山形国際ドキュメンタリー映画祭2021 オンラインワークショップ開催 (2)

日本から多くのドキュメンタリストが生まれ、世界に羽ばたくことを目指し、期間中にオンラインワークショップが開催されます。
Kickstarterで資金調達を達成した映像作品は3万以上。映画祭受賞作品も数多く生まれています。今後海外に映画を展開したい、さらに多くの方に知ってもらいたいという方に、Kickstarterを活用し海外進出するために必要な考え方を学ぶウェビナーが2回に渡り開催されます。
1回目は、日本からプロジェクトを成功させ、世界へ羽ばたく監督方を迎え、世に広めた経験について伺います。
2回目は、これまで多くの作品の支援をしてきたドキュメンタリー支援の第一人者と、Kickstarterのシニアディレクターと、海外に作品を知ってもらう方法について議論します。

オンラインワークショップについて
10月9日(土) 21:30 - 22:30
「成功者から学ぶ、Kickstarterを使ってドキュメンタリーを世界に届ける方法」

クラウドファンディングって使ってみたいけど、どこから始めたら良いか分からない...海外に展開するのって難しそう...作品を世の中に広める ためにKickstarterを活用する方法を、経験者2人から学びます。

登壇者
山﨑 エマ 監督
森脇 ユウジ 監督
モデレーター:中田 美樹 (Kickstarter Japan カントリーマネージャー)

10月12日(火) 21:45 - 22:45
「エキスパートが語る、国際映画祭で魅力的なピッチをする方法

作品を少しでも多くの方に知ってもらう方法として、国際映画祭に出品することは効果的ですが、そもそも海外映画祭にどう出品すればいいのか?どの ようにしたら良いピッチができるのか?お悩みの方もいるかと思います。
国際映画祭への参加について、日本の第一人者であるYIDFF藤岡朝子理事と、Kickstarterのシニアディレクターとして500以上の映 像作品プロジェクトを支援してきたElise McCaveとともに、世界に作品を届ける方法について伺います。

登壇者
藤岡 朝子氏:YIDFF 理事、山形ドキュメンタリー道場 代表
Elise McCave:Kickstarter フィルム シニアディレクター
モデレーター:中田 美樹 (Kickstarter Japan カントリーマネージャー)

形式:Zoom

参加方法
こちらのGoogle Formから応募ください(先着25名様)
Kickstarter Documentary Film Night - YIDFF 2021
ご登録いただいた方に、後日ZoomのURLをお送りします

認定NPO法人 山形国際ドキュメンタリー映画祭
〒990-0044 山形市木の実町9-52 木の実マンション201
Tel: 023-666-4480 Fax: 023-625-4550
http://www.yidff.jp/
作成 宮崎暁美


山形国際ドキュメンタリー映画祭2021が始まりました (1)

2021年10月7日〈木〉~10月14日〈木〉まで、オンラインでの山形国際ドキュメンタリー映画祭2021が開催されます。
オープニング作品として、30 年間に渡り山形映画祭を支えてくれながら2020 年に惜しまれつつ幕を閉じた老舗漬物店「丸八やたら漬」の最後の1 年を記録した『丸八やたら漬 Komian』がワールド・プレミアされました(オンライン上映)。

山形国際ドキュメンタリー映画祭2021
会 期:10 月7 日(木)- 14(木) 8 日間
開催方法:オンライン
公式 HP: https://www.yidff.jp/home.html

開会式
10 月7 日(木)17:00~18:00
山形市中央公民館ホール6F
※ オンラインでのライブ配信も行います。
ライブ配信サイト:https://online.yidff.jp

オープニング作品 18:30 よりオンライン上映
丸八やたら漬 Komian(監督:佐藤広一/日本/2021/105 分)

<お問い合わせ>
認定NPO 法人 山形国際ドキュメンタリー映画祭
(担当:井上、中西、遠藤)
Tel: 023-666-4480 Fax: 023-625-4550
〒990-0044 山形市木の実町9-52 木の実マンション201

作成 宮崎暁美

ドキュメンタリー・ドリーム・ショー ――山形 in 東京2020

隔年に開催される山形国際ドキュメンタリー映画祭。
その翌年に東京で行う恒例のイベント、ドキュメンタリー・ドリーム・ショー。
2019年に山形で上映された作品に独自のプログラムを加え、57本が上映されます。

