東京フィルメックス・オンライン上映(11/21~12/6)

今年の第21回東京フィルメックスで上映された作品の中から、12作品がオンラインで配信されます。

実施期間:11月21日から11月30日まで → 11月22日(日)午前10:00時配信開始~ 11月30日(月) 12月6日(日)23:59まで ★11/27変更
料金:1作品1,500円均一  → 1作品13米ドル 
決済方法:クレジットカードのみ
視聴方法・諸注意:
・作品の購入後から48時間以内再生可能。再送開始時点から更に72時間以内に視聴可能時間が終了になります。
・配信は特設サイトよりご覧頂けます(11月21日よりアクセス可能)。
 詳細は映画祭HP(https://filmex.jp/2020/online2020 )からご確認下さい。
・日本国内からの視聴可能となります。海外からのご利用はできません。
・各作品には視聴可能者数制限があり、視聴可能者数は作品ごとに異なります。
・対象作品は11月16日(月)現在での予定です。急な変更の可能性がありますので、予めご了承下さい。

★対象作品★
『風が吹けば』Should The Wind Drop
監督:ノラ・マルティロシャン(Nora MARTIROSYAN) ★女性監督
フランス・アルメニア・ベルギー / 2020 / 100分

『死ぬ間際』 In Between Dying
監督:ヒラル・バイダロフ(Hilal Baydarov)
アゼルバイジャン・メキシコ・アメリカ / 2020 / 88分

『迂闊(うかつ)な犯罪』 Careless Crime
監督:シャーラム・モクリ(Shahram MOKRI)
イラン / 2020 / 139分

『イエローキャット』 Yellow Cat
監督:アディルハン・イェルジャノフ(Adilkhan YELZHANOV)
カザフスタン・フランス / 2020 / 90分

『アスワン』 Aswang
監督:アリックス・アイン・アルンパク(Alyx Ayn ARUMPAC)★女性監督
フィリピン / 2019 / 85分

『無聲(むせい)』 The Silent Forest
監督:コー・チェンニエン(KO Chen-Nien) ★女性監督
台湾 / 2020 / 104分

『デニス・ホー:ビカミング・ザ・ソング』 Denise Ho: Becoming the Song
監督:スー・ウィリアムズ(Sue WILLIAMS)
アメリカ / 2020 / 83分

『日子』 Days
監督:ツァイ・ミンリャン(TSAI Ming Liang)
台湾 / 2020 / 127分

『海が青くなるまで泳ぐ』 Swimming Out Till The Sea Turns Blue
監督:ジャ・ジャンクー(JIA Zhang-ke)
中国 / 2020 / 111分

『平静』 The Calming
監督:ソン・ファン(SONG Fang)
中国 / 2020 / 89分

◆特集上映:エリア・スレイマンより
『消えゆくものたちの年代記』 Chronicle of a Disappearance
パレスチナ / 1996 / 84分

『D.I.』Divine Intervention
フランス、パレスチナ / 2002 / 92分

第21回東京フィルメックス 授賞式

最優秀作品賞は、アゼルバイジャンの詩的な『死ぬ間際』に!
fillmex top 420 ●P1130482補正.jpg

例年、11月下旬に開催されていた東京フィルメックスですが、今年は東京国際映画祭と連携し、いつもより早い10月30日(金)~11月7日(土)の日程で開催されました。
コロナ禍で、東京国際映画祭ではコンペティションをやめて、観客賞のみとなりましたが、東京フィルメックスでは、例年通り、12作品のコンペティション作品の中から受賞作を選定し、7日に授賞式が行われました。
司会:レイチェル・チャンさん(J-WAVE)

◆第21回東京フィルメックス受賞結果◆
最優秀作品賞:『死ぬ間際』ヒラル・バイダロフ
審査員特別賞:『きまじめ楽隊のぼんやり戦争』池田暁
スペシャル・メンション:『Pierce』ネリシア・ロー、『KANAKO』北川未来
観客賞:『七人楽隊』アン・ホイ、ジョニー・トー、ツイ・ハーク、サモ・ハン、ユエン・ウーピン、リンゴ・ラム、パトリック・タム
学生審査員賞:『由宇子の天秤』春本雄二郎

