ドイツ映画祭 HORIZONTE 2023 オープニング『フェモクラシー 不屈の女たち』

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2023年4月20日(木)夜7時より、渋谷・ユーロライブにて、ドイツ映画祭 HORIZONTE 2023のオープニングセレモニーが満杯のお客様をお迎えして行われました。

今年の映画祭のテーマは、〈道を拓く女たち〉

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最初に登壇したドイツ公使が、会場に大勢の女性の方たちがいらっしゃいますので、手短に・・と前置きして、ドイツでは憲法に男女同権が記載されていますが、1957年に男女平等法が制定され、それから長い道のりを歩み、今もまだ十分とはいえませんが、女性の権利拡大を求めてきたこと、これからも女性に限らずあらゆる差別撤廃を目指していることが述べられました。


オープニング作品『フェモクラシー 不屈の女たち』
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監督:トルステン・ケルナー
ドイツ、2021年、100分
ドイツ連邦議会の女性議員の歩みを、戦後からメルケル政権時代まで追うドキュメンタリー。
中絶をめぐる論争の中で、妊娠を望まない場合は、男性にも避妊を心がけてほしいと発言する女性議員に、男性議員たちが心無い野次を飛ばす姿が強烈でした。勇気ある発言に対して、あまりにも酷い対応。議員ですら、そんな態度なのです。
様々な屈辱に耐えて、頑張ってきた女性たちがいて、少しずつ改善されてきたことを痛感しました。メルケルを生んだドイツですら、今なお女性の地位はそれほど向上したと思えない状況だと感じました。

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オープニング作品『フェモクラシー 不屈の女たち』の上映後には、登場する女性議員の一人であるクリスタ・ニッケルスさんをお迎えしてトークが行われました。
クリスタ・ニッケルスさんは集中治療専門看護師で、1979年、ノルトライン=ヴェストファーレン州緑の党の設立メンバー。ドイツ連邦議会議員を5期(1983-85年、1987-90年、1994-05年)務め、保健省政務次官、連邦薬物・依存問題担当官、人権人道支援委員会の委員長などのポストを歴任されています。現在、70歳。私と同年代です。ドイツでも同じような時代を経てきたのだと思います。
撒いた種が育ってきた一方で、民主主義が今、危機にあるとも。世界をみると、ウクライナではロシア侵攻、イランではヘジャーブ問題で揺れ、アフガニスタンでは20年経って、またターリバーンの台頭で女性の教育の機会が奪われていることなどが引き合いに出されました。今、自由を手にしている人も、それが永遠ではないことも心してほしいと述べられました。

トークには、FIFTYS PROJECT代表で、25歳の能條桃子さんも登壇。
FIFTYS PROJECTは、政治分野のジェンダー不平等の解消を目指して、ジェンダー平等実現を目指して地方議会議員に立候補する20代・30代の女性(トランス女性を含む)やノンバイナリー、Xジェンダー等の方を増やし、横に繋ぎ、一緒に支援するムーブメントです。

クリスタ・ニッケルスさんから、若い能條さんに対して、「それぞれの世代にやり方がある、続けることに意味があります。民主主義の本質は、意見の違いに向き合ってフェアに闘うこと」とエールが送られました。

『フェモクラシー 不屈の女たち』は、世界各国で多くの女性たちに勇気と感動を与えた作品。
日本での公開は決まっていませんが、いつか日本でも多くの人たちに観ていただきたい映画です。

報告:景山咲子



ドイツ映画祭 HORIZONTE 2023 

ドイツ映画祭 HORIZONTE 2023 
HORIZONTE 2023- FESTIVAL DES DEUTSCHEN FILMS



2023年4月20日(木)~23日(日)
会場:ユーロライブ(渋谷) 
主催:ゲーテ・インスティトゥート東京、共催:German Films
協力:ドイツ連邦共和国大使館、ユーロスペース
ドイツ映画祭公式サイト
https://www.goethe.de/ins/jp/ja/kul/sup/h23.html#i8962972


〈道を拓く女たち〉

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© Majestic / Annette Etges

「柔らかくしなやかに、だが全力で成果を勝ち取る」
ドイツ映画祭Horizonte 2023のオープニング作品『フェモクラシー 不屈の女たち』でインタビューに応える、リタ・ジュースムート(元連邦議会議員で連邦青少年・家族・保健大臣も務めた)の言葉です。
戦後再出発した西ドイツから統一後メルケル政権時代までの旧西ドイツの政治における女性パイオニアたちを描いています。彼女たちは、男性議員や世間から激しい攻撃を受けながらも、政治と社会の中で居場所を掴み取っていきました。登場する女性たちは明るくウィットに富んでおり、彼女たちのそんな魅力が未知の領域へ進出する際の最強の武器であったことが見てとれます。
今年の映画祭HORIZONTE 2023では、そのような女性たちにフォーカス。「与えられた」状況を疑わずに受け入れるのではなく、複雑化し急激に変化する現実に鋭く反応し、その中で方向性を見出す女性たち・・・。

