第38回東京国際映画祭クロージングセレモニー報告 (咲)

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10月27日(月)に日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開幕したアジア最大級の映画の祭典である第38回東京国際映画祭。11月5日(水)に閉幕を迎え、クロージングセレモニーが行われました。
東京グランプリに輝いたのは、パレスチナの女性監督の作品『パレスチナ36』。
英国統治時代の1936年に、パレスチナで何があったのかを描いた映画で、パレスチナ情勢が混迷を極める中での受賞は意義深いものだと感じます。
本作については詳細を報告しています。
東京国際映画祭 東京グランプリ 『パレスチナ36』記者会見 Q&A報告 (咲)

受賞一覧は、こちら

クロージングセレモニーの模様を、受賞の発表順に登壇者のコメントと共にお届けします。


◆第38回東京国際映画祭 クロージングセレモニー◆
2025年11月5日(水)17:00-18:30
会場:TOHO シネマズ日比谷 スクリーン 12
MC:マイケル・リーバス

MC: 10日間の開催期間中、コンペティション、アジアの未来部門など国内外の作品184本の上映のほか、著名人による交流ラウンジ、野外上映会などが開かれました。期間中には黒澤明賞、エシカルフィルム賞など様々な授賞式も開かれました。映画祭の中盤を盛り上げるセンターピース作品として、山田洋二監督の最新作『東京タクシー』が上映され、山田洋二監督には特別功労賞が授与されました。また、今年もウィメンズ・エンパワーメント部門に力を入れ女性の活躍を応援、さらにアジア学生映画コンファレンスを新設し、新たな映画の未来への対策を目指しております。本日、無事にクロージングセレモニーを迎えることができました。

◆アジア学生映画コンファレンス
15作品の中から、作品賞と審査委員特別賞2作品が選ばれました。

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審査員 左から、クリスチャン・ジュンヌ(カンヌ国際映画祭代表補佐兼映画部門ディレクター)、映画監督 リティ・パン(審査委員長)、岡本多緒(俳優/モデル/映画監督)

岡本多緒さん講評:とても完成度の高い作品が多く、楽しませていただきました。自然と審査員全員が一致し、心から納得できる審査になりました。受賞に至らなかった方たちも、今後も独創性のある作品を生み出してほしいです。

審査委員特別賞 『永遠とその1日』 
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チュン・リーシュエン監督 (台湾芸術大学)
映画の中のような出来事が今も世界のあちこちで起きています。この世からこのようなことが一日でも早く無くなるよう、祈っています。

審査委員特別賞 『エンジン再始動』 
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チョン・へイン監督(韓国映画アカデミー)
あまりにも驚いてどう感想を申し上げていいかわかりません。この映画を一緒に創ってくれたチームのみんなに感謝を伝えたいです。何よりも応援してくださった韓国映画アカデミーの院長、先生方にも感謝を伝えたいです。

作品賞 『フローティング』 
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イ・ジユン監督(韓国映画アカデミー) 
映画祭で上映していただけただけでも光栄ですのに、受賞を嬉しく思っております。この映画は、個人的な場所から出発し、アメリカンドリームへの問いかけや悩みを映画の中で表現しました。苦労してくれた撮影監督やプロデューサー、デザイナーなどチームの皆に感謝を伝えたいです。先ほどチョン・ヘインさんが感謝を述べていましたが、韓国芸術アカデミー第41期の同期にもありがとうと言いたいです。この賞にはこれからも諦めずに映画を作ろうという意味が込められていると思います。これからも一生懸命映画を撮っていきます。


◆アジアの未来
長編3作目までのアジア(日本・中東を含む)の新鋭監督の作品を対象とし、新たな才能の発掘を目指す部門。10作品の中から作品賞が選ばれました。

作品賞『光輪』(韓国) 
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ノ・ヨンワン監督 
このような賞をいただけるとは思ってもいませんでした。このような国際映画祭の授賞式も初めてです。実は賞をいただける時には前日に知らせていただけると思っていました。連絡がなかったので、ダメだったのだなぁと慰める意味でお酒をたくさん飲んでしまいました。見えないところで頑張ってくださったスタッフに感謝したいと思います。この映画は光を目指して進んでいくのですが、ずっと影の中にいる状態が描かれています。主人公は宅配ドライバーです。見えないところで生活をしている平凡な市民の物語です。実は、今日、この場にも来ているのですが、本作のプロデューサーでもある私の妻の誕生日です。誕生日のプレゼントとして、この賞を分かち合えるのを光栄に思います。

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アジアの未来部門審査員との記念撮影
左から、西澤彰弘(東京テアトル株式会社 編成担当)、松永大司(映画監督)、ノ・ヨンワン監督、エレン・キム(釜山国際映画祭アジアンコンテンツ&フィルムマーケットディレクター)



◆コンペティション

観客賞受賞『金髪』
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安藤裕康チェアマンと坂下雄一郎監督

坂下監督:このような大きな映画祭で広く観客の皆さまから受け入れられたことを光栄に思います。また作品を作って、この映画祭で上映できるよう励んでいきたいと思います。

ここで、コンペティション部門審査員登壇
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カルロ・シャトリアン審査委員長 総評:
賞をお渡しする前に審査員を代表してお話しさせていただきます。映画祭に来るということは経験です。生きている映画を映画館において素晴らしい審査員と共に観るということはありがたいことです。安藤チェアマン、市山プログラミングディレクター、映画祭のスタッフの皆さんのご尽力に感謝します。映画の幅が、いかに広いかを象徴するセレクションに向き合うことになりました。この仕事は非常に難しかったですが、多様性を尊重することを大切にしました。標準化を推し進めようとする傾向の中で、非常に大きな成果だと思っています。様々な経歴、好みは異なりますが、すべての決定は合意の結果です。すべて満場一致で賞を贈呈しました。

最優秀芸術貢献賞授賞 
 『マザー』 

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左:ヴィヴィアン・チュウ 右:テオナ・ストゥルガル・ミテフスカ監督

ヴィヴィアン・チュウ 講評:
歴史上の人物を予想できない方法で、観客を常に惹きつける俳優の印象的な演技によって際立つ本作は、緻密な編集と型にはまらない音楽の使用によってさらに引き立てられています。

テオナ・ストゥルガル・ミテフスカ監督:
私は50歳になりましたが、18歳の少年のような大胆さをようやく見つけることができました。この映画が女性たちに力を与えることを願っています。私たちに力を!


