イスラーム映画祭5開幕! 会場で公式ムックを限定発売中 (咲)

楽しみにしていた「イスラーム映画祭5」が、予定通り3月14日(土)に開幕しました。
新型コロナウイルス感染予防の自粛要請で、開催されるのかどうか、ぎりぎりまでやきもきしていました。
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主宰の藤本高之さんもモヤモヤとしながら開催を決断。蓋を開けてみれば、自粛ムードどころか、大勢のイスラーム映画祭ファンが駆け付けました。
藤本さんの「すべての座席を自ら拭きました」との挨拶で、イスラーム映画祭5は始まりました。

チケットは、3日前の深夜0時からネットで売り出し開始。
初日14日2時からの『アル・リサーラ/ザ・メッセージ アラブ・バージョン』は、1回限りの上映とあって、30分程で売り切れる人気。
初日のほかの2本もほぼ満席。
2日目の15日(日)も、すべての回が満席になりました。
昨年までは、立見席があったのですが、今年はさすがに無し。当日券を当てにして来て泣いた方も多かったようです。
また、平日は、座席を一つ置きに販売するとのこと。
どの作品も、主宰の藤本さんが是非皆に見せたいと選んだ心に響くものばかりです。
イスラーム映画祭5は、3月20日(金)まで続きます。
ぜひ、感染予防に気遣いながら、お出かけください。

イスラーム映画祭5 上映日程とトークセッションは、こちらをご覧ください。



★公式ムックを会場で発売!★
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『イスラーム映画祭アーカイブ2015-2020』
5回のイスラーム映画祭で上映された全50作品の作品データ(監督、出演者だけでなく、脚本、撮影、音楽、字幕担当者等も記載)とストーリーのほか、作品の背景や、上映を決めた藤本さんの思いもたっぷり語られています。

イスラーム映画祭5での初上映作品を、8作品にこだわった藤本さん。
2015年の初回から、昨年のイスラーム映画祭4までの上映作品が、42作品。
合計50作品にしたかったという次第。

また、イスラーム文化圏の様々な地域に造詣の深い方たちによる読み応えのあるコラムも15本。
オールカラー、写真満載、98ページで、1500円! 

「お手にとったら、感染予防で必ずお買い求めください」と、藤本さん。

ほんとに素敵な一冊です。
中身を確かめなくても、間違いなく満足できます。ぜひ!


イスラーム映画祭5 『ハラール・ラブ(アンド・セックス)』 アジアフォーカス2016年Q&A とインタビュー

『ハラール・ラブ(アンド・セックス)』
Halal Love (and Sex)
2015年、ドイツ・レバノン、95分
監督:アサド・フラッドカー

イスラーム映画祭5 東京での上映日程
①3/15(日)13:45
★上映後トーク《ムスリムたちの愛と性 ~イスラーム法の結婚と離婚~》
【ゲスト】 小野仁美さん(東京大学大学院人文社会系研究科研究員)の予定でしたが、ご家族の都合により、登壇できなくなりました。ピンチヒッターで佐野光子さん(アラブ映画研究者/写真作家)が登壇します。
② 3/17(火)11:00
③ 3/19(木)16:30


レバノンのイスラーム教徒のコミュニティを舞台に、イスラームの教えに則した(ハラール)結婚を追及する物語。
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2016年のアジアフォーカス福岡国際映画祭で、『ハラル・ラブ』のタイトルで上映され福岡観客賞を受賞しました。『ハラール・ラブ』と、タイトルに長母音を入れてほしかったと思っていたのですが、イスラーム映画祭5では、ちゃんと長母音が入っています。

イスラーム映画祭5での上映を機会に、アジアフォーカスでのQ&Aと、来日した女優のダリン・ハムゼさんのインタビューをお届けします。

*物語*
毎夜求めてくる夫に応じきれず、二人目の妻を夫にあてがう妻。喧嘩が絶えず三度離婚してしまい、同じ相手と再婚するには、一度、他の相手と結婚しなくてはならない夫婦。親の決めた相手と意に沿わぬ結婚をし、離婚し晴れて再婚しようとするが、好きだった彼には既に家庭があり、一時婚しか手がない女性ルブナ。3組のカップルの結婚を巡る。

