東京フィルメックス 『静かな雨』 監督、出演者、作曲家 舞台挨拶、監督 Q&A 報告

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11月24日(日)、コンペティション部門の『静かな雨』が有楽町朝日ホールにて上映され、上映前の舞台挨拶に、中川龍太郎監督、ダブル主演の仲野太賀さん、元乃木坂46の衛藤美彩さん、作曲家で本作の音楽を担当した高木正勝さんがが登壇した。

本作は、「羊と鋼の森」の作家・宮下奈都が執筆した第98回文學界新人賞佳作のデビュー作を映画化。短期間しか新しい記憶を留めておけない女性と、彼女と向き合う青年を描く。

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仲野さんは中川監督とは2度目のタッグ。「数少ない同世代 の仲間。前作より規模の大きい映画で、もう5年も経ってるんですよね。今回、よりいっそうお互いを高め合いたい監督」と信頼を寄せた。
役柄に関しては、「独自の世界観が構築された作品なので、観客の皆さんが共感して欲しい役」と語った。



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今年3月に乃木坂46を卒業した衛藤さん。本作はグループ在籍時に撮影し、映画初出演初主演だという。「撮影中は緊張しましたが、役作りは特にしませんでした。監督との仕事はリハーサルの時間を取ってくださり、“衛藤さんらしさが出てほしい”と何度も仰って頂いたので本当に助けられました。たい焼き屋で仕事しながらリハーサルしてましたね(笑)」と撮影秘話を語った。


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『おおかみこどもの雨と雪』『未来のミライ』など、細田守監督作品の音楽を担ってきた高木さん。「作曲家がこういう所に出るのは…」と照れながらも、「アニメ音楽と実写の違いはアニメは映像がないんです。今回もなかったけど(笑)、音楽はいらないんじゃないかと思いながら(笑)。即興に近い形で弾いたものが最後まで残ってました。主演の2人とのセッションのようでした」と興味深いコメントを残した。

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中川監督は「初の原作もの なんです。御伽のような原作の寓話感を活かしたかった。アイドルに参加して貰い、アニメの作曲家や大賀にも協力して貰って楽しく撮影できました。今日、これが日本で最初の上映になるんですよね」と観客席へ呼びかけ、大きな拍手に包まれた。

大学で生物考古学研究助手をしている行助(仲野太賀)は、こよみ(衛藤美彩)という女性が一人で経営するたいやき屋に通ううちに彼女と親しくなる。しかしある朝こよみは交通事故に遭い、意識不明になる。奇跡的に意識を取り戻すが、後遺症で事故以降の新しい記憶が1日経つと消えてしまう記憶障害を発症していた。


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上映後は中川監督がQ&Aのため再び登壇した。

Q:映画祭ディレクター市山尚三氏。「企画はどこから?」
A:2年ほど前に、『四月の永い夢』と『わたしは光をにぎっている』を共同で作ったWIT STUDIOの和田プロデューサーから、この原作を衛藤主演で映画化しないか、と持ち込まれました。直ぐに本を読んだら、美しい小説であり、非常に抽象的な世界観を描いている。映画でカタルシスを表現するのが難しいのではと感じましたが、悩んだ末、塩谷大樹さんがカメラ、高木さんの音楽、太賀が主演をやってくれるということで、映画化が可能なのではないかと思ったんですい、撮ることにしました。衛藤さんはプロデューサーの推薦で、最初は難しいかと思ったのですが、職業女優よりも抽象的存在だし、ポカンとした浮世離れ?(笑)。アイドルの起用は面白いですね。

続いて客席から
Q:画角をスタンダードサイズにした意図は?
A:足を引きずる行助(仲野太賀)を、希望を持ち辛い社会を生きる世代の象徴として描いたつもり。走るのも遠くに行くのも難しい。視野の狭さを表現するためスタンダードにしました。

Q:ラスト近くのドローン撮影は?
A:あそこで行助には、こよみさん(衛藤美彩)と2人だけではない大きな世界との繋がり、街が広がって、向こうには山がある。更に大気や月、宇宙がある…という別の時空間のズレ、外の世界あっての自分の世界に気づいてほしかった。

Q:2人の場面は素敵だが 、原作通りか?
A:原作にある”秋の夜のような瞳”は想起し辛いので”湖のような瞳”に変えた。大賀が台詞を自分のものにしました。ラストのシークエンスや元カレは原作にはありません。

Q:原作では行助の家族がいたが…?
A:主人公の育ちは佇まいから想像できるし、こよみは家族がいないと遊離してしまうので、僕にとっては怖い河瀬直美監督(笑)に演じて貰いました。

Q:音楽については?なくてもいいと思った?(笑)
A:高木さんと話し合い、葛藤がありました、音楽なくてもいいとか(笑)。寓話性、宇宙…色々な時間があっていいと。精霊の視点からの音楽イメージです。

Q:原作との違いを。
A:「雨が降っているのに月が出ている」という描写は、原作にはない。“僕らの空間では雨が降っているけど、少し離れたところではきれいな満月が見えているかもしれない”という空間のズレ、時間の違いをあらわすために、思いつきました。

尚、本作は東京フィルメックスで、観客賞を受賞した。受賞結果報告記事はこちら。
http://www.cinemajournal.net/special/2019/filmex/index.html

(文・写真:大瀧幸恵)

2019年製作/99分/G/日本
配給:キグー
(C) 2019「静かな雨」製作委員会/宮下奈都・文藝春秋
公式サイト:https://kiguu-shizukana-ame.com/
★2020年2月7日(金)より東京・シネマート新宿ほか、全国で順次公開

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