アジアフォーカス福岡国際映画祭 福岡観客賞『シヴァランジャニとふたりの女』 9月18日のQ&A

『シヴァランジャニとふたりの女』
Sivaranjani and Two Other Women
2018年/インド/123分

*物語*
南インド、タミル・ナードゥ州。3つの時代に生きた女性たちの物語。

1980年、サラスヴァティー
ヒンドゥーのお祭りの帰り、赤ちゃんを抱き、大荷物を持ったサラスヴァティーは必死になって夫の後をついていく。夫は荷物を持とうともせず、グズだと罵倒する。工場勤めの夫はお金を満足に渡してくれず、とうとう米も底をつく。夫の暴力に耐えかね口答えすると、その日から夫は口をきかず、ついに家に帰ってこなくなる・・・

1995年、デーヴァキ

バイクに乗って颯爽と通勤するデーヴァキは、同居する義兄の息子の憧れの的だ。叔母が日記を書いている姿を見かけたことを、少年がつい家族に漏らしたことから大騒動になる。家名を汚すようなことを書いているのではないかと、日記の公開を求められ、プライバシーの侵害と、ついに家を出る・・・

2007年、シヴァランジャニ
有望な陸上選手として、学校を代表して全国大会への出場も決まっていたが、親の意向で結婚。すぐに身籠り、出場権を取り消されてしまう。その後、家庭の主婦として、夫や子供の世話と家事に追われる日々の中で、ふっと学生時代を思い出し、優勝カップを探しに学校に行く・・・

時代を経て、女性の置かれている立場も少しずつ変化していくが、根本にあるのは男性優位、女性蔑視の世界。それでも前に進もうとする女性たちの姿が眩しい。


9月18日(水)上映後のQ&A

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司会:観客賞を受賞、おめでとうございます。観客の皆さんの心に響いた作品だと思います。国によって反応が違ったのではないかと思います。日本での最初の上映のリアクションはいかがでしたか?

監督:スウェーデンでは4つの劇場で上映されました。ニューヨークでも上映されて、良い反応を得ました。Q&Aの時には、すぐに皆さんの顔を見ます。女性の方が泣いている姿もよく見ました。ニューヨークでは、テニスプレイヤーとして活躍していたけれど、結婚して辞めなければならなかったと女性が話してくれました。男性の方たちからも、自分の母を見ているようだったと聞かされました。
アジアフォーカスのディレクターの方から、女性監督だと思ったと言われました。女性の視点で描いているからだと思います。

― 状況は変わっているのでしょうか?
少しは改善されていると思うのですが、もっと良くなるべきだと思っています。


監督:
福岡で、70代の女性の方から、「私もシヴァランジャニです」とおっしゃってくださいました。

― 素晴らしい映画でした。時代は変わっても、男性の優位性は変わってません。
一人目は家に、二人目は働きに出て、3人目は足を出して走ってました。
3人目は、朝の母親の仕事ぶりをノーカットで見せて、忙しさが伝わってきました。名が回しは、何回でOKになったのでしょう?

監督:この映画は、何テイクも撮りました。この場面は何テイクだったか・・・
音楽がなかったことに気づいていただけたかと思います。音楽がない方がキャラクターになりきれます。長まわしをするのも同じ9理由です。ものごとが、そこで現実に起こっているように感じてもらえます。朝の6時から8時はカオスです。夫や子供の面倒をみて、送り出さなければいけません。皆さんが毎日経験していることだと思います。2~3回撮って、こういう感じかなと。もっとリアルな演技をと伝えて、撮影をしていきました。一番多かったのは、99回です。

― 平均的な家族像と考えていいですか?


監督:
インドに限らず、ニューヨークで上映した時にも、共通に起こることが描かれているといわれました。西洋はもっと自由だと思うかもしれませんが。
1980年、1995年、2007年ト少しずつ変化しています。2007年では、夫が「ありがとう」の言葉を妻にかけています。徐々にですが、男は仕事、女は家事の考えが変わってきていると思います。

― スウェーデンでも上映されたとのこと。スウェーデンは男女平等がかなり進んで、男女同等の地位だと思います。スウェーデンでの反応は?

監督:スウェーデンでも気に入ってくれて感謝しています。2番目の部分では笑っていただきました。映画の中では、ものごとが起こって、そこから何かを感じてもらうのが普通ですが、何かが起こらなくても共有していただけるものがあると思います。

― (40前後の男性)小さい子と妻がいるのですが、負担をかけてないか省みながら映画を観ました。2番目の物語は、日記を巡る揉めごとでした。家の不名誉になるとはどういうことでしょう? 告げ口した少年は日記をつけることが悪いことと思っていたのでしょうか?

監督:ご自身の奥様のことを思っていただきありがとうございます。
日記を書くことが不名誉なことではなく、何が書かれているかわからないので、義理のお姉さんが嫉妬から何か家名を汚すようなことを書いているのではないかと言ったのです。家族の間で嫉妬から揉め事になることを描きたかったのです。
少年は叔母さんが好きで、お母さんからここは大人の場所だからと言われたので、つい叔母さんのことを言って、後から大げさなことになって後悔しています。少年には、次の世代の「わかる男性」になって欲しいと願っています。


会場入口でのサイン会
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皆、それぞれに質問されていました。
19時からインタビューの時間をいただいていましたが、サイン会に並んだ最後の方が終わるまで待って、インタビューの部屋に一緒に移動。
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サインボードの前で写真を撮らせていただきました。

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ヴァサント・S・サーイ監督インタビューは、こちらでどうぞ!


報告:景山咲子






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