11月21日(金)に開幕した第26回東京フィルメックス。11月29日(土)に授賞式が開催され、各賞が発表されました。
【日時】2025年11月29日(土)17:20~18:05
【場所】有楽町朝日ホール
第26回東京フィルメックス 授賞結果
最優秀作品賞『サボテンの実』(インド、イギリス、カナダ)
監督:ローハン・パラシュラム・カナワデ
審査員特別賞 『しびれ』(日本)
監督:内山拓也
スペシャル・メンション『枯れ葉』(ドイツ、ジョージア)
監督:アレクサンドレ・コベリゼ
観客賞 『左利きの少女(原題)』(アメリカ、イギリス、フランス、台湾)
監督:ツォウ・シーチン
学生審査員賞『枯れ葉』(ドイツ、ジョージア)
監督:アレクサンドレ・コベリゼ
授賞式の模様を発表順にお届けします。
関連企画<Talents Tokyo 2025>から
「タレンツ・トーキョー・アワード」受賞者報告
スペシャル・メンション
『Square Horizons - A House Across Borders』チェン・ジェンハン (中国・監督)
『The Void is Immense in Idle Hours』サム・マナクサ (フィリピン・監督)
『Home-work』くわやま あつし (日本・監督)
タレンツ・トーキョー・アワード2025
ルゾネンシス・アンド・フロレシエンシス(『Luzonensis and Floresiensis.』)
グレン・バリット(Glenn BARIT/フィリピン・監督)
【授賞理由】独創的な発想や多面的な視点が光る企画です。大胆かつ幻想的な設定でありながら、移民やアイデンティティ、ポストコロニアルの歴史といったテーマと丁寧に向き合っています。
監督の視点には温かさとユーモアがあり、観客を自然に引き込む力を感じました。
また、登場人物たちはただの被害者としてではなく、それぞれが複雑で尊厳ある人として描かれています。大きな社会の中で、自分らしさを大切にしながら生きていく姿は、物語に深みを与えています。新しい表現に挑む意欲、温かい視点、自由な創造力がそろった本企画に、今年のタレンツ・トーキョー・アワードを送ります。
観客賞 『左利きの少女(原題)』
ツォウ・シーチン監督ビデオメッセージ「まずは東京フィルメックスに感謝します。そして、『左利きの少女』を受け入れてくださった観客の皆様にも感謝いたします。この物語は台北での思い出から生まれました。東京でも共感していただけたことに、心から感謝しています。どうもありがとうございます。」
Q&Aに登壇した折のツォウ・シーチン監督
続いて、コンペティション10作品から、<最優秀作品賞><審査員特別賞><学生審査員賞>が選出されました。
★学生審査員賞『枯れ葉』アレクサンドレ・コベリゼ監督
■選考理由:Lo-Fiな映像によって絵画のように形や色が立ち上がる美しさ。その中に存在する人、動物、車が奥行きを感じさせる。何かが映っている、動いている、それを見ることが映画なんだと思わされました。
学生審査員(Paula GEORGIEVNA、永山凛太郎、熊谷萌花)
コベリゼ監督ビデオメッセージ
「学生審査員のみなさん、ありがとうございます。私自身少し前まで学生だったので大変光栄です。卒業したのは2020年前ですから5年前です。今も学生時代とは何も変わっていません。映画について何か知っているという気がしています。ある意味学生のように映画について学び続けています。ですからよいつながりだと思います。そして若い人たちが私の作品を気に入ってくれたのはよかったです。ありがとうございます!」
★スペシャル・メンション『枯れ葉』(ドイツ、ジョージア)
監督:アレクサンドレ・コベリゼ
■選考理由:この作品の独創性と探究精神に深く感銘を受けました。独自の創造的視点、詩的な映像言語、そして瞑想的ともいえる物語の語り口によって、本作は映画がもつ純粋な魅力を提示してくれています。
学生審査員賞に続いての受賞。再び、コベリゼ監督からビデオメッセージ。
「まず、私の映画をこの映画祭で上映していただきありがとうございます。これは嬉しい恒例になってきました。もし次回作がフィルメックスで上映されることになれば、今度は私もその場に行けるように願っています。もちろん、審査員のみなさん、スペシャルメンションありがとうございます。光栄です。みなさん良い夕べを!」
Q&Aに登壇した音楽と音響を担当したギオルギ・コベリゼさん(監督の兄弟)
★審査員特別賞 『しびれ』(日本)
監督:内山拓也
■選考理由:審査員特別賞は、バランス感覚を体現する作品に贈られます。沈黙と家庭内暴力に満ちた人生を凍える空気の中で呼吸しながらも、撮影される身体の動きから独特の温もりを引き出す映画です。荒削りでありながら感動的な本作の感情は、不確実性を受け入れる過激な映像的視点から生みだされています。それは呼吸を、遠くにそして近くに、静寂と変化の中で、柔らかくそして硬く、わたしたちに生き延びる姿を共有させてくれます。
内山監督登壇
「まずは撮影の光岡さん、照明の阿部さん、録音の白取さん、美術の福島さん。全員の名前をあげる時間をいただけないので、それが大変悔しいというか心苦しいのですが、全てのスタッフ、キャストの美しい仕事を誇りに思っています。また、これまで私の人生に携わってくれた全ての方々に感謝申し上げます。この映画は私の個人的な経験に根差している映画で、田舎の貧困層に生きる1人の少年の姿を映し出しながら、経済的なことのみならず、社会のあらゆる階級に生きる心の貧困の存在、その存在に光をあて、祝福することを目指しました。国内外問わず、様々な状況下の中であらゆる方々が生きていると思うけれども、そういった方々が心穏やかに映画を楽しめる世の中に少しでもなることを心から願っています」
★最優秀作品賞『サボテンの実』(インド、イギリス、カナダ)
監督:ローハン・パラシュラム・カナワデ
■選考理由:私たちの心を強く揺さぶった1作品がありました。抑圧と宗教的厳格さに特徴づけられる社会のなかで、二人の青年が繊細な距離を縮めていく姿を描いた作品です。この旅路は、繊細な脚本と緻密な映像言語によって導かれ、この作品の静かなささやきは、誰もが自由に呼吸できる世界への力強い叫びへと昇華しています。
カナワデ監督ビデオメッセージ
「たった今「サボテンの実」が最優秀賞を受賞したと、すばらしい知らせを聞きました。私はちょうど明日から映画の公開のためロサンジェルスにいるのですが、受賞の知らせにとても喜んでいます。審査員のみなさん、「サボテンの実」を最優秀賞に選んでいただきありがとうございます。この栄誉を謹んでお受けします。映画祭にもこの作品を上映くださりありがとうございます。観客のみなさんが、この映画で私たちの作品の体験を楽しんでいただけたらと願います。映画祭、審査員、観客のみなさん、ありがとうございます!」
Q&Aに登壇した主演俳優ブーシャン・マノージさん
最後に、会場にいた受賞者と審査員の記念写真
神谷直希(プログラムディレクター)国際審査員ラモン・チュルヒャー Glenn BARIT(タレンツ・トーキョー)、内山拓也監督(『しびれ』)、国際審査員マティアス・ピニェイロ、ソン・ファン
授賞式が終了し、クロージング作品『大地に生きる』(監督:フオ・モン、中国)が上映されました。
報告・写真:景山咲子