冒頭の小学生の女子生徒相手の性教育の場面から、思わぬ顛末まで、会場からは何度も笑いが起こりました。福岡観客賞を受賞したのも納得の楽しい作品。

2016年09月18日 アジアフォーカス福岡国際映画祭

◆上映前のダリン・ハムゼさん舞台挨拶
レバノンの一部、イスラーム教徒のコミュニティでの物語です。ベイルートは多様性に満ちた町ですが、監督はイスラーム地区の出身で、普段見られない一部の地域を見て貰いたいという思いで本作を作りました。
映画は他の世界をみる窓と、ディレクターの梁木さんがおっしゃっていました。レバノンの窓を開いてみていただければと思います。

◆上映後のQ&A  
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登壇:一時婚を選ぶことで迷うルブナ役のダリン・ハムゼさん

― どこの国でも子どもの作り方を説明するのはタブー。お父さんから虫が出てくるというのは、レバノンでは一般的な説明ですか?

ダリン:クルアーンには、Alakaが夫から出てくると書いてあります。監督も、質問があった時にそう答えるのは、小さい頃にそのような説明を受けたからと言っていました。

司会:性教育はオープンですか?

ダリン:ベイルートでも様々です。イスラームの宗教的な学校ならクルアーンに沿って教えます。レバノンには、オープンなムスリムやクリスチャンと、そうでないムスリムとクリスチャンの両方がいます。多様性のある国です。一つの決まったルールがあるわけではありません。今回は、子どもにとって楽しい設定にしています。

― 我が儘な奥さんが第二夫人を連れてくるけど、結局しりぞけてしまう。お金持ちでなく、普通の庶民でも第二夫人を娶るのですか? 

ダリン:レバノンは多様な背景を持った国です。ですが、夫が二人目の妻を迎えるのは珍しいです。湾岸諸国ではよくあるようですが。今回の映画は面白いケース。監督は映画を通じてイスラームにおいて色々な考えがあることを描きたかったのです。シャリーアは厳しいルール。息子を持つために二人目の妻を求めることもOKにしています。レバノンでは現代において、二人目の妻を迎えるのは難しいです。

― 最初に出てきた小学校の先生は、ルブナの恋人である八百屋さんの妻ですね。オーストラリアにいるお兄さんがゲイであることまで描いています。ベイルートで上映されて問題はなかったのでしょうか?

ダリン:冒頭の先生はまさにルブナの恋人の奥さんです。お料理も上手。ゲイは法律上では禁止されています。でも、たくさんいます。オープンにはしないけれど。
3回離婚したら、シャリーアの規則で、一度別の夫と結婚しないと同じ男性とは再婚できません。レバノンでは賛否両方の反応がありました。オープンに語りたくないことが語られていましたので。でも、概ねいい反応でした。

― 短期的結婚は不倫とどう違うのですか?

ダリン:
一時的結婚については、イスラームの中でも色々な考えがあります。監督に説明を求めたら、戦争で夫が亡くなった場合、男性が足りなくなるので、一時的に結婚して、別の人が見つかるのを待つこともあると。私自身、組織された社会の中で、ちゃんとした結婚が出来ない時に、こういうケースもいいのではと思います。子どもが生まれれば、もちろん認知します。役を演じる前に、背景を勉強しました。イスラームの中で女性の権利が考えられていると思いました。


◎ダリン・ハムゼさんインタビュー

2016年09月19日
福岡の町も散歩して、日本文化を楽しまれているというダリンさん。着物を着た時の写真を見せてくださいました。

*キリスト教徒も一緒に作ったイスラーム映画
― 昨年(2015年)、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭で上映されたレバノン映画『ガーディ』は、マロン派キリスト教徒の多い町の話でした。

ダリン: レバノンではイスラームのコミュニティを描いた映画は少なくて、恐らくこれが初めてだと思います。

― ダリンさんご自身は、ムスリマ(イスラーム教徒の女性)ですか?

