東京国際映画祭『死神の来ない村』(イラン) 11/2 Q&A 

★アジアの未来部門 国際交流基金アジアセンター特別賞
『死神の来ない村』

原題:piremard'ha nemimirand(老人たちは死なない) 英題:Old Men Never Die

監督:レザ・ジャマリ
出演:ナデル・マーディル、ハムドッラ・サルミ、サルマン・アッバシ
2019年/イラン/ペルシャ語、トルコ語/87分/カラー

*物語*
山深い風光明媚な温泉のある村。年老いた独身の男たちが村はずれで寄り添うように暮らしていている。死刑執行人をしていたアスランが、45年前にこの村に来て以来、ここでは誰一人として死んでいない。長寿の村と聞いて、病気がちの父親を連れて移住してきた女性の営むチャイハネに集うのが楽しみだ。皆、これまで愛を知らずに過ごしてきたことを悔いていて、ついに、一人がチャイハネの彼女に求婚する。が、察知した父親が他の若い男との結婚を決めてしまう。もう夢も希望もないと自殺を図る者も。駐屯する警察官たちは、老人たちが自殺しないよう見守る日々だ・・・
https://2019.tiff-jp.net/ja/lineup/film/32ASF05

11/02(土) 18:10~ と 11/04(月) 11:05~の2回上映されました。

◎11月2日(土)18:10からの上映後 Q&A

登壇者:レザ・ジャマリ監督
司会:石坂健治さん   
通訳:ショーレ・ゴルパリアンさん
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司会:ようこそお越しくださいました。

監督:長編デビュー作を一緒に東京で観るのを楽しみにしていました。ワールドプレミアで日本で上映いただき光栄に思っています。最後まで観ていただきましてありがとうございます。

司会:ロケ地について教えてください。

監督:
トルコに近いアゼルバイジャン州のアルデビールの町のまわりに美しい村がたくさんあります。険しい道を越えていく美しい場所にあります。映画のすべてはアルデビールの近くで撮りました。

司会:温泉がたくさんあるところなのですね。

監督:サーレインという有名な温泉地の近くに死火山があって、まわりには古い温泉地がいくつかあるのですが、その中から選びました。村人たちがいつも使っている温泉です。

司会:
女湯もあるのですか?

監督:午前中は女性用で、午後から男性用になります。おじいさんがメインの話なので午後の撮影が多かったのですが、一日貸切にしたことも数日ありました。

*会場よりQ&A
― 面白い映画でした。年老いた独身の男たちのコミュニティーが出てきましたが、実際似たようなコミュニティーがあるのですか? ないとしたら、なぜ思いついたのでしょうか? 話はもちろんフィクションだと思いますが。

監督:すべて私が想像したものです。結婚したことがなくて愛や恋の経験のない男たちが一緒に暮らしているのですが、恋もしてないことを後悔して、こんな人生はつまらないから自殺してしまおうと思っているさまを想像して描きました。

― 俳優のおじいさんたちの年齢は? ベテランの人たちですか? それとも素人でしょうか?

監督:70代以上の素人の人たちです。あの村の人もいましたが、オーディションで選んで別の村から連れてきた人もいます。素人なので、台詞を覚えるのは無理なので、前もって話をしておいて、細かいことはその場で指示しました。ジャバールという面白いおじいさんに、こういう風にと台詞をお願いして、先導してやってもらいました。
メインのアスランを演じた人だけは、舞台役者です。カメラの前で演じるのは初めてでした。他のおじいさんたちは、これまで刺激がなかったので、撮影現場をとても楽しんでくれました。

― (女性がペルシア語で) ユニークなアイディアはどこから浮かんだのですか?

監督:10年前に同じテーマで短編を作り、イランの映画祭で多くの賞を貰いました。批評家の方からぜひ長編をと言われました。いろいろ大変な中で準備したのですが、おじいさんたちを選ぶのが特に大変でした。

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― 言語について伺います。トルコ語とペルシア語が入り混じっている状況を選んだのはなぜですか?

