『シャンカラーバラナム 不滅のメロディ』★インディアンムービーウィーク2022リターンズ

『シャンカラーバラナム 不滅のメロディ』
原題:Sankarabharanam 原語題:சங்கராபரணம்
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©️Poornodaya Art Creations


監督:K・ヴィシュワナート
出演:J・V・ソーマヤージュル、マンジュ・バールガヴィ、トゥラシ・シヴァマニ
音楽:K・V・マハーデーヴァン
※2015年にデジタルリマスターされたタミル語吹替版。
1979年(2015年リマスター版)/ タミル語/136分
映倫区分:G
「IMW2022パート1」上映の人気作品。

*物語*
南インド古典声楽の巨匠シャンカラ・シャーストリと、彼を崇拝する女性トゥラシの物語。
河辺の町。トゥラシは息子を連れて、10年ぶりに船で帰郷する。河岸で、敬愛する古典音楽の声楽家シャンカラが沐浴しているのを見かけ、過去に思いを馳せる。
満席のコンサートで彼の歌う「シャンカラーバラナム」を聴いたトゥラシは、彼の歌に合わせて踊りたいと願う。ある日、河辺で娘のシャーラダに歌を教えているシャンカラを見かけ、トゥラシは思わず踊りだす。実はトゥラシは娼婦の娘。シャンカラはトゥラシの見事な踊りに、身分の違いを知りながら優しく接してくれる。
母親から地主に水揚げすることを決めたと言われ、トゥラシは家を飛び出し、汽車に乗る。そこには演奏会に行くシャンカラが乗っていた。シャンカラは周りの目も気にせず、トゥラシを旅先に連れ歩く。その噂が母の耳にも入り、トゥラシは家に連れ戻される。
シャンカラのレコードを聴きながら歌っているところに地主が現れ、トゥラシは手籠めにされる。事が終わると、地主はシャンカラの写真を蹴り、額が割れる。トゥラシはガラスの破片で地主の背中を刺す。手を血に染めたままシャンカラのもとに助けを求めていく。
シャンカラの友人の弁護士が、悪いのは母親だとトゥラシの無罪を勝ち取ってくれる。シャンカラはトゥラシを家に連れ帰るが、使用人の女性は「バラモンの伝統を守る家だから、今までいたのに」と怒って出ていく。
寺での歌の奉納の時にも、トゥラシが楽器のそばに座ると、演奏家たちは皆、席を立ってしまう。一人で歌いきるシャンカラの姿に、トゥラシは自分の存在が師のためにならないと悟って、町を去る。たどり着いた町で、妊娠していることに気づく。生まれてきた男の子に師の名前をつけるトゥラシ。
それから10年。故郷に戻ったトゥラシは、時が移ろい古典音楽も現代風にアレンジされる中、頑なに伝統を守っているシャンカラが生活にも困窮していることを知る。トゥラシは、なんとか師を手助けできればと、歌の上手な息子に「孤児だというのよ」と言い聞かせて師の家に行かせる・・・

カーストなど関係ないと、崇高なシャンカラですが、古典音楽がないがしろにされていくのと逆に、カーストの壁はなかなか崩れない様子が見てとれました。
さて、トゥラシが師と同じ名前を付けた息子は師を助けることができるのか・・・が見どころです。
下記のサイトに詳しい解説や、物語が掲載されています。 ぜひ鑑賞の手引きにご覧ください。(咲)


シャンカラーバラナム 不滅のメロディ 作品トリヴィア
https://note.com/india_film/n/ncdb564df01d0
*インディアンムービーウィーク主催のSPACEBOXさんによる詳細解説です。

インド映画に首ったけ☆ Sankarabharanam (シャンカラーバラナム ~魅惑のメロディ)
https://munmun.moo.jp/movies/sankarabharanam-telugu-1979-story
*推しが高じて、『響け! 情熱のムリダンガム』(2022年10月1日公開)を買い付けるため配給会社テンドラルを立ち上げた南インド料理店なんどりの紀子さんによる解説です。



至高の奉仕 ★インディアンムービーウィーク2022リターンズ

至高の奉仕  原題:Aramm  原語題:அறம்
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©KJR Studios