ダリン;
はい、ムスリマですが、オープンな家族で育ちました。レバノンのイスラーム教徒は、宗教的な学校に行ってない人も、宗教的な学校に行っている人も、ファナティックではありません。

― ナディーン・ラバキー監督の『キャラメル』では、キリスト教徒とイスラーム教徒が共に暮らしている光景が描かれていて、それが一般的なレバノンの姿かなと思いました。

ダリン: キリスト教徒とイスラーム教徒が人口の半々。共存しているのがレバノンの姿だと思います。20年位にわたって内戦があって、その時代に生まれた私たちの世代の特に芸術に携わっている人たちは違う宗教の人も受け入れています。神の名において殺しあうのは嫌なことです。だからこそ、映画をいろんな宗教の人が関わって作っています。監督と私はイスラーム教徒ですが、この映画には多くのキリスト教徒も関わっています。多くのクリスチャンの俳優がムスリムを演じていました。夫の為に2番目の妻を探していた女性を演じたのはクリスチャンです。私自身、映画や舞台でキリスト教徒の役を演じることもあります。
★「イスラーム映画祭1」で上映されたイラン映画『法の書』 (2009年、マズィヤール・ミーリー監督)では、レバノン在住のキリスト教徒のフランス女性を演じています。)

― 前述の『ガーディ』にイスラーム教徒の女性との結婚を反対されて独身でいる男性が登場しました。来日したプロデューサーのガブリエル・シャームン氏にお伺いしたのですが、レバノンでは18の宗派があって、以前は違う宗派どうしの結婚は認められなくて、国外に行って結婚するしかなかったけれど、法律が変わって認められるようになると聞きました。

ダリン:国として法律を変えようと努力はしているのですが、今もまだ宗派が違うと国外に出ないと結婚できません。

*夜の話も女どうしで大胆に

― 『キャラメル』でも、今回の映画でも、夜の秘め事について大胆に話していましたが、普段からレバノンではそうなのですか? 日本人はお互いにすごく親しくても話しませんので、ちょっとびっくりしました。

ダリン: はい、そうですね。レバノンの人はアラブと地中海世界の両方の文化の影響を受けていて、ギリシャ、イタリア、スペイン、オリエント世界の女性たちも、表に出して話すのが好きです。自分の感情を表現します。女性どうしでも、よく話します。日本の皆さんも、そうしてみたらいかがでしょう。(笑)

― 本作のオファーを受けて、いかがでしたか?

ダリン:母親との絡みのシーンで、社会のせいで母親が娘に強制的にやらせようとすることに苦しんでいることが多いと思います。脚本を読んだときに、そんなシーンがあったから出演を決めました。同世代の女性たちとよく話すのですが、普段話せないようなことを映画で描けるので映画が好きと。

― 好きなシーンは?

ダリン:
自分の役では、最後の方で別れを告げるシーンで、実際のあなたより夢をくれたというところ。脚本も監督も男性なのですが、女性が男性を愛するのに、実際どうするのかに入り込んでいるところが面白いと思いました。

― 映画の中の男性では、どのタイプが好きですか?


ダリン:妻に2番目の妻をあてがわれようとした男性。一人の妻を毎夜でも愛そうという、本物の愛妻家です。

― 妻を愛しすぎる男性ですね。それにしても2番目の妻をあてがおうなんて面白いですよね。

ダリン: 通常じゃ起こらないことが起こっているのが面白いですよね。

― レバノンの人たちは、コメディタッチで考えさせてくれるような映画が好き?

ダリン:そうですね。女性が二番目の奥さんを連れてくるといった面白い発想。スマートで謙虚さがあって、正直なのが好きですね。

― 映画館は結構あるのでしょうか?