●2020年11月7日(土)-20日(金)
 会場: K's cinema(東京都新宿区)

●2020年12月1日(火)-5日(土)、8日(火)-12日(土)
 会場:アテネ・フランセ文化センター(東京都千代田区)

★無料オンライン配信
『春の気配、火薬の匂い:インド北東部より』
期間:2020年11月7日(土)-12月12日(土)
詳細は www.neidocs.tokyo

プログラムPDF
https://www.cinematrix.jp/dds2020/images/flyer.pdf

主催:シネマトリックス
公式サイト:https://www.cinematrix.jp/dds2020/

山形国際ドキュメンタリー映画祭2019 本誌103号より転載(暁)

山形国際ドキュメンタリー映画祭2019
宮崎 暁美
今回、全日行きたいと10月10日から山形に入り、40年ぶりくらいに快晴の蔵王のお釜にも行って、オープニングから参加しました。地元の人も驚くくらいの快晴だったのですが、それは天気が変わる変わり目でもありました。それは今思うと台風が来る前触れだったのですが、関東地方に大きな被害を与えた台風19号でした。台風19号が関東地方に上陸した12日は、映画が終わってから東京から来た友人たちとご飯を食べにいき、帰りはずぶ濡れで宿に戻りましたが、その時はそんなすごい台風だとは知らずでした。12日は新幹線が止まってしまい、東京から来る予定だった(咲)さんは来ることができなかったくらいでした。
私は結局最後の日までいました。その中からお勧めの何本かを紹介します。

『潮の狭間に』 監督:フォックス雅彦
日本、アメリカ/2018
潮の間で1.jpg
フォックス雅彦監督

小笠原諸島に最初に入植したのは1830年父島に入植した英・米・ポルトガル系の人たちと言われ、日本は1876年に領有宣言した。
太平洋戦争後は、1968年の本土復帰まで23年米国統治領だった。欧米系島民だけが帰島を許されたが、子どもたちはアメリカ式に英語で教育を受け、学校で日本語を学ぶ機会はなかった。アメリカ海軍の統治下で育った「ネイビー(米国海軍)世代」の男女5人のインタビューを中心にした小笠原の欧米系島民の物語。
戦時中は敵国人として扱われ、名前も日本名に強制的に改名させられ、英語を話すことも禁止された。ネイビー世代にとって返還後の選択肢はあまりなく、本土復帰という歴史に翻弄された。ほとんどはアメリカへ渡り、島に留まることを余儀なくされた人の中には日本語を勉強し、東京都の公務員になり定年になるまで働いた人もいる。欧米系コミュニティはバラバラになり、島に残っていたアメリカの影もなくなりつつある。それでも集まって昔のようにバーベキューをする光景が見られることもあった。『潮の狭間に』は、そんな彼らの姿をみつめた作品である。

『セノーテ』 監督:小田香
日本、メキコ/2019
公開予定 2020年9月19日(土)〜 新宿K’s cinema

メキシコ、ユカタン半島北部に点在するセノーテと呼ばれる洞窟内の泉。そこはかつてマヤ文明の時代の唯一の水源であり、雨乞いの儀式のために生け贄が捧げられた場所だった。古代マヤで、現世と黄泉の世界を結ぶと信じられていたセノーテをめぐって交錯する、人々の過去と現在の記憶。カメラは水中と地上を浮遊し、光と闇の魅惑の映像に遠い記憶がこだまする。
現地に住む人々に取材し、現地の人たちの語る「精霊の声」、「マヤ演劇」のセリフなど、マヤの人たちにより伝えられてきた言葉の数々。集団的記憶、原風景を映像に取り入れている。
セノーテの水中撮影のため、自らダイビングのライセンスを取り、iPhoneや8ミリフィルムカメラを駆使し、誰も見たことがない不思議な世界を表現した。
 今も泉の底に残る骸骨や遺品の数々。泉の中から真上を見上げた光景などが印象に残る。こんな映像を自ら撮った女性がいるというのを心強く思った。今年、第1回大島渚賞を受賞した。