★インディアンムービーウィーク2022リターンズにて日本初上映。

監督:ゴーピ・ナイナール
出演:ナヤンターラ(『ビギル 勝利のホイッスル』『ジョンとレジナの物語』『俺だって極道さ』)、ラーマチャンドラ・ドゥライラージ(『ジガルタンダ』)、スヌ・ラクシュミ、キッティ
音楽:ジブラーン
2017年 / タミル語/ 120分

タミルナードゥ州北部。この地域では慢性的に水不足が続いているが、給水車が向かうのは、ホテルや高層マンション。僻地の村に住む被差別階級の人々のもとに水は届かず抗議していると聞いて、行政長官の女性マディダヴァニが村に向かう。抗議活動で道を塞ぐ人々に、「通学や病院に行く人もいるので解散して通してあげて」と諭す行政長官に、「水があれば私だって子どもを学校に行かせたい」「水不足で乾いて死んでいく」「地下水くみ上げで水不足に」と、口々に訴える村人たち。
そんな折、プレンドラとスマティ夫婦の4歳になる娘ダンシカの姿が見えなくなる。井戸掘削を試みるも水が出なくて、そのまま放置されていた細い穴に落ちているのが見つかる。大人が入ることはできない。縄にくくったスマホを穴に下ろし、深さ11メートルのところにいるとわかる。ダンシカの映像も声も届くが、だんだん意識が朦朧としてくるのもわかる。救急車も消防車もなかなか到着しない。村人やマスコミが周りで騒ぎ立てる。下したロープにつかまり、ダンシカは必死で途中まで上がるが、力尽きて28メートルのところまで落ちてしまう。地区の政治家からは、「賠償金を渡せば遺族は子供の死は忘れる」との暴言も吐かれる。行政長官としては、なんとか助けたい・・・

物語は、女性の行政長官マディダヴァニが、上司に辞任したいと申し出たのを考え直すように言われるところから始まります。マディダヴァニは、掘削した穴を塞がないで放置した県議バーランを逮捕させたことで、問題になっていることがだんだんわかります。そのことを大臣に話してとりなしてもらえというのが、どうやら上司の意向。
マディダヴァニは、一生懸命勉強して、試験に受かって、奉仕の夢を持って行政長官の座に着任したのに、政治家に振り回されて市民のために働けないことを嘆くのです。
「民主主義は政府機構でなく、同胞である市民に敬意を払う姿勢である」という憲法起草者アンベードカルの言葉をマディダヴァニは引用します。世の中、このような考えの官僚ばかりだったら・・・と思ってしまいます。いえ、そも、政治家も市民のことを考えるべき。
マディダヴァニは行政長官になってみて、男たちの間でありのままの女でいるのが難しいことも悟ります。男社会にはびこった権力主義や拝金主義を感じます。

冒頭、村からほど近い海辺で、人工衛星ロケット打ち上げ準備が進んでいることが報じられます。女児が穴に落ちた事故が起こって、テレビの討論番組で、都市と村の差についてや、宇宙開発を進める一方で、インドでは水資源調査がまともに行われていないことが語られます。井戸掘削をして、水が出なかった穴が塞がれていないことは多々あって、これまでに400人近い子どもが穴に落ちて亡くなったとのこと。映画の最後に、新聞記事やニュース映像が次々出てきて、悲しくなりました。蓋をすれば済む話なのに、それすら出来ないとは、なんと自分勝手なのでしょう・・・ 
穴に落ちたダンシカは果たして助かるのかとハラハラしながらも、権力者の身勝手さに、憤慨し、どこの社会でも起こり得ることと思いました。(咲)


☆行政長官を演じた主演のナヤンターラについて:
1984年生まれ。両親はケーララ人キリスト教徒。モデルを経て俳優となる。2003年に映画デビューし、南インドのマラヤーラム語、タミル語、テルグ語、カンナダ語作品に出演。「レディ・スーパスター」とも呼ばれ、南インド映画界のトップ女性俳優のひとり。インディアンムービーウィークでは、出演作品『永遠の絆』『まばたかない瞳 バンガロール連続誘拐殺人』『俺だって極道さ』『ジョンとレジナの物語』『ビギル 勝利のホイッスル』が紹介されています。

