第14回シニア女性映画祭・大阪2025 レポート 

ウーマン・リブ55周年 この力を未来に!
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2025年11月8日(土)9日(日)
とよなか男女共同参画推進センターすてっぷホール
主催:「波をつくる女たち」シスターウェイブス

11月8日(土)
10:30~12:10『ノブコ・ミヤモト:ソング・イン・ムーブメント」
14:30~16:30『30年のシスターフッド~70年代のウーマンリブの女たち』

11月9日(日)
10:30~12:40『この星は、私の星じゃない』
14:00~15:40 イギリス「50歳以上の女性映画祭」より短編6作品上映

 初めてシネマジャーナルに投稿します。東京渋谷で年数回の女性監督作品上映会をしている「映像女性学の会」です。映画祭上映作品の監督・山上千恵子さんに誘われ、シニア女性映画祭にスタッフ3人で行ってきましたので、ご報告いたします。
 今回は「ウーマン・リブ55周年」ということで、当時のリブ運動にかかわった方も会場にいらして、上映後のトークでも当時の様子を知ることができました。イギリスの楽しい短編もあり、映像の力を改めて感じた映画祭でした。
   
『ノブコ・ミヤモト:ソング・イン・ムーブメント』
アメリカ/2024
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監督:タダシ・ナカムラ&クエン・グエン‐レ
日系3世アメリカ人で、「ウェストサイド物語」にも出演しアーティストで活動家のノブコ・ミヤモトのドキュメンタリー。日系人であることで、戦争中の強制収容も経験し、戦後もアメリカ社会での違和感を抱えながら、ショービジネスでの成功をおさめます。しかし、アジア人の役柄の固定や偏見に目をつむることができず、自らショービジネスの世界を捨てて、アジア系アメリカ人として、アーティストとして差別と闘い、周囲を巻き込みながら表現活動を続けます。高齢になっても、日本の盆踊りをアレンジしたダンスで会場を埋め尽くす参加者の一体感を作り出すエネルギーは、圧巻でした。
上映後に、この映画の主人公ノブコ・ミヤモトが書いた『ノブコ・ミヤモト自伝』の訳者、和泉真澄さんのトークがあり、ノブコ・ミヤモトの素顔や、現在のトランプ政権下での活動などを興味深く聞くことができました。
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『30年のシスターフッド~70年代ウーマンリブの女たち』日本/2004
『アメリカ上映ツアー』日本/2006
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監督:山上千恵子/瀬山紀子
『30年のシスターフッド』は、今回のテーマであるウーマン・リブ55周年に当たっての上映作品です。1970年代のウーマンリブ運動に関わっていた女性たちが、30年を経て集まり、当時の様子を思い出しながら語ります。このドキュメンタリー作品をアメリカ国内の大学で上映した様子を記録したのが、『アメリカ上映ツアー』です。二つの映像を見ることで、ウーマンリブやフェミニズムの捉え方などを、多面的な視点で見ることができました。上映後に監督2人によるトークがあり、山上監督が「昨年ぐらいから、若い世代から、この映画上映をしたいという声がある」と話されたことに、希望を感じました。
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『この星は、私の星じゃない』日本/2019 監督:吉峯美和
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「追悼 田中美津」として、昨年8月に亡くなった、ウーマンリブの象徴的存在・