New Director Award:『熱のあとに』(日本/山本英監督)
New Director Award 審査員特別賞:『まどろむ土(仮)』(日本/金子由里奈監督)

タレンツ・トーキョー・アワード 2020:『Oasis of Now』(マレーシア/チア・チーサム)
タレンツ・トーキョー・アワード 2020 スペシャル・メンション:『Pierce』(シンガポール/ネリシア・ロー)
タレンツ・トーキョー・アワード 2020 スペシャル・メンション:『KANAKO』(日本/北川未来)


◎授賞式
発表された順に報告します。

◆New Director Award
東京フィルメックス 特別協賛のシマフィルムによって設けられた、若い映画製作者を対象とした新しい部門。シマフィルム 田中誠一さんより発表が行われました。

New Director Award最終選考選出者11名の中から、New Director Awardには、『熱のあとに』の山本英監督が選ばれました。
DSCF4060 filmex sk.jpg

山本英監督:誰かの側にいること、いれないことを描いた脚本です。イナウォンさんと二人で紡いだ企画です。(左がイナウォンさん)

New Director Award 審査員特別賞
『まどろむ土(仮)』

filmex  kaneko.jpg

金子由里奈監督



◆タレンツ・トーキョー
今年のタレンツ・トーキョーは、11月2日~7日の6日間、オンラインで実施され、アジア各国の15名が参加。パク・キヨン監督をはじめとする4人のメイン講師のほか、黒沢清監督や是枝裕和監督のマスタークラスが開催されました。

タレンツ・トーキョー・アワード 2020:『Oasis of Now』
filmex 4.jpg

マレーシア チア・チーサム監督
「困難な時期にオンラインで開催を可能にしてくださり、ありがとうございます。多様な仲間から多くを学びました」


◆観客賞
『七人楽隊』香港、2020年 
監督:アン・ホイ、ジョニー・トー、ツイ・ハーク、サモ・ハン、ユエン・ウーピン、リンゴ・ラム、パトリック・タム

市山さんが7人の監督の名前を思い出しながらあげたのですが、「誰か忘れてますね」との言葉に、会場から「サモ・ハン!」と声があがりました。10月17日のチケット売り出しの時にも、真っ先に売り切れた人気作です。

filmex joni.jpg

ジョニー・トー監督が代表してビデオコメントを寄せられました。


◎コンペティション 各賞発表
filmex ichiyama 2.JPG

各賞発表の前に、プログラムディレクターの市山尚三氏より挨拶。
「コロナ禍の中、連日会場に足を運んでいただいた皆様に感謝申しあげます。今年の4月の時点では開催できるかどうかが微妙でしたが、リアルな開催にこぎつけることができたのは、サポートしてくださった皆さまのお陰です。東京国際映画祭との共催も手探り状態でした。上映が重なってしまったとの声もありますが、日本映画界を盛りあげていく為に今後も続けていきたいと思っています」

また、一部の作品をオンライン上映することが発表されました。
11月21日~30日の期間限定で、上映作品等詳細は公式サイトで確認ください。
東京フィルメックス 公式サイト
★オンライン特設サイト 11月21日よりアクセス可能

◆学生審査員賞:『由宇子の天秤』
filmex gakusei.jpg

学生審査員:常間地裕(多摩美術大学)、千阪拓也(日本大学芸術学部)、田伏夏基(明治大学)の3人が登壇し、学生審査員賞を発表しました。
filmex gakusei.jpg

春本雄二郎監督「釜山国際映画祭でも受賞(ニューカレンツ部門 最高賞ニューカレンツアワード)しましたが、オンラインでも授賞式をしていません。 Winerには、違和感があります。勝者というけれど、負者が存在するのか? 世の中、敵か味方か、白か黒かと単純に二極化するこごあ加速化し、良い未来が築けるのか? 『由宇子の天秤』は、正しさについて問う内容です。今、私たちに必要なのは、見えている世界が都合の良いものに最適化されていることに気づくこと。その外に手を伸ばせる力が映画にあると信じています。学生審査員賞は、これからを担う人たちからいただいたもの。若い世代に映画作りの指針になるよう頑張っていきたい」


filmex sinsain.jpg
【コンペティション審査員】
万田邦敏(審査委員長:日本/映画監督)
クリス・フジワラ(米国/映画評論家)
坂本安美(日本/アンスティチュ・フランセ日本 映画プログラム主任)
エリック・二アリ(米国/プロデューサー)
トム・メス(オランダ/映画評論家)


