平日は、座席を一つ置きに販売するとのこと。
どの作品も、主宰の藤本さんが是非皆に見せたいと選んだ心に響くものばかりです。
イスラーム映画祭5は、3月20日(金)まで続きます。
ぜひ、感染予防に気遣いながら、お出かけください。

イスラーム映画祭5 上映日程とトークセッションは、こちらをご覧ください。



★公式ムックを会場で発売!★
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『イスラーム映画祭アーカイブ2015-2020』
5回のイスラーム映画祭で上映された全50作品の作品データ(監督、出演者だけでなく、脚本、撮影、音楽、字幕担当者等も記載)とストーリーのほか、作品の背景や、上映を決めた藤本さんの思いもたっぷり語られています。

イスラーム映画祭5での初上映作品を、8作品にこだわった藤本さん。
2015年の初回から、昨年のイスラーム映画祭4までの上映作品が、42作品。
合計50作品にしたかったという次第。

また、イスラーム文化圏の様々な地域に造詣の深い方たちによる読み応えのあるコラムも15本。
オールカラー、写真満載、98ページで、1500円! 

「お手にとったら、感染予防で必ずお買い求めください」と、藤本さん。

ほんとに素敵な一冊です。
中身を確かめなくても、間違いなく満足できます。ぜひ!


東京フィルメックス -京都出張篇

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東京フィルメックスの新たなスポンサーとして、京都を拠点に活動するシマフィルムが参加したことを期に、東京フィルメックスで紹介された作品にシマフィルム作品をおりまぜ、京都2劇場で特集上映が行われます。

期間:2020年3月13日(金)〜3月20日(金)
会場:出町座、京都シネマ
公式サイト:https://demachiza.com/movies/5967


出町座(3/13金〜3/19木)
3/13(金)18:50『オールド・ドッグ』★/20:55『おそいひと』★
3/14(土)18:50『昨夜、あなたが微笑んでいた』★/20:35『堀川中立売』★
3/15(日)18:50『アイカ』/20:50『草の葉』★
3/16(月)18:50『オールド・ドッグ』/20:35『タルロ』
3/17(火)18:50『ファンさん』/20:40『アイカ』
3/18(水)18:50『フラワーズ・オブ・シャンハイ』/21:15『記憶が私を見る』
3/19(木)18:50『記憶が私を見る』/20:40『東』+ジャ・ジャンクー短編集


京都シネマ
(3/14土〜3/20金)
3/14(土)16:15『どこへ出しても恥かしい人』★
3/15(日)16:15『ニワトリはハダシだ』★
3/16(月)16:15『昨夜、あなたが微笑んでいた』
3/17(火)16:15『東』+ジャ・ジャンクー短編集
3/18(水)16:15『川沿いのホテル』
3/19(木)16:15『タルロ』
3/20(金)16:15『ファンさん』

★トークあり

第15回大阪アジアン映画祭(OAFF2020)2(暁)

2日目、7日から11日までは、ほとんどシネ・リーブル梅田での会場。1日3本~4本の作品を観る。その中からセレクトしての紹介を。

●特別注視部門 
『マリアム』 Mariam
3/7土 16:45 シネ・リーブル梅田4    
監督:シャリパ・ウラズバエヴァ Director:Sharipa URAZBAYEVA
2019年/カザフスタン・ドイツ/75分 
出演:メルエルト・サブシノヴァ、アルマス・ベクティバエフ、ハムザ・コクセベク、エディゲ・アフメト

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カザフスタンの最大都市アルマトイから400キロ、さらに幹線道路から3キロ離れた大平原にある村で、マリアムは夫と4人の子どもたちと、牛を飼育して細々と暮らしていた。平原には雪が積もるある冬の日、夫は何も言わず姿を消してしまい、夫が乗っていた馬だけが主もなく戻ってきた。警察に捜索願いを出すが、警察も積極的に捜してくれているとは思えない。夫が失踪したことを知った雇い主からは、妻一人では牛を育てられないだろうと、牛を返すよう要求され、連れて行ってしまう。生計手段を失った一家は飼っている羊も少なく、困窮していくばかりとなってしまう。病気の子どもを抱えたマリアムは、警察にも何度か通い、必死に夫の行方を探すが、一向に進展のないまま数ヶ月が過ぎてしまった。そこで彼女は、同級生だった警官と会い、生きるための手段を相談する。それは草原でみつかった死体が夫であると認定することだった。ほんとにそうなのかはあやふやのまま、認定して国からの何らかの母子家庭に対する補償金を得るようになったのだが、数回もらったところで夫が突然帰ってきた。半年以上?帰ってこなかった夫は、その間どうしていたとも何も言わない。でも、怪我をしているらしく、働くことが難しそう。その補償金は国に返還しなくてはならないけど、今、返還するお金はない。マリアムは生きるため取った行動とは…。
半年以上、雪の中にある平原に暮らすマリアムの一家。しかも4人の子供。まだ一番上も中学生くらい。幼い子供を抱え、厳冬の大地を生き抜く、残された妻と子どもたちの生き様が、丹念にそしてあふれるリアリティで描き出される。