今年の映画祭のテーマは、ドイツ映画界の変化も映し出しています。
プログラム7作品中4本と女性監督作品が半数以上。ドイツ映画の立ち位置を示す7本の作品が、新鮮なパースペクティブでドイツ社会の声を届けます。


オープニング作品
『フェモクラシー 不屈の女たち』
監督:トルステン・ケルナー
ドイツ、2021年、100分
ドイツ連邦議会の女性議員の歩みを、戦後からメルケル政権時代まで追うドキュメンタリー。
https://www.goethe.de/ins/jp/ja/kul/sup/h23/24545869.html

『私はニコ』
監督:エリーヌ・ゲーリング 
ドイツ、2021年、79分
人種差別的な理由から路上で襲撃された介護士のニコが危機から立ち上がり変わろうとする過程を、繊細かつパワフルに描く。
https://www.goethe.de/ins/jp/ja/kul/sup/h23/24545881.html


『ディア・トーマス 東西ドイツの狭間で』
監督:アンドレアス・クライナート 
ドイツ、2021年、157分
旧東ドイツ芸術界の異端児トーマス・ブラッシュ(1945-2001年)の伝記映画。


『バッハマン先生の教室』
監督:マリア・シュペート 
ドイツ、2021年、217分
母語もメンタリティーも多様な生徒たちと、音楽やジャグリングで遊びながら授業するバッハマン先生のクラスを1年間追ったドキュメンタリー。
https://www.goethe.de/ins/jp/ja/kul/sup/h23/24545893.html


『クルナス母さんVS.アメリカ大統領』
監督:アンドレアス・ドレーゼン
ドイツ・フランス、2022年、119分
グアンタナモ湾収容キャンプに収容された青年と、彼を取り返すべく奔走する母の実話に基づくアンドレアス・ドレーゼン監督の最新作。
https://www.goethe.de/ins/jp/ja/kul/sup/h23/24545899.html

『あしたの空模様』
監督:アニカ・ピンスケ 
ドイツ、2022年、89分
生まれ育った田舎から脱出し、都市生活とキャリアの成功を満喫するクララが、母の誕生日に帰郷し自分の理想と向き合うことに。
https://www.goethe.de/ins/jp/ja/kul/sup/h23/24545905.html

『焦燥の夏』
監督:サブリナ・サラビ
ドイツ、2021年、116分
家屋5軒、バス停ひとつ、たくさんの牛とどこまでも続く畑。そこに生きる24歳の女性の物語。
https://www.goethe.de/ins/jp/ja/kul/sup/h23/24545911.html

ドイツ映画祭 HORIZONTE 2021 『マリアム エヴィーン刑務所に生まれて』監督Q&A (咲)

『マリアム エヴィーン刑務所に生まれて』 
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監督:マリアム・ザレー
2019年、95分、ドイツ語、ペルシア語、フランス語、英語/英語・日本語字幕付

本作の監督であるマリアム・ザレーは、ドイツで女優、そして作家として活躍している。政治犯が収容されるイランのエヴィーン刑務所で生を受けたザレーは、監督としてのデビュー作で、自身の誕生にまつわる状況を明るみに出す。1979年のイラン革命により王政を打倒すると、最高指導者ホメイニーを頂点とするイスラーム体制となる。政治的に対抗する数万人の人々を逮捕、殺害させた。逮捕された囚人の中には監督の両親も含まれていた。この迫害と刑務所での体験は、家族の間でも語られることはなかった。ザレーは、長年の沈黙の壁を破り、カメラを通じて自身の誕生の場所とその状況に切迫する。

1991年、ドイツ、フランクフルト。マリアムが小学校2年生の時の映像。
母ナルゲス、25歳。大学院で心理学を学びながら働いている。
事情があって一緒に暮らせないイランにいる父に送ったビデオメッセージ。
当時、父35歳。

映画の役で、黒づくめのヘジャーブ姿のマリアム。
「こんな姿で逃れてくる難民はいないと監督に反論したのに、親がイラン人というだけで、こんな格好にさせられる」と笑うマリアム。

刑務所で生まれたことは、母が公に語ったことしか知らない。

市長選への出馬をフランクフルト中央駅で宣言する母。
「1985年、クリスマスイブに、2歳の娘を抱いて、ここフランクフルト中央駅にたどり着きました。クリスマスで店が閉まっていたけど、町の人がやさしく迎えてくれました。ドイツ政府は政治亡命を普通に受け入れてくれました」