監督:あの村ではトルコ語(アゼリー)で話しているのですが、45年間誰も死んでいないという話を聞いて、母親を亡くした娘が病気がちの父親を連れてきます。 よそから来た彼女たちはペルシア語を話しているという設定です。
(注:トルコ語といっても、トルコ共和国の国語であるトルコ語とは違って、「アゼリー」と呼ばれるアゼルバイジャン地方で使われているトルコ系の言葉。ペルシア語が母語のイラン人には解さない人が多いのですが、親のどちらかがアゼリーが母語だったり、まわりに話す人がいたりすると、聞いてわかるという人もいます。)

― 彼らはムスリムでしょうか? だとしたら、自殺は原罪にあたると思いますが、どういう状況で自殺しようとしたのでしょうか?

監督:
もちろんイスラームでは自殺はハラーム(禁忌)ですが、彼らは村はずれに住まいを作っていて、普通の村人よりも偏見を持っています。アスランも自殺は大罪だと知っているけれど、死なない状況の中で自殺を考え始めます。皆、自殺は罪だとわかっていても、もうこんな人生は嫌だと思っているのです。

― アスランさんの声がよく通るので、舞台俳優だとわかって納得しました。
アスランが温泉で自殺をはかるけど助かったあと、そばで歌を歌っていたおじいさんがいましたが、そのような役割をする人がいるのでしょうか? また、歌詞の内容は?

監督:アスランは舞台俳優で声が通るのですが、ほかの人たちが素人なので、声のトーンを抑えてもらいました。それでも、やっぱり声が通ります。
歌詞は、死なないで、人生には美しいものがたくさんあるのだからという内容です。

― 寓話的なオフビートのブラックコメディーでした。どいう映画作家に影響を受けてきましたか?

監督:
特に影響を受けた作家はいません。これまでに17本の短編を作ってきました。私が描くのは暗いテーマが多いので、明るい台詞や場面を入れるようにしています。これまでの作品もブラックコメディーのようなものが多いと思います。

司会:最後のひとことを!

監督:
サンキュー!
(短いひとことでした!)

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とても真面目な感じのレザ・ジャマリ監督でした。
故郷アルデビールの風光明媚な場所をたっぷりと見せてくださいました。
温泉で有名なサーレインの町は訪れたことがありますが、まさに温泉街で、熱海か草津のようでした!
このあたりは蜂蜜も有名なところで、温泉街には蜂蜜を売るお店が並んでいました。
映画に出てきた温泉は、ひっそりと味わい深いものでした。
岩と岩を結ぶつり橋も出てきました。いつか訪れてみたいと思いました。

取材:景山咲子




東京国際映画祭『湖上のリンゴ』(トルコ) 記者会見(11/1)

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東京国際映画祭 コンペティション部門
『湖上のリンゴ』
原題:Aşık  英題:Food for a Funeral  
監督:レイス・チェリッキ
出演:タクハン・オマロフ、ズィエティン・アリエフ、マリアム・ブトゥリシュヴィリ(『とうもろこしの島』)
2019年/トルコ/トルコ語/カラー/103分

*物語*
凍った湖上にかじりかけのリンゴを見つけたサズ(伝統楽器)を抱えた老人。連れの老人が、「かじったのは美しい娘?毒リンゴ?」と声をかける。寓話的な幕開け。
日照りの続く辺境の地。伝統楽器の演奏家アシーク(吟遊詩人)をめざす少年ムスタファ。老師の教えは厳しい。父を亡くしたムスタファは一家の大黒柱。なんとか独り立ちしたい。
村はずれの山の上にお墓がある。ムスタファが友人たちと墓におしっこをひっかけた為に、雨が降らないと村人たちにうらまれる。
ムスタファは老師に連れられ、国境を越えジョージアに赴く。アシークの集い。男女年齢も様々なアシークがそれぞれの声を披露する。ムスタファは、ジョージアの名産のりんごを恋心をいだく年上の村娘へのお土産に持ち帰るが、なかなか渡せない。やがて、彼女は嫁ぐことになり、結婚式の日を迎えてしまう・・・

◎記者会見

11月1日(金)12:53~ 

登壇:レイス・チェリッキ(監督/脚本/編集)、ディレキ・アイドゥン(プロデューサー)

監督:人々が忘れかけていたような、心に染みる言葉を綴りました。

アイドゥン:楽しんでいただけましたでしょうか? 皆さんのご意見をお待ちしています。

*会場とのQ&A*
― (トルコの方)多くのトルコ映画が海外で上映されていますが、イスタンブル出身の監督が田舎で撮ったものは、地元の人たちに全然違うよと言われることが多い中、本作は監督が出身地に戻られて作っていらっしゃいます。