ダリン:
あります。色々なタイプの映画が上映されています。商業的な映画であまりよくないものも上映されたりしますが。
今回の映画はドイツのプロダクションも資金を出してくれていますし、フランスもよくレバノンの映画に投資しています。結構自由なトピックを取り上げることができます。


*避難先のロンドンで演劇に出会う

― 女優になろうと思ったきっかけは?

ダリン: 内戦があって、ロンドンに両親と一緒に移住していました。ロンドンの学校で舞台に立ったことから、演劇に愛着を持ち続けたいと思うようになりました。大学で4年間、演劇を学び、ワシントンでマスターを取りました。ニューヨークで映画の為のワークショップにも参加しました。最初は演劇やテレビのドラマに出演していました。今は映画にも出演しています。

― どんな映画が好きですか?

ダリン:ドラマが好き。人の魂に入り込むようなジャンルだと思います。本を読んだり、映画を観たりして、新しいことを感じて成長していけるものだと思います。日本映画では、黒沢明監督の『夢』が好きですね。

― 今はご両親もレバノンに?

ダリン:
父は亡くなりました。エンジニアでした。母は画家です。母はレバノンにいますが、別に住んでいます。

― 次の出演作は?

ダリン:2017年に『Nuts』という映画が公開されます。ポーカーで勝って、チップが集まったのをNutsといいます。結婚している女性が人生にフラストレーションを感じている時にポーカーの面白さに目覚めて、地下のポーカーの世界に入り込んでいく姿を追っていく映画です。フランスの監督がレバノンで撮った映画です。

― 次の作品もぜひ日本で観たいです。本日はありがとうございました。


取材:景山咲子




イスラーム映画祭5 上映&トークセッション日程

「イスラーム映画祭5」の東京での上映とトークセッションの日程を各作品ごとにお届けします。
(★印 上映後にトークセッションがあります)
☆末尾に日にちごとのスケジュールも掲載しています。

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会期:2020年3月14日(土)~20日(金)
 場所:東京 渋谷 ユーロスペース
公式サイト:http://islamicff.com/index.html


◎イスラーム映画祭5 ラインナップ

『アル・リサーラ/ザ・メッセージ アラブ・バージョン〈デジタル・リマスター〉 /Al-Risâlah』
(1976年-2018年、エジプト)
① 3/14(土)14:00★  1回限りの上映です。
上映後トーク《ムスタファ・アッカド没後15年――アメリカにイスラームを伝えようとした男》
【ゲスト】ナジーブ・エルカシュさん(ジャーナリスト
「リサーラ・メディア」代表 https://risala.tv/


『銃か、落書きか/Rifles or Graffii』 (2016年、スペイン)
① 3/14(土)19:00★
➁ 3/17(火)19:00★
③ 3/19(木)13:30★
いずれの回も上映後にトーク
《“恥の壁”の両側から――占領地と解放区、難民キャンプに暮らす西サハラの民》
【ゲスト】 岩崎有一さん(ジャーナリスト/アジアプレス)
公式HP: https://iwachon.jp/


『ゲスト:アレッポ・トゥ・イスタンブール/The Guest: Aleppo to Istanbul』 (2017年、トルコ=ヨルダン)
① 3/15(日)11:00★
上映後トーク《2011年3月15日~革命から10年目のシリアは今~》
【ゲスト】 山崎やよいさん(考古学者/シリア紛争被災者支援プロジェクト
「イブラ・ワ・ハイト」発起人
 https://iburawahaito.wixsite.com/iburawahaito/about

➁ 3/17(火)15:30
② 3/19(木)19:00


『ガザ・サーフ・クラブ/Gaza Surf Club』 (2016年、ドイツ)
① 3/14(土)11:00★
上映後トーク《ガザ、それでもなお――完全封鎖から14年目の現実》
【ゲスト】 岡真理さん(京都大学大学院人間・環境学研究科教授/
 アラブ文学者、パレスチナ問題専門) 著書『ガザに地下鉄が走る日』
https://www.msz.co.jp/book/detail/08747.html