●特別招待作品部門 『燕 Yan』
3/8日 16:00 シネ・リーブル梅田
監督:今村圭佑 Director: IMAMURA Keisuke
2019年/日本/86分 
脚本:鷲頭紀子
出演:水間ロン、山中崇、一青窈、テイ龍進、平田満
2020年6月5日から全国公開 公式HP

燕 Yan.jpg
(C)2019「燕 Yan」製作委員会

日本と台湾を舞台に、離れ離れになった兄弟、父母がそれぞれの思いを抱え、悩み、もがき苦しみ、成長する姿を描いた。
28歳の早川燕は、埼玉の父から台湾の高雄で暮らす燕の兄、龍心(リュウシン)に、ある書類に判を押してきてもらうよう頼まれる。子供の頃、燕を中国語で「イエンイエン(燕燕)」と呼んでいた台湾出身の母(一青窈)は、燕が5歳の時に兄、龍心を連れて帰ってしまった。「僕は母さんに捨てられた」。そんな母への複雑な思いを抱えながら育った燕は、母が病気と聞いても、亡くなった時にも台湾には行かなかった。20年以上の月日が過ぎたが、母と兄にはあれから一度も会っていない。そんな状態で、燕は台湾に行くことを拒むが、病気の父の最後の頼みと懇願され、渋々台湾へと旅立つ。
母はどんな思いでいなくなってしまったのか? なぜ自分を捨てたのか。なぜ手紙すらくれなかったのか?様々な思いがあって、高雄の母の実家に着いても、素直に兄とも向き合えない。

燕役は『パラレルワールド・ラブストーリー』の水間ロン。中国・大連出身で「僕自身も日本と中国、2つの家があり、そこに壁も境界線もありません。そういった思いでこの映画を見て頂けると幸いです」と語る。兄、龍心役は山中崇。中国語が不自然にならないくらい学んでこの役に挑戦している。歌手の一青窈が2人の母を演じている。たくさんの映画で撮影監督を務め、昨年の話題作『新聞記者』でも撮影監督を務めた今村圭佑の長編監督デビュー作。

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左から今村圭佑監督、水間ロンさん、山中崇さん

この作品の中で、日本人の作るカラフルなお弁当と台湾人のお母さんが作る茶色の地味なお弁当との違いと不満が出てくるが、後に観た『フォーの味』にもポーランド在住のベトナム人とポーランド人女性との間に生まれた女の子の話の中にも、ポーランド人が作るパンのお弁当と、ベトナム人のお父さんが作るお米の弁当への不満の話が出てきて、文化の違いに葛藤する子供ながらの話が出てきて、なるほどと思ってしまった。国際結婚の影で、習慣や文化の違いへの葛藤に苦しむ子供の姿というのが共通な点でした。この件は下記スタッフ日記に書いていますので参照ください。

スタッフ日記「第15回大阪アジアン映画祭へ行ってきました」http://cinemajournal.seesaa.net/article/474046141.html

●コンペティション部門 
『フォーの味』 The Taste of Pho
3/9月 14:40 シネ・リーブル梅田4

監督:ボブリックまりこ Director: Mariko BOBRIK
2019年/ドイツ・ポーランド/83

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ポーランドの首都、ワルシャワ。ポーランド人の妻に先立たれたベトナム移民のロンは、団地で一人で娘のマヤを育てている。娘のスカートにアイロンをかけたり、縫い物も器用にこなす。ベトナムレストランでシェフを務め、流暢にポーランド語も話し、現地に溶け込んで暮らしている。しかし、現地の生活に慣れたとはいえ、母国の文化への執着を捨てられない。純粋なポーランド人として暮らしたい娘のマヤは、学校で浮かないように父が愛情込めて作ったベトナム料理の弁当を密かに捨てている。そしてたまにはパンのお弁当を食べたいと思っている。ある日、ロンが勤めている店が新しいオーナーに変わってしまった。ひき続き雇われるが、日本料理のほうが売れると、得意のフォーの代わりに寿司を作るように言われ、日本料理の勉強も始めた。さらにタイ料理も。オーナーが変わったときにベトナムに帰えろうか迷って、残ることにしたことを後悔。そして母国を懐かしむ。一方、亡き母への思いが強いマヤは、近所の金髪美人と父の間に何かがあると疑い、向かいの家に住む彼女を双眼鏡で監視し始めるが誤解を生んでしまう。

先の『燕 YAN』と対をなすような作品だった。『燕 YAN』で母が台湾人で父が日本人。母は一生懸命、日本で子供を育てるが、小学校にあがった子供は、母の文化と日本の文化の中で葛藤を抱えるようになる。母は自分の持っている文化と日本の文化の狭間で悩み、台湾に帰ってしまった。異文化の中で生きることと、溶け込むこと。そして親子の絆について焦点を当てた作品だった。

