「第20回大阪アジアン映画祭」開催

2025年3月14日(金)~3月23日(日)まで「第20回大阪アジアン映画祭」が開催されました。スペシャル・オープニング・セレモニーが3月19日(水)ABCホールで行われ、オープニング作品としてカザフスタンのミュージカル・エンタテインメント映画『愛の兵士』が上映され、23日には授賞式とクロージング、クロージング作品として『桐島です』が上映されました。

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 オープニングセレモニー

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『愛の兵士』ファルハット・シャリポフ(監督)

「コンペティション部門」、「特別注視部門」、「インディ・フォーラム部門」、カザフスタン映画の現在、特集企画<タイ・シネマ・カレイドスコープ2025>、<台湾:電影ルネッサンス2025>、<Special Focus on Hong Kong 2025>、「特別招待作品部門」、短編映画作品などが23日(日)まで上映されました。

第20回大阪アジアン映画祭 授賞結果
(受賞理由 公式HPより)

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受賞者と審査員のみなさん

★グランプリ(最優秀作品賞)
『バウンド・イン・ヘブン』(捆綁上天堂/Bound in Heaven)中国
 監督:霍昕(フオ・シン HUO Xin)

バウンド・イン・ヘブン_R.JPG

授賞理由
映画が描く(映す)テーマが多様化する中で、特に「映画祭」では選ばれにくい、最も古典的な”恋愛映画”の本作に迸る熱度と強度に衝撃をうけました。主演二人がたどる「運命」は映画を目にする私たちを疑いもなくその物語に没入させ、映画的歓びを共有させてくれるその世界に魅了されました。

★来るべき才能賞
パク・イウン PARK Ri-woong

『朝の海、カモメは』監督/韓国

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授賞理由
パク・イウン監督の人間の善良さを見抜く能力と、社会が抱える問題を詳らかにする鋭い注意力は来るべき才能賞に値する。

★スペシャル・メンション
『私たちの話し方』(看我今天怎麼說/The Way We Talk)香港

 監督:黄修平(アダム・ウォン)
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黄修平(アダム・ウォン)監督

授賞理由
『私たちの話し方』のアダム・ウォン監督と彼のクルーの深い優しさと、先入観のない公平な視点が本作を珠玉の作品にした。聴覚障害者の内なる世界に観客を心深く没入させる作品である。

★最優秀俳優賞
トゥブシンバヤル・アマルトゥブシン
(Tuvshinbayar AMARTUVSHIN)

『サイレント・シティ・ドライバー』主演 モンゴル
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代理で受け取ったジャンチブドルジ・センゲドルジ監督

授賞理由
アマルトゥブシンは静謐で、決して不快でない男らしさを体現し、それは映画の領域に深く共鳴した。彼の内なる感情を伝える卓越した演技力は、静穏だが暗晦な世界に生きる主人公の複雑な孤独を的確に捉えた。

★JAIHO賞
『君と僕の5分』(너와 나의 5분/404 Still Remain)韓国

 監督:オム・ハヌル

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授賞理由
テンポよく展開するストーリー、主人公2人の瑞々しい演技。彼らがバスの車窓から眺める四季折々の風景が、音楽と絡み合い美しい余韻を残す。そして少年は大人になる。“ボーイ・ミーツ・ボーイ”映画の傑作。

★薬師真珠賞
高伊玲(カオ・イーリン) 
藍葦華(ラン・ウェイホア) 
曾敬驊(ツェン・ジンホア) 
黃珮琪(ホアン・ペイチー)
 
『我が家の事』(我家的事/Family Matters)台湾 

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我が家の事_R.jpg

授賞理由
『我が家の事』の主人公家族を演じた4人の俳優たち、カオ・イーリン、ラン・ウェイホア、ツェン・ジンホア、ホアン・ペイチーに授与する。家族それぞれがかかえる複雑な心情を見事なアンサンブルで演じ、新人監督による偉大な傑作の誕生に貢献した。