※行政長官について
州政府から県長官(District Magistrate または District Collector)が任命され、県内自治体間で紛争が発生した際の調整等を担当する。県長官は当該県における州政府の代表者として、全ての行政分野について州政府が有する決定権限等を単独で行使できる。インドの地方行政における枢要なポストとして、通常、インド行政職(IAS)の上級官僚が配置される。〟
(出典:インドの地方自治/ 財団法人自治体国際化協会 2007年10月発行 )


『至高の奉仕』作品トリヴィア/ インディアンムービーウィーク2022
https://note.com/india_film/n/n33350031d8dc
*インディアンムービーウィーク主催のSPACEBOXさんによる詳細解説です。



インディアンムービーウィーク2022リターンズ
開催日程:2022年9月9日(金)〜 10月6日(木)
上映劇場:東京:キネカ大森
チケット料金:1,900円(税込)均一
主催:SPACEBOX
公式サイト:https://imwjapan.com/
http://cineja3filmfestival.seesaa.net/article/490900805.html



インディアンムービーウィーク2022リターンズ

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開催日程:2022年9月9日(金)〜 10月6日(木)
上映劇場:東京:キネカ大森
チケット料金:1,900円(税込)均一
主催:SPACEBOX
公式サイト:https://imwjapan.com/

インディアンムービーウィーク(IMW)は、インド映画に特化した映画配給会社SPACEBOXがセレクトした作品を、日本語字幕付きで上映する特集企画です。映画大国として知られるインドから日本未公開作品を中心に紹介し、インド映画の多様性を味わえる企画。2019年に第1回開催。各年、10作品前後が紹介されてきました。2022年は6月に「IMW2022パート1」が開催されました。
他方、コロナ禍により劇場に足を運べない方々に向け、配信サービス「インディアンムービーオンライン(https://www.im-o.net/)」にて過去の上映作品が有料配信されています。

[初上映作品]

1. 至高の奉仕 原題: Aramm 原語題:அறம் 
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©KJR Studios

監督:ゴーピ・ナイナール
出演:ナヤンターラ(『ビギル 勝利のホイッスル』『ジョンとレジナの物語』)、ラーマチャンドラ・ドゥライラージ(『ジガルタンダ』)、スヌ・ラクシュミ、キッティ
音楽:ジブラーン

タミルナードゥ州北端の僻地の村。その村に住む被差別階級の人々は慢性的な水不足に悩まされていた。乾ききった大地には井戸掘削を試みて成果が得られず放置された掘削孔がところどころに残る。ある日、4歳の女児ダンシカがそうした穴の一つに誤って落ちてしまう。子供の体程度の直径しかない穴の11メートルの深さに落ちた彼女の救助は難航する。子供の両親の悲嘆、政治家による妨害、マスコミの狂奔、群衆の騒擾の中で、陣頭指揮に立つ若い女性の行政長官の奮闘と苦悩を描く。多くの映画賞をさらった一作。
さらに詳細は、こちらで! http://cineja3filmfestival.seesaa.net/article/491250420.html

※日本初上映
2017年 / タミル語/ 120分
映倫申請中(インドでの区分はG相当)


2.途中のページが抜けている 原題: Naduvula Konjam Pakkatha Kaanom原語題:நடுவுல கொஞ்சம் பக்கத்த காணோம்
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©Leo Vision

監督:バーラージ・ダラニダラン
出演:ヴィジャイ・セードゥパティ(『ピザ 死霊館へのデリバリー』『キケンな誘拐』『俺だって極道さ』)、ガーヤトリ、バガヴァティ・ペルマール、ラージクマール、ヴィグネーシュワラン・パラニサーミ
音楽:ヴェード・シャンカル

プレーム、バグス、サラス、バッジは仲のいい4人組。プレームの結婚式の前日に、暇つぶしに草クリケットで遊んでいたところ、プレームは転倒して頭を打ち、一時的な記憶喪失になってしまう。プレームと恋人のダナは、懐疑的な親族を粘り強く説得して縁組を認めさせ、苦労の末にやっと式を挙げるところまで来ていたのだが、彼はダナのことすら覚えていない。プレームの症状を明かせば結婚自体がお流れになってしまうかもしれない危機に、3人の友人たちは知恵を絞って式を挙行しようとする。低予算ながらも、驚異的なヒットとなった作品。