『ミッドナイト・トラベラー』
監督:ハサン・ファジリ
2019 アメリカ、カタール、カナダ、イギリス
「優秀賞」

アフガニスタンの映画作家夫婦がタリバン指導者についての映像作品を作ったことで死刑宣告を受け、子どもとともに欧州へ逃れるまでの3年間の旅の記録。スマートフォンを駆使して撮影した旅の姿は、逃避行の不安と家族の親密さをリアルに描き出し、ヒヤヒヤハラハラしながらも、きっとうまくいくと思って観ることができた。戦争の影響が残る不安定な社会から逃れた家族が、安全な場所にたどり着いた時にはほっとした。

『あの店長』 
タイ/2014 
監督:ナワポン・タムロンラタナリット 

1990年代から2008年まで、タイで違法海賊版のDVD屋をしていた「あの店長」についての思い出や、世話になったこと、映画界への影響など、タイ映画界を牽引していると思われる10人余りの人々が語っている。謎の人物っぽい店長の人柄や、タイのアート映画史上で、彼が果たした役割などを語る。当然、本人は出てこない。なにしろ違法である。当時のタイでは、アート映画はそこで観るしかなかったと語る映画愛好家たち(映画ファン、現役の監督、映画評論家、大学教授など)の話が興味深く、面白かった。日本でも、そういう店はあったけれども、中国や香港の海賊版を置いている店だった。

『これは君の闘争だ』 
監督:エリザ・カパイ
ブラジル/2019 「優秀賞」
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エリザ・カパイ監督

ブラジルの学生たちが繰り広げる、公共交通機関の値上げ反対デモや、公立高校再編案に反対する学校占拠など、活発な政治運動。その記録映像に、当事者である若者たちがナレーションをつけ語る。若者たちは、学校を、そして街頭を次々と占拠し、自らの主張を政治家たちに認めせていくが、しだいに警察は暴力的なものになり、ブラジルは極右政権の誕生へと向かってしまった。 

『死霊魂』
監督:王兵(ワン・ビン) 
 フランス スイス/2018 495分(8時間15分!)

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「大賞」

公開予定 2020年6月27日

1950年代後半に起きた中国共産党の反右派闘争で粛清され、ゴビ砂漠夾辺溝にある再教育収容所へ送られた人々。ぎりぎりの食料しか与えられずに過酷な労働を強いられた劣悪な環境で多くの人が餓死した。生き抜いた人々が語る壮絶な体験と、収容所時代の墓地跡に散乱する人骨から、置き去られた死者たちの魂の叫び声が聞こえてくるような気がする。
「百家争鳴」キャンペーンを信じ、自由に発言したら「右派」と呼ばれ、55万人もの人が収容所に送られたと言われているが、王兵監督は『鳳鳴フォンミン― 中国の記憶』、『無言歌』でも反右派闘争を追い続け、いまだに明らかにされていない中国史の闇を追求している。
大飢饉が重なり収容所は地獄になった。生還率10%ともいわれた収容所を生き延びた人たち。その後、開拓地として頒けられたその地で暮らす農民たち、収容所の係員だった人の証言も含め、2005年から2017年までに撮影された120人の証言、600時間に及ぶ映像から本作はまとめられたという。
 すごく厳しい体験をした人たちの言葉は、ずしりと重く苦しい。多くの亡くなった人たちのこととか、棺桶がなくなった後は布団に丸めて遺体を放置した話などは涙が出た。1日の配給量とか、炊事係をして助かった話なども出てきて、いろいろな人たちの体験の話にひきつけられた。ただ、あまりにもたくさんの人の話が出てきて、人と人のつながりに話が広がっていくのにはついていけず、誰と誰が繋がっていたとか、誰が誰の妻だとか、誰が再婚したとか、人間関係がどうだとか、そこはもう途中でわけわからなくなってしまって、途中で考えるのをあきらめた(笑)。それにしてもこんな長い映画を作り続ける監督の執念はすごい。でも、もう一度観るのはつらいかも。
8時間を越える作品で、これを全部観ると、他の作品を観ることはできないなと思いつつ、それ以上に体が持つかどうかと思いながら会場に行ったけど、最後まで観ることができた。