最優秀男優賞授賞 
ワン・チュアンジュン 『春の木』 (中国)
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グイ・ルンメイ 講評:
演じる空間が限られている中、繊細で説得力のある演技を見せてくれました。この世代で最も著名な俳優です。

ワン・チュアンジュン:
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東京国際映画祭、そしてチャン・リル監督に感謝申し上げたいと思います。
私は目立つのが怖くて、いつも隅にいて口数も少ないのです。時には傲慢だと誤解されることもあります。年を取るにつれて、肝っ玉がどんどん小さくなっています。このような賞をいただくとは夢にも思ってなかったです。共演の女優のリュウ・タンさんに心から感謝したいと思います。彼女の素晴らしい演技が光となって、闇にいる私を照らし出すことになったんです。彼女の光のお陰で賞を受賞することができました。監督、カメラマン、編集、スタッフに皆さんに感謝したいと思います。
中国映画が今年120周年を迎える年に受賞できたことで、歴史の一部になれました。大変めでたいことだと思っています。私の母校の上海戯劇学院も来週80周年を迎えますので、とてもいいギフトになりました。上海にいる父親、さらに亡くなった母親、妻と二人の娘にも感謝したいと思います。妻は私よりもいい俳優です。小さな娘から、お父さんかっこいいといわれ、私も今ある人の光になったのだ、ほかの人に光を照らすことができればと思います。


最優秀女優賞授賞 
福地桃子、河瀨直美 (『恒星の向こう側』)

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齊藤工 講評:
分かり合おうとしなかった母と娘が、余命宣告と新たな命の誕生の隙間でお互いの体温を確かめ合いながら、限られた時間の中でゆっくりと本音で歩み寄っていく・・・。今年のコンペティション部門には力強く物語を牽引するヒロインたちが数多く登場しました。その中で、丁寧に静かに存在することに徹したお二人の姿はひときわ印象的で際立っていました。

福地桃子:
歴史ある素敵な賞をいただけて光栄です。生まれ育った故郷での映画祭で、大切な作品を通して映画に携わった一人としてお話しさせていただけることは身の引き締まる思いです。撮影したのがちょうど1年前のこの季節で、主人公を演じるにあたって、人物を見つめて追いかけて溶け合っていくような時間は決して一人では乗り越えられる時間ではありませんでした。この物語を生み出してくださった中川監督、そして、大変な撮影の中、理解を深めて撮影する環境を徹底して作ってくださったチームの皆さん、そして、共に受賞することができた母である河瀨直美さんに感謝したいと思います。
この経験を胸にこれからも1つ1つの作品に向き合ってまいりたいと思います。

河瀨直美:
監督として映画祭に参加したことはあっても、俳優としてこのような場に立たせていただけたのは中川監督のおかげです。チームや共演の皆さんがいたからこそ、自分自身のすべてを出し切れたのかなと思っています。難しい役柄でしたが、娘役の福地さんとは衣装合わせした時から、あまり話さないという徹底した役積みをしていました。カットがかかっても冷たい態度を取り続けて、嫌われたかなと思っていましたが、最後に彼女の温かさを背負えた瞬間に自然と涙が溢れました。人はきっとこうして繋がって、その温かみを自分のものとして感じられた時に、生きていてよかったなと思える、そういう生き物だと思っております。
レッドカーペットを歩かせていただいたときに感じた思いをお話しさせてください。コロナのあと、世界では人と人が殺めあう現実があります。ここ東京では映画という芸術を通じて国を超えて繋がりあえる素晴らしい体験ができることを幸せに思いながら歩かせていただきました。
私自身が俳優としてここに立たせていただきましたが、私自身の最新作では中川監督に俳優として出ていただいております。表現者が立場を超えて、繋がりあっていく、生きているそのことだけが表現であることを噛みしめながら感謝したいと思います。


最優秀監督賞
アレッシオ・リゴ・デ・リーギ監督、マッテオ・ゾッピス監督(『裏か表か?』) 
チャン・リュル監督(『春の木』)


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ヴィヴィアン・チュウ、チャン・リュル監督(『春の木』)、アレックス・C・ロー(『裏か表か?』プロデューサー)、マチュー・ラクロー

ヴィヴィアン・チュウ&マチュー・ラクロー講評:
二つの全く異なる映画に心を動かされました。
ウェスタンというジャンルをイタリアに現代な形で復活させ国の歴史を書き換えました。