◆審査員特別賞『きまじめ楽隊のぼんやり戦争』
filmex kimajime.jpg

池田暁監督 「最優秀作品は何かな、もう1回呼ばれるといいなと思っています。期間中、ずっと映画を観ていました。いい作品がたくさんあったので、また日本で上映されるきといいと思います。このような中で開催してくださったことに感謝します」


◆最優秀作品賞『死ぬ間際』

審査委員長 万田邦敏監督:「一人ぼっちの人間がこの世界とつながるには何が必要か?神話的で重層的、中央アジアのとんでもない大自然。映画監督だったら誰でも撮ってみたい風景、そしてユーモアが描かれていました。人と人がつながるには愛が必要という単純なことに行きつくのですが、そこに行きつくまでをみごとに描いていました」

filmex azer 320.jpg

ヒラル・バイダロフ監督からのビデオメッセージ:
「選んでくださって嬉しいです。アゼルバイジャンの映画を初めて観た方もいらっしゃると思います。映画祭の皆さま、ありがとうございました」
★『死ぬ間際』ヒラル・バイダロフ監督とのリモートQ&Aの模様は後日お届けします。

filmex jusyoosya.jpg

最後に行われた受賞者記念写真も、ソーシャルディスタンスを保って行われました。

☆こちらに掲載しきれなかった写真も含めて、下記のアルバムを作成しています。
facebookアルバム「第21回東京フィルメックス  授賞式」
https://www.facebook.com/cinemajournal/photos/?tab=album&album_id=1340432292989793


☆東京フィルメックスを終えて☆
コロナ禍の中、例年同様の作品を揃えてリアルな上映を行い、外国からのゲストの来日が叶わない中、上映後にリモートでQ&Aを行うなど、最大限の努力をしてくださったことに感謝です。
日程を早めた為か、会期中、平日の半分以上の会場は、朝日ホールではなくTOHOシネマズ シャンテとなり、定員が朝日ホールより少ないため、作品によっては満席になって入れない方もいたようです。
今後も東京国際映画祭との連携を続けるとの市山さんの言葉がありましたが、同時期開催で、鑑賞作品を絞らざるをえなくて、究極の選択を迫られました。できれば、これまで同様、違う時期に開催してほしいと切に願います。(景山咲子)


報告:景山咲子   写真:宮崎暁美、景山咲子

第21回東京フィルメックス ラインナップが発表されました 

9月24日(木)3時よりオンライン記者会見で、プログラムディレクターの市山尚三氏よりラインナップ発表が行われました。
アジアを中心に、今回も充実の内容です。特別招待作品には、東京フィルメックスでおなじみの監督たちの新作が揃いました。
東京国際映画祭との連携により、開催日程が例年より3週間程早くなりましたが、一部、11月22日にも上映があります。
東京国際映画祭との連携は、同時期に開催することにより、来日ゲストの交流や、遠方よりの観客にとって一気にアジア映画が観られるなどの相乗効果を狙ったものとの説明がありました。今年はコロナ禍で残念ながら来日ゲストは望めませんが、今後の展開に期待したいところです。

期間 : 2020年10月30日(金) ~ 11月7日(土) (全9日間)+11月22日(日)

会場 :TOHOシネマズ シャンテ 10/30(金)〜11/5(木)
ヒューマントラストシネマ有楽町 10/30(金)〜11/5(木) *レイトショー
有楽町朝日ホール 10/30(金) – 10/31(土)、11/6(金)- 11/7(土)+11/22(日)
アンスティチュ・フランセ東京 11/5(木) – 11/6(金)
アテネ・フランセ文化センター 11/6(金)

公式サイト:https://filmex.jp/2020/

上映スケジュール:https://filmex.jp/2020/schedule

◆コンペティション部門
https://filmex.jp/2020/news/information/tokyofilmex2020_lineup_competition

