横浜フランス映画祭 2024 ラインアップ発表されました

横浜フランス映画祭 2024
Festival du film français de Yokohama 2024


期間:3月20日(水・祝)~3月24日(日)
会場:横浜みなとみらい21地区を中心に開催
主催:ユニフランス
共催:横浜市、在日フランス大使館 / アンスティチュ・フランセ
特別協賛:日産自動車株式会社
協賛:TITRA FILM
特別協力:ウェスティンホテル横浜 フランス政府 CNC PROCIREP
協力: ビオセボン
後援: 公立大学法人横浜市立大学

公式サイト::https://www.unifrance.jp/festival/2024/
公式X: @unifrance_jp  公式 Instagram: @unifrance_jp
公式 FaceBook: https://www.facebook.com/unifrance.tokyo/

ラインアップ発表記者会見に特別アンバサダー役所広司さん(カンヌ映画祭 最優秀男優賞)登壇!
https://unifrance.jp/festival/2024/news/2378/

上映作品 13作品
Àma Gloria(原題)
監督:マリー・アマシュケリ
キャスト:ルイーズ・モーロワ=パンザニ、イルサ・モレノ

アニマル ぼくたちと動物のこと  原題:Animal
監督:シリル・ディオン 
キャスト:ベラ・ラック、ヴィプラン・プハネスワラン、ジェーン・グドール、アンソニー・バルノスキー

Bâtiment 5(原題)
監督:ラジ・リ
キャスト:アンタ・ディアウ、アレクシス・マネンティ、アリストート・ルインドゥラ、スティーヴ・ティアンチュー

美しき仕事 4Kレストア版  原題:Beau travail
監督:クレール・ドゥニ
キャスト:ドニ・ラヴァン、ミシェル・シュボール、グレゴワール・コラン、リシャール・クルセ

画家ボナール ピエールとマルト  原題:Bonnard, Pierre et Marthe
監督:マルタン・プロヴォ
キャスト:セシル・ドゥ・フランス、ヴァンサン・マケーニュ、ステイシー・マーティン、アヌーク・グランベ

カネと血  原題:D'argent et de sang
監督:グザヴィエ・ジャノリ
キャスト:ヴァンサン・ランドン、ニールス・シュナイダー、ラムジー・ベディア、ジュディット・シュムラ
*テレビシリーズ

けもの  原題:La Bête
監督:ベルトラン・ボネロ
キャスト:レア・セドゥ、ジョージ・マッケイ、ガスラジー・マランダ、ダーシャ・ネクラソワ

コンセント/同意  原題:Le Consentement
監督:ヴァネッサ・フィロ
キャスト:キム・イジュラン、ジャン=ポール・ルーヴ、レティシア・カスタ、エロディ・ブシェーズ

愛する時  原題:Le Temps d'aimer
監督:カテル・キレヴェレ
キャスト:アナイス・ドゥムースティエ、ヴァンサン・ラコスト

Neneh Superstar(原題)
監督:ラムジ・ベン・スリマン
キャスト:オウミ・ブルーニ・ギャレル、マイウェン、アイッサ・メガ、スティーブ・チャンシュー

めくらやなぎと眠る女  原題:Saules aveugles, femme endormie
監督・脚本:ピエール・フォルデス
*アニメーション

日本のシドニー(仮題)  原題:Sidonie au Japon
監督:エリーズ・ジラール
キャスト:イザベル・ユペール、伊原剛志、アウグスト・ディール

Vermines (原題)
監督:セバスチャン・ヴァニセック
キャスト:テオ・クリスティーヌ、ソフィア・レサフル、ジェローム・ニール、リサ・ニャルコ



第14回マイ・フレンチ・フィルム・フェスティバル(MyFFF)

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第14回マイ・フレンチ・フィルム・フェスティバル(MyFFF)
オンラインのフランス映画祭


2024年1月19日〜2月19日
主催:ユニフランス
https://www.myfrenchfilmfestival.com/

◆ラインアップ
切ないヒューマンストーリーからドタバタコメディ、息もつかせぬスリラー、心ゆさぶる作品、絶対に外せない名作、胸を打つドキュメンタリー、詩的な表現が際立つ個性的なアニメーション作品まで、コンペティション部門長編9作品・短編9作品他。

長編
「スペアキー」
「のら犬」
「イヌとイタリア人、お断り!」
「ジャングルのけもの」
「緑の香水」
「楽園」
「北極星」
「ふたりだけのロデオ」
「ジャヌスとサムの酔っ払い道中」
「裸のマノン」※国内配信なし
「アニエス・Vによるジェーン・B」※国内配信なし