チャン・リュル監督(『春の木』):
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先ほど、主演のワン・チュアンジュンが登壇しましたが、まったく笑顔がありませんでした。私も笑いが上手ではないのですが、努力してみます。私の作品を評価してくださりありがとうございます。またこの場を借りて俳優の皆さん、チームの皆さんに感謝したいと思います。製作会社、配給会社にも感謝します。個人的に、監督賞はチーム全体に与えられる賞だと思っております。映画人として誰もが知ってると思いますが、チームに誰もいなければ監督はただの馬鹿です。50年前のクルーのことなのですが、リーダーが壇上にいて、下に座っている者たちに聞きました。君は何が得意?と聞いて、脚本、撮影、美術と決めていきました。ずっと下を向いていた人に聞いたら、「話をするのが上手じゃない」と答えたので、「じゃ君は監督だ」と。このリーダーは映画製作の本質を見抜いていたと思います。皆さまの健康と幸せを心からお祈りいたします。

『裏か表か?』 アレッシオ・リゴ・デ・リーギ監督、マッテオ・ゾッピス監督 
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動画でメッセージ:
いま、ちょうどローマにもどり最優秀監督賞の受賞を知ったところです。とても嬉しいです! とてもとても興奮しています! いまちょうど荷物が回ってくるのを待っているところです。東京国際映画祭そして審査員の皆さん、この賞をありがとうございます。東京で素晴らしい時を過ごしました。映画を見てもらったこと、観客からの反応など、映画祭が私たちを招き入れてくれたこと、そしてこの素晴らしい賞をありがとうございます。


審査員特別賞受賞
 『私たちは森の果実』

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左:マチュー・ラクロー 右:リティ・パン監督
(審査員一人一人に握手してから写真撮影に臨まれました)

マチュー・ラクロー 講評:
森林破壊という厳しい現実に直面したコミュニティに着目し、伝統を失うこと、人々への表現の機会を与えることで映画はレジリエントなものの味方だということを教えてくれました。

リティ・パン監督:
たくさんの方にお礼を申し上げたいと思います。とりわけこの会場にいるプロデューサーのカトリーヌ・デュサールさんに感謝を申し上げたいと思います。4年にも及んだ撮影期間、長旅でしたが、ずっとサポートしてくださいました。この映画に出てくる家族にも感謝したいと思います。たくさんのことを学びました。謙虚であること、世界の観方も学びました。メルシー。

東京グランプリ/東京都知事賞授賞 
『パレスチナ36』(アンマリ―・ジャシル監督)

カルロ・シャトリアン審査委員長 講評:
この作品の感情面で心を動かされました。ほぼ未知の歴史的事実を描き、土地の美しさに魅了されました。今は開いた傷のように見えています。審査員満場一致で決定しました。

アンマリ―・ジャシル監督は、すでに帰国され、少女アフラ役を演じたワーディ・エイラブーニさんが登壇。
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小池百合子東京都知事:
世界中の才能が東京に集って、映画という芸術を通じて新たな物語が紡がれていくことを大変嬉しく思っております。映画は言葉、文化の壁を超えることができます。心を繋ぐ力を持っている大変パワフルなアートでございます。世界中で残念ながら分断が起こっていたり、自然災害が猛威を振るっていたりします。人の心を癒してくれ、悲しみや苦しみ、そして楽しみや喜びを表現する映画は大変な力を持っているものでございます。
今年からアジア学生映画コンファレンスが新設されたということで、アジア各国の学生さんたちの挑戦がこのコンファレンスを通じて大きく広がることを心から期待を申し上げます。東京から発信される映画の魅力が多くの人々の心に届くことを、そして東京国際映画祭が創造性と多様性に満ちた文化の祭典として今後もますます発展し続けることを期待しております。

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審査員全員とフォトセッション

アンマリ―・ジャシル監督 動画でメッセージ:
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映画祭でとてもすばらしい数字を過ごしたあと、わたしはちょうど帰国したところです。初めての日本、東京の滞在で、この映画を観客の皆さんに見ていただき、とても特別な気持ちです。作品を評価していただき映画祭に招待してくださった市山尚三さんにはとても感謝しています。そして帰国後、審査委員からすばらしい知らせをいただきました。審査委員のみなさま、わたしたちの映画『パレスチナ36』をこの賞に選んでくださり、本当に光栄です。このような賞をいただけて、チームにとってもわたし自身にとっても、この作品の制作に懸命に力を尽くしてきたすべての人たちにとって、大きな意味を持つものです。この作品をみなさんにお見せしてこのような栄誉を頂くことは本当にすばらしいことです。ありがとう、ありがとうございます。みなさん、すてきな夜をお過ごしください。

ワーディ・エイラブーニ:
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こちらに来ることができとても光栄に思っております。素晴らしい皆さんと一緒にこの素晴らしい重要な賞を受けることができたのは、あまりにも大きな意味を持っています。
映画祭、審査員の皆さま、『パレスチナ36』を支えていただき、ありがとうございます。受賞できてとても光栄です。またこの作品に関わることができてとてもうれしいです。


<クロージング作品>
『ハムネット』
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クロエ・ジャオ監督:
クロエです。この映画を作りました! もうすぐ皆さんにご覧いただくことができます。

MC:これまでアメリカの大地や様々な土地で人々を撮ってこられました。今回は、16世紀のイギリスを舞台にされていますが、どんな人間の姿に惹かれて、この物語を撮られたのでしょうか?

監督:最初の4つの長編はなるべく遠くへ、広く世界のありとあらゆるところで水平線を追いかけてきました。『ハムネット』を作った私は、今までと違う40代の監督です。より内なる風景に目を向けました。一つのフレーム、一つのステージに制約し、自分の中に深く入り込むことをこの映画では目指しました。内なる風景のより深いところを探求しました。

MC: 『ハムネット』は、シェイクスピアという偉大な名前の陰にある家族の物語でもあります。400年以上前の出来事を描きながら、今を生きる私たちに通じるところがあると思います。監督ご自身はどのような普遍的な感情を描こうとされたのでしょうか?