アジアの新進作家の2019年~2020年製作映画12作品。(内、女性監督3作品)
通常10作品程度ですが、今年は多め。また、日本映画4作品はこれまでで最多です。

『風が吹けば』Should The Wind Drop
監督:ノラ・マルティロシャン(Nora MARTIROSYAN) ★女性監督
フランス・アルメニア・ベルギー / 2020 / 100分

『死ぬ間際』 In Between Dying
監督:ヒラル・バイダロフ(Hilal Baydarov)
アゼルバイジャン・メキシコ・アメリカ / 2020 / 88分

『迂闊(うかつ)な犯罪』 Careless Crime
監督:シャーラム・モクリ(Shahram MOKRI)
イラン / 2020 / 139分

『イエローキャット』 Yellow Cat
監督:アディルハン・イェルジャノフ(Adilkhan YELZHANOV)
カザフスタン・フランス / 2020 / 90分

『マイルストーン』 Milestone
監督:アイヴァン・アイル(Ivan AYR)
インド / 2020 / 98分

『アスワン』 Aswang
監督:アリックス・アイン・アルンパク(Alyx Ayn ARUMPAC)★女性監督
フィリピン / 2019 / 85分

『無聲(むせい)』 The Silent Forest
監督:コー・チェンニエン(KO Chen-Nien) ★女性監督
台湾 / 2020 / 104分

『不止不休』 The Best Is Yet To Come
監督:ワン・ジン(WANG Jing)
中国 / 2020年 / 115分

『泣く子はいねぇが』 Any Crybabies Around?
監督:佐藤快磨(SATO Takuma)
日本 / 2020年 / 108分

『きまじめ楽隊のぼんやり戦争』 The Blue Danube
監督:池田暁(IKEDA Akira)
日本 / 2020年 / 105分

『由宇子の天秤』 A Balance
監督:春本雄二郎(HARUMOTO Yujiro)
日本 / 2020年 / 152分

『オキナワ サントス』 OKINAWA SANTOS
監督:松林要樹(MATSUBAYASHI Yoju)
日本 / 2020年 / 90分

☆コンペティション 国際審査員
万田邦敏(審査委員長/日本/ 映画監督)
クリス・フジワラ(アメリカ/映画評論家)
坂本安美(アンスティチュ・フランセ日本 映画プログラム主任)
エリック・ニヤリ(アメリカ/プロデューサー)
トム・メス (オランダ/映画評論家)

審査員の方には、実際にスクリーンでご覧いただきたいと思っていたところ、コロナ禍ですが、外国の3人の方は偶然日本に滞在中とわかり依頼することができたとのことです。


◆特別招待作品
https://filmex.jp/2020/news/information/tokyofilmex2020_lineup_specialscreening

【オープニング作品】
『愛のまなざしを』
監督:万田邦敏 
日本 / 2020 / 102分

【クロージング作品】
『天国にちがいない』 It Must Be Heaven
監督:エリア・スレイマン(Elia SULEIMAN)
フランス、カタール、ドイツ、カナダ、トルコ、パレスチナ / 2019 / 102分

『クラッシュ』 Crash  *4K修復版
監督:デヴィッド・クローネンバーグ(David CRONENBERG)
カナダ / 1996 / 100分

『デニス・ホー:ビカミング・ザ・ソング』 Denise Ho: Becoming the Song
監督:スー・ウィリアムズ(Sue WILLIAMS)
アメリカ / 2020 / 83分

『ハイファの夜』 Laila in Haifa
監督:アモス・ギタイ(Amos GITAI)
イスラエル、フランス / 2020 / 99分

『照射されたものたち』 Irradiated
監督:リティ・パン(Rithy PANH)
フランス、カンボジア / 2020 / 88分

『日子』 Days
監督:ツァイ・ミンリャン(TSAI Ming Liang)
台湾 / 2020 / 127分

『七人楽隊』 Septet: The Story of Hong Kong
監督:アン・ホイ (Ann HUI)、ジョニー・トー (Johnnie TO)、ツイ・ハーク (TSUI Hark)、サモ・ハン (Sammo HUNG)、ユエン・ウーピン (YUEN Wo Ping)、リンゴ・ラム (Ringo LAM)、パトリック・タム (Patrick TAM)
香港 / 2020 / 113分