※日本初上映
2012年 / タミル語/161分
映倫申請中(インドでの区分はG相当)


[再上映作品]

3.シャンカラーバラナム 不滅のメロディ 原題:Sankarabharanam 原語題:சங்கராபரணம்
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©️Poornodaya Art Creations

監督:K・ヴィシュワナート
キャスト:J・V・ソーマヤージュル、マンジュ・バールガヴィ、トゥラシ・シヴァマニ
音楽:K・V・マハーデーヴァン

南インド古典声楽の巨匠シャンカラ・シャーストリと、彼を崇めるトゥラシ。娼家に生まれたトゥラシは神前の巫女のようにシャンカラに仕えたいと望んでいたが、残酷な運命はそれを許さない。二つの純粋な魂の彷徨の道筋を彩る古典音楽と古典舞踊の饗宴。求道と信仰が一つになる圧巻のクライマックス。インド映画の「芸道もの」の金字塔。
「IMW2022パート1」上映の人気作品。

※2015年にデジタルリマスターされたタミル語吹替版。
1979年(2015年リマスター版)/ タミル語/136分
映倫区分:G


4.マドラス 我らが街 原題:Madras 原語題:மெட்ராஸ் 
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©️Studio Green

監督:パー・ランジット(『カーラ 黒い砦の闘い』)
キャスト:カールティ(『囚人ディリ』)、キャサリン・トリーサ、カライヤラサン
音楽:サントーシュ・ナーラーヤナン(『カーラ 黒い砦の闘い』『僕の名はパリエルム・ペルマール』)

タミルナードゥ州の州都、かつてマドラスと呼ばれていたチェンナイ。その北部のヴィヤーサルパーディという地区は、公団団地が林立し、ダリト(被差別カースト)を始めとする低層階級の住むコロニー。このコロニーは対立する政党によって二分されていた。ここに生まれ育ったカーリは、ホワイトカラー職に就き、余暇にはサッカーに熱中し、毎日を楽しく暮らしていた。政治活動に熱心な親友のアンブに引きずられて、彼は派閥抗争に巻き込まれていく。パー・ランジット監督は本作で大きな注目を集め、多くの映画賞を受賞しただけでなく、大スター、ラジニカーント主演作品を手掛けるチャンスを得た。カールティ(『囚人ディリ』)主演。
「IMW2022パート1」上映の人気作品。

2014 年/ タミル語/ 150分
映倫区分:G


5. ピザ 死霊館へのデリバリー  原題:Pizza 原語題:பிட்சா
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©️Thirukumaran Entertainment

監督:カールティク・スッバラージ(『ジガルタンダ』『女神たちよ』)
キャスト:ヴィジャイ・セードゥパティ(『キケンな誘拐』『俺だって極道さ』)、ラミャ・ナンビーサン、カルナーカラン(『キケンな誘拐』)
音楽:サントーシュ・ナーラーヤナン(『カーラ 黒い砦の闘い』『僕の名はパリエルム・ペルマール』)
ピザ配達員のマイケルは幼馴染のアヌと同棲中。都会の片隅でささやかな暮らしを営んでいた。ある夜マイケルがピザを届けにとある豪邸に赴くと、受取人の女性が途中で消え、不可思議な出来事が立て続けに起こり、彼はそこから逃れられなくなってしまう。その館では過去に何が起こったのか。一方、少し前に、ピザ店のオーナー宅では、少女への憑依現象が起こっていた。二つの怪異の間には関係があるのか。2000年代後半のタミル語映画界に興こった「タミル・ニューウェーブ」の潮流から生まれた作品の中で、本作はホラー作品としては突出した高評価を得た。他の言語にもリメイクされたカルト的な一作。
「IMW2022パート1」上映の人気作品。

2012年 / タミル語/128分
映倫区分:G


6. ジッラ 修羅のシマ 原題: Jilla 原語題:ஜில்லா
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©️Supergood Films