監督:主に悲しみでしょうか。悲しみというのは人間の非常に自然な感情です。四季が移り変わり、人が生まれ、死ぬ。これは宇宙の自然な状態です。物事は永久に続かない。しかし我々は生と死のサイクルの一部であることを忘れてしまい、それに抵抗することで多くの苦しみが生まれます。悲しみにどう対峙するのか。悲しみが喜びと同様に私たちを結びつけます。

MC:ご覧になる観客には、どのように受け止めてもらいたいですか?

監督:わかりません。どんな感情を持たれてもかまいません。感じたいことを感じてほしいと思います。この映画は、ストーリーテリングの力を称えるものです。古くから、私たちの祖先は人間であるとう矛盾を語ってきました。愛をもって心を開く、しかしいつか愛を失って、死んでしまう。この人間であるということは、なんという矛盾でしょう。それをストーリーテリングで解決しています。私たちの仕事は聖なる仕事です。どうぞ楽しんでください。

安藤裕康チェアマン:
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今年も16万人を超える皆様にお越しいただき楽しい映画祭を過ごすことができました。しかし外に目を向けますと、世界中が分断と対立に悩まされているのが現況でございます。それでも国際映画祭というのは、国境を越え、考え方の違いを超えてお互いが向き合って対話を行い、そして共通の理解を深めあっていく場だと思っております。おかげさまで今年も東京国際映画祭に2500人を超える外国からのゲストにお越しいただき、200本近い映画を上映し、多くのイベントを開催して、実のある交流ができたと思います。その交流の中から新しい相互理解が生まれることを、そして友情が育つことを願っております。
チケットも売れ行きがよくて、去年を上回ることができました。
特に、日本で初めて上映されました『MISHIMA』は15分でチケットが完売になりました。お客様からぜひもう一度上映してほしいと事務局に要望が殺到しました。そこで特別追加上映ということで、11月8日、9日と二日間で1回ずつ追加上映をさせていただくことになりました。詳細は東京国際映画祭の公式サイトで発表いたしますので、ご覧になっていただきたいと思います。去年一昨年と、陰で支えてくれているボランティアの方々を壇上にあげて紹介しましたが、映画祭では500名を超えるスタッフが日夜働いてくれています。今年はその一部の方を映像で紹介したいと思います。
(様々な場で働く方たちの姿)
こういう方々に支えられながら、来年も東京国際映画祭を頑張っていきたいと思いますので、映画を愛する皆さん方から絶大なるご支援をどうぞよろしくお願いいたします。
これを持ちまして第38回東京国際映画祭閉幕を宣言いたします。

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この後、受賞者フォトセッション

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報告:景山咲子



★Facebookのアルバム さらに多くの写真を掲載しています。
第38回東京国際映画祭クロージングセレモニー 
https://www.facebook.com/media/set/?set=a.1428226445971603&type=3


東京国際映画祭 東京グランプリ『パレスチナ36』 記者会見 Q&A報告 (咲)

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『パレスチナ36』 アフラ役 ワーディ・エイラブーニさん

混迷を極めるパレスチナ情勢。その原点ともいえる英国統治時代の1936年に、パレスチナで何があったのかを、パレスチナの女性監督が描いた映画『パレスチナ36』が東京グランプリに輝きました。
イタリア人であるカルロ・シャトリアン審査委員長は、「政治的理由で選んだものではないけれど、この映画は作り手が我々西洋人に投げかけている映画だと思う」と語りました。

授賞式後に行われた審査員・受賞者記者会見と、上映後のアンマリー・ジャシル監督Q&A、囲み取材に参加しましたので、概要を報告します。

イスラエルが建国された1948年5月に、多くのパレスチナ人が故郷を追い出された「ナクバ(悲劇)」についての映画が公開されることは少ないのですが、さらにそれ以前の1936年に英国がパレスチナの土地を分断する原因を作ったこと、それに対して、パレスチナの人たちが反抗したことについて語る映画は、ほんとに稀で貴重です。
ぜひ公開して、多くの人にパレスチナ混迷の原点を知ってほしいと願います。



パレスチナ36   英題:Palestine 36
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監督・脚本:アンマリー・ジャシル
出演:ヒアーム・アッバース、カメル・アル・バシャ、ヤスミン・アル・マスリー、ロバート・アラマヨ、サーレフ・バクリ、ヤーファ・バクリ、カリーム・ダウード・アナヤ、ビリー・ハウル、ダーフィル・ラブディニ、リアム・カニンガム、ジェレミー・アイアンズ

1936年、英国委任統治時代のパレスチナ。パレスチナのアラブ人たちがユダヤ人入植者たちと、英国植民地支配への反発から起こした民族主義的な反乱を描いた作品。
⽥舎の故郷での伝統的な暮らしを愛しながらも、エルサレムの政治的・社会的緊張に巻き込まれてゆく若者ユースフを中⼼に、この時代の出来事がパレスチナの民族的アイデンティティにどのような影響を与えてきたかが、スケールの大きな映像の中に描かれる。その意味では、単に過去の出来事を描いた歴史劇ではなく、現在のパレスチナ問題を照射する作品と言えるだろう。監督は、パレスチナを代表する女性監督アンマリー・ジャシル。名優ジェレミー・アイアンズが英国高等弁務官役 で出演している。(公式サイトより)   
*末尾に映画の流れを掲載しています。