短編
「私に触れた手」
「ジャンヌと七面鳥」
「新凱旋門」
「女と犬」
「戦いとは終わりである」
「フェアプレー」
「カナダでの暮らし」
「夏休み」
「スピード」
「オアシス」
「Charbon」※国内配信なし
「ダンスの中に」
「2匹は友だち」
「ふたりは姉妹」
「アトミック・チキン」


◆視聴方法
MyFrenchFilmFestival.com公式サイトから
アカウントを作成すれば、お住まいの国で視聴可能な作品をオンラインにて視聴可能。

提携配信サイトから
配信サイト*:公式サイト、U-NEXT、Amazon Prime Video、MBS動画イズム、ぷれシネ、ビデオマーケット、ビデックスJP、DMM、 music.jp、Dice+ 、ミレール、Rakuten TV ほか
提携配信サイトはこちらをチェック。
https://myfrenchfilmfestival.okast.tv/smartlists/retrouvez-jap


◆無料?有料?
MyFFF公式サイト(MyFrenchFilmFestival.com)から、すべての短編作品が世界中どこの国でも無料で視聴可能。

長編作品:
無料視聴可能な地域・国:スペイン語圏のラテンアメリカ、アフリカ、中近東、ロシア・CIS、東南アジア、バルト三国(ラトビアを除く)、ウクライナ。

その他の国・地域の視聴料
長編 1作品:1.99ユーロ
フリーパス(全作品視聴可能):7.99ユーロ*
*ご利用の国・地域によっては視聴できない作品もあり。


◆スクリーンで見よう!マイ・フレンチ・フィルム・フェスティバル2024

https://culture.institutfrancais.jp/event/cinema20240125

2024年1月25日~1月28日
会場:東京日仏学院エスパス・イマージュ

一律:1,100円(全席自由席・整理券番号順)
*チケットはPeatixにて1/17(水)12:00より発売

MyFFF2024 セレクション
・緑色の香水(ニコラ・パリゼール)
・スペアキー(ジャンヌ・アスラン&ポール・サンティラン)
・のら犬(ジャン=バティスト・デュラ)
・ジャングルのけもの(パトリック・シハ)

過去の人気作品 
・アヴァ(レア・ミシウス、2017年)
・私たち(アリス・ディオップ、2021年)

ソフィー・フィリエール監督 追悼上映
・女と犬(1991年)*MyFFF2024配信短編作品
・20年後の私も美しい(2018年)

トルコ・日本外交関係樹立100周年記念 トルコ映画週間

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2024年にトルコ・日本外交関係樹立100周年を迎えることを記念し、東京・丸の内でトルコ映画週間が開催されます。
トルコ流ユーモアたっぷりのコメディからロマンス、アカデミー国際長編映画賞トルコ部門に選出された映画まで、トルコの新しい魅力を紹介する全4作品。

◆期間:2024年1月25日(木)~1月28日(日)

◆会場:丸の内TOEI スクリーン2 
https://toeitheaters.com/theaters/marunouchi/
東京都中央区銀座3-2-17 JR有楽町駅、地下鉄銀座駅下車C6出口

◆上映スケジュール/作品:

1月25日(木)19:00開場 19:20上映
Çınar Ağacı / The Plane Tree (2011)   

1月26日(金)19:00開場 19:20上映
Kelebeğin Rüyası / The Butterfly's Dream (2013)

1月27日(土)19:00開場 19:20上映
Unutursam Fısılda / Whisper If I Forget (2014)

1月28日(日)18:00開場 18:30上映
Nadide Hayat / A Unique Life (2015)

入場料:無料 (定員になり次第締切)

★入場券はご鑑賞日の開場1時間前より丸の内TOEI 2受付でのみ配布いたします。

言語: 作品は全てトルコ語。英語字幕がつきます。 

主催: トルコ共和国大使館 

問い合わせ先: トルコ共和国大使館 03-6439-5700(代)