➁ 3/16(月)13:30★
上映後トーク《2019年8月パレスチナ・ガザ最新リポート》
【ゲスト】 古居みずえさん(ジャーナリスト/映画監督)
『ガーダ パレスチナの詩』 『ぼくたちは見た -ガザ・サムニ家の子どもたち-』
https://www.amazon.co.jp/…/ref=cm_sw_r_cp_apa_i_Y0slEbFMYC4…

② 3/20(金)16:00


『ハラール・ラブ(アンド・セックス)/Halal Love (and Sex)』 (2015年、レバノン)
① 3/15(日)13:45★
上映後トーク《ムスリムたちの愛と性 ~イスラーム法の結婚と離婚~》
【ゲスト】 小野仁美さん(東京大学大学院人文社会系研究科研究員)
著書『結婚と離婚』
https://www.akashi.co.jp/smp/book/b488854.html

➁ 3/17(火)11:00
③ 3/19(木)16:30


『ベイルート - ブエノス・アイレス - ベイルート/Beirut Buenos Aires Beirut』 (2012年、アルゼンチン)
① 3/16(月) 16:30
② 3/18(水) 13:30
③ 3/20(金) 11:00★
上映後トーク《レバノン移民のルーツ探しにみる出会いと別れ》
【ゲスト】 池田昭光さん(文化人類学者/東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所・研究機関研究員)
上映後トーク


『ラグレットの夏/Un été à La Goulette』 (1996年、チュニジア)
① 3/16(月) 11:00
② 3/18(水) 16:30
③ 3/20(金) 13:30★
上映後トーク《激震1967――アラブ世界の転換点、第三次中東戦争》
【ゲスト】 佐野光子さん(アラブ映画研究者/写真作家)


『イクロ2 わたしの宇宙(そら)/Iqro My Universe』 (2019年、インドネシア)
① 3/17(火) 13:30★
上映後トーク《子どもたちへのクルアーン教育 ~イスラームと科学~》
【ゲスト】 小野仁美さん(東京大学大学院人文社会系研究科研究員)
著書『イスラームの子ども観』
http://www.ajup-net.com/bd/isbn978-4-7664-2641-0.html

② 3/19(木)11:00


◎イスラーム映画祭5~アンコール~
 各作品1回上映

『神に誓って』 (2007年・パキスタン)
① 3/20(金) 17:55

『私たちはどこに行くの?』 (2011年・レバノン)
①3/15(日)16:30★
上映後トーク《レバノンはイスラームの国にあらず――宗教モザイク国家の多様性》
【ゲスト】 佐野光子さん(アラブ映画研究者/写真作家)
『判決、ふたつの希望』アラビア語監修
https://www.facebook.com/mitsuko.sano


『アブ、アダムの息子』 (2011年・インド)
① 3/16(月) 19:00

『わたしはヌジューム、10歳で離婚した』 (2014年イエメン)
① 3/15(日) 19:05


『花嫁と角砂糖/Yek Habbeh Qand』 (2011年 イラン)
① 3/18(水) 18:50



☆日にちごとのスケジュール☆

   ★上映後にトークがあります。

3月14日(土)
11:00★『ガザ・サーフ・クラブ』
14:00★『アル・リサーラ/ザ・メッセージ アラブ・バージョン〈デジタル・リマスター〉』
19:00★『銃か、落書きか』

3月15日(日)

11:00★『ゲスト:アレッポ・トゥ・イスタンブール』
13:45★『ハラール・ラブ(アンド・セックス)』
16:30★『私たちはどこに行くの?』
19:05 『わたしはヌジューム、10歳で離婚した』

3月16日(月)
11:00 『ラグレットの夏』
13:30★『ガザ・サーフ・クラブ』
16:30 『ベイルート - ブエノス・アイレス - ベイルート』
19:00 『アブ、アダムの息子』

3月17日(火)

