東京ドキュメンタリー映画祭 大盛況でした (咲)
今年で4年目となる東京ドキュメンタリー映画祭。
初年度から気になりながら、やっと今回、1プログラムだけ、12月16日(木)16:20からの「人類学4 祭祀のエクスタシー」を観てきました。
会場の新宿K’sシネマにあがるエレベーターのところに、14:10の回 満席と出ていてびっくりしながら3階にあがったら、ロビーが満杯。
14:10の回は、「人類学3エスニシティの現在」で、すでに人類学・民俗映像部門コンペティションで受賞が決まっている 『アイヌプリ埋葬・二〇一九・トエペツコタン』(準グランプリ)と 『風苗』(奨励賞)の2本。 少し長引いた舞台挨拶が終わって出てきた人の波の中に、続々友人が3人! 皆、よかった~と興奮ぎみでした。
「人類学4 祭祀のエクスタシー」
https://tdff-neoneo.com/lineup/lineup-2222/
◆『アシェンダ! エチオピア北部地域社会の女性のお祭り』
監督:川瀬慈 (映像人類学者。国立民族学博物館准教授)
2020年/38分
エチオピア北部で8月下旬に開催される祭りアシェンダ。
若い女性たちが、晴れの日の衣装で、特有の髪型を結ってもらって、聖母マリアを称え、歌い踊りながら町を練り歩いて、人々からお金をもらいます。キリスト教エチオピア正教会に寄進する目的でお金を集めるのですが、「お腹が空いちゃって、昨日は食べるのに全部使っちゃったの」と正直に明かす女の子たち。女性たちの自己解放の場でもある祭り。 アシェンダ中の女の子に惚れちゃいけないと若い男の子に諭す男性。着飾ってエネルギーもあって、綺麗に見えるからと!
2018年、無形文化遺産に申請したころの取材。その後、2019年に内戦勃発、さらにコロナで取材できず、無形文化遺産になった後、どう変化を遂げていくのかを今後も見守りたいとのことでした。
◆『神授の花 - フェルガナの女性とイスラーム』
監督: I・メリコズィエフ
2021年/23分
ウズベキスタン・フェルガナ盆地にあるイスラーム聖者の廟。 春分のころ、つつじ色の「神授の花」が咲く。ここでしか咲かない花。ウズベクとタジクの女性たちが、春を愛でるお祝いの食事を作る。人参たっぷりのピラフや、羊を丸ごと使った料理。
言葉も民族も違うトルコ系のウズベクと、イラン系のタジクの人たちが共存している姿を映し出して、イスラームが平和な宗教であることを感じさせてくれる作品です。
もう30年以上前に訪れたウズベキスタンで、ペルシア語とほとんど同じタジク語をしゃべるタジク族の人を探しながら町歩きしたのを思い出しました。
◆『スルンベ マダガスカル南西部の憑依儀礼』
監督:飯田卓(国立民族学博物館 教員)
2021年/48分
マダガスカル南西部で、2017年7月に行われたドゥアニと呼ばれる精霊たちのための祝祭「スルンベ」に密着。霊媒のジャン=ルシが人々の悩みに耳を傾けて解決の道を探る。
監督が1994年にジャン=ルシと初めて会ったとき、彼は腕のよい漁師で、羽振りのよい青年実業家だったとのこと。
イスラームとキリスト教の両方の影響を受けた儀礼に興味津々でした。
思えば、大阪の民博(国立民族学博物館)に行った時には、この手の映像を数時間、飽きずに見ていたものでした。
体力と気力があれば、こういう分野の研究がしたかったなぁ~とも思いました。
こうした記録映像も、編集次第で素晴らしい作品になることも感じました。
東京ドキュメンタリー映画祭 2021
<受賞作品一覧>
長編部門コンペティション
グランプリ 『Yokosuka 1953』 木川剛志監督
準グランプリ 『大鹿村から吹くパラム』 金明允監督
観客賞 『大鹿村から吹くパラム』 金明允監督
短編部門コンペティション
グランプリ 『地図になき、故郷からの声』 中島夏樹監督
準グランプリ 『東京リトルネロ』 松井至監督、内山直樹監督、久保田徹監督
奨励賞 『ワン・デイ』 ジン・ジャン監督
観客賞 『ブラジル ノ ニッポン〜ある家族の記録〜』 若尾泰之監督
人類学・民俗映像部門コンペティション
グランプリ(宮本馨太郎賞)『銀鏡 SHIROMI』 赤阪友昭監督
準グランプリ 『アイヌプリ埋葬・二〇一九・トエペツコタン』 藤野知明監督
奨励賞 『風苗』 白井樹監督
開催概要
【日程】 2021年12月11日(土)~12月17日(金)
【場所】 新宿 K’s Cinema
【形態】 1日4回上映、計28プログラム
「長編コンペティション部門」10プログラム
「短篇コンペンティション部門」10プログラム
「特別上映」2プログラム
「特集 シャーマニズム」2プログラム/「人類学・民俗映像部門 コンペティション」4プログラム
【主催】 neoneo編集室
公式サイト:https://tdff-neoneo.com/