『海が青くなるまで泳ぐ』 Swimming Out Till The Sea Turns Blue
監督:ジャ・ジャンクー(JIA Zhang-ke)
中国 / 2020 / 111分

『平静』 The Calming
監督:ソン・ファン(SONG Fang)
中国 / 2020 / 89分

『逃げた女』 The Woman Who Ran
監督:ホン・サンス(HONG Sang-soo)
韓国 / 2020 / 77分

『水俣曼荼羅』 Minamata Mandala
監督:原一男(HARA Kazuo)
日本 / 2020 / 369分

『仕事と日(塩尻たよこと塩谷の谷間で)』 The Work and Days (of Tayoko Shiojiri in the Shiotani Basin)/
監督:C.W.ウィンター & アンダース・エドストローム(C.W. WINTER, Anders EDSTRÖM)
アメリカ、スウェーデン、日本、香港 / 2020 / 480分

【特別上映】 『繻子の靴』 The Satin Slipper
監督:マノエル・ド・オリヴェイラ( Manoel de OLIVEIRA)
ポルトガル、フランス / 1985 / 410分
★第21回東京フィルメックスの本会期終了後の11月22日より特別上映


◆特集上映:エリア・スレイマン
https://filmex.jp/2020/news/information/tokyofilmex2020_lineup_eliasuleiman
クロージング上映される最新作『天国にちがいない』と共に、エリア・スレイマン監督がこれまでに発表した長編映画3本を一挙上映

『消えゆくものたちの年代記』 Chronicle of a Disappearance
パレスチナ / 1996 / 84分

『D.I.』Divine Intervention
フランス、パレスチナ / 2002 / 92分

『時の彼方へ』The Time That Remains
パレスチナ、フランス / 2009 / 105分





第21回東京フィルメックス

会期:2020年10月30日(金)~11月7日(土)
会場:TOHOシネマズ シャンテ
   ヒューマントラストシネマ有楽町(レイト会場)
   有楽町朝日ホール(オープニング会場)
上映プログラム:東京フィルメックス・コンペティション、特別招待作品
公式サイト:https://filmex.jp/2019/

★東京国際映画祭とほぼ同時期に開催し、カンヌ映画祭における<監督週間>のような位置づけとして連携。

市山尚三ディレクターによるコメント
このたび、第21回東京フィルメックスを「第33回東京国際映画祭」とほぼ同時期に開催する運びとなりました。
東京国際映画祭の安藤裕康チェアマンと久松猛朗フェスティバル・ディレクターの元、東京国際映画祭は大きな変革を目指しているとうかがい、「カンヌ映画祭の大きな枠組みの中で独立性をもって開催される<カンヌ監督週間>のような連携を」というご提案に深く共感いたしました*1

東京国際映画祭も掲げておられる「映画界の連携強化」の理念は、多様なメディアが存在する現在だからこそ、情報発信の面からも相乗効果が期待できると考えています。

世界中が災厄に見舞われている今年、21回目の開催となる東京フィルメックスは変化を経て10月30日からの開催を目指します。

皆様のご理解とご協力のほど、何卒よろしくお願いいたします。
以上


*1「カンヌ映画祭」は「コンペティション」や「ある視点部門」などは「カンヌ映画祭(Festival de Cannes)」主催によるもので、「監督週間」は「フランス監督組合」による主催、とそれぞれ独立した運営により作品選定が行われています。カンヌのもう一つの併催事業「批評家週間」、ベルリンの「フォーラム」、ヴェネチアの「ヴェニス・デイズ」は、日本では「◯◯部門」と紹介されることがありますが、実態は独立した組織・事業で、これらが大きな枠組みの中で独立して開催されています。

第20回 東京フィルメックス 本誌103号より転載(暁)