監督:生きとし生きるものがあります。そして大地があります。生きた大地に勝さるものはありません。文化もそう。人間の心の中にあるいろいろなものを持ちづ付けて大地に戻ります。
映画を作る時に、映画監督でなく、私はただただ語り部。そのように生きていかねばと。
自分の生まれ育った大地に帰っていくこと。文化に対しても親身な感情をもってないといけないと思います。

― 圧倒されました。場所がトルコからジョージアへと移りますが、境界線が見えません。あえてそのように描いたのでしょうか? 場所が移ると、言葉もジョージア語になっているのでしょうか? トルコの人たちは解することができるのでしょうか?

監督:人々が生きている中で、ボーダーが今はあって問題を起こす人々がいます。私はボーダーは好きではありません。ジョージアとトルコは行き来できて、トルコ人もジョージアにいるし、逆もあります。言葉もそれぞれで共有しあえます。
ジョージア語で話していても、トルコ語の話者も理解できます。
人間を人間にするのは話すこと。だから話さないといけません。
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司会:トルコの方もジョージア語がわかるのですか?

監督:国境地域の人たちはそうです。私の生まれ育ったところの人は、ジョージアの言葉を理解できます。ジョージア側にも、トルコ人のムスリムも住んでいて、行き来があります。

司会:アシークという名人は、トルコにもジョージアにもいるのですね?

監督:はい、両方にたくさんいます。

司会:歌手の女の人はジョージアの人ですか?  

監督:ナルギル・ハーノムたちは、ジョージアで暮らすトルコ人のアシークです。お母さん役はトルコのクルド人です。私自身の背景も、トルコ、クルド、ジョージアが混じっています。

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©Kaz Film
― 英語タイトルは、『Food for a Funeral』です。赤いリンゴがただ望みを叶えるのでなく、生死にかかわる気がしました。

監督:
リンゴは、メタファーとして人間が創生されたときのアダムとイブの話に使われます。 原罪、生きるものの象徴として使われます。
映画のもともとのタイトルは、私の村で子どものころの教師で、後に偉大な作家になったドルスン・アクチャイ先生の描いた本のタイトルです。インスピレーションをいただいて、いつか映画にすると約束していました。それが実現しました。着想を得て、物語にしました。

司会:アイドゥンさんに伺います。この映画をプロデュースしようと思った一番のモチベーションは?
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アイドゥン:若い世代のプロデューサーの一人なのですが、できるだけモダンな都市の映画を作っています。多くの田舎を舞台にしたものがすでに作られていますので。でも、今回の脚本を読みましたら、これまでのものと全く違いました。、詩的な要素の多いものでした。失われつつある文化で、こういう芸術を私自身知らなかったので、ぜひ人々に伝えたいと思いました。


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出演者の名前をみて、タクハン・オマロフ、ズィエティン・アリエフの二人は、トルコ風の名前にロシア風の末尾、マリアム・ブトゥリシュヴィリの末尾のヴィリは、ジョージアの苗字に多いので、どこの方が演じているのか気になっていました。
公式インタビューに、アシークの老師と少年役は、監督がドキュメンタリーの撮影でジョージアのトルコ系やアゼルバイジャン系の人々がともに住む土地に行き、出会ったアシークとのこと。また、村娘役はジョージアのギオルギ・オヴァシヴィリ監督の『とうもろこしの島』(TIFF2014上映)に子役で出演していたのを観て、印象に残っていて起用したとのことです。女性に発言権のない、閉塞的な社会。旧弊な社会で望まない結婚を強いられ、自分の理想とか意思を実現できないという女性であるため、言葉を発しない役にすることができ、言葉の壁を乗り越えたとのことです。
また、村はずれのお墓に少年たちがおしっこをひっかけて叱られますが、アルメニア人がお金を埋めてお墓に見せかけているだけだと反発します。この地にいたアルメニアの人々が追い出されたことにも思い至りました。(咲)

なお、レイス・チェリッキ監督には、これまでに2度インタビューしています。
アジアフォーカス・福岡国際映画祭2009年『難民キャンプ』 シネマジャーナル77号に掲載
東京国際映画祭2012年『沈黙の夜』(最優秀アジア映画賞) シネマジャーナル86号に掲載

