東京国際映画祭 イスラエル映画の現在2018『テルアビブ・オン・ファイア』 (咲)

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イスラエル映画の現在2018 コンペティション部門
『テルアビブ・オン・ファイア』  
英題:Tel Aviv on Fire

監督:サメフ・ゾアビ
出演:カイス・ナーシェフ、ルブナ・アザバル、ヤニブ・ビトン
2018年/ルクセンブルク・フランス・イスラエル・ベルギー/97分/カラー/アラビア語、ヘブライ語

*物語*
パレスチナ人の青年サラムは、人気メロドラマの制作インターン。ヘブライ語のチェック係だ。撮影所に通うのに毎日イスラエルの検問所を通らなければならない。ある日、変な質問をしたことから車から降ろされる。ドラマの脚本を持っていたことから、検問所の主任アッシは、サラムを脚本家と勘違い。アッシの妻が大好きなメロドラマだと知って、筋書きに介入したがり、毎日のようにサラムを検問所に招きいれる・・・
  

イスラエル国籍のパレスチナ人であるサメフ・ゾアビ監督が描いた、大笑いのブラックコメディー。映画内のメロドラマ「テルアビブ・オン・ファイア」は、1967年の第三次中東戦争前夜を舞台にしたパレスチナ女性とイスラエル将校の恋物語。恋の行方について、主任アッシはあれこれアイディアを出してくるが、政治的背景も絡んでくるのでインターンのサラムも本気で別案を出す。ユダヤ人とパレスチナ人が互角に意見を交わすということは、現実では残念ながらありえない。こうあってほしいという監督の思いも感じた。

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10月26日の上映後、イスラエルの検問所の主任アッシを演じたヤニブ・ビトンさんが客席から登壇。「監督は、完成した映画をなかなか見せてくれなくて、今回は、ベネチア映画祭に次いで2回目。日本のお客様がパレスチナとイスラエルの葛藤をどれだけ理解してくれるかなと心配していたのですが、客席で一緒に観ていて、くすくす笑ってくださったので、理解していただけたと嬉しかった」と挨拶。監督から脚本をもらった時には、コメディだったので驚いたとも語った。

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アッシがパレスチナの郷土料理フムス(豆のペースト)の美味しい店があるといって、サラムを連れていく場面がある。 10月26日の上映後のQ&Aの折に、その場面について質問され、サメフ・ゾアビ監督は「フムスは家庭料理で、パレスチナ人にとってはレストランで食べるものじゃない。しかも、アッシが連れていった店のは缶詰のホムス。それには、戦争中、1週間に2時間しか開かない店で買った缶詰のフムスを食べさせられた経験が背景にあります」と答えていたのが可笑しかった。
実は、1991年にイスラエルを訪れた折、料理がアラブ料理と酷似したものが多くあって、そのことをユダヤ贔屓の日本人ガイドに伝えたら、「いや、全然違いますよ」と否定されたのを思い出した。東欧などから移住してきたユダヤ人たちの料理などもあるだろうけど、アラブ料理に影響を受けたものも数多くあって、それをユダヤ人が好きだというのも自然なことだと思う。

あの頃は、和平が近づいたかに思えた時期。分離壁も検問所もなかった。
本作では、今のイスラエルでパレスチナ人が生きることの大変さを見せながら、対話こそ和平への道であることを示唆しているようだ。(咲)

公式サイト 10月26日上映後のQ&A 

公式サイト 記者会見 






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