第20回 東京フィルメックス
宮崎 暁美

9月に始まった映画祭シーズンの怒涛の日々も、フィルメックスで一段落。朝から夜遅くまで、通った映画祭シーズンでしたが、今年も素敵な作品に出会えました。

『春江水暖』 2019年 中国
監督:顧暁剛(グー・シャオガン)
出演:銭有法 王風娟 孫章建 章仁良 
★審査員特別賞受賞作
顧暁剛監督.jpg
顧暁剛監督
浙江省杭州市富陽の美しい自然を背景に、町の近代化や四季折々の風景とともに、一つの家族の出来事、変遷を描いた顧暁剛監督のデビュー作。まるで絵巻物を鑑賞しているかのような水辺の横移動のカメラワークは雰囲気があって、とても心地良かった。
四人兄弟の長男がやっているレストランで、母の90歳?の誕生祝いの宴が開かれ、そこに集まった息子たち。四人には軋轢がある。その席で母が脳卒中で倒れ、長男夫婦と同居することに。そこから夫婦の介護に関する葛藤が始まった。二人の娘グーシーは同僚のジャン先生と恋愛中で結婚したいのに、両親がその結婚に反対なのでこの町を出ようと考える。漁師の次男夫婦は、30年暮らした家を立ち退くことになり、持ち船に仮住まい中。その息子に結婚話がて、急遽見合いすることになる。三男は離婚してダウン症の息子を育てているが、あちこちに借金があり、てっとり早く返すためなのか、違法な賭場を開いている。そのせいで借金取りが来たり、警察に捕まらないかと兄弟たちはやきもきしている。四男は何をしているのかわからないが未婚で、高齢な母の指令で?見合いさせられ、決断を迫られる。賭博がバレて三男が警察に捕まる以外は、ごく一般的な家族の出来事が水辺の街で営まれる。派手ではないけど、観ている人たちには共感される家族の光景が続く。
登場人物は、監督自身の親戚・知人を、脚本を書く段階から考えて、アテ書きをしたそう。「製作費を節約できるという事情に加え、時代の風景を切り取ること、市井の人々の雰囲気を伝えることを大切にする思いがあったから」と、顧暁剛監督はQ&Aで答えていた。
影響を受けた監督について訊かれると、侯孝賢監督(ホウ・シャオシェン)監督と楊德昌(エドワード・ヤン)監督の名前を挙げた。「現代の街の変化をいかにとらえるかを考えるうちに、『富春山居図』という絵巻物からヒントを得て、映画を絵巻物のように描くことを思いつきました」と振り返りながら、「侯孝賢監督の作品は、詩や散文など中国の伝統的な文人の視点で物語が組み立てられていると考えています。私自身は、文人的な視点と絵画を融合した映画を撮りたいと思いました」と語った。
劇中の音楽は中国のロック歌手、竇唯(ドウ・ウェイ。元、黒豹楽隊のボーカリスト)で、最近は伝統的な古典と現代文化を融合した新たな音楽を生み出している。顧監督がどのようにして古典を現代に落とし込もうかと苦慮していた時に大きな示唆を与えてくれたという。
「巻1終り」と出て、続編を想像させるような終わり方に監督は「この続編は必ず撮りたいと思っています」と語り、「最初からそういう構想だったわけではなく、撮影が進むうちに映画に対する考え方に変化が生まれ、このスタッフと一緒にこれからも映画と芸術を探求していきたいと考えるようになった。10年でひとつの作品として杭州の町の変化を描く構想もあり、名画『清明上河図』のように一つの長い絵巻物として見せることができればと思います」と結んだ。