監督:R. T. ネーサン
出演:モーハンラール(『ザ・デュオ』)、ヴィジャイ(『サルカール 1票の革命』『マジック』)、カージャル・アグルワール(『バードシャー テルグの皇帝』)
音楽:D・イマーン

マドゥライを支配するマフィアの首領シヴァンに育てられ、その右腕として地域を仕切るシャクティのあだ名はジッラ(縄張り)。ある時シヴァンは、新しく着任した警視総監から犯罪集団の取り締まり強化を宣言される。危機感を感じたシヴァンは嫌がるシャクティを、介入抑止のため警察官にさせる。だがそれは、親子断絶の始まりだった。タミル語映画界の人気俳優、ヴィジャイ(ビギル 勝利のホイッスル)と、〝完璧俳優〟と称されるマラヤーラム語映画界の大スター、モーハンラール(ザ・デュオ)が共演。ギャングものでありながら、コメディ満載、ダンスもあり、家族のドラマにほろりとする。京都や鳥取で撮影されたソングシーンが含まれる。「IMW2020リターンズ」上映の人気作品。

ジャンル ドラマ / コメディ / アクション
2014年/ タミル語/ 176分
映倫区分:PG12(暴力シーンあり)


7. サルカール 1票の革命 原題: Sarkar 原語題:சர்கார்
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©️ Sun Pictures

監督:A・R・ムルガダース(『ダルバール 復讐人』)
出演:ヴィジャイ(『ジッラ 修羅のシマ』『マジック』)、キールティ・スレーシュ(『伝説の女優 サーヴィトリ』)、ヴァララクシュミ・サラトクマール、ラーダー・ラヴィ(『キケンな誘拐』)
音楽:A・R・ラフマーン(『ムトゥ 踊るマハラジャ』)

米国在住の大富豪スンダルは、タミルナードゥ州議会選挙への投票のため一時帰国でチェンナイを訪れる。投票所で彼が知ったのは、何者かが彼に成りすまして既に投票を終えていたということだった。スンダルは司法に訴えて再投票の権利を勝ち取るが、その過程で既存の政治家たちの腐敗を目の当たりにして、さらなる行動に打って出る。「1票の重み」のテーマから始まり、現実世界の既成政党への批判を縦横に繰り広げたため、現地での封切り時には物議をかもした。強面なヴァララクシュミ・サラトクマールの迫力ある悪役ぶりも大いに注目された。
IMW2019上映の人気作品。

ジャンル:ポリティカル・スリラー / アクション
2018年 / タミル語 / 162分
映倫区分PG12(焼身自殺のシーンあり)


8.マジック 原題: Mersal 原語題:மெர்சல்
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© Sony Music India, © Sri Thenandal Films

監督:アトリ(『ビギル 勝利のホイッスル』『ジョンとレジナの物語』)
脚本:アトリ、V・ヴィジャエーンドラ・プラサード、ラマナギリーヴァーサン
出演: ヴィジャイ(『サルカール 1票の革命』『ジッラ 修羅のシマ』)、サマンタ(『マッキー』)、カージャル・アグルワール(『バードシャー テルグの皇帝』)、ニティヤ・メーノーン(『ウスタード・ホテル』)、S・J・スーリヤー(『女神たちよ』)、サティヤラージ(『バーフバリ』シリーズ)
音楽:A・R・ラフマーン(『ムトゥ 踊るマハラジャ』)

チェンナイの低所得者層地域で開業するマーラン医師は、低額で患者を診る人徳者で、国際会議でも表彰される。しかしその周りで医療関係者の不審死が起こり、警察は彼を拘束して尋問する。そこで浮かび上がったのは、ヴェトリという名の彼と瓜二つの奇術師だった。V・ヴィジャエーンドラ・プラサード(『バジュランギおじさんと、小さな迷子』)が脚本に加わり、娯楽性がある社会派スリラーに仕上がっている。
インディアン・シネマ・ウィーク2018上映の人気作品。

ジャンル:スリラー / アクション
2017年 / タミル語 / 169分
映倫区分:R15+(肉体損壊の場面あり)