★JAPAN CUTS Award
『素敵すぎて素敵すぎて素敵すぎる』日本
(So Beautiful, Wonderful and Lovely)

監督:大河原恵
大河原恵監督_R_R.JPG

授賞理由
多彩な編集と撮影手法、不条理なユーモアとハートフルなストーリーテリングが矢継ぎ早に繰り広げられる、大河原恵監督の『素敵すぎて素敵すぎて素敵すぎる』にJAPAN CUTS AWARDに授与する。脚本・監督・編集・主演を務めた大河原は、真の若いエネルギーに溢れ、短い上映時間の中に創造的なアイデアと野心を詰め込み、かつ筋の通った作品を完成させた。

★芳泉短編賞
『洗浄』(洗浄/WAShhh)マレーシア

監督:黎樂怡(ミッキー・ライ)

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授賞理由
まるでリアルタイムで起きている出来事のように、限られた空間と時間の中で観客を巧みに没入させ、少女たちの状況の追体験を可能にする。モノクロームの画がセンセーショナリズムに陥らない緊迫感を作品にもたらす。リアリズムとシンボリズムの両方を兼ね備え、制度の不条理を痛烈に批判し、タブーに挑んでいる。

★芳泉短編賞 スペシャル・メンション
『金管五重奏の為の喇叭吹きの憂鬱』
(The Melancholy of a Brass Player for Brass Quintet)日本

監督:古谷大地

金管五重奏の為の喇叭吹きの憂鬱補正_R.jpg

授賞理由
元気が湧いてくる作品(アダム・ウォン)
編集、音響デザイン、テンポ ー すべてにおいて類のない作品。何が何だか分からないのに、完全に筋が通っている。(ジョン・スー)
まるでサイレント映画のようなアナーキーさを湛えている(木下千花)

★観客賞
『蔵のある街』(The Tales of Kurashiki)日本

監督:平松恵美子

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©2025 つなぐ映画「蔵のある街」実行委員会


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右端 代理で受け取った有吉司さん(配給:マジックアワー代表)


クロージング作品 『桐島です』

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前列左から 高橋伴明監督、高橋恵子、後列左から 梶原阿貴(脚本)、長尾和宏(製作総指揮)

宮崎 暁美

スタッフ日記
「第20回大阪アジアン映画祭」(OSAKA ASIAN FILM FESTIVAL 2025)に来ています(暁)はこちら

公式HPはこちら

なお、万博イヤーの今年(2025)は、夏にも映画祭が開催されます。第21回大阪アジアン映画祭は2025年8月29日(金)〜9月7日(日)です。

「第20回大阪アジアン映画祭」の審査委員&ゲストが決定

大阪アジアン映画祭は「大阪発。日本全国、そしてアジアへ!」をテーマに、アジア映画最新作のコンペティション部門をはじめ、特別注視部門、インディ・フォーラム部門、その他特集企画・部門など、多彩なプログラムでアジア映画の魅力が紹介されます。今年、史上最高の応募数から厳選された傑作を揃えて第20回の節目を迎えます。

2025年3月14日(金)から3月23日(日)まで開催される「第20回大阪アジアン映画祭」の審査委員&ゲストが決定し、あわせて予告編が解禁になりました。
審査委員に映画『星くずの片隅で』、Vaundyの「Tokimeki」のMV出演が話題になった袁 澧林(アンジェラ・ユン)さん、映画『返校 言葉が消えた日』が大ヒットした徐漢強(ジョン・スー)監督等が決定。『おばあちゃんと僕の約束』で78歳にして俳優デビューを果たした、いま世界で最もホットな“おばあちゃん” ウサー・セームカムさん、大ヒットしたモンゴル映画『セールスガールの考現学』のジャンチブドルジ・センゲドルジ監督等、50作品のゲスト約85名が登壇いたします。19の国と地域から集まった全67作品の見どころ満載の予告編も完成いたしました。