第一回Cinema at Sea 沖縄環太平洋国際フィルムフェスティバル授賞式

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 2023年11月29日(水)、沖縄県那覇市をメインにした新しい映画祭・第一回Cinema at Sea沖縄環太平洋国際フィルムフェスティバルが閉幕しました。11月23日(木・祝)から一週間にわたった会期中は、コンペティション9作品のほか、特別上映、クリストファー・マコト・ヨギ監督特集(Director in focus)やマブイ特別賞受賞の高嶺剛監督(とキャスト・スタッフ)特集、Pacific Islands ショーケース、VRセレクション、野外上映など多くの映画が上映され、また、トークイベント等も多々催され、充実した映画祭となりました。
 11月29日のクロージングセレモニーでは、コンペティション部門とインダストリー部門各賞が発表されています。審査員長のアミール・ナデリ監督以下ベッキー・ストチェッティ氏(ハワイ国際映画祭エグゼクティブ・ディレクター)、仙頭武則氏(映画プロデューサー)、サブリナ・バラチェッティ氏(ウーディネ・ファーイースト映画祭代表)、伊藤歩氏(俳優)の計5名が審査員を務めました。授賞式冒頭、ナデリ監督は「私たちはたくさんの映画を観ました。たくさんの人たちに出会いました。私たちは家族のように親しい関係になっていたと思います。審査員もまた親交を深めながらベストを尽くしていきました。喧嘩をしながら心からの言葉を尽くして私たちは受賞作品を選んでいきました。素晴らしい役者、編集、すべての作品に賞を与えたいという思いがありましたが、私たちも限られた時間のなかでとても長い議論をして選びました」と審査過程について話され、白熱した会議であったことを明かしました。受賞結果は以下のとおりです。

【コンペティション部門】
最優秀映画賞『緑の模倣者』
The Mimicry/綠金龜的模仿犯 (監督:ジョン・ユーリン 鍾侑霖)

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ナデリ審査員長とジョン・ユーリン監督

受賞理由:シンプルで複雑で深い、そしてイマジネーションを掻き立てるような、カメラワークの正しい作品だった。(審査員長アミール・ナデリ氏談)
受賞コメント(ジョン・ユーリン監督):初めて沖縄に来ました。僕がこの作品で伝えたいことと沖縄は相通じるものがあります。違う民族が共存共生するなかで、皆が違う意見や違う眼差しを持っています。それをどうやって互いに受け入れていくかということがとても重要です。この関係性は人と人のみならず、人とモノ、人とあらゆる生物にも言えることだと思います。グローバリゼーションが進むなかで、この沖縄の島に皆がこうして集まったことはとても感動的です。
 補足:本作は、台湾の客家テレビ局のテレビ映画として製作されたもので、2023年の金鐘奬(放送メディアを対象にした賞)の最優秀テレビ映画賞受賞作。とある集合住宅に住む人々の日常を人間に擬態したコガネムシの視点で描いている。

観客賞『アバンとアディ』
Abang Adik/富都青年 (監督:ジン・オング 王礼霖)

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オング監督とプレゼンターの伊藤歩


 受賞コメント(ジン・オング監督):第一回のこの映画祭で『アバンとアディ』が観客賞を受賞したことをすごく嬉しく思います。2回の上映でのアフタートークで皆さんに涙を流させてしまって申し訳ない気持ちになりました。涙を流しながらこの作品をとても気に入っている、好きだという気持ちを伝えてくださいました。この作品をもって皆さんにお会いできたことを嬉しく思います。

主演俳優賞ウー・カンレン(呉慷仁)『アバンとアディ』

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ウー・カンレンの画像を背にオング監督とプレゼンターの仙頭氏


 受賞コメント(本人不在につきジン・オング監督が代理で登壇):先週(11/25)の金馬奬で最優秀主演男優賞を獲ったばかりのウー・カンレンが、まさかこの沖縄の映画祭でもこのような賞をいただけるとは本当に僕は夢にも思っていませんでした。俳優であれば、このような賞がいかに励みになるか、身に染みることでしょう。今日、彼はこの場にいないのですが、きっと彼にとって嬉しいニュースだと思います。心より感謝申し上げます。
 補足:コンペティションの応募要項に俳優についての賞の記載はなく、カタログにも「最優秀長編部門賞(最優秀映画賞)」と「観客賞」についての記述しかなかった。なお、本作でウー・カンレンは台湾の俳優であるが、このマレーシア映画では全編マレー語の手話を用いて演技をしている。

審査員賞①『アバンとアディ』
 受賞コメント(ジン・オング監督):このような席に3回連続で登壇するとは夢にも思いませんでした。まずは本当にありがとうございます。この賞は、映画に関わったすべてのクルーにとって、とても励みになる、サプライズな賞であると思います。この作品を手掛けてかれこれ3年が経ちますが、いろいろな地域でそれぞれに励ましの言葉をいただいています。本当に感謝申し上げます。