『気球』 2019年 中国
監督:ペマツェテン 
出演:ソナム・ワンモ ジンパ ヤンシクツォ クンチョク ダンドゥル 
★最優秀作品賞受賞作

ジンバさん320.jpg
出演者ジンバさん

チベット草原。牧畜で暮らす三人の息子を育てる夫婦の話(一人っ子政策下でも少数民族は複数の子が許されていた)。「気球」は子どもたちが親の寝室で見つけて持ち出し、飛ばしたコンドーム(苦笑)。それは診療所が無料で配ったもの。避妊に協力的でない夫と妻の思いとの差が描かれる。
妻の妹はかつて恋人との交際の中で中絶をした(はっきりとは描かれていないが、そういうことだと思う)、それを機に尼僧になった? その元恋人が姉の息子の学校の教師になって偶然再会するが、彼は彼女との経験を元に小説を書いていた。出版した本を渡されるが、ここにも男と女の思いの違いがある。
夫の父が亡くなり、僧が転生を予言する。亡くなった人が転生することを信じる宗教文化が生きている地域。まもなく妊娠がわかるが、貧しい生活の中、子供を育てていけるか悩む妻。
夫は子の誕生は父の転生と喜ぶが、妻は現実に直面し中絶を決断する。手術台にいる妻のもとに夫と長男が駆けつけ、長男が中絶を止める?やめたかどうかは描かれないが、その後、診療所の医師はたくさんのコンドームを届ける。
そして、妻は尼僧の妹とともにお寺参りに行き、街に出かけた夫は、子たちとの約束の大きな赤い風船をふたつ買って帰る。しかし、風船は息子たちに渡した途端にひとつは割れ、もうひとつは青空のかなたに飛んで行ってしまう。家族はその行方を追う。問題に直面しながら解決されないこの問題を暗示しているよう。淡々とした草原の暮らしの中で、この夫婦や家族の将来はどうなっていくのだろうと思わせる。

『昨夜、あなたが微笑んでいた』
監督:二アン・カヴィッチ 
2019年 カンボジア・フランス   
★スペシャル・メンション、学生審査員賞受賞作

二アン・カヴィッチ監督320.jpg
二アン・カヴィッチ監督

 
若い監督自身が育ったという、プノンペンの歴史的建造物として知られた集合住宅「ホワイト・ビルディング」。1963年に建立されたという巨大なビルだが、クメール・ルージュ時代には住んでいた人々が退去し無人化したという。その後、人々が戻ってきた時にはアート関係者が多く住み、アート村になった。しかし、2017年には日本企業に買収され、取り壊しが決まり、住民は立ち退きを迫られる。
監督は取り壊し直前のこのビルにカメラを持ち込みそこに暮らす人々を撮影した。監督の家族の様子も描かれる。立ち退きのための片付けをする人たちにインタビューしながら、住民の記憶を掘り起こし、このビルの記憶をカメラに収めた。カンボジアには、当時はこんなに大きなビルはなかったという。そういう意味では解体前に、その記録を撮れたことは、貴重な映像記憶になっているのだろう。
監督は元々、2016年に自身が生まれ育ったホワイト・ビルディングを題材にした劇映画を企画していたが、政府が取り壊す計画を発表。
それで、人々が荷造りをして退去していき、建物が取り壊されるまで、すべての瞬間を記録してみようと考えた。しかし、それを映画にするとは考えていなかった。撮影した映像を何かに活用できないかとプロデューサーに相談したり、東京フィルメックスの関連事業「タレンツ・トーキョー」などのワークショップに参加して、撮影した映像を披露したところ、「ドキュメンタリーにしないのか」といわれ。「劇映画の製作に時間がかかりすぎることが、ドキュメンタリー製作の後押しになったのかも」と語っていた。
しかし、撮影時は荷造りをして退去していく人々や、カメラの前で話をする人の姿を記録することだけを考えていたため、ストーリーは特に決めていなかった。撮影した50時間ほどの映像を元に自ら編集に着手したものの、「全て同じように見え、違いが見えなかった」。映像を見ながら編集のレームさんと話し合う中で、「記録の映画にする」という方針が決定したのだという。
右 編集のレームさん.jpg
右 編集のレームさん

レームさんは、映像を見たときの印象を「フレームの取り方や長回しの多用が印象的で、静けさや哀愁のようなものを感じた」と振り返り、最初の編集では、監督のこだわりを尊重し、長回しの映像を多く取り入れてみた。ところが、それを見た人から、「建物がなくなる理由がわからない」などの指摘を受けたため、監督のこだわりと観客に物語を伝えるバランスを意識して、さらに編集を進めたとのこと。予定していた劇映画の方も無事に撮影が終わり、これから編集作業に入る予定だという。