◆アンジェラ・ユン(『星くずの片隅で』)、ジョン・スー監督(『返校 言葉が消えた日』)等が審査員に決定!◆
【コンペティション部門 審査委員】
アンジェラ・ユン(香港/俳優)
ファルハット・シャリポフ(カザフスタン/映画『愛の兵士』(OAFF2025)監督)
中村由紀子(日本/ル・シネマ プログラミング・プロデューサー)

【芳泉短編賞 審査委員】
アダム・ウォン(香港/映画『私たちの話し方』(OAFF2025)監督)
ジョン・スー(台湾/映画『鬼才の道』(OAFF2025)監督)
木下千花(日本/映画研究者)

コンペティション部門全13作品のなかから、グランプリ(最優秀作品賞)と来るべき才能賞を選定するコンペティション部門審査委員に、映画『星くずの片隅で』のアンジェラ・ユンさん(香港/俳優)、スペシャル・オープニング作品『愛の兵士』監督のファルハット・シャリポフ監督(カザフスタン/監督)、1980年代からミニシアター文化を牽引するBunkamuraル・シネマのプログラミング・プロデューサー中村由紀子さん(日本/ル・シネマ プログラミング・プロデューサー)が決定。
また映画祭全部門で上映される60分未満の作品のうち、日本初上映22作品のなかから最も優秀な作品を選定する芳泉短編賞審査委員には、『狂舞派』で香港監督協会最優秀新人監督賞を受賞したアダム・ウォン監督(香港/監督)、長編デビュー作『返校 言葉が消えた日』が大ヒットしたジョン・スー監督(台湾/監督)、「溝口健二論――映画の美学と政治学」で芸術選奨新人賞を受賞した映画研究者の木下千花さん(映画研究者)が決定いたしました。

◆世界で最も注目される新人おばあちゃん俳優、大ヒットモンゴル映画『セールスガールの考現学』監督も登壇!◆
全67作品中、香港、カザフスタン、モンゴル、フィリピン、台湾、タイ、日本などからおよそ50作品のゲスト約85名が登壇します。
メイン会場であるABCホール初日の3月19日(水)に行われるスペシャル・オープニング上映には、日本初上映となるカザフスタンのミュージカルエンタテインメント映画『愛の兵士』のファルハット・シャリポフ監督が登壇し、上映に先立ち行われるスペシャル・オープニングセレモニーでは、国内外から多数のゲストが登壇し盛り上げます。
クロージング上映には、49年間逃亡の連続企業爆破犯・桐島聡の半生を描いた社会派エンターテインメント映画「桐島です」の高橋伴明監督、脚本家の梶原阿貴さん、製作総指揮の長尾和宏さんが登壇予定。
そのほか、『おばあちゃんと僕の約束』で78歳にして俳優デビューを果たした、いま世界で最もホットな“おばあちゃん” ウサー・セームカムさん、タイBLドラマ「Jack and Joker」への出演などで知られる『タクリー・ジェネシス』ワナラット・ラッサミーラットさん、ドラマ「サイルブ リップグロス」主演が話題になった『団地少女』パコーン・チャットボリラックさんなど、タイから話題のゲストが多数登壇。
世界初上映となる『我が家の事』には台湾の人気俳優曾敬驊(ツェン・ジンフア)さん、『サイレント・シティ・ドライバー』のジャンチブドルジ・センゲドルジ監督は前作『セールスガールの考現学』で一気に注目の監督になりました。
ほかに『イェンとアイリー』林書宇(トム・リン)監督、『私たちの話し方』黄修平(アダム・ウォン)監督、『鬼才の道』ジョン・スー監督、『V. MARIA』宮崎大祐監督、『Good Luck』足立紳監督など、国内外から多数のゲストが登壇されます。

ゲスト情報については現在調整中の作品もあり、随時更新されますので、最新情報は公式HPスケジュールページをご参照ください。
https://oaff.jp/oaff2025/schedule/