2020年5月発行、本誌103号掲載レポートより情報や写真を追加して転載しました。

山形国際ドキュメンタリー映画祭2019  大賞は『死霊魂』に

山形国際ドキュメンタリー映画祭2019 授賞式

●受賞者2.jpg
受賞者の皆さん

10月10日から17日まで開催されていた山形国際ドキュメンタリー映画祭2019の授賞式が、16日山形市中央公民館で行われ、各部門の受賞作品が発表された。
インターナショナル・コンペティション部門の大賞にあたる「ロバート&フランシス・フラハティ賞」は、中国共産党による反右派闘争の時代、粛清されゴビ砂漠の収容所に送られ、生き延びた人々の証言を集め、亡くなった方たちを慰霊する王兵(ワンビン)監督の作品『死霊魂(しれいこん)』に贈られた。『死霊魂』は8時間26分に及ぶ作品。王監督の大賞受賞は3回目。観客によって選ばれる市民賞にも選ばれた。
アジアの作品を対象にしたアジア千波万波部門の最高賞「小川紳介賞」には、レバノン内戦で行方不明になった人たちの存在を描いたガッサーン・ハルワーニ監督の『消された存在、__立ち上る不在』が受賞。両作品は米アカデミー賞の応募資格を得た。授賞式に参加できなかった両監督は、映像メッセージが紹介された。王兵監督は中国で新作を撮影中で作品製作が佳境とのこと。ガッサーン・ハルワーニ監督は広島での体験(死者が残した影を見た)が本作の背景になったと型っていた。受賞作は、17日に7本が上映された。
30周年、16回目を迎えた山形国際ドキュメンタリー映画祭2019は、コンペ、アジア千波万波の両部門に過去最多の応募があり、この中から計176本が上映された。

受賞作
★インターナショナル・コンペティション部門
審査員:オサーマ・モハンメド(審査員長)、ホン・ヒョンスク、サビーヌ・ランスラン、デボラ・ストラトマン、諏訪敦彦

ロバート&フランシス・フラハティ賞(大賞)
『死霊魂』 監督:王兵(ワン・ビン)
https://www.yidff.jp/2019/ic/19ic04.html
●王兵監督.jpg

山形市長賞(最優秀賞)
『十字架』
監督:テレサ・アレドンド、カルロス・バスケス・メンデス
https://www.yidff.jp/2019/ic/19ic03.html
●テレサ・アレドンド、カルロス・バスケス・メンデス.jpg

優秀賞
『ミッドナイト・トラベラー』
監督:ハサン・ファジリ
https://www.yidff.jp/2019/ic/19ic09.html

『これは君の闘争だ』
監督:エリザ・カパイ
https://www.yidff.jp/2019/ic/19ic14.html
●エリザ・カパイ監督.jpg

審査員特別賞
『インディアナ州モンロヴィア』
監督:フレデリック・ワイズマン
https://www.yidff.jp/2019/ic/19ic10.html

★アジア千波万波
審査員:楊荔鈉(ヤン・リーナー)、江利川憲

小川紳介賞
『消された存在、__立ち上る不在』
監督:ガッサーン・ハルワーニ
https://www.yidff.jp/2019/nac/19nac07.html
●消された存在、__立ち上る不在.jpg

奨励賞
『ハルコ村』
監督:サミ・メルメール、ヒンドゥ・ベンシュクロン
https://www.yidff.jp/2019/nac/19nac21.html
●サミ・メルメール監督.jpg
ヒンドゥ・ベンシュクロン監督

『エクソダス』
監督:バフマン・キアロスタミ
https://www.yidff.jp/2019/nac/19nac08.html
●バフマン・キアロスタミ監督.jpg

★市民賞
『死霊魂』監督:王兵(ワン・ビン)

★日本映画監督協会賞
『気高く、我が道を』
監督:アラシュ・エスハギ
https://www.yidff.jp/2019/nac/19nac10.html
●アラシュ・エスハギ監督.jpg

受賞作品上映スケジュール

各賞について

山形国際ドキュメンタリー映画祭がアカデミー賞公認映画祭!日本初のドキュメンタリー作品での公認映画祭として受賞作はそのままエントリー可能に。
https://www.yidff.jp/news/18/180913.html

クロージングパーティでのお宝写真
ショーレさん、アラシュ・エスハギ監督、ナデリ監督、バフマン・キアロスタミ監督3.jpg
左からショーレ・ゴルバリアンさん(ペルシャ語通訳)、アラシュ・エスハギ監督、アミール・ナデリ監督、バフマン・キアロスタミ監督
文・写真 宮崎暁美


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