9.まばたかない瞳 バンガロール連続誘拐殺人 原題: Imaikkaa Nodigal 原語題:இமைக்கா நொடிகள்
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©Cameo Films India, ©Drumsticks Productions

監督:R・アジャイ・ニャーナムットゥ
出演: ナヤンターラ(『至高の奉仕』『ビギル 勝利のホイッスル』)、アタルヴァー・ムラリ、アヌラーグ・カシャップ、ラーシー・カンナー/ヴィジャイ・セードゥパティ(特別出演)
音楽:ヒップホップ・タミラー

バンガロールを震撼させる連続誘拐殺人事件。富裕層の子弟が誘拐され、身代金が払われるにもかかわらず惨殺されるのだ。捜査に当たる中央捜査局のアンジャリは、犯人を自称するルドラという男に肉薄しながらも取り逃がしてしまう。犯人、警察、中央捜査局が三つ巴となっての息詰まる追跡劇。映画監督アヌラーグ・カシャップの怪演が印象的。
「IMW2021」上映の人気作品。

ジャンル:クライム・スリラー
2018年/タミル語/168分
映倫区分:PG12(暴力シーンあり)

10.双璧のアリバイ 原題: Thadam 原語題:தடம்
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©Redhan The Cinema People

監督:マギル・ティルメーニ
出演: アルン・ヴィジャイ(『サーホー』)、タニヤー・ホープ、スムルティ・ヴェンカト、ヨーギ・バーブ(『僕の名はパリエルム・ペルマール』)、ジョージ・マリヤーン(『囚人ディリ』)、ヴィディヤ・プラディープ、ソニヤ・アグルワール
音楽:アルン・ラージ

大雨の夜に静かな住宅街の一軒で起こった殺人事件。犯人を特定できる遺留物は見つからず、被害者の交遊関係にも怪しい人物は見当たらなかった。しかし、同じ夜に隣家の住人が偶然撮影したセルフィーの片隅に、不審な人影が映り込んでいた。土木技師のエリルはその人影と同一人物であるとして拘束される。法の抜け穴をきわどく攻める犯罪スリラー。「IMW2021」上映の人気作品。

ジャンル:クライム・スリラー
2019年/ タミル語/131分
映倫区分:G

インディアンムービーウィーク2021 『グレート・インディアン・キッチン』

グレート・インディアン・キッチン  
原題:The Great Indian Kitchen
原語タイトル:മഹത്തായ ഭാരതീയ അടുക്കള  

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©Cinema Cooks, ©Mankind Cinemas, ©Symmetry Cinemas

監督:ジヨー・ベービ
音楽:スラージ・S・クルップ、マチュース・プリッカン
出演:ニミシャ・サジャヤン、スラージ・ヴェニャーラムード(ジャパン・ロボット)、T・スレーシュ・バーブ、アジタ・V・M、ラーマデーヴィ、カバニ、シッダールト・シヴァ

2021年/インド/マラヤーラム語/100分/ドラマ
配給:Space Box
©Cinema Cooks, ©Mankind Cinemas, ©Symmetry Cinemas
★初回上映:インディアンムービーウィーク2021パート1(6月開催)
★インディアンムービーウィーク2021パート2 上映日:9月18日、10月4日
公式サイト & SNS https://imwjapan.com/

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©Cinema Cooks, ©Mankind Cinemas, ©Symmetry Cinemas