報告:景山咲子

大林宣彦監督・第32回東京国際映画祭、特別功労賞受賞&『海辺の映画館-キネマの玉手箱』ワールドプレミア上映

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11月1日、大林宣彦監督が第32回東京国際映画祭の特別功労賞を受賞し、チェアマンの安藤裕康氏からトロフィーが授与された。

最新作「Labyrinth of Cinema=海辺の映画館 キネマの玉手箱」上映後の舞台挨拶に車椅子で登壇した大林監督。作品に欠かせない女優の常盤貴子も花束贈呈役として登場。「貴子ちゃ〜ん、貴子ちゃ〜ん、どこだ~い?」急に呼び出す自由な大林監督の声に、慌てて舞台袖から飛び出すと、「ねっ!女優さんが来ると盛り上がるでしょ?」。場内は明るい歓声に満ちた。

日時:2019年11月1日 (金) 19時55分〜
場所:東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズ


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安藤チェアマンから、「30年は撮ってほしい 、映像純文学!」と水を向けられると、「1000年でも約束しますよ!」と高らかに宣言する大林監督。

トロフィーを手にした大林監督は「貴重な功労賞を頂きました。すごいね、重いね。まだまだ、やっていないことの方がいっぱいある。やらないことをやれば星の数ほど面白いことができる。これから3000年は生きますよ!」”3000年宣言”に場内は爆笑、大きな拍手に包まれた。

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この日がワールドプレミアとなった最新作『Labyrinth of Cinema=海辺の映画館 キネマの玉手箱』は、久々に監督の故郷・尾道の映画館を舞台にし、若者たちが“戦争映画”の世界にタイムスリップするファンタジー。「前作の『花筐 HANAGATAMI』はサヨナラホームランで、今回は場外ホームランだって言ってくれた人がいましたよ。とにかく仰天してください。仰天することが何よりも映画の魅力です」と観客へ呼びかけた。

同作に出演する厚木拓郎、細山田隆人、細田善彦、吉田玲(新人)、山崎紘菜、常盤貴子が登壇。まず、MC役の安藤紘平氏が、「酷暑の中でブルーバック撮影をこなしていた大林監督。見学に訪れた山田洋次監督が、『これはどういう映画?』と驚いて予想もつかない様子だった」と現場の雰囲気を語った。

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厚木拓郎、「20年ぶり尾道で撮ると感動の声が違う」
ヒロインの吉田玲、「大林組は初参加。方言やアクションなどあって緊張。 教科書よりも良い教材でした」

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大林作品3作目の常盤は、「お話ししていると、全てのネタが映画になる。サービス精神旺盛な大林監督が、私たちに走馬灯を見せてくれた奇天烈な験(笑)。こんな映画を撮れる人はいないと思います」
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山崎紘菜(後列右から2人目)「私は大林校長の生徒!ミュージカル、アクションを演じたいという夢を叶えてくれた」
細山田隆人(左から2人目)、「今日が世界初公開!監督の仰ったことが咀嚼しきれないほど沢山あり過ぎて…。災害時に監督は『あの戦争の匂いがする』と呟いたのが印象的」
細田善彦(左端)、「男優2人が長々と喋ったので僕は短めに(笑)。初の大林組参加で最も成長できたのは僕!」

と、それぞれが撮影と映画の完成について振り返った。

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肺がんのステージ4で、3年前に余命3カ月と宣告された大林監督。そのお茶目で楽しげな様子から、映画を本当に愛している精神、次世代に伝えたいことがひしひしと伝わってきた。3000年後も大林監督が映画の創り手であるのが不思議ではないと思えた夕べだった。
撮影・文:大瀧幸恵


2019年製作/179分/PG12/日本
配給:アスミック・エース
(C) 2020「海辺の映画館ーキネマの玉手箱」製作委員会/PSC
★2020年4月公開★

東京国際映画祭 『オーバー・エベレスト 陰謀の氷壁』 ワールドプレミアイベント

東京国際映画祭 特別招待作品
『オーバー・エベレスト 陰謀の氷壁』

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ワールドプレミアイベント
2019年11月3日(日)午後5時 TOHOシネマズ六本木屋外階段
登壇舎:役所広司(63)、テレンス・チャン(70)、チャン・ジンチュー(39)、リン・ボーホン(31)、ユー・フェイ監督(41)