≪映画祭概要≫
名称:第20回大阪アジアン映画祭(OSAKA ASIAN FILM FESTIVAL 2025)
会期:2025年3月14日(金)から3月23日(日)まで
上映会場:ABCホール、テアトル梅田、T・ジョイ梅田、大阪中之島美術館
公式HP:https://oaff.jp
主催:大阪映像文化振興事業実行委員会(大阪市、一般社団法人大阪アジアン映画祭、大阪商工会議所、公益財団法人大阪観光局、朝日放送テレビ株式会社、生活衛生同業組合大阪興行協会、株式会社メディアプラス)
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■上映スケジュール&ゲスト情報
https://oaff.jp/oaff2025/schedule/

■チケット情報
3月6日(木)より順次発売いたします。詳細は公式HPをご覧ください。
https://oaff.jp/oaff2025/ticket/

「第20回大阪アジアン映画祭」ラインナップ

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2025年3月14日(金)から3月23日(日)まで開催される「第20回大阪アジアン映画祭」の全ラインナップ&スケジュールが決定しました。

いま注目のカザフスタン映画、アジアのクィア映画、ぶっ飛びムエタイコメディまで?必見の全67作品!

≪映画祭概要≫
第20回大阪アジアン映画祭(OSAKA ASIAN FILM FESTIVAL 2025)
会期:2025年3月14日(金)から3月23日(日)まで
上映会場:ABCホール、テアトル梅田、T・ジョイ梅田、大阪中之島美術館
公式HP:https://oaff.jp
主催:大阪映像文化振興事業実行委員会(大阪市、一般社団法人大阪アジアン映画祭、大阪商工会議所、公益財団法人大阪観光局、朝日放送テレビ株式会社、生活衛生同業組合大阪興行協会、株式会社メディアプラス)

■ラインナップ
https://oaff.jp/oaff2025/programs/

■上映スケジュール
https://oaff.jp/oaff2025/schedule/

■リーフレットのダウンロードはこちらから [プログラム一覧] [上映スケジュール]

■チケット情報
3月6日(木)より順次発売いたします。詳細は公式HPをご覧ください。
https://oaff.jp/oaff2025/ticket/

大阪アジアン映画祭では、「大阪発。日本全国、そしてアジアへ!」をテーマに、アジア映画最新作のコンペティション部門をはじめ、特別注視部門、インディ・フォーラム部門、その他特集企画・部門など、多彩なプログラムでアジア映画の魅力を紹介します。
大阪アジアン映画祭は、万博開催を控えた大阪の街を舞台に、世界初上映作品や国内未配給作品を含む話題作を多数紹介する国際映画祭です。毎回、チケット発売後に即完売する上映が続出するなど全国の映画ファンの注目はもとより、国内外映画関係者の注目も高まり続ける大阪アジアン映画祭は、今年、史上最高の応募数から厳選された傑作を揃えて第20回の節目を迎えます。

すでに発表されたスペシャル・オープニング作品、第一弾ラインナップ、クロージング作品に続き、「コンペティション部門」、「特別注視部門」、「インディ・フォーラム部門」、特集企画<タイ・シネマ・カレイドスコープ2025>、<台湾:電影ルネッサンス2025>、<Special Focus on Hong Kong 2025>、「特別招待作品部門」が解禁となり、全ラインナップが揃いました。

大阪アジアン映画祭は、「大阪発。日本全国、そしてアジアへ!」をテーマに、世界初上映作品や国内未配給作品を含む話題作を多数紹介する国際映画祭。今年、史上最高の応募数から厳選された傑作を揃えて、第20回の節目を迎えます。

第20回の節目を迎え、史上最高の応募数の中からラインナップされた作品数は【67作品】(うち、世界初上映19作、海外初上映6作、アジア初上映4作、日本初上映31作)、上映作品の製作国・地域は、【18の国と地域】(バングラデシュ、中国、フランス、ドイツ、香港、インド、インドネシア、日本、カザフスタン、韓国、マレーシア、モンゴル、ノルウェー、フィリピン、台湾、タイ、アメリカ、ベトナム)が上映されます。