逮捕された時、妊娠していた母、刑務所で、メス犬、売春婦などと言われた。
刑務所で一緒だった母の親友マリアム。今はパリでセラピストをしている彼女に話を聞きにいく。
「雑居房に、40~60人いた」
「生まれたときには、皆があなたを歓迎した」
「話さないのは、あなたを思うから。いい思い出だけを残したいのよ」

政治犯の遺児には、ほとんど取材を断られた。唯一、電話で話した女性も、「やっぱり無理。暗くなる」と、結局断られた。

政治犯の為の会議がハノーヴァーで開催され、参加するが警戒された。
イラン政府が全世界に諜報員を送っているから。

母と昔話ができない。この映画を作ることを話したら、感動してくれたけれど、なかなか話そうとしない。
王政打倒で闘った母。革命運動の中で父と知り合う。
でも、皆が望んだ自由な社会にならなかった。イスラーム政権となり、1983年、反体制派として母も父も逮捕される。死刑囚だった父は、7年の刑期で釈放された。
マリアムだけ1歳の頃、先に釈放されて、祖父母と暮らしていた。

父の姉がパリにいて、夏はいつも一緒に過ごした。
うっかり口をすべらせた伯母から自分が刑務所で生まれたことを知った。
親の世代の思いを知りたい。
第二世代の子どもたちが知らない事実が多い・・・



イランで革命が起こる直前の1978年5月に初めてイランを旅しました。旅人には反体制派の動きはわからず、平穏なイランでした。その後、あれよあれよという間に、革命のうねりが大きくなって、1979年2月に王様が追い出され、革命成就。王政打倒で様々な考えの人が闘っていたのですが、気がついたらイスラーム体制になっていたという次第。
1989年に11年ぶりに訪れたイランは、王政の頃と180度変わった社会になっていました。
王政の頃にも、秘密警察がいて、多くの反体制派の人たちが政治犯として捕まり処刑されていたので、そういう面は変わってないのが皮肉です。
革命後、アルメニアやアッシリアのキリスト教徒の人たち、ユダヤ教徒の人たちなどムスリムでない人たちをはじめ、イスラーム体制に息苦しさを感じる人たちが数多くイランを離れ、その数、800万人とも言われています。イランの人口の1割です。

映画の最後、母ナルゲスが15歳の時に父から譲られた蔵書をマリアムに見せます。大切なことが書いてあると。ページを開いて占いをしたので、ハーフェズ詩集だと思います。 イランを離れても、イラン人の心を忘れずに生きていることを感じさせてくれました。(咲)


◆マリアム・ザレー監督Q&A
11月20日(土)18:00からの上映後、リモートで開催されました。
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MC:マリアムさんは、俳優としてこれまで数々の作品に出ていらっしゃいまして、今回のドイツ映画祭でも、『未来は私たちのもの』『システム・クラッシャー 家に帰りたい』にも出演されています。また、これまでに日本でも公開された『水を抱く女』などに出演されています。現在のドイツ映画界で活躍されている女優でもあります。

*観客からの質問*
― 映画が公開後に、さらにお母様と話をされましたか?

監督:母は制作プロセスに当初から深く関わってくれました。制作する意味や、テーマの持つ重要性や意義についてなど、いろいろな話を母としながら出来上がった映画です。
2019年、ベルリン映画祭でのプレミア上映の時もその場にいました。その後、各地の映画祭で上映される時にも、ついてきてくれました。どこまで自伝的部分について、母とどこまで深く話したかは私の心の内にとどめておきます。映画という媒体を使って語ることと、自分だけの領域を区別したいと考えています。いろいろなコミュニケーションの形があって、言葉を介したこともあれば、感情のレベルなどいろいろな交流がありました。そのプロセスをどう扱うかが、映画人としての私の姿勢です。

― 多くの人に取材する中で、一番印象に残った人は?

監督:映画を作るのに6年かけました。120時間の素材から97分に出来上がったので、サイドストーリーがたくさんあります。6年間、多種多様な経験をしました。たくさんの方との出会いがありました。政治的に活動している人、人道的に重要な人、感情面でもいろいろな出会いがあって、心から感謝しています。40か国で上映して、観客の方とも交流しました。一人を選ぶことはできません。一人一人がパズルのピースのようになっていて大事です。
上映後のトークで自分と重ね合わせて話してくださる方もいました。親が刑務所にいたという方も。それを聞くたびに心を打たれました。ボスニア、トルコ、ポルトガル・・・どこにいっても、共通点や個人的な体験を語ってくださる方がいました。イランという私の特定の国における経験に共鳴して語ってくださったことに感動を覚えています。

― 監督作品を通して得られた経験は、私生活や表現者としてのあなたにどんな影響を与えてくれましたか?