『オーバー・エベレスト 陰謀の氷壁』

ヒマラヤ救助隊「チーム・ウィングス」の隊長で“ヒマラヤの鬼”と呼ばれるジアン(役所広司)は、国際会議直前に墜落した輸送機から機密文書を奪還する指令を受ける。遭難した恋人を探すために救助隊に入った女性隊員シャオタイズ(チャン・ジンチュー)や、情熱溢れるヘリパイロット・ハン(リン・ボーホン)と共に、果敢にミッションに挑む。

シネジャ作品紹介

提供:バップ/配給:アスミック・エース/
©Mirage Ltd. 
2019/中国・日本/110分/PG-12
公式サイト:http://over-everest.asmik-ace.co.jp/
★2019年11月15日(金)全国公開!!


◎階段イベント
TOHOシネマズ六本木へあがる屋外階段でのイベント&フォトセッションを取材しました。
この日は、朝から大階段の端っこだけを残して、青い絨毯で階段が覆われ、階段の一番上には、ゲートが設けられ、下から眺めると、まさにエベレストの頂上を目指すような趣。

午後5時、CO2噴射特攻による白い煙があがって、階段上のゲートから、まずテレンス・チャンとユー・フェイ監督、続いて、チャン・ジンチューとリン・ボーホン、そして最後に役所広司が登壇。
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5人揃って、お辞儀したあと、また白い煙があがり、階段を『オーバー・エベレスト 陰謀の氷壁』のボードのあるところまで下りてきました。

◆挨拶も様々な言語で
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役所広司:今日はオーバー・エベレストのためにお集まりいただきましてありがとうございます。11月15日から始まります。皆さん、応援してください。

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チャン・ジンチュー:大家好! ここに来られて嬉しいです。日本の観客の皆さんにご覧いただけるのが嬉しいです。(英語で挨拶)

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リン・ボーホン:ミナサン、コンバンハ。(日本語での挨拶に「ワーォ!」とジンチューさん) 私はリン・ボーホンです。 この東京国際映画祭に初めて来ました。どうぞよろしくお願いします。(すべて日本語で!)

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ユー・フェイ監督:特別招待作品に招かれ、ワールドプレミアを迎えることができるのをとても光栄に思います。エベレストは文化的にも歴史的にも平和の的であり、冒険家の楽園でもありました。この映画は自らの理想を求めて闘い続け、挑む物語です。今回、
日本、中国、カナダなどたくさんの国の方たちと協力して作ることができました。今後の国際共同製作にも貢献できることを願っています。映画を気に入ってくだされば嬉しいです。

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テレンス・チャン:今回はプロデューサーを務めました。東京国際映画祭にご招待いただき光栄に思っております。ワールドプレミアをご覧になった皆さまがこの映画を好きになっていただけることを願っております。


◆27時間も役所さんをワイヤーに吊るした監督
役所:怪我もたくさんしましたが、ワイヤーアクションは初めてでした。ジンチューさんを助ける場面だったのですが、助けるどころか、身体があざだらけになりました。いろいろ苦労しましあたが、映画では、ちゃんとジンチューさんを助けています!

ジンチュー:先程はどの言語で話せばいいかわからなかったので英語で話しましたが、中国語でいいと聞いて安心しました。エベレストの映画に参加したのはとても特別な体験でした。役作りは大変でした。27時間撮り続けても、監督は大胆で恐れ知らず。役所さんを27時間もワイヤーでつるすなんて、とてもできないことです。(笑)

ボーホン:僕にとっても過酷な撮影でした。ヘリコプターの操縦士役で、雪山でのアクションシーンもありました。寒さで震えるとコントロールできません。救助隊はメンタルの強いことが重要なのだとわかって尊敬します。

監督:一番好きなのが映画。2番目に好きなのが登山。2つの好きなものを融合できて嬉しかったです。エベレストは世界最高峰。いろいろな人の夢や物語が詰まっているところです。それを映画という言語で語るべきでないかと思ったのが本作の製作のきっかけでした。雪山でのアクションには、精神的なものも描かれています。愛のために、どこまでできるかが重要なテーマです。世界の果てまで歩いていきます。夢や理想を持っていて、なんとか実現させたいと夢想することがあると思います。諦めかけたとしても人生は続いていきます。

テレンス:最初、本作の製作を受けるかどうか迷いましたが、監督の才能と、映画に対する誠意に心を動かされました。アクションはジャッキー・チェンのチームで素晴らしい仕上がりになっています。監督はとても感情豊かで、エモーショナルな部分が伝わってきます。スリルもあり、緊張感あふれるシーンもたくさんありますが、最後には感動的な場面もあります。


◆映画という言語で素晴らしいチームワーク
MC:役所さん、国際的なチームで、ワイヤーアクションも。一番チャレンジングだったのは?