カザフスタンからは、スペシャル・オープニング作品のQ-POP(カザフスタンポップ)をフューチャーしたミュージカルエンタテインメント映画『愛の兵士』に続いて、TV局勤務のキャリアウーマンがプロパガンダになっていく報道、妻のいる男との恋愛、レズビアンで活動家の妹に疲弊していく様を鋭い視点とブラック・ユーモアで描く人間ドラマ『バイクチェス』(カザフスタン)がラインナップされました。中央アジアで最も注目される、カザフスタン映画の現在をご紹介。

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オープニング作品『愛の兵士』

≪カザフスタンのミュージカル・エンタテインメント映画『愛の兵士』≫&暉峻創三 プログラミング・ディレクターよりコメント!
カザフスタンの新星・ファルハット・シャリポフ監督のミュージカル・エンタテインメント映画『愛の兵士』が、スペシャル・オープニング作品に決定いたしました。
90年代に一世を風靡し、現在も活躍する国民的グループA'Studioをフューチャーした、美しい音楽と魅惑的なダンスが息をのむ傑作ミュージカルです。
近年K-POPと並び人気が高まるQ-POP(カザフスタンポップ)と共に、新世代のカザフスタン映画を日本でいち早く紹介します。
本映画祭のプログラミング・ディレクター暉峻創三は、「Q-POP(カザフスタンポップ)をふんだんに盛り込んだ、高揚感あるミュージカル・エンタテインメントでありつつ、高度に繊細で、洗練されていて芸術的。本作を目にすれば、映画とポップスの両面で、アジアに予想をはるかに超えた新勢力が台頭してきたことを、誰もが確信するはず」と、『愛の兵士』へコメントを寄せています。

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『ラスト・ダンス <ディレクターズカット>』
(C)2024 Emperor Film Production Company Limited ALL RIGHTS RESERVED

香港映画の歴史を塗り替える大ヒットを記録した『ラスト・ダンス <ディレクターズカット>』(香港)の世界初上映、キングオブP-POP(フィリピンPOP)グループ“SB19”のワールドツアーに密着した『PAGTATAG! ザ・ドキュメンタリー』(フィリピン)、幽霊がひとを怖がらせる特訓に励むオカルト・コメディ『鬼才の道』(台湾)、パロディ満載ぶっ飛びコメディ『ムエタイ・ハッスル』(タイ)、濃厚キャラ大集合の結婚詐欺ドタバタ喜劇『トロフィー・ブライド』(ベトナム)など、多彩なアジア映画が上映されます。

ゲイであることをクラス中に知られてしまった転校生が主人公の『君と僕の5分』(韓国)、中国の同性愛者を巡る日々をユーモアと皮肉を交えて描いた『イケメン友だち』(フランス)、同性パートナーとの死別を描いた『いばらの楽園』(タイ)、『All Shall Be Well(英題)』(香港)など、世代を問わない多様な関係を描くLGBTQを題材にした作品が新たにラインナップされました。

短編映画17作品&特別上映《VIPO Film Awardの成果》に『蒙古馬を殺す』≫
昼は牧畜、夜は馬術ショーのパフォーマーとして生計を立てる男の姿を通し、草原から都市へ、都市から観光地へと押し出されるモンゴル族の生活を描いた意欲作『蒙古馬を殺す』(マレーシア、香港、中国)が特別上映《VIPO Film Awardの成果》にて上映されます。

全ラインナップ決定に際し、暉峻創三(大阪アジアン映画祭プログラミング・ディレクター)は、「記念すべき第20回にふさわしい、豪華ラインナップが実現」し、「全部門・特集にわたって、既成の男女の性役割・関係性にとらわれない新しいあり方を示唆した作品が並んでいます。」とコメントを寄せました。