監督:映画を制作したことは、私のこれまでの人生において最も意義のあることでした。これだけの長い時間をかけて集中して、自分の経歴に向かい合ったことはありませんでした。人道にかかわる犯罪を直視したことは私の人生に大きく影響しました。
出演していたシャーラさんも言ってましたが、扉を勇気をもって開けることに意義がありました。その向こうにあるものが何であるかがわかって不安がなくなりました。
俳優としての私は別の営みですが、監督したことによって、演技に対する心構えが少し軽くなった気がします。

― 最初とラストに監督がパラシュートを持つ場面があります。どんな意味がありますか?

監督:語りのレベルとして、連想を持てる余白を入れています。パラシュート、水の中の場面、森や家の中の場面など。一方で、ドキュメンタリーとして事実を語っていくのですが、映画という媒体だからこそ加えてできることがあると思いました。それは、皆さんに連想していただけるような手法。詩的なもの、メタファーとしてお見せするレベルのもの。象徴として皆さんに届くにではないかと思いました。とりわけ、トラウマや世代間の葛藤を描く場合、全部を狭い領域でなく、映画というビジュアルにおいて別の語りのレベルを入れ込むことが大事だと思っています。パラシュートの場面もそうです。これでほんとに命が助かるの?と、ユーモアも交えて描きました。一人一人何かを感じ取っていただければと思います。

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(C)Tondowski Films


― 偶然のような必然の出会いでストーリーが進んでいきますが、見えない糸に導かれたと感じた瞬間はありますか?

監督:運命的なものは確かに何かしらあって、謎めいたものです。いろいろなことが絡まりあっていくのは知識として説明できないことだと感じています。あえて理解しないようにするところに、より深いものが得られると思います。

― 監督が読んだ本で影響されたものは? また私たちに薦めたい本は?

監督:今、本棚の前に座っていますが、ちょっと考えてみます。
12世紀のペルシアの詩人ルーミーの作品はお薦めです。(日本語訳がありますと会場から)
映画のリサーチの一環で大事だった本は、ジョセフ・キャンベルの「千の顔を持つ英雄」です。人間が何千年も前から語り継いできた神話が、構造的にどう語られて続けてきたかを解き明かした本です。

― 6年間取材してきた中で、これで映画ができる!と思った発言や出会いは?

監督:映画は資金繰りができないと完成しませんので、最初に助成金が出るとわかったときには、実質的に映画ができると思いました。気持ち的に、かなり最初の方で、私はこの映画を作らないといけないと思った瞬間はありました。どういう風に作り上げるかは考えていない段階で、確かな気持ちを持ちました。

― マリアムさんと同じような状況にある子どもたちにメッセージをお願いします。

監督:(しばらく考えて)人生は時にはとても困難なこともありますが、素敵なこともたくさんあるし、贈り物を得られる時もあります。決して人生を怖がらないでほしいです。必ず、贈り物が得られると信じています。愛は必ず勝利します。

― 今後も監督作を作っていくご予定はあるのでしょうか?

監督:次回作を準備中で、脚本を書いているところです。今度は12~13歳の子どもが主人公のフィクションです。

*マリアムさんの監督次回作、そして出演次回作を楽しみにしたいと思います。


マリアム・ザレー

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1983年テヘラン生まれ。フランクフルト・アム・マインで育ち,バーベルスベルク映画大学で演劇を学ぶ。最近では,ドラマシリーズ『4 Blocks』(Marvin Kren監督,2017),映画『未来を乗り換えた男』(Transit, クリスティアン・ペッツォルト監督,2018)および多数の劇場で俳優として活躍している。また,俳優業の傍ら,作家および監督としても活動している。2017年には,劇作『Kluge Gefühle』により,ハイデルベルク演劇祭シュトゥッケマルクトで作家賞を受賞し,2018年には『4 Blocks』での演技により,グリメ賞を受賞。初監督作品である『マリアム エヴィーン刑務所に生まれて』は,2019年のベルリン国際映画祭でプレミア上映され,パースペクティヴ・ドイツ映画部門Compass-Perspektive賞を受賞した。また2020年のドイツ映画賞でドキュメンタリー部門受賞作品。



ドイツ映画祭 HORIZONTE 2021 『オライの決断』 監督Q&A (咲)

『オライの決断』
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監督:メフメト・アキフ・ビュユックアタライ
出演:ゼイジュン・デミルオヴ、デニズ・オルタ、ジェム・ギョクタシュ、ミカエル・バイラミ、フェルハット・ケスキン、ファリス・ユズバシュオール、カイス・セッティ
2019年、101分、ドイツ語・トルコ語/ドイツ語・日本語字幕付