11:00 『ハラール・ラブ(アンド・セックス)』
13:30★『イクロ2 わたしの宇宙(そら)』
15:30 『ゲスト:アレッポ・トゥ・イスタンブール』
19:00★『銃か、落書きか』

3月18日(水)

11:00 『ガザ・サーフ・クラブ』
13:30 『ベイルート - ブエノス・アイレス - ベイルート』
16:30 『ラグレットの夏』
18:50  『花嫁と角砂糖』

3月19日(木)

11:00 『イクロ2 わたしの宇宙(そら)』
13:30★『銃か、落書きか』
16:30 『ハラール・ラブ(アンド・セックス)』
19:00 『ゲスト:アレッポ・トゥ・イスタンブール』

3月20日(金・祝)
11:00★『ベイルート - ブエノス・アイレス - ベイルート』
13:30★『ラグレットの夏』
16:00 『ガザ・サーフ・クラブ』
17:55 『神に誓って』


イスラーム映画祭5 Islamic Film Festival 5th

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イスラーム映画祭5の概要が発表されました。
劇映画5本、ドキュメンタリー映画3本、アンコール上映5本の計13本の上映のほか、多彩なトークセッションが予定されています。

2020年3月14日(土)~20日(金)東京 渋谷 ユーロスペース
2020年4月25日(土) - 5月1日(金) 名古屋シネマテーク
2020年5月2日(土) - 5月8日(金) 神 戸・元町映画館

公式サイト:http://islamicff.com/index.html
https://www.facebook.com/1215087291851692/photos/p.3236733103020424/3236733103020424/


イスラーム映画祭5 ラインナップ

『アル・リサーラ/ザ・メッセージ アラブ・バージョン〈デジタル・リマスター〉 /Al-Risâlah』(1976年-2018年、エジプト)
『銃か、落書きか/Rifles or Graffii』(2016年、スペイン)
『ゲスト:アレッポ・トゥ・イスタンブール/The Guest: Aleppo to Istanbul』(2017年、トルコ=ヨルダン)
『ガザ・サーフ・クラブ/Gaza Surf Club』(2016年、ドイツ)
『ハラール・ラブ(アンド・セックス)/Halal Love (and Sex)』(2015年、レバノン)
『ベイルート - ブエノス・アイレス - ベイルート/Beirut Buenos Aires Beirut』(2012年、アルゼンチン)
『ラグレットの夏/Un été à La Goulette』(1996年、チュニジア)
『イクロ2 わたしの宇宙(そら)/Iqro My Universe』(2019年、インドネシア)


イスラーム映画祭5~アンコール~

『神に誓って』(2007年、パキスタン)
『私たちはどこに行くの?』(2011年、レバノン)
『アブ、アダムの息子』(2011年、インド)
『わたしはヌジューム、10歳で離婚した』(2014年、イエメン)
『花嫁と角砂糖/Yek Habbeh Qand』(2011年 イラン)


トークセッション
今決まっている主なテーマは以下の通りです。

「パレスチナの民族浄化」
「アメリカにイスラームを伝えようとした男」
「西サハラ問題」
「革命から10年目のシリア」
「イスラーム法の結婚と離婚」
「風雲急を告げる宗教のモザイク国家」
「2019年ガザ最新リポート」
「イスラームの子ども教育」
「ムスリム移民と南米」
「1967年アラブ世界の転換点」



イスラーム映画祭4 イエメン映画『わたしはヌジューム、10歳で離婚した』 東京でのトーク  (咲)

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『わたしはヌジューム、10歳で離婚した』
2014年、イエメン
監督:ハディージャ・アル=サラーミー