≪大阪アジアン映画祭の出発点“シネ・ヌーヴォ”からアジア映画の未来を照らすKVが完成?≫
第20回を迎える大阪アジアン映画祭のキービジュアルの撮影場所となったのは、本映画祭のはじまりの地でもあるミニシアター“シネ・ヌーヴォ”です。シネ・ヌーヴォの映写室からの光が、大阪アジアン映画祭の20回のロゴと、アジア映画の未来を照らすイメージになっています。

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クロージング作品『桐島です』(c) 北の丸プロダクション

第19回大阪アジアン映画祭受賞結果

第19回大阪アジアン映画祭のグランプリ以下各賞の受賞結果を発表

★グランプリ(最優秀作品賞)
『シティ・オブ・ウインド』(City of Wind)
フランス・モンゴル・ドイツ・ポルトガル・オランダ・カタール
監督:ラグワドォラム・プレブオチル(Lkhagvadulam Purev-Ochir)

★来るべき才能賞
 リエン・ジエンホン(LIEN Chien Hung/練建宏)台湾
『サリー』(Salli/莎莉)監督

★ABCテレビ賞
『サリー』(Salli/莎莉)台湾・フランス
 監督: リエン・ジエンホン(LIEN Chien Hung/練建宏)

★薬師真珠賞
 チー・ユン (CHI Yun/池韵)オーストラリア・中国
『未来の魂』(Unborn Soul/渡)主演俳優

★JAPAN CUTS Award
『カオルの葬式』(Performing KAORU’s Funeral)
 日本・スペイン・シンガポール 監督:湯浅典子(YUASA Noriko)

★JAPAN CUTS Award スペシャル・メンション
『ブルーイマジン』(Blue Imagine) 日本・フィリピン・シンガポール 監督:松林麗 (MATSUBAYASHI Urara)

★芳泉短編賞
『シャングリラに逗留』(Sojourn to Shangri-la/是日訪古) 中国  監督:リン・イーハン (LIN Yihan/林詣涵)

★芳泉短編賞スペシャル・メンショ2作
『オン・ア・ボート』(On a Boat) 日本 監督:ヘソ(Heso)

『スウィート・ライム』(Sweet Lime)香港・イギリス
 監督:ファティマ・アブドゥルカリム (Fatema ABDOOLCARIM)

★観客賞
『あまろっく』(Amalock)日本 
 監督:中村和宏(NAKAMURA Kazuhiro)

コンペティション部門審査委員のデイヴ・ボイル氏は審査委員を代表して「青春映画というジャンルの枠組みでグランプリを受賞した『シティ・オブ・ウインド』は、私たちが見たことのない世界を照らし出し、スピリチュアリティや世代間の対立といった問題を、巧みさと自信に満ちた手腕で描き出しました。この映画は、主人公の成長を繊細に描きつつ、啓示的な演技を中心に据えています。また、来るべき才能賞を受賞したリエン・ジエンホン監督(『サリー』)は、予想だにしなかった展開とひねりを加えつつも、過去の偉大なキャラクター主導型コメディを彷彿とさせる素晴らしい創作力を発揮しました。思い出の場所や人物を散りばめた卓越した脚本で、心からの感動と大爆笑コメディを両立させるテクニックを披露したリエン監督の次回作を大いに期待します」と講評。

第19回大阪アジアン映画祭オープニング

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大阪アジアン映画祭提供


第19回大阪アジアン映画祭(2024)は3月1日(金)から、シネ・リーブル梅田、大阪中之島美術館では上映が始まり、多くの観客と作品ゲストが来場しています。
3月5日(火)から、ABCホール、T・ジョイ梅田での上映が始まり、ABCホールにて、スペシャル・オープニング作品、香港映画『盗月者』の日本初上映に先立ち、スペシャル・オープニング・セレモニーが行われました。
主催者・大阪映像文化振興事業実行委員会委員長の上倉庸敬氏の挨拶に続き、同じく主催者・横山英幸大阪市長の挨拶代読。その後、香港、タイ、台湾、インドネシア、マレーシア、カンボジア、バングラデシュ、日本の20作品以上から、監督、出演者など40人を超えるゲストが登壇しました。
舞台上には2列に並んでも舞台幅いっぱいの人たちで、私のカメラでは撮りきれず、公式写真を使いました。