*物語*
ドイツ、ハーゲンの町。
オライは、妻ブルジュと喧嘩し、留守電に「タラーク、タラーク、タラーク」と3回言って切る。この言葉を3回言ってしまっては、離婚することになってしまう。ブルジュのところに行って、「留守電を聞かないでくれ」と言うが、返事はない。
オライは、モスクの聖職者ビラルに「タラーグと3回言ってしまった」と相談に行く。
「3か月別居しろ」と言われ、オライは、ケルンの友人のところに行く。ケルンのイスラームコミュニティで居場所を見出し、リサイクルの仕事にも就く。そんなある日、妻が突然オライのところにやってくる。優先するのは妻への愛なのか、信仰なのか、オライは決断を迫られる・・・


「塀の中も外も同じ。どちらにいても何かに束縛されているが、イスラームで解放された」という冒頭の場面で、オライは刑務所にいたとわかります。
「更生施設では更生されなかったけれど、イスラームが自分を更生させてくれた」とも語っていて、信仰によって自由になれた人物を描こうとしていることが、まず伝わってきました。
結婚式の場面が出てきて、踊っている中には、スカーフを被った女性もいれば、肌を出したドレスの女性もいます。オライの母親もローズピンクの派手なドレスで肌も出していて、ドイツに移民してきたトルコ人も、イスラームに対する考え方が様々であることがわかります。
そんな中で、オライは夜明け前にも、ちゃんと起きてモスクにお祈りに行きます。
少年たちがクルアーンを学んでいる様子も映し出されます。
上映後に、ドイツにいる監督とのリモートQ&Aが開かれ、若い監督がドイツにおけるムスリム移民の中にも様々な人がいることを描きたかったことがわかりました。
メディアで報じられるステレオタイプなムスリムのイメージでなく、自分自身が知っているムスリムの姿を描きたかったと語っていたのが印象的でした。
それにしても、オライが強い女性二人(妻と母)から逃げ出したというのが、逆に女性礼賛になっていて痛快でした。それもまた現実! (咲)


◆メフメト・アキフ・ビュユックアタライ監督 Q&A

11月20日(金)15:20からの上映後、リモートで開催されました。 

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若くてハンサムな監督。

監督:リモートですが、皆さんとお会いできて嬉しいです。遠い国のあまりなじみのない宗教を巡る映画がどのように受けとめられたのか関心を抱いています。

― なぜ、この映画を作ろうと思われたのでしょうか?

監督: どんな映画製作者、そしてあらゆるアーティストも、誰しも作る一番の動機は個人的なものだと思います。私自身の経験や、私がどのようにいろいろなことを主観的に見聞きしているかを観客の皆さんと分かち合いたいと思ったのが、本作を作った一番の動機です。そこに、政治的な意味もあります。メディアで一般的に報じられているステレオタイプ的なムスリムのイメージがありますが、違和感を覚えていて、私の知っているムスリムの実体が反映されていないと感じているからです。報道されているものと違うものを見せたいと思いました。だからといって、広まっているイメージに闘いを挑むのではなく新しいイメージを見せたいと思いました。

― タラークという言葉について教えてください。また、離婚した後に、同じ相手と再婚することは可能でしょうか?

監督:「タラーク」は、直訳では「突き放す」という意味です。イスラームにおける離別の言葉です。ただし、どの国に住んでいるかで解釈が違ってきます。トルコではタラーク3回で離婚は成立しません。サウディアラビアではいまだに生きています。インドでは最近、タラーク3回での離婚は禁止されました。
タラークを3回言ってしまうと、1回離婚して別の人と結婚しないと、同じ人とは再婚できないというのが、伝統的なイスラームの教えです。抜け道はあって、離婚したあと、別の女性と偽装結婚して、3回タラークと言って離婚して、同じ相手と再婚するということもできます。
イスラーム世界は広いので、解釈は多種多様です。インドネシアとヨーロッパの中のボスニアのムスリムでは全く違います。 タラークといえばこれですという決まった解釈はありません。この映画の中でも、ハーゲンとケルンでさえ解釈が違います。

― オライが市場でコソボ出身の青年と知り合い仲良くなりますが、ムスリムどうしで自然に友達になれるのでしょうか? 宗派の違いは関係なく親しくなれるのでしょうか?