監督 : アンマリー・ジャシル
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16本以上の映画を脚本・監督・製作。これまでの作品はカンヌ、ベルリン、ヴェネチア、ロカルノ、ロッテル ダム、トロントでプレミア上映された。そのうち長編3 作品全てがパレスチナ代表として米国アカデミー賞® 国際長編映画賞にノミネート。短編“Like Twenty Impossible(2003)はカンヌ映画祭にアラブの短編として初入選。米国アカデミー賞®最終候補作となり新たな歴史を刻んだ。(公式サイトより)
*ベツレヘム生まれ、現在ハイファ在住



第38回東京国際映画祭 受賞者記者会見&審査委員記者会見
2025年11月5日


◆カルロ・シャトリアン審査委員長
本作を東京グランプリに選んだ理由については、すでに講評で述べていますが、私たちがいろいろな点で全員で選んだのは、この作品に見出した魅力的に思った感情的な部分です。そして、土地の美しさに魅力を見出しました。
あえて強調したいのは、映画は社会の鏡。私たちが映画に求めているのは、すでに知っていることではありません。この作品においても、今現在ではなく、過去を掘りさげていること。今回の私たちの決定は政治的なものではありません。映画はそれを超えたものです。政治色はありますが、芸術的価値を見出し、現在と過去を超えるものとして、決定しました。
補足したいのは、『パレスチナ36』は、我々西洋の人間に対して投げかけている映画だと思います。土地は分断されていますが、それに対する反発というより、作り手は加害者でなく、耐え忍んでいる方々を描写しています。西洋人は、当時、悪い側にいて、土地と人々に敬意を表してなかったと思います。

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(左:カルロ・シャトリアン審査委員長 右:ワーディ・エイラブーニさん 授賞式にて)

◆『パレスチナ36』 アフラ役 ワーディ・エイラブーニさん
― つらい物語のラスト、ものすごく自由に裸足で走るという、希望を託された役で、私たちも感激したのですが、ラストシーンで、監督から、どのように指示を受けましたか? また、故国の人たちにどのように伝わるといいと思っていますか?

ワーディ:演技する際、監督から「ほかの人になり切ろうとせずにあなたのままでいい、この状況なら、どう感じるかをそのまま演じて」と言われました。心が感じるままに演じました。映画を観て、ハッピーになってほしい。痛ましいつらい映画ですが、終わりはハッピーエンドだと思っています。



●10月30日 上映後のQ&A
アンマリー・ジャシル監督
MC: 市山尚三
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監督:お招きいただき光栄です。初めて日本に来ました。私の作品が尊敬する映画祭で上映されるのが嬉しいです。母が1939年にここ日本で生まれましたので、母の代わりに日本に戻って来られたことも嬉しいです。

市山:3年前に監督とサンダンス映画祭でお会いして、新作ができるのをお待ちしていましたので。東京国際映画祭で上映できるのは光栄です。3年間の間に大変なことが起こった事で、果たして作れるのかと心配しました。いつ頃から作られたのか? いろんな困難があったことと思います。どこで撮影されたのかも含めてお聞きしたいと思います。

監督:企画は、8年前にスタートしました。ストーリーを描くにあたりリサーチするのに時間がかかりました。パレスチナには映画への助成がないので、出資者を募るのにも時間がかかりました。撮影前のプレプロダクションが非常に長かったです。私も私のチームもこんなに大きなスケールの映画は初めてでしたので、かなり前もって準備しました。公式には撮影の10か月前から準備をしました。農村をロケハンし、昔通りに再現して、当時パレスチナが栽培していた煙草や、衣装も当時に忠実に再現しました。英軍側の戦車や軍部の車両などの手配にも時間がかかりました。準備を整え終えて、いよいよ撮影に入るのに私もコアチームもパレスチナ在住なので都合がよかったのですが、実は撮影開始が2023年10月14日の予定でした。ご存じの通り、10月7日にハマスの攻撃があって、来週から撮影と構えていたのですが、頓挫してしまいました。パレスチナでロケ地を決めていましたが、出来なくなって、ヨルダンで撮影を始めました。少し経ってからパレスチナに戻り、4回ほどストップがかかって、その都度いったん撮影を中止しなければなりませんでした。ご存じの通り事態が悪化の一途をたどりましたので。

◆会場より
― アラブを描いた映画として私に馴染みのある『アラビアのロレンス』の時代と、現代に起きている事態の間にあることを学べると思って楽しみに観にきました。これまでに作られていた映画で足りない部分はどんなところだと考えてこの作品を作られたのでしょうか?

監督:私たちの視点で描くのが重要でした。『アラビアのロレンス』では語られていないもの。イギリスがパレスチナに来たのは、108年前ですが、パレスチナ側から語られていないものが多いので、それを描こうと思いました。自分の物語を語ることが大事。当時の村や町で何が起こっていたのか。国の歴史の中で重要な転換点でした。そこをパレスチナ側から描きたかったのです。

― アンサンブルキャストとおっしゃっていましたが、主人公の中で、少女と少年の最後の場面で、銃を取ったのが少年だったのが気になりました。

監督:私が映画作りする時、普通、メインは一人か二人という構成が多いのですが、今回は群像劇です。自然にこういう形が沸いてきました。5組の物語が進行します。ユーセフが村と街の繋ぎ役であったり、都会のカップル、父と息子、母と娘、政局で何が展開しているか。どういう経緯があって反乱が起こったのかの全貌を包括的に描きたかったのです。その中でも、村で何が起きていたのかがこの物語の核になるのですが、メインキャラクターは、パレスチナという土地だと思っています。
★注:5組のメインキャラクターの中に、イスラーム教徒の家族だけでなく、キリスト教徒の家族もいることに注目してほしいと思います。キリスト教徒のパレスチナ人も、ユダヤ人によって土地を追い出されています。ユダヤ対イスラームという宗教的な争いではなく、土地を巡る争いだということを的確に表した構成だと感じます。(咲)