*物語* 
パンを買いに行くと家を出て、裁判所に駆け込む少女ヌジューム。大勢が訴えに来ていて、順番が来る前に閉廷になってしまう。ヌジュームが居残っていると、見かねて判事が声をかける。「離婚したい」という少女は十歳。結婚した経緯を聞く。
村での暮らしが立ち行かなくなり、子だくさんの一家は首都サナアに出て来るが、やがて家賃も払えなくなる。口減らしと結納金目当てに、父親はヌジュームを年の離れた男のところに嫁がせたのだ。判事は行き場のないヌジュームを家に連れ帰る。洋風の立派な家。同年代の娘は学校に通っている。判事の妻は、男と交わったヌジュームを自分の娘に近づけたくない。
 父と夫が警察に連行される。法廷で夫は、結婚は正当と主張。族長は、「よくぞ部族の者を侮辱した」と怒る・・・



イエメン出身で現在はフランスを拠点に活動する女性監督が、実在の女性のノンフィクションをもとに、自身の児童婚の経験も反映させて紡いだ物語。
タイトル「nujud(隠された)」から、 アラビア語のdの文字が星で消されて、mになり、「nujum(星)」に変わる。原作者は、実際に改名したそうだ。

★朝日新聞GLOBE編集部 高橋友佳理さんによるハディージャ・アル=サラーミー監督インタビューをぜひお読みください。
https://globe.asahi.com/article/12212998

映画は、部族社会の根強いイエメンを見せながら、都会と村の格差も見事に描きだしている。首都サナアの伝統的な石造りの家や市場、山間部の棚田、山の頂に建つ家など、イエメン各地の風物もうまく映し出している。
車を運転する男二人がカートを噛みながら、「水すら買う時代。でも、家族の飯よりカート」という場面があった。カートとは、覚醒作用のある葉っぱ。イエメンの男たちは、稼ぎの半分以上をカート購入につぎ込むという。昼下がり、石造りの建物の最上階(五階位)にある応接間に集い、水を片手に、片方のほっぺたをカートでいっぱい膨らませるのだ。
イエメンを旅した時、ちょうど昼時、スーク(市場)のカート売り場で男たちが血相を変えて奪い合うようにカートを買い求めているのを見た。内戦の今も、男たちはカートを手放せないでいるのだろうか。


2019年3月16日(土) 13:10からの渋谷ユーロスペースでの上映後のトークの模様をお届けします。

Focus on Yemen
《イエメンだけの問題ではない“児童婚”》

【ゲスト】
マリヤム・アル=クバーティさん(イエメン出身/筑波大学大学院博士課程)
鳥山純子さん(立命館大学准教授/中東ジェンダー学専門)
通訳:松下由美さん

藤本:
ヌジュームの家族構成をおさらいしておきましょう。
一番上の兄 アリー
次兄 サーミ
姉 ナジューラ
妹 アーヤ

6人兄弟。
ヌジューム役は、監督の姪っ子。顔も出して出演してくれる子は、なかなか見つからない。
今、内戦でマレーシアに逃れてます。

鳥山:専門はエジプトでイエメンには行ったことがありません。イエメンがどんなところかを見せてくれる映画ですね。都会と農村の両方が出てきて、農村からは高速道路を通って町に入りましたね。生活空間も見せてくれる。イエメンのいろいろな面をうまく見せてくれている。
原作と違った部分もありますね。

マリヤム:筑波大学の留学生です。映画、どうだったでしょう? イエメンの文化がいろいろ観れてよかったと思います。(ここまで日本語で)

藤本:最後に出てきた弁護士の方が友達だそうですね。

マリヤム:TEDのトークで知り合いました。アメリカに住んでいて、イエメンの変革を出来ないか、アメリカから活動しています。有名な方ですが、シャイな方です。

藤本:学校も同じですか?