審査員賞②『クジラと英雄』
One with the Whole(監督:ジム・ウィケンズ監督&ピート・チェルコウスキー)

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ビデオメッセージよりウィケンズ監督

 受賞コメント(ジム・ウィケンズ監督よりビデオメッセージで):本当に嬉しく思っています。この映画を撮らせてくれたアラスカの先住民族の皆さんに心より感謝を伝えたいと思います。彼らがいなければこの映画は成り立ちませんし、彼らがこの映画を撮らせて世界に届けることを許してくれました。いま世界では、人々はなかなか感謝し合わずお互いに意見を聞かないということがあると思います。しかし、映画というコミュニケーションツールを通じて、それは人々が再び話をするきっかけとなって魔法のように人々をまたくっつけるように感じています。

【インダストリー部門】
Doc Edge賞「Magnetic Letters」デミ―・ダンフグラ監督
最優秀企画賞「沼影市民プール」
太田信吾監督、竹中香子プロデューサー


 映画祭期間中は、映画祭主催イベントのほか近隣会場での共催企画も開催されました。なかでも「沖縄映画製作者たち、大いに語る」と題したトークショーは会場に入りきれないほどの映画ファンや県外からの業界関係者が集結。映画祭アンバサダーの俳優・尚玄氏のほか、沖縄を拠点に作品を撮る岸本司監督、平一紘監督、東盛あいか監督が一堂に会し、沖縄で映画を撮るに際してのメリット・デメリット、沖縄をテーマにした作品作りについて、沖縄に映画文化を根付かせることの重要性などについて予定時間を超えて語り合いました。

取材&撮影 稲見公仁子

第36回東京国際映画祭(2023)観て歩き(暁)

宮崎暁美

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東京国際映画祭は2021年から六本木を離れ、日比谷、有楽町、銀座地区での開催になった。六本木からこちらに移って3年目、やっと映画祭の周り方にも慣れてきた。
あいにく2020年からコロナの影響で、海外からのゲストの来日は難しく、オープニングや授賞式も縮小の形で行われていたけど、今年(2023)は、4年ぶりに海外からもゲストが来日し、通常の形にもどった。オープニングのレッドカーペットもたくさんのゲストが参加するとのことだけど、撮影のためには何時間も立ち通しで現場に張り付いていないといけないようだったので、今年はクロージングにかけようと思っていたら、今年の取材は抽選になり、抽選に外れてしまった。1989年から約30年、ほとんどの年、クロージングの写真を撮ってきたのにとがっかり。長らく写真撮影をしてきたこととか全然考慮されず、ただ抽選というのもなあと思った。1媒体一人というようなことだったのかしら。
クロージングだけでなく、取材申請が通っていなかったり、抽選に外れたりとかみ合わず、今回はあまり写真が撮れなかったのが残念。特に顧暁剛(グー・シャオガン)監督の作品の舞台挨拶、Q&Aに参加できなかったのはとても残念だった。それでも黒澤明賞を受賞した「グー・シャオガン監督と山田洋次監督」「モーリー・スリヤ監督とヤン・ヨンヒ監督」の対談だけは取材することができた。それにしても撮影と作品鑑賞との兼ね合い、時間調整はなかなか難しい。
シネスイッチ銀座まで有楽町駅から歩いて20分くらいかかる私にとって、今年はシネスイッチ銀座でのプレス試写を少なくし、駅近くの会場で上映される作品を多く選んだ。また当日券が残っている作品については、有楽町駅前でチケットを買い、何本か観ることができ、結局、中華圏の作品を中心に15本の作品を観ることができた。去年はフィルメックスと重なっていたので、同じ15本でも、東京国際は7本しか観ることができなかったけど、今年は東京国際映画祭に集中できた。その中から数本紹介します。

ガラ・セレクション
『満江紅(マンジャンホン)』
原題:滿江紅 英題:Full River Red
監督:張芸謀(チャン・イーモウ)特別功労賞
出演
張大役:沈騰(シェン・トン)
副司令官:易烊千璽(イー・ヤンチェンシー)
宰相秦檜の部下:張毅(チャン・イー)
2023年中国 157分 カラー 北京語 日本語・英語字幕
ジャパン・プレミア
Poster_Full_River_Red「満江紅(マンジャンホン)」©2023 Huanxi Media Group Limited(Beijing) and Yixie(Qingdao)Pictures Co., Ltd. All Rights Reserved._R.jpg
Ⓒ2023 Huanxi Media Group Limited(Beijing) and Yixie(Qingdao) Pictures Co., Ltd. All Rights Reserved.