インド南西部ケーララ州第三の都市カリカット(コーリコード)。
美味しそうなお料理の数々を作る場面から、ゴージャスなレストランでのお見合い、伝統的な結婚式・・・と、ある若い女性の物語は一気に駆け抜ける。そこからは広い邸宅で夫の両親と同居の単調な新婚生活。中東バーレーンで大学生活を過ごした新妻にとって、それは義父や夫に仕える屈辱的な日々だった。料理を作り、義父と夫が食べ散らかした食卓を片付けてから、やっと台所で義母と食事。台所仕事の合間には掃除に洗濯。最初は恥じらいながらも心躍った夜のおつとめも、自分の欲望だけを満たす夫に不満がつのる。義母が娘の嫁ぎ先に長期で出かけてしまい、家事は新妻一人の肩にかかる。義父から、チャトニー(チャツネ:薬味)は手で挽くもの、ご飯は釜で炊くものと、ミキサーや電気釜を使ったのを見透かされる。排水管が詰まり、夫に修理業者への連絡を頼むが、一向に連絡してくれない。やがて生理になり、不浄な間は台所に入るなと、ダリット(不可触民)の家政婦ウシャーが呼ばれる。
仕事がしたいとネットで検索してダンス教師の職に応募するが、義父に見つかってしまい、「主婦のいる家は尊い。妻は大学を出たが父に従って家にいた。お前の仕事は官僚や大臣より遠い」と諭される。
やがてシャバリマラ・アイヤッパン寺院の巡礼の時期になる。前日の残り物を食卓に出すと、「この期間は前日作った料理は食べられないことを知らなかったのか?」と言われてしまう・・・

夫は教師をしていて、女学生たちに家族制度の大切さを説いている姿が映し出されます。家では、父親に似て、だんだん封建的な態度になっていきます。妻の堪忍袋の尾が切れないはずはありません。
この映画を観て思い出したのが、2019年のアジアフォーカス福岡国際映画祭で観客賞を受賞したインド映画『シヴァランジャニとふたりの女』です。抑圧されていた妻が抵抗する物語。
『シヴァランジャニとふたりの女』ヴァサント・S・サーイ監督インタビュー

『グレート・インディアン・キッチン』に出てくるシャバリマラ・アイヤッパン寺院は、ケーララ州南部の西ガーツ山中にあり、インド全域から参拝者が訪れる名刹。ヒンドゥー以外のあらゆる他宗教の信徒にも門戸を開く一方、女性(初潮から閉経までの、子供を産める状態にある女性。便宜的に10~50歳と表現される)の参拝者の入構を禁じています。

★本作の家族のカーストのことや、シャバリマラ・アイヤッパン寺院のことなど、配給SPACE BOXによる補足ノートをぜひお読みください。
https://note.com/india_film/n/n7cfe601cde3d

ケーララの高位カーストの暮らしや、シャバリマラ・アイヤッパン寺院の巡礼など、この地域ならではの風俗が見られるのも、この映画の魅力です。
「アイヤッパン神よ~」と詠じている中に、東大寺の修二会で聴いた声明に、すごく似た旋律のものがありました。もしかして、遠い繋がりがあるのでしょうか・・・

一方で、女性が差別を受けたり、女人禁制の場所があったりすることは、日本でもあるし、世界各地である問題。女性が声をあげることで、社会が変わることも示唆しています。本作のテーマは、とても普遍的なものといえるでしょう。



◆インドの中でも、マラヤーラム語映画には、本作のような社会派のものが多く見受けられます。 
最近、紹介したものをいくつかご参考までにあげておきます。

『ジャッリカットゥ 牛の怒り』 (2021年7月17日公開)
http://cinejour2019ikoufilm.seesaa.net/article/482418488.html

『青い空、碧の海、真っ赤な大地』 (イスラーム映画祭6)
http://cineja3filmfestival.seesaa.net/article/480493464.html

『ナイジェリアのスーダンさん』 (イスラーム映画祭4)
http://cineja3filmfestival.seesaa.net/article/464878729.html

『アブ、アダムの息子』 (イスラーム映画祭3)
http://cineja3filmfestival.seesaa.net/article/459144037.html

(景山咲子)

インディアンムービーウィーク2021 パート2

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インド映画の特集上映「インディアンムービーウィーク2021 パート2」が、9月10日(金)より東京にて、9月24日(金)からは新宿ピカデリーほか名古屋・大阪・兵庫等にも拡大し、全国11劇場にて開催されます。
「インディアンムービーウィーク2021パート2」では、2020年に急逝したイルファーン・カーン最後の出演作品『イングリッシュ・ミディアム』、少年院の更生に立ち上がる教師を描く大ヒットアクション『マスター 先生が来る!』など、4作品が初上映されるほか、パート1の 5作品に加え、『マスター 先生が来る!』出演の人気俳優、ヴィジャイの過去の主演作品2作品を加え、計11作品が上映されます。