マリヤム:サナアにある有名な学校で、私の妹が学んだところです。

鳥山:映画のインスピレーションになっている、お父さんのつけた名前 ヌジュード(隠された者)。
その原作をうまくかわしながら、映画を仕上げています。

マリヤム:
児童婚は、イエメンで長い間問題になってきました。イスラームや文化的なことと思われガチだけど、もっと違う問題があります。
弁護士は町の人間。村の人の意識との間に溝があります。貧困、教育、家父長制のあり方・・・、法律も都合のいいように作られています。町の人とは意識が違う。私も町で育ったので、今の私があるといえます。
イエメンは内戦で状況が悪化しています。その前から児童婚はあって、結婚にあたってダウリーが支払われます。まさに人身売買です。文化として根付いています。女性に値打ちを与えているのが、女性を守ることだという間違った認識があります。名誉や面子の問題でもあります。

鳥山:学生に教えていて、「日本に生まれてよかった、イエメンや中東は大変ですね」と言われます。マリヤムさんが教育が大切だとおっしゃいました。本作でいろいろなイエメンを描いています。シェイフ(長老)が裁判の最後に、夫と父親の言い分をサポートします。昔からの伝統だと。
これから教育を受けられるようになれば、解決するのか?  それだけじゃない。
映画の最後に「知識は光なり」とありました。
立場を正当化するために、「伝統」という言葉を使ってないか?
原作では、裁判のシーンはなく、ヌジュームが人生を振り返る形で描いています。
裁判シーンで重層的にイエメンを描いていて、イエメンだけの問題でなく、観ている者自身の問題でもあると投げかけています。

マリヤム:映画を観て、他人事ではなく、自分の目線で考えてみれば、日本はイエメンに比べれば、先進国かもしれないけれど、ジェンダーから見ると問題があると思います。
10歳の子が権力に立ち向かう。家族の評判や、確立した制度と闘う勇気を教えてくれます。

藤本:お姉さんのナジューラはレイプされ、村を出て行かなければなりませんでした。性被害者の方が肩の狭い思いをするのは、日本でも同じ。
夫のお母さんは悪役ですが、でも閉じこもったヌジュームに哀れみの言葉をかけています。でも、自分が乗り越えたことだからというのは詭弁。

鳥山:
「従属はしない」という夫だけど、兄アリーや夫は伝統に縛られています。上からの力に縛られていて、男としての役割が果たせなかった時に最悪の状況になります。
サウジアラビアとの戦争が続いていて、村では暮らせず、一家が町にやってきてうまくいかない中で、お金目的で児童婚が行われます。

マリヤム:イエメンが他の国と違うのは、部族社会であること。アイデンティティーに直結しています。その中にいれば、貧困からも逃れられるし、女性も守られる。より豊かな男に嫁がせればいいだろうと。父親は夫に性交は待ってくれと言ったけど、守ってくれなかった。
兄アリーとサーミーはかなり違う。長男であるアリーは家父長制の考え方。サーミーは心で反応しています。義母は家父長制の犠牲者。教育があれば自分を持つことができる。

鳥山:教育があればはトリッキー。判事の奥さんは、男と交わったヌジュームを自分の娘と同じ部屋に入れたくない。

藤本:児童婚は、他の国にも?

鳥山:どちらかが18歳以下というのが、児童婚の世界基準。日本は女性16歳で結婚できる。児童婚大国ですね。

マリヤム:
世界基準がイエメンに適用されるべきと思って日本に来て、16歳で結婚できると聞いてショックでした。1999年までは、15歳以下は結婚してはいけないという法律があったのに、保守派が取っ払ってしまいました。その後、18歳以上と法改正されたけれど、内戦で批准されていません。

藤本:マリヤムさんは、2014年に来日。内戦の影響で国に帰れてないのですね。

マリヤム:
サナアが故郷。ユネスコの世界遺産です。格差もある社会で、実際、何が起こっているか感じてほしい。内戦ですべて変わってしまい、元に戻ることはありません。

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内戦で児童婚どころじゃないのでは思っていたら、実は、仕事がないため、父親は幼い娘を嫁がせることで金を得るという状態が続いているとの報道があった。児童婚の低年齢化がますます進んでいるようだ。
戦争が終わり、経済が活性化すれば児童婚は減るのだろうか・・・
ノートルダム寺院の火災には、すぐに多額の寄付が集まるのに、世界最大の人道危機と言われているイエメンに手を差し出そうとする大きな動きがないのが悲しい。(景山咲子)