長年の映画界への貢献を評価し、特別功労賞が授与された張芸謀監督の最新作。今年(2023)、中国の旧正月に公開され、大ヒットを記録。
非業の死を遂げた南宋の武将・岳飛が残した詩「満江紅」をモチーフに、南宋朝廷内部に渦巻く謀略を描いた壮大なスケールの歴史劇。金国と会談する筈が、金の使者が殺害され密書が消えた。この謎を軸に騙し騙され、駆け引きと知恵比べ。謀略の数々!
コミカルでテンポよいコメディかと思いきや、少しづつ張られた伏線と、それが回収されるラストは圧巻。中国の歴史をよく知らない私でも、最後は感動した。
主人公は、宰相より消えた密書を夜明けまでに探し出すように命じられる。猶予は2時間。はたして見つけられるのか? はたまた、その密書とはどういうものだったのか…。廷内の石壁の通路を兵士たちが走ったり、歩きまわって探しまわる姿を上から撮ったり、横から撮ったり、前から撮ったりと、整然とした兵士たちの動きの様式美は、いかにも張芸謀監督らしい。また、渋い色の色合いは、一見、これまでの赤を基調とした派手な色使いの張芸謀調とはかけ離れているようで、色彩の美さという意味ではやはり張芸謀調ともいえるのでなないだろうか。そして音楽がまた意表をつく。京劇風の音楽をラップ調で演奏したりして、新しい試みだと思った。
「製作のきっかけは、『紅夢』の続編を撮ろうと6年前、山西省に撮影用の屋敷を建てたこと。その続編は脚本がうまくできず止まっていたら、現地の行政から映画を作ることを催促され、そこから始まった企画。『紅夢』と全く違う物語を撮ろうと思ったけど、脚本は4年かかった」と監督は語っていた。

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左 張芸謀監督 第36回東京国際映画祭にて 撮影:宮崎暁美


コンペティション
『雪豹』 東京グランプリ
原題:雪豹 英題:Snow Leopard
監督:萬瑪才旦(ペマ・ツェテン) 
出演
金巴(ジンパ)
熊梓淇(ション・ズーチー)
才丁扎西(ツェテン・タシ)
109分カラーチベット語、北京語日本語・英語字幕2023年中国

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チベット・ニューウェーブの先駆者であり、本年(2023)5月8日に53歳に急逝したチベット人監督ペマ・ツェテンの最後の作品のひとつ。舞台は白い豹が生息するチベットの山村。若いチベット僧と豹との向き合いをファンタジックな設定の中に描き、人間と動物の共生の可能性、地元の人にとっての保護獣の意味などを問う。
チベット自治区の隣、青海省から車を飛ばす地方局のレポーター(ション・ズーチー)とカメラマン。レポーターの友人のチベット僧(ツェテン・タシ)=ニックネーム“雪豹法師”から、山間の村にある雪豹法師の実家に保護動物として知られる雪豹が現れたという連絡を受け、それを撮影しようとしていた。現場に到着した彼らを“雪豹法師”の家族は出迎えてくれるが、羊の囲いの中には9頭の羊を殺めたという雪豹がいた。1000元を超える損害が出たから「雪豹」を殺すと激怒する僧侶の兄(ジンパ)、動物は逃したほうがいいという父親。それを傍観するメディア。そんな状態のなか、役人と警察までがそこに現れる。自然の中で暮らす人と、自然保護をかかげた人たちの思いのすれ違い。この地で生きる人たちよりも、自然保護動物への施策を優先させようとする人たちの言い分により激高する兄。そんな中、“雪豹法師”は雪豹に近づき、まるで会話をするように対峙する。双方の言い分を見事な会話劇と大自然の映像で魅せる。この地に生きる人々の思いに関係なく、自然保護を進めようという人たちへぶつけた作品ともいえる。

チベットの雄大な自然のなかで営まれる動物と人間の生きるためのたたかいは、切実なドラマを生み「満場一致」でグランプリになったという。他にも、監督の新作は、『陌生人~Stranger』(見知らぬ人)という作品があるらしい。こちらもぜひ観てみたい。
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2015東京フィルメックス 『タルロ』最優秀作品賞受賞時
ペマ・ツェテン監督 撮影:宮崎暁美