『熱帯雨』 2019年 シンガポール・台湾 
監督:陳哲藝(アンソニー・チェン) 
出演:楊雁雁、許家楽、李銘順、楊世彬 

陳哲藝監督320.jpg
陳哲藝監督

2013年の『イロイロ/ぬくもりの記憶』以来となる陳哲藝監督の2作目。前作のキャストを再び起用し、中学4年生(高校1年)と担任の女性教師の間で起きたえしまったことを描き、女の人生ってなんだろうと考えさせられる。
マレーシア出身でシンガポールの男子中学で中国語教師をしているリンは不妊治療中。マレーシアの母はどうでもいいことで電話してくるし、ドリアンを運びの弟はお金をせびりに来る。車いすの義父の介護も担っている。夫の代わりに義父に付き添って夫の姪の誕生祝いに行くが、子どもがいないことをバカにされ、さらに夫の浮気。不妊治療に非協力的な夫の不倫を目撃してしまう。これらがヒロインを追い詰める。
 国民の大多数が中華系でありながら、英語を使うことがほとんどで、中国語を使う機会がなく中国語が忘れ去られそうなシンガポールでは、学校の補習授業で中国語がある。中国語の先生はマレーシアなどから来た人が多いらしい。また、中国語教師を軽く見ている同僚・校長などの姿も描かれる。そんなシンガポールでの中国語の立場だからか、さぼり気味な生徒たち。そんな中でウェイルンという生徒は熱心に中国語を勉強している。そんな閉塞状況の中で彼の存在がリンの慰めになっていく。
 両親が不在がちのウェイルンは中国武術にもたけている。足を怪我したのをきっかけに、家までリンの車で送ってもらうようになり、当たり前のように補習の帰りは車に乗り込んでくるようになった。むげに断ることもできず、武術映画ファンの義父を連れて武術大会に出場する彼を応援に行ったりもした。そんな中、彼の家まで送っていったある日、彼にレイプまがいに迫られ関係を持ってしまう。その後、彼はますます彼女を慕って、相手の立場や気持ちも考えず迫るようになってしまった。そしてとうとう彼のせいで事故を起こしてしまい、夫とも離婚。さらに学校で噂にもなり、学校にもいられなくなり、マレーシアの実家に帰る。そして妊娠がわかる。そこで終るのだけど、仕事もなにもかもなくなって妊娠しても育てられるの? この終わりは何? とても割り切れない。

『シャドウプレイ』
原題「風中有朶雨做的雲」
監督:婁燁(ロウ・イエ)2018年 中国
出演:井柏然 宋佳 秦昊 馬思純 張頌文 陳妍希(ミシェル・チェン)
婁燁監督320.jpg
婁燁監督

2013年に中国・広州で起きた汚職事件を巡る騒乱をベースにしたサスペンス。中国、香港、台湾を舞台に、改革開放が本格化した1980年代末からの30年間を描き出す。冒頭、2006年広州の林の中で男女が焼死体を発見、次に手持ちカメラとドローン映像で追いかけた目まぐるしい映像で立ち退きを迫られ走る青年たちを追う映像が続き、住民と開発側の対立場面へ。開発側で、住民を説得する唐がビル5階から墜死という衝撃的な場面が映し出される。
その場に居合わせた若い刑事楊が捜査を始めるが、不穏な事態が起こり、彼は何者かの謀略でスキャンダルに巻き込まれ香港に逃れ、事件の鍵を握る女性と恋に落ちてしまうが、事件の真相を探り続ける。
 都市再開発を巡る殺人事件の謎を追うひとりの刑事と、5人の男女の愛と欲望が描かれ、中国が辿った30年の裏の歴史を浮き彫りにする。手持ちのカメラ、ドローンの活用、暗い画面。そしてスピーディな映像。社会派ドキュメンタリー映画の要素をもった、ミステリーといった作品に仕上がっている。
高層ビルの中に「村」が残っていて、そこから映画を作る発想を得たと監督は語っていた。
この作品は2020年6月に日本公開予定だが、この作品のメイキングである『夢の裏側~ドキュメンタリー・オン・シャドウプレイ』も公開される予定。『シャドウプレイ』の過酷な製作現場、表現の自由をかけて検閲と闘い続ける監督の姿を、同作の脚本家で監督の妻であるマー・インリーが記録したドキュメンタリーで、こちらも一緒に観るとさらに面白い。
マー・インリー320.jpg
マー・インリーさん

2020年5月発行、本誌103号掲載レポートより情報や写真を追加して転載しました。