役所:大家好! (中国語での挨拶に、ジンチューさんたちが笑う! 役所さんも照れ笑い)
日本語、北京語、広東語、英語と現場はいろんな言葉が行き交い、コミュニケ―翔央が難しかったけれど、映画という言語で素晴らしいチームワークが取れたと思います。前半、足を怪我をして、スケジュールに迷惑をかけました。今でも申し訳なかったと思っています。皆さんいたわってくれて感謝しています。
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MC:ジンチューさん、救助隊の鬼を演じる役所さんとの撮影はいかがでしたか?

ジンチュー:役所さんとは初めての共演でした。目が凄い。凄すぎる。疑い、絶望、自愛・・・ 様々な感情が出ていました。役所さんに引っ張られて高まることができました。台詞は私が中国語、役所さんが日本語。でも、障害はありませんでした。最後の方で役所さんが「重いよ」という短い台詞がありますが、実はアドリブ。ほんとは長い台詞でした。喜びに満ちた驚きが心からのものになりました。役者にとって、頂点に立ったとき、言語は関係ありません。とても貴重な体験でした。
もう一つ、ワイヤーでつるされて、そのシーンを撮影している時には気づかなかったのですが、撮影が終わって、役所さんの身体を見たらアザだらけでびっくりしました。撮影中は愚痴ひとつこぼさず、撮影が終わって役所さんがにこにこ笑ってらしたので、ほんとにプロフェッショナルだと、とても感動しました。

ボーホン:役所さんの大ファンで、共演に興奮しました。まさか一緒にできるとは! 
プライベートの役所さんは優しくて穏やかな方でした。初めての本読みの時、すでに役所さんの雰囲気はヒマラヤの鬼。普段の役所さんではありませんでした。それに皆、すぐにエベレストの世界に入ることができました。
映画を観てみると、映画の序盤はアクションやスリルのあるシーンで興奮して観ることができます。徐々にドラマチックでエモーショナルな物語が展開していって、悪魔のようなだった隊長が、優しい面を見せてくれます。ミッションをクリアーしていきます。僕自身、映画を観て、ほんとうに感動しました。
カナダチームとの5分くらいの長回しで、すべて英語の台詞だったのですが、リハのときに役所さん一人台本も持たず、すでに暗記されていたので、尊敬しました。神のような存在だと思いました。
(長いスピーチに、役所さんが通訳さんに「大丈夫?」といたわりました。)

MC:監督、長編初作品ですが、こだわったことを教えてください。

監督:先ほど、すべて言ってしまったのですが、特にこだわったのが役者とのコミュニケーションをとって一緒につくりあげることでした。映画は人と人との化学反応でもあると思います。エベレストという極限状態の中で大変なことも多々ありましたが、ベストのものが出来たと思います。

MC:テレンス・チャンさん、日中合作で役所さんとの初めての仕事、いかがでしたか?

テレンス:想像していたよりも素晴らしい俳優。これまでにもいろいろな役を演じられているのを観てきました。脚本より鮮やかな人物を作ってくれたことに感謝しています。


◆ぜひ劇場へ!
役所:たくさん褒めていただいて嬉しいです。ジンチューさんが、僕が一言も愚痴を言わなかったと言ってましたが、日本語だったのでわからなかったのだと思います。
いろいろな国のキャストが集まって、監督の初作品のために力を合わせて頑張りました。チームリーダーとしてジンチューさんは各国のキャストスタッフに気を使って、映画全体を引っ張っていってくれました。
11月15日から公開されます。東京国際映画祭に招待していただいたことを心から感謝します。公開が始まったら、たくさんのお客様が来てくださいますよう、皆さんのご協力をお願いします。ありがとうございました。