監督:映画の中でのオライと若者の友情は、二人がイスラーム教という共通項があったからでは必ずしもありません。二人とも差別を受けているどうしで結ばれている友情ともいえます。
若者はロマで、ヨーロッパのロマの人たちは差別されているので、ロマどうし強く結ばれています。
イスラームにもいろいろなグループがあって、友好的な関係になる場合もあれば、対立して内戦にまで発展することもあります。宗教以外に、政治やいろんな要因で考えが違ってきます。これがイスラームだというイスラームはないのです。世界には、16億のイスラーム教徒がいて、私もムスリムですが、両親にとってのイスラームとも違います。それこそがイスラームの特徴だといえます。もともと、教会の絶対的な権威に抗うために生まれたのがイスラームです。自分なりの解釈で、自分と神との関係を結ぶことができるという思いでできたのがイスラームです。自由であるという一方で、解釈があまりに多様なために、それがマイナスの方向にいってしまって対立を生むこともあります。

― トルコ系ドイツ人の映画では、ドイツ社会に溶け込んだ人たちを描いた映画もあります。
疎外感を覚えてイスラームに拠り所を求める人も多いというのが今のドイツでしょうか?


監督:オライはドイツのムスリムの側面を現しています。差別を受けて馴染むことのできなかった人物です。社会的な敗者となったトルコやアラブの人もたくさんいますが、ムスリムだからというわけでは必ずしもありません。貧しさから抜け出せなくて敗者になってしまった人たちです。私の両親は学問を修めて階級をランクアップしました。宗教を拠り所にせず別の向き合い方をしています。一方で、ムスリムだから差別されていると思い込んでる人たちもいます。そういう人たちが、反発し、反抗することでエンパワーしていくということもあります。

― エンディングがオープンでした。オライの決断は、妻のもとに戻るのか、イスラームのコミュニティに戻るのか? 

監督:正直言って、脚本を書いているとき、配給会社がイメージしていたようなオライの決断、つまり愛をとるのか信仰をとるのかという二者択一の決断は私の意図ではないと思いました。自分自身の自己像のどちらを取るかの決断です。ハーゲンにいるときのオライは鏡に見出したのは仕事もなく、二人の強い女性に負けている弱い自分。ケルンでは、イスラームコミュニティの中に居場所を見出して、仕事も見つけた強い自分を鏡に見出します。彼は自分自身どちらが自分らしく居られるかを考えて、最終的にケルンでの信仰を選びます。
オライは、なぜこんなに不安になるのか? 男らしさのイメージをどう守るかという危機のようなものを感じているのです。彼が育った家父長制の中で作られた強い男のイメージが、ハーゲンでは強い女性たちに負ける思い。逃げるようにしてケルンに行きました。自分を肯定できるケルンを選びます。ハーゲンの聖職者からは戻ってもOKだと言われていたので、戻ることも可能でした。宗教を巡る決断ではなく、彼の心理を巡る決断です。女性が強くなって、オライはついていけないのです。

― 映画の中で言語が入り混じっていました。現実的なものでしょうか?

監督:演出以上の現実があります。ドイツの移民社会では、もっと多言語で、トルコ語、アラビア語、ロマの言葉、セルビア語・・・と、いくつも交じっているのが現実です。実際、いくつもの言葉が入り乱れています。若者たちはドイツ語に自分たちの言葉を交えて話しているのが日常です。多言語であることが故郷の一つであり、疎外の形でもあります。白人たちは、この中に入ると言葉が通じなくて戸惑います。多言語は豊かなものを生み出しているのが魅力だと私は思います。映画の中で、俳優たちは、それぞれの母語で話しています。

― 映画にはムスリムしか出てこなかったのですが、現実に多数派のドイツ人世界と断絶しているのでしょうか?

監督:分断や溝は、文化間よりも階級間の方にあると思います。知識層と労働者層、その溝の方が大きいです。労働者階級の中にも宗教や文化による違いがありますが、上の階級との分断の方が大きいと思います。この分断や溝はマイナスであるとされていますが、必ずしもマイナスではなく、豊かさの表れではないかと思っています。訪れてみれば、非常に豊かな世界であることがわかるのですが、なかなか入ってみないというのも現実だと思います。

ここで時間がきて、Q&Aは終了。
大きな拍手。

監督:映画をご覧いただき、多くの質問をお寄せいただき、お礼申し上げます。 9000キロ離れていますが、熱は伝わってきました。ありがとうございました。

まとめ:景山咲子



『ドイツ映画祭 HORIZONTE 2021』移民、難民、LGBTQ・世界のいまを知る映画祭 開会式トーク

『未来は私たちのもの』主演ベンヤミン・ラジャイブプルオンライン登壇

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左から月永理絵さん(司会)、クレーメンス・フォン・ゲッツェ駐日ドイツ連邦共和国大使、濱口竜介監督、ゲーテ・インスティトゥート東京のペーター・アンダース所長とウルリケ・クラウトハイムさん
オンライン:ベンヤミン・ラジャイブプルさん