― 『アラビアのロレンス』絡みです。アルフォードの行進曲が、この映画でもラジオ開局のシーンで使われていました。時代的に流れていた曲なのでしょうか?
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監督:ロレンス絡みが多いですね(と、笑う)。劇中の曲は『アラビアのロレンス』を意識して使ったわけでなく、時代考証したのですが、ラジオ局の開局の時に行進曲が使われていたのです。衣装も時代考証したものです。キツネの襟巻を纏った婦人や、英国軍が祝福感満載で開局を演出したこともアーカイブで確認しています。ジェレミー・アイアンズ演じる高等弁務官がいますが、彼のキャラクターを通じてわかるのですが、物語が進むにつれ、英国の外交の姿勢が少しずつ変わってきて、融和と言っていたのがコントロールが次第にできなくなって、分断という状況になったのも描きたかったのです。サントラをお願いした音楽のベン・フロストは、情感に訴えるような音楽を作ってくださいます。尊敬する方で、時代劇ではあるのですが、私の中では現代的な物語だと思っているので、生き生きと匂いたつような音楽を使いたかったので、彼にお願いしました。音楽についての質問は嬉しいです。ついでに話をしますと、現代的なものとはいいましたが、村の女性たちの伝統的な歌も使いたかったのでエンドクレジットで使いました。最後のバグパイプも意図なものです。もともとバグパイプはアラブのものですが、十字軍が入ってきて、持ち帰って、今では英国のスコットランドやアイルランドのものとされています。もともとはアラブのものだと示したかったのです。

最後の挨拶:
お招きいただきありがとうございます。いろいろな年代の観客の方がいらしてくださって嬉しいです。パレスチナの物語ではありますが、それぞれの年代の方に響いたのではないかと思います。

フォトセッション
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「パレスチナに自由を!」


アンマリー・ジャシル監督囲み取材
(最後の10分のみ参加)
◆撮影地について
計画通りにいかなくて、ほとんどはヨルダンで撮りました。
モロッコ、ギリシャなどで撮ってはどうですかとプロデューサーなどに言われたのですが、パレスチナでどうしても撮りたいと思っていました。パレスチナの土地にこだわりがあります。土地が重要なキャラクターですから、譲れませんでした。
ヨルダンで撮ったのは、役者がパレスチナに行けなかったということもありました。

◆当時を経験したパレスチナ人の話をかろうじて聞けた
パレスチナの歴史の中で重要な変換点。大衆が立ち上がりました。イギリスやパレスチナの人たちが残していた資料を調べました。口頭で伝わっていることについては、パレスチナの人たちにとってはトラウマで、体験談を聞くのは大変なことでした。友達の母親が舞台になった村の出身で、語ってくださいました。語ってくれた話を英国から見た話と照らし合わせて検証しました。映画の為に脚色を加えないで、そのまま映し出した場面もあります。

◆パレスチナは置き去りにされている
この映画で表現したことは、英国が入ってきて、勝手に我々のところで線引きしたことです。今の状況ですが、この2年間、我々は置き去りにされていると言わざるを得ません。ジェノサイドが起こっていることを、知らないとは言わせられません。
一方、人民=政府ではありません。いろいろなところで、パレスチナの為に声を上げてくれています。それは変化の兆しだと思っています。


★映画の流れ
1936年初頭 ナブルスで暴動をイギリス軍が鎮圧。
エルサレムのアミール氏の邸宅を訪ねてきた青年ユーセフ。男装の女性がユーセフを迎える。彼女は、アフマド・カハーニの男名で新聞に記事を書いている。

1936年3月 パレスチナ初の放送局がラーマッラーに開局。
「政治とは関係なく、文化を広めたい。農民たちの組合も支援する。パレスチナの音楽も広めたい」と語る英国人。英語のほか、ヘブライ語とアラビア語で祝典が進む。

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バルフォアがユダヤ人の為の国を約束する。

柵で囲んだ土地で、半ズボン姿で作業する女性たち。
「どうして柵で囲むの?」と母親に尋ねるパレスチナの少女。
「国を追われてきたのよ」
「半ズボンを履いていいの?」と驚く少女。

故郷アルバスマ村に帰ってきたユーセフ。
「町に出たい」と父に言うが、「村が大事」と父。

キリスト教徒の家族。 
(祖母役はヒアム・アッバース)
恋する女性の為の詩を詠む農夫

ヤッファ港
反乱は静かに始まる・・・
武器の入った樽が33個見つかる。

パレスチナ人から仕事を奪ってユダヤ人に与えている。立ち上がるしかない!
ユダヤ人の方が賃金が高い。

1936年4月 新聞に「ゼネストに立ち上がれ」

キリスト教徒の少年カリーム。
長く待った者が勝つとカリームの父。
イギリス人がハイキングに来る。一緒にボールを蹴って遊ぶ子供たち。

1937年3月 入植者があちこちにキブツをつくる。

イギリスの高等弁務官がやってきて。登記の新制度が出来、オスマン時代の制度は廃止するという。
「段々畑は先祖代々築いてきたもの。シオニストたちは、なぜ我々の土地を奪う?」と農民たち。
高等弁務官「登記すれば土地の権利は守れる」

反抗運動の中で、アブー・ユーセフ(ユーセフの父)が亡くなる。
埋葬していると英軍が来る。「昨夜はどこにいた?」
ユーセフの弟ナエフが連行される。

1937年 パレスチナ分割案。
解決の手口になるはず。半分のパンでもないよりいい。
あちこちにキブツができる。

石油パイプラインに火がつけられる
鉄道爆破される
「イギリスやフランスの帝国主義に反抗するぞ!
シリア、レバノン、イラク、ドゥルーズも我々の味方
キリスト教徒のアラブ人も反乱に手を貸した」