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フォトセッション

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CO2噴射特攻の白い煙がまたあがり、イベント修了。

この後、スクリーン2に場所を移動して、観客の皆さんの前で舞台挨拶が行われました。こちらは取材しませんでしたので、他誌サイトのレポートをチェックしてみてください。

撮影・報告:景山咲子


第32回東京国際映画祭『フォークロア』シリーズ「TATAMI」「母の愛」 Q&A

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第32回東京国際映画祭の「CROSSCUT ASIA #06 ファンタスティック!東南アジア」で、エリック・クー製作総指揮によるHBOアジア製作オムニバスホラー「フォークロア・シリーズ」のうち2作品が上映された。
日本編「TATAMI」の齊藤工監督、北村一輝と、インドネシア編「母の愛」のジョコ・アンワル監督が登壇し、観客とのQ&Aに応じた模様をレポートしたい。

フォークロア(伝承)シリーズは、インドネシア、日本、韓国、マレーシア、シンガポール、タイのアジア6ヵ国の監督が、各々の国の文化、風土、社会の中で培われた伝承をテーマにしている。

日時:10月30日
場所:東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズ
登壇:斎藤工、北村一輝、ジョコ・アンワル


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日本編は齊藤工監督が初のホラー作品に挑戦した意欲作。父の葬儀に帰郷した男が、家族の秘められた過去を知る…という物語。

司会:撮る題材の着想はどこから?
齊藤:この企画を聞いたのは何年も前。『Blank 13』をプロデューサーが観てくれていた。僕が主演した『家族のレシピ』のエリック・クー監督から声をかけて頂いた。ホラー映画のアジア選手権のような気持ちで胸が踊った。日本の伝承として畳が浮かんだ。”畳”という言葉は日本語でしか表せず、英語はない。まず言葉から入った。 美術スタッフに藁人形200体を作って貰い、”念”を表現したかった。

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司会:役作りはどうでしたか?
北村:芝居を上手く、ではなく世界観、監督が何を表現したいのか、映画の魅力を伝える使者として演じた。映画では耳が聞こえない役なので、主人公を通して作品を観てもらう立ち位置と思い、客観視した役作り。どうカメラに収まるか、監督と相談しながらリアクションは最小限に心がけた。
司会:齋藤工監督は如何でした?
北村:怖かった(笑) 冗談冗談!十分な準備時間をとってくれたし、人柄のように爽やかな風が流れているような現場。作品とは雰囲気が違う。俳優を尊重し、ディスカッションしながら作っていけた。


20年前に業界に入って北村さんの撮影現場を見学したのが最初、という逸話を話してくれた齋藤監督。その北村さんを主演として映画を作れたことを誇りに思っているそう。
北村さんも「監督したら呼んでよ、と言っていたので実現して嬉しい」と2人の和やかな関係が伝わった。

「第51回シッチェス・カタロニア国際ファンタスティック映画祭」ワールドプレミア上映
「第32回東京国際映画祭」CROSSCUT ASIA部門出品
「Asian Academy Creative Awards」日本代表「TATAMI」3部門ノミネート
・主演男優賞:北村一輝/主演女優賞:神野三鈴/撮影賞:早坂伸UT ASIA部門出品

インドネシアのホラー王として知られるジョコ監督。
「母の愛」は、インドネシアでは大きな胸をもち、親に愛されない子どもを誘拐して胸の裏に隠すという女のお化けがいる。子供の頃に、早く家に帰らないとそのお化けにさらわれるよ、と母に言われた。なので映画は僕の母親がモデル。厳しい母親だったが僕を愛してくれた。男の子は僕がモデル。
と作品を解説した。

最後に齋藤監督から、
「TATAMI」は御殿場で撮影を行ったが、台風19号で大きな被害を受けた。御殿場でなければ作れなかった映画。一日も早い復旧を望んでいる。
と被災地への思いを語った。
また、アジア・太平洋地域16か国の中から優れたコンテンツを選出するAsian Academy Creative Awardsで、本作から主演男優賞(北村)、主演女優賞(神野三鈴)、撮影賞(早坂伸)に選出された

との報告があった。

フォトセッションでは、会場に来ていた出演俳優の名脇役・黒田大輔さんも呼び、自ら畳のモチーフを持ってカメラに収まった齋藤監督。まさに温かな風を感じる”ワンチーム”を見た思いだった。

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★BSスターチャンネルにて11月10日(日)より独占日本初放送★

写真・文:大瀧幸恵