主催:SPACEBOX

【開催日程】
東京:キネカ大森 
 9月10日(金)~10月7日(木)

大阪:シネ・リーブル梅田
 9月24日(金)~9月30日(木)

◆松竹マルチプレックスシアターズ系劇場 
  9月24日(金)~10月7日(木)
東京:新宿ピカデリー、MOVIX 昭島
埼玉:MOVIX三郷
千葉:MOVIX柏の葉
大阪:MOVIX堺、なんばパークスシネマ
兵庫:神戸国際松竹
九州:熊本ピカデリー

愛知:ミッドランドスクエア シネマ
 9月24日(金)~10月7日(木)


公式サイト & SNS https://imwjapan.com/
SNSアカウントTwitter: @ImwJapan
インド映画note https://note.com/india_film


【上映作品】

1. 『イングリッシュ・ミディアム』(原題:Angrezi Medium)
監督:ホーミー・アダジャーニア
2020年/ ヒンディー語/ 145分
娘の留学を叶えようと奮闘する父を描く、ファミリーコメディー
2020年に急逝したイルファーン・カーンの最後の出演作品。
※日本初上映

2. 『マスター 先生が来る!』(原題:Master)
監督:ローケーシュ・カナガラージ
2021年/ タミル語/ 179分
公開初週の世界興収第1位! 荒廃した少年院の更生に立ち上がる、正義の教師
※日本語字幕版初上映

3. 『ラジニムルガン』 (原題:Rajinimurugan)
監督:ポンラーム
2016年/ タミル語/ 155分
極楽トンボのハッピー・マドゥライ
※日本語字幕版初上映

4. 『俺だって極道さ』(原題:Naanum Rowdy Dhaan)
監督:ヴィグネーシュ・シヴァン
2015年/ タミル語/ 139分
お洒落でシュールなリベンジ・コメディ
※日本語字幕版初上映

5. 『グレート・インディアン・キッチン』(原題:The Great Indian Kitchen)
監督:ジヨー・ベービ
2021年/ マラヤーラム語/ 100分
グルメ番組のように始まり、家族制度の暗部に切り込む“ホームドラマ”
初回上映:インディアンムービーウィーク2021パート1(6月開催)

6. 『マーリ』(原題:Maari)
監督:バーラージ・モーハン
2015年/ タミル語/ 138分
鳩好きマーリの爽やか極道コメディ
初回上映:インディアンムービーウィーク2021パート1(6月開催)

7. 『女神たちよ』(原題:Iraivi)
監督:カールティク・スッバラージ(ジガルタンダ)
2016年/ タミル語/ 158分
鬼才スッバラージ監督が描く、悲哀の群像劇
初回上映:インディアンムービーウィーク2021パート1(6月開催)

8. 『まばたかない瞳 バンガロール連続誘拐殺人』(原題:Imaikkaa Nodigal)
監督:R・アジャイ・ニャーナムットゥ
2018年/ タミル語/ 168分
連続殺人犯 vs. 執念の捜査官
初回上映:インディアンムービーウィーク2021パート1(6月開催)

9. 『双璧のアリバイ』(原題:Thadam)
監督:マギル・ティルメーニ
2019年/ タミル語/131分
殺人容疑者の男には、確かなアリバイがあった
初回上映:インディアンムービーウィーク2021パート1(6月開催)


☆アンコール上映作品☆
2021年以前に上映し、いまも多くのリクエストが寄せられる2作品を追加上映

10. 『サルカール 1票の革命』(原題:Sarkar)
監督:A・R・ムルガダース
2018年/ タミル語/ 162分
社会を変える1票。痛烈な政治ドラマ
初回上映:インディアンムービーウィーク2019

11. 『マジック』(原題:Mersal)
監督:アトリ(『ビギル 勝利のホイッスル』)
2017年/ タミル語 / 169分
医療をめぐる社会派スリラー
初回上映:インディアン・シネマ・ウィーク2018

※上映作品中「日本語字幕版初上映」とある作品は、過去にSpace Boxが英語字幕版を上映した作品です。

★各作品の詳細は、公式サイトでご確認ください。