アラブの反乱に、英国軍が村を包囲する。
レバノン、シリアの国境に壁をと英国軍。

反乱者320人が裁判もされず刑務所に。

母親、少女アフラに「走って逃げるのよ!」 
祖母(ヒアム・アッバース)は「動くもんか!」と祖父と共に家の中から動かない。
家に爆弾を仕掛けられる。 

男たちがバスに乗せられて連行されていく。 
父、バスの中からカリームに「男になれ。家族を頼んだ」
目の前でバスが爆破される。
村の家が焼かれる・・・。

エルサレムの街をアフラが行く
少年カリームも歌声に惹かれながら歩いていき、英軍兵士に銃を向ける・・・
アフラ、走りながら人々に叫ぶ

報告:景山咲子



東京国際映画祭閉幕 東京グランプリは『パレスチナ36』

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撮影:景山咲子

10月27日より開催されていた第38回東京国際映画祭が、11月5日、 閉幕しました。
最終日、クロージングセレモニーが行われ、各賞が発表されました。

第38回東京国際映画祭 各賞受賞作品・受賞者

コンペティション部門

東京グランプリ/東京都知事賞
『パレスチナ36』
(パレスチナ/イギリス/フランス/デンマーク)

審査員特別賞
『私たちは森の果実』
(カンボジア/フランス)

最優秀監督賞
チャン・リュル監督(『春の木』、中国)
アレッシオ・リオ・デ・リーギ監督、マッテオ・ゾッピス監督(『裏か表か?』、イタリア/アメリカ)

最優秀女優賞
福地桃子、河瀨直美(『恒星の向こう側』、日本)

最優秀男優賞
ワン・チュアンジュン(『春の木』、中国)

最優秀芸術貢献賞
『マザー』
(ベルギー/北マケドニア) 観客賞 『金髪』(日本)


アジア学生映画コンファレンス
作品賞
『フローティング』(韓国)

審査委員特別賞
『永遠とその1日』(台湾)、『エンジン再始動』(韓国)


アジアの未来
作品賞
『光輪』(韓国)


東京国際映画祭 エシカル・フィルム賞
『カザ・ブランカ』(ブラジル)

黒澤明賞
李相日、クロエ・ジャオ

特別功労賞
山田洋次、吉永小百合


*************************
第 38回東京国際映画祭
開催期間:2025 年 10 月 27 日(月)~11 月 5 日(水)
会場:日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区
公式サイト:www.tiff-jp.net

第38回東京国際映画祭 ウィメンズ・エンパワーメント部門 

ウィメンズ・エンパワーメント部門 シニア・プログラマー: アンドリヤナ・ツヴェトコビッチ


★ウィメンズ・エンパワーメント 上映作品およびプログラム★

◆100 サンセット  原題:ཧན་ཌ་རེཊ་སན་སེཊ།
監督:クンサン・キロン
トロントのパークデール地区に住むチベット系カナダ人の若い女性が、共同住宅での生活のなかで新たな生き方を模索する過程を描く。トロント映画祭で上映。

◆藍反射
監督:野本 梢
排卵障害という突然の診断に、当たり前だったはずの未来が揺らぐ。そして自分でもよくわからないまま、友人や恋人との間に少しずつ溝ができていく。

◆シネマ・ジャジレー  原題:Cinema Jazireh
監督:ギョズデ・クラル
タリバン政権下のアフガニスタン。家族を殺された母親が、行方不明の息子を捜すために男装して旅する姿を通し、抑圧的な社会で力強く生きる人々を描く作品。

◆ハッピー・バースデイ 原題:Happy Birthday
監督:サラ・ゴーヘル
カイロに暮らす少女が母親の雇い主の娘の誕生会のために奮闘する姿を通し、社会階級の問題を投げかける作品。トライベッカ映画祭で最優秀作品賞を受賞。

◆私はネヴェンカ 原題:Soy Nevenka
監督:イシアル・ボジャイン
スペインのポンフェラーダで起きた、市長による性的ハラスメント事件を正面から描いた作品。『エル・スール』(83)等に出演したイシアル・ボジャインの監督作。

◆佐藤さんと佐藤さん
監督:天野千尋
恋人のとき惹かれていた魅力が、夫婦となり、すれ違いの原因になる瞬間。些細な違和感が積もっていき、日常ににじみ出す。別れまでの15年間を描く。

◆私の愛のかたち 原題:像我這樣的愛情
監督:タム・ワイチン[譚惠貞]
障がい者のための性的サービスを提供する団体を訪れた脳性麻痺の女性が経験する精神的、身体的解放を描いた作品。フィッシュ・リウがヒロインを熱演。

●ウィメンズ・エンパワーメント・ラウンドテーブル「女性映画祭の力」
東京ミッドタウン日比谷 BASE Q
11月3日(月)14:00-
無料
女性と映画について学びを深めるラウンドテーブルシリーズをスタート。本年は台湾、韓国、愛知の女性映画祭からゲストを招き、女性映画祭の力をテーマに語り合う。

登壇者:
"台湾国際女性映画祭
・ジュオ・ティーンウー [卓庭伍] (プログラマー、助教授、映像作家)
・シエ・イーシュエン [謝以萱] (プログラマー、評論家)
・チン・エイイン [陳慧穎] (プログラマー)

ソウル国際女性映画祭
・ファン・ヘリム(執行委員長、プログラマー)
・ソン・シネ(プログラマー)

あいち国際女性映画祭
・木全純治(ディレクター)
・佐藤久美(イベントディレクター)
・菅野優香(同志社大学教授)