<大阪市.挨拶(代読)>
大阪市では市民の皆様に多彩なアジア映画の魅力をお楽しみいただき、映像文化の裾野を広げていけるよう、また、大阪を映像文化の創造と発信、交流と人材育成の拠点とすることをめざして「大阪アジアン映画祭」を開催しております。
いよいよ来年となりました2025 年の「大阪・関西万博」の年は、大阪アジアン映画祭も第20 回の節目を迎えます。2025 年は、各国・地域からお迎えした監督、キャストなど作品ゲストによるシンポジウムやトークイベントなどを開催し、映画を通じた国際交流を促するなど、アジア諸外国との連携をさらに深めるとともに、国内外からの来阪者に映画や映像文化の魅力を伝えられるよう取り組んでまいります。

スペシャル・オープニング・セレモニー登壇者(敬称略)24 作品、42 人

【香港】
『盗月者』 ユエン・キムワイ(監督)/田邊和也(出演)

『作詞家志望』 ノリス・ウォン(監督)/ウォン・ホイ(プロデューサー)

『潜入捜査官の隠遁生活』 リッキー・コー(監督)

『スウィート・ライム』 ファティマ・アブドゥルカリム(監督)/ソフィア・セック(プロデューサー)

【マレーシア】
『水に燃える火』 サンジェイ・ペルマル(監督)/ルピニ・クリシュナン(出演)/ルビニ・サンバンサン(出演)/A・サマッド・ハッサン(ポストプロダクション・スーパーバイザー)

【台湾】
『トラブル・ガール』 ジン・ジアフア(監督)

【インドネシア】
『ジャカルタ13 爆弾』 アンガ・ドウィマス・サソンコ(監督)

【カンボジア】
『テネメント』 エンナラーソティテープ・ネート(監督)
【タイ】
『ブレイズド・アウェイ』 スパマート・ブンニン(監督)/ラタタマヌーン・スパプートーン(プロデューサー)
【バングラデシュ】
『リキシャ・ガール』 オミタブ・レザ・チョウドゥリー(監督)/モハメド・アサドゥザマン(プロデューサー)
【日本】
『All the Songs We Never Sang』 クリス・ルッツ(監督)
『ブルーイマジン』 松林麗(監督)
『走れない人の走り方』 蘇鈺淳(監督)
『オン・ア・ボート』 ヘソ(監督)/依田純季(プロデューサー)/亀井俊貴(カラリスト)/呉雪那(カラーグレーデ
ィングプロデューサー)
『カオルの葬式』 湯浅典子(監督)/一木香乃(出演)
『りりかの星』 塩田時敏(監督)
『スミコ22』 福岡佐和子(監督)/堀春菜(出演)/はまださつき(助監督/出演)
『うぉっしゅ』 岡﨑育之介(監督)
『胴鳴り』 楫野裕(監督)/吉田庸(出演)/宮下浩平(撮影監督)
『あまろっく』 中村和宏(監督)
『彼方の家族』 坂内映介(監督)
『ハーフタイム』 張曜元(監督)
『アスク・フォー・ザ・ムーン』 大石泰司(監督)/愛恵(出演)
『花心 ファーシン』 安本未玖(監督)/岸水小太郎(出演)

第19回大阪アジアン映画祭は3月10日(日)まで、24の国と地域から選りすぐりの63作品を上映、国内外から120人を超えるゲストを迎えて開催。最終日3月10日(日)には、『東京カウボーイ』クロージング上映の前に授賞式が行われます。


まとめ 撮影 宮崎暁美