『くすぶりの年代の記録』
監督:モハメッド・ラクダル=ハミナ
出演:ヨルゴ・ボヤジス/モハメッド・ラクダル=ハミナ/レイラ・シェナ
1975年/アルジェリア/178分/カラー/BD
1954年から1962年にかけての、フランス支配に対するアルジェリアの独立戦争。
『くすぶりの年代の記録』は、独立戦争勃発の1954年までの苦難の歴史を『灰の年』『荷車の年』『くすぶりの年』『虐殺の年』の4つのパートで描いた約3時間の壮大な歴史ドラマ。
第28回カンヌ映画祭パルムドール受賞作でありながら、日本国内劇場では今回が初上映。
1966年に製作された『アルジェの戦い』(原題:La Battaglia Di Algeri)は、再現したものながら、独立戦争直後に、実際に独立戦争を経験したアルジェリアの人々が係わったものだけに、まるで実録のような迫力がありました。
『アルジェの戦い』デジタルリマスター/オリジナル言語版
★2016年10月8日(土)公開
『アルジェの戦い』は、首都アルジェでの独立戦争の時代を描いたものでしたが、『くすぶりの年代の記録』は干害に見舞われた村から地方の町に出た男アフマドが主人公の物語。
弟をわずかな水のために殺されたアフマド。土地を捨て旅立ち、町にいる親戚のもとに行きます。白人の雇い主を投げ倒し、警察に拘束されます。やがて、ヒトラーの軍が国境近くまで進攻し、フランス直轄統治のアルジェリアも総動員令で徴兵されてしまいます。生きて帰還したものの家族が伝染病でほとんどが亡くなってしまいます。フランス人は優先して安全な場所に退去したのに、現地人は政府の監視下におかれ、町から逃げることもできなかったのです。生まれたばかりの息子だけが残され、アフマドは失意の中、植民者との対話では解決しないと、武装蜂起を決意します。モスクの長老たちは、植民者との対話では解決したいと主張するのですが、アフマドたち武装蜂起組の決意は固く、山奥に潜んで機を狙うのですが、ついに政府軍に倒されてしまいます。これが1954年のこと。ここから一気に独立運動が加速し、1962年7月3日、100万人の殉教者を出しながら、民族は勝利。
墓場にいる変わり者のミルという男が語り部となり、紡がれる物語。ずっしりと見ごたえがありました。
奇想天外映画祭2023で、計9回上映。まだ数回観られます。(咲)
奇想天外映画祭2023
2023年9月16日(土)~10月6日(金)
新宿K’s cinema
https://www.ks-cinema.com/movie/kisoutengai2023