共催:東京都
協賛:モーション・ピクチャー・アソシエーション(MPA)
企画:近藤香南子

●ウィメンズ・エンパワーメント・トーク “ハー・ゲイズ”
女性の作り手を招き、その仕事や考え方、一人ひとりの眼差し-GAZE-を学び、共有するトークイベント。

共催:東京都
協賛:モーション・ピクチャー・アソシエーション(MPA)
企画:近藤香南子

入場無料:事前申込制


●東京から世界へー日本の女性プロデューサーが世界に進出するために
東京ミッドタウン日比谷 BASE Q
11月1日(土)18:30-  無料

日本人プロデューサー3名(宮川絵里子、水野詠子、村田千恵子)がグローバル展開:プロデュース戦略&文化の知能指数(CQ)について議論します。

登壇者:
アンドリヤナ・ツヴェトコビッチ(東京国際映画祭シニア・プログラマー)
宮川絵里子(プロデューサー)
村田千恵子(プロデューサー)
水野詠子(プロデューサー)

共催:東京都


★上映作品 検索ページ
https://2025.tiff-jp.net/ja/lineup/list.html

第38回東京国際映画祭  アジアの未来

アジアの未来 審査委員
エレン・キム 釜山国際映画祭アジアンコンテンツ&フィルムマーケットディレクター
松永大司 映画監督
西澤彰弘 東京テアトル株式会社 編成担当


★アジアの未来 11作品★

◆佐藤忠男、映画の旅
監督:寺崎みずほ
日本を代表する映画評論家・佐藤忠男はなぜ、「アジアの名作映画探訪」に夢中になったのか。彼が世界で一番愛したインド・ケーララ州の映画『魔法使いのおじいさん』(79)の魅力を探す旅を織り交ぜ、佐藤が映画を通して夢見た世界を探る。

◆みんな、おしゃべり!  英題:The Chatterboxes  クルド語題:Hemû kes diaxive
監督:河合 健
ろう者vsクルド人! CODA(コーダ)の監督による日本手話とクルド語を題材にしたオリジナル脚本。ろう者・聴者双方に向けた字幕付き作品。

◆遥か東の中心で  原題:Door Dar Mianeh Shargh
監督:アラシュ・アニシー
監督デビュー作の撮影準備のさなか、夫との冷え切った関係を抱えてオーディションを行う女性監督。主演に抜擢した女優は父親に仕事を猛反対されており、思わぬ事態が勃発する。イラン発、映画とは何かを問う意欲作。

◆最も美しい葬儀の歌  原題:En Güzel Cenaze Şarkıları
監督:ズィヤ・デミレル
夫を失い泣いてばかりの女性。結婚初夜の準備をする相性の悪いカップル。彼女とベッドで格闘した翌朝、泣いている女から2万ユーロの詐欺の告白を聞くビデオ作家。故人の誕生日を祝う人々。ばらばらの人生が次第に繋がっていく、ユニークな構成のトルコ作品。

◆光輪  原題:후광
監督:ノ・ヨンワン
日々ひたすら荷物の配達をし、崩壊した家族を背負いながら生きる27歳のミンジュンは、映画監督になるささやかな夢を描いている。ある日、謎めいた占い師の言葉が彼のなかに新たな炎を灯す。日々の反復とズレがリズムを作る斬新な韓国作品。

◆黄色い子
監督:今井ミカ
台北のろう者・チェンは、迷子の日本人ろう児と出会う。子どもの心に触れ、自身の記憶と向き合いはじめるチェン。一方、迷子の父は異国で必死に子を捜していた。俳優・制作陣の大半を台湾と日本のろう者が担った画期的な作品。

◆一つの夜と三つの夏  原題:一个夜晚与三个夏天
監督:カンドゥルン[岗珍]
サムギィは幼なじみとの苦い思い出についての映画を撮るため、ラサへ戻ってきた。ずっと心の奥に抱えてきた記憶が甦るなか、突然現れた幼なじみとの再会が現実に静かな波紋を広げていく。チベットから届いた注目作。

◆ノアの娘  原題:Dokhtare Nooh
監督:アミルレザ・ジャラライアン
若い女性は静かな島にひとりテントを張り、孤独に身を委ねている。限られた人との興味深い対話、夢と現実が交錯したような時間の後、彼女は荷物をまとめてテヘランへと戻る。海辺の光景に旅する女性の心象を託した新感覚イラン映画。

◆オペレーターNo.23  原題:地下美人
監督:シア・ハオ[夏昊]
父が失踪し母との関係がギクシャクしている息子が、偶然テレクラに電話してオペレーター23番と知り合う。この出会いが、互いに秘密を抱えた母と息子の関係に予期せぬ変化をもたらすことに。ロウ・イエ作品の常連ハオ・レイが母親役を好演 。

◆老人と車  原題:老破車
監督:マイケル・カム
妻を亡くした老人は、海外の息子の元へ移住する準備を進め、思い出の詰まった愛車を手放そうとする。トランスジェンダーの買い手との出会いや突然の移住延期を経て、老人は過去と向き合い、不確かな未来へと踏み出す。
シンガポール

◆明日のミンジェ 原題:내일의 민재
監督:パク・ヨンジェ[박용재]
プロを目指す有望な陸上選手のミンジェは、裕福な家庭のチームメイトが不当に優遇されたことで追い詰められ、ある行動を起こす。秘密を知ったコーチから取引を持ち掛けられるが。清濁併せ呑む韓国スポーツ青春ドラマ。


★上映作品 検索ページ
https://2025.tiff-jp.net/ja/lineup/list.html