監督は、ウッチ映画大学を卒業した日本人のボブリックまりこ。この映画ではベトナムから移住した男性と娘の話にしているが、ポーランドは意外にもアジアからの移民が多いのかもと思った。ベトナムコミュニティがあったし、ベトナムだけなく、日本やタイの料理に興味をもつ、ポーランド人たちもたくさんいた。

●特別注視部門 
『ローマをさまよう』Roam Rome Mein
3/7土 18:40 シネ・リーブル梅田   
監督:タニシュター・チャタルジー Director: Tannishtha CHATTERJEE
2019年/インド・イタリア/101分 
出演:ナワーズッディーン・シッディーキー、タニシュター・チャタルジー、ヴァレンティーナ・コルティ、フランチェスコ・アポッローニ、ウルバノ・バルベリーニ、イーシャ・タルワール

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インド人青年ラージは、親から「妹の行動の管理」を任せられている。自分の結婚式が近いのに、妹は行方不明。ローマにいることがわかったがどこにいるかはわからない。出張と称してローマに行き、姿を消した妹リーナを捜しローマの街をさまよう。妹を捜し歩く先々で今まで会ったこともない不思議な人々と出会い、現実と非現実が交錯するなか、ラージが今まで知らなかった本当の妹の姿が浮き彫りになっていく。妹のやりたかったことがわかるにつれ、妹の行動に抑圧的な家父長制的な考えにとらわれている自分に気づいてゆく。

「これは男性が主演のフェミニズム映画で、近代のフェミニズムの芽が育まれたローマで撮ることが重要だった」と監督であり妹リーナ役を演じるタニシュター・チャタルジーは語る。『アンナ・カレーニナ』(2012)、『祈りの雨』(第26回東京国際映画祭上映)、『LION/ライオン~25年目のただいま~』(2016)に出演の国際派女優タニシュター・チャタルジーが初めてメガホンを取った意欲作。
ラージ役は『女神は二度微笑む』(2012)、『めぐり逢わせのお弁当』(2013)、『バジュランギおじさんと、小さな迷子』(2015)等に出演のナワーズッディーン・シッディーキー。『LION/ライオン~25年目のただいま~』でタニシュター・チャタルジーと共演し、映画作りで意気投合した二人の映画への思いが『ローマをさまよう』で実を結んだ。

●特集企画《祝・韓国映画101周年:社会史の光と陰を記憶する》
『マルモイ ことばあつめ』 
Malmoe: The Secret Mission
3/8日 18:10 シネ・リーブル梅田
監督:オム・ユナ Director: EOM Yu-na
2019年/韓国/135分 
出演:ユ・ヘジン、ユン・ゲサン、キム・ホンパ、ウ・ヒョン、キム・テフン
2020年5月22日(金)より、シネマート新宿&シネマート心斎橋ほか全国順次公開
公式HP
配給 インターフィルム
マルモイことばあつめ.jpg
(C)2020 LOTTE ENTERTAINMENT All Rights Reserved.

1940年代の朝鮮半島:京城(日本統治時代の韓国・ソウルの呼称)。盗みや映画の上映劇場の宣伝で生計を立てていたお調子者のパンス(ユ・へジン)は、ある日、息子の授業料を払うためにジョンファン(ユン・ゲサン)のバッグを盗む。日本軍の台頭によって朝鮮民族の言葉が消えゆく1940年代、言葉を守ることによって国を守ろうとした人たちがいた。
ジョンファンは親日派の父(学校長)を持つ裕福な家庭の息子だが、失われていく民族の言語を守るため、父に秘密で辞書を作ろうと、各地の方言などあらゆる言葉を集めていた。辞書作りの為、全国の言葉・方言を集める「マルモイ(ことばあつめ)作戦」が多くの人の協力で秘密裏に進んでいた。しかし、日本の警察?に知られてしまい、せっかく集めた資料を没収されてしまう。日本統治下の朝鮮半島は、話す言葉が朝鮮語から日本語へと変わり、名前すらも日本式となっていく時代だった。
一方のパンスは学校に通ったことがなく、母国語である朝鮮語の読み方や書き方すら知らない。盗んだバッグをきっかけにジョンファンと出会ったパンスは、ジョンファンを始め、協力者たちの辞書作りを通して、自分の話す母国の言葉の大切さを知っていく。

日本統治時代の朝鮮半島では監視と弾圧の中、言葉だけでなく創氏改名、日本化が進められていた。このことを描いた作品としては林權澤(イム・グォンテク)監督の『族譜』が有名だが、この作品では辞典を作るのに非識字者が主人公という思いもよらない設定で、ユ・ヘジンの行動が、笑いと感動で観客の心を動かしてゆく。