ドイツ映画祭 HORIZONTE 2021 HORIZONTE 2021- FESTIVAL DES DEUTSCHEN FILMS
日程:11月18日(木)~21日(日)
会場:ユーロライブ 東京都渋谷区円山町1-5 KINOHAUS 2F
主催:ゲーテ・インスティトゥート東京
共催:German Films、協力:東北新社 STAR CHANNEL MOVIES

『ドイツ映画祭HORIZONTE 2021』の開会式のトークイベントが11月18日、渋谷のユーロライブで行われました。映画祭は、11月21日まで続きますので、興味ある方はぜひご参加ください。
*「ドイツ映画祭 HORIZONTE 2021」上映作品・日程

開会式は、クレーメンス・フォン・ゲッツェ駐日ドイツ連邦共和国大使によるご挨拶でスタート。トーク登壇者は、ベルリン国際映画祭で認められた注目の映画人、今年の同映画祭銀熊賞を受賞した濱口竜介監督が登壇、さらにオンラインでベルリンより、オープニング上映作品『未来は私たちのもの』主演のベンヤミン・ラジャイブプルクロストークの予定でしたが、『 マリアム エヴィーン刑務所に生まれて』のマリアム・ザレー監督 が登壇できず、2名でのトークになりました。マリアム・ザレー監督のオンライン登壇予定は、次回上映時の予定。
今を生き、これからの映画界で活躍が期待される若き才能がつながり、映画で語っていくことは何か、興味深いお話が展開されました。

クレーメンス・フォン・ゲッツェ駐日ドイツ連邦共和国大使
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今回は移民に焦点をあてています。ドイツのいまの社会の現実を深く知るきっかけになればと思います

濱口竜介監督
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2021年ベルリン国際映画祭コンペティション部門で、新作映画『偶然と想像』が銀熊賞(審査員グランプリ賞)を受賞。続く第74回カンヌ国際映画祭では『ドライブ・マイ・カー』がコンペティション部門に出品され、日本映画としては初となる脚本賞ほか4つの賞を受賞しました。ベルリン映画祭3月にオンライン上映。
6月に授賞式でベルリンへ行きました。野外上映で素晴らしかったです。陽の暮れる頃で、街の音と混ざり合い、偶然の音と混じりあい、映画にとても好ましかった。観客も温かく、忘れがたい上映となりました。『未来は私たちのもの』は生々しい、ドキュメンタリー映画のようだった。ベンヤミンさんのキャラクターへの理解は素晴らしい。

『未来は私たちのもの』主演のベンヤミン・ラジャイブプルさん
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大学で演劇を学び、映画のほかドイツ国内の舞台で活躍し、世界が注目する日本の演出家であるチェルフィッチュ主宰・岡田利規作・演出『No Sex』にも出演しています。『未来は私たちのもの』では数々の賞も受賞している実力派若手俳優。ラジャイブプルさんは、濱口監督の「シャリアット監督とどのようにコミュニケーションを撮ったのか?」という質問を受け「彼自身のキャラクターを忠実にではなく、私自身や集団的なアイデンティティ、移民をめぐること、クイアネスなど、複数のテーマを、第三の人物に投影しました。ドイツ映画界の新たなヒーローを生んでやろう!と思いました。

濱口監督「シンプルにキャラクターが生き生きしている。3人の関係は真に迫って、普遍的な青春映画になっている。複雑な社会的背景もひも解いている。フィルムで撮影したのですか?」

ラジャイブプルさん「最大限の誉め言葉です!残念ながらデジタルですが。助成金にも苦労し、DIY的に作りました。映画としての美学が伝わり嬉しいです」

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濱口監督「映画的な文法にそわない、映画言語でした。撮影現場は自由な雰囲気でしたか?」

ラジャイブプル「即興はなく。綿密に計画されていました。自由な空気を表わそうと、既存のストーリーテリングで作らない、映画の美学として新しい美学が作られました。ミュージックビデオがストーリーを支えていました」

ゲストプロフィール

◆濱口竜介監督

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東京大学文学部卒業後、映画の助監督やTV番組のADを経て、東京藝術大学大学院映像研究科に入学。在学中は黒沢清監督らに師事し、2008年の修了制作『PASSION』がサン・セバスチャン国際映画祭や東京フィルメックスで高い評価を得る。酒井耕監督と共同制作した『東北記録映画3部作』と呼ばれるドキュメンタリー群(11~13)や、4時間を超える長編『親密さ』(12)などでメガホンをとる。15年に発表した監督・脚本作『ハッピーアワー』では、ロカルノ国際映画祭やナント国際映画祭など、数々の国際映画祭で主要な賞を受賞した。商業映画デビュー作品『寝ても覚めても』(18)が、カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に選出される。2020年のベネチア国際映画祭で銀獅子賞(監督賞)を獲得した黒沢清監督の『スパイの妻』でも、野原位とともに脚本を手がけている。2021年ベルリン国際映画祭コンペティション部門で、新作映画「偶然と想像」が銀熊賞(審査員グランプリ賞)を受賞。続く第74回カンヌ国際映画祭では『ドライブ・マイ・カー』がコンペティション部門に出品され、日本映画としては初となる脚本賞ほか4つの賞を受賞した。