ペマ・ツェテン監督は、チベット人映画監督の先駆者的存在。これまでに国内外の映画祭でたくさんの賞を受賞している。東京フィルメックスでも何作品か上映され、『オールド・ドッグ』(11)、『タルロ』(15)、『羊飼いと風船』(19)で、東京フィルメックスグランプリを3度受賞している。
チベットの後進監督の育成にも力を入れ、2021年の第34回東京国際映画祭のコンペティション部門に出品された久美成列(ジグメ・ティンレー)監督(子息)の長編デビュー作品『一人と四人』ではプロデューサーも務めた。
私は『オールド・ドッグ』(2011年)、『タルロ』(2015年)、『轢き殺された羊』(2018年)、『羊飼いと風船』(2019年)を観たことがある。
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2018東京フィルメックス 『轢き殺された羊』上映後のトーク
左 ペマ・ツェテン監督とジンパさん 撮影:宮崎暁美


コンペティション
『西湖畔に生きる』(原題:草木人間)
英題:Dwelling by the West Lake
監督・脚本:顧暁剛(グー・シャオガン)黒澤明賞受賞
脚本:郭爽(グオ・シュアン)
音楽:梅林茂
出演
目蓮役:吴磊(ウー・レイ)
呉苔花役:蒋勤勤(ジャン・チンチン)
董萬里役:閆楠(イエン・ナン
王社長役:王宏偉(ワン・ホンウェイ)
ワールド・プレミア

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©Hangzhou Enlightenment Films Co., Ltd.


2023年 中国 115分 カラー 北京語 日本語・英語字幕

2019年の東京フィルメックスで、審査員特別賞を受賞した顧暁剛(グー・シャオガン)のデビュー作『春江水暖〜しゅんこうすいだん』(19)を観て感動。まだ若いのに熟練の監督作のような映画を作った監督に感心した。フィルメックスでの上映の時、引き続き第二弾を作ると言っていたので新作に期待していた。その新作。

浙江省杭州の西湖畔。中国緑茶の産地として有名な西湖の沿岸に暮らす母と息子の関係を軸に、マルチ商法など経済環境の変化の中で揺れる家族の姿を美しい風景の中に描いた。
10年前に父が行方不明になり、母の苔花と生きて来た青年目蓮。父を探すためにこの地で進学。卒業を控えて、今は求職活動をしている。
息子と生活するため、ここ杭州にやって来た母の苔花は茶摘みで生計を立てていたが、茶商の錢と恋仲に。しかし、家族や仲間に知られてしまい、茶摘みの仕事ができなくなり、苔花は同郷の友人 金蘭に誘われ、彼女の弟が取り仕切るイベントに参加。マルチ商法に取り込まれ、詐欺まがいの仕事に参加するようになってしまった。この仕事にのめりこみ、お金を稼ぐようになった母は、自信を持つようになり、活発に。息子の目蓮は母に、だまされていると言うが、苔花は聞く耳を持たずだった。
1作目の『春江水暖〜しゅんこうすいだん』の表現方法とは違う方法で2作目を描いたが、「様々な変化を迎える中国社会の中で精いっぱいに生きる家族の変遷」という、最初の作品への思いはこの作品の中でも生きている。

監督はトークの中で原題について、「『草木人間(そうもくじんかん)』は“茶”という字を分解したもの(草と木の間に人が入ると茶という字になる)、この映画ではお茶は作品の重要な要素です」と語っている。そして「この作品を作っている時、人というのは天と地の間の草木のようだと感じました。路傍にはえている草、自分が育つところも選べない小さな草木のよう。そんな草木でも太陽の方を向き生命の意義を見出す。草木は生きとし生けるものの象徴。庶民にとっての生活や努力に対する希望の象徴です。山水画の雰囲気を残しつつ、マルチ商法のような社会の問題をどう描くかは挑戦でした」と語っていた。
中国には「目連救母」という言葉があります。地獄に落ちた母を息子目連が救い出そうとする話しです。その「目連救母」を題材に、地獄をマルチ商法に変え、人の世とどう結びつけるかを描いたそうです。

映画上映後のトークには参加できませんでしたが、黒澤明賞受賞記念として行われた「山田洋次&グー・シャオガン対談」に参加しました。その模様はこちら
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今回の映画祭、まだまだ観ていますが、この3本の作品を観ることができただけでも、有意義な映画祭でした。