◆ベンヤミン・ラジャイブプル 『未来は私たちのもの』主演

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1990年ドイツ・テュービンゲン生まれ。2013年ベルリン芸術大学で演劇を学び始め、在学中からベルリンのドイツ座やフォルクスビューネ劇場、ポツダムやリューベックの劇場の舞台に立ち、映画にも出演。2017年卒業後すぐにミュンヘン・カンマーシュピーレ劇場の専属俳優に抜擢され、岡田利規作・演出『No Sex』にも出演した。2019年演劇専門誌『テアター・ホイテ』で新人賞を獲得。『未来は私たちのもの 』(ファラズ・シャリアット監督、2019)では主役を演じ、他の2名の出演俳優とともにファースト・ステップス賞のうちのゲッツ・ゲオルゲ奨励賞を受賞した。ドイツ俳優賞の新人部門にもノミネートされた。2020年には映画『ODYSSEE』(Nikolas Darnstädt監督)やウエブシリーズ 『DRUCK』 (監督:Luzie Loose, ファラズ・シャリアット, Sophie Linnenbaum)にも出演。

『ドイツ映画祭 HORIZONTE 2021』
ベルリン国際映画祭での受賞作で日本未公開作品を中心に6本の劇映画と1本のドキュメンタリー映画をラインナップ。移民の背景を持つ若い世代の監督による5作品は多様で切実なテーマが生き生きとそして、アーティスティックに描かれ、ここでしか観ることができないラインナップ。コロナ禍で延期していたが、渋谷のユーロライブにて、11月18日(木)~21日(日)開催。

<概要>
オープニングを飾るのが1994年生まれのイラン系ドイツ人のファラズ・シャリアット監督による自伝的デビュー作『未来は私たちのもの』。ドイツにおける移民系の青年の成長とLGBTQカルチャーを繊細かつポップに描きベルリン国際映画祭テディ賞受賞作。監督が日本のアニメファンであり、アニメへの愛が随所に見られ、楽しめます。その他、ドイツ在住のイラン人モハマッド・ラスロフ監督による問題作、ベルリン国際映画祭金熊賞受賞作『悪は存在せず』。政治犯が収容されるイランの刑務所で生まれ、その後ドイツに渡った女優、作家のマリアム・ザレーが初めてカメラを通じて自身の誕生の場所に迫るドキュメンタリー映画『マリアム エヴィーン刑務所に生まれて』。ドイツにおけるイスラム教徒のコミュニティの現実を描くメフメト・アキフ・ビュユックアタライ監督(トルコ系ドイツ人)『オライの決断』、A.デブリーンの小説を原作とするファスビンダー監督によるテレビ映画を、アフガニスタン系ドイツ人のブルハン・クルバニ監督が移民による現代版にリブートした3時間を超える長編大作『ベルリン・アレクサンダープラッツ』。
主演のヘレナ・ツェンゲルが11歳でドイツ映画賞歴代最年少の女優賞を獲得したベルリン国際映画祭2020銀熊賞『システム・クラッシャー 家に帰りたい』(新鋭ノラ・フィングシャイト監督)、ファスビンダーを名匠オスカー・レーラー監督が描いた『異端児ファスビンダー』。

<上映作品 >
・未来は私たちのもの Futur Drei(監督:ファラズ・シャリアット) オープニング上映作品
・システム・クラッシャー 家に帰りたい Systemsprenger(監督:ノラ・フィングシャイット)
・悪は存在せず There Is No Evil(監督:モハマッド・ラスロフ)
・ベルリン・アレクサンダープラッツ Berlin Alexanderplatz (監督:ブルハン・クルバニ)
・マリアム エヴィーン刑務所に生まれて Born in Evin(監督:マリアム・ザレー)
・異端児ファスビンダー Enfant Terrible(監督:オスカー・レーラー)
・オライの決断 Oray(監督:メフメト・アキフ・ビュユックアタライ)

公式HP https://www.goethe.de/doitsueigasai2021

テキスト提供 ドイツ映画祭 HORIZONTE 2021
写真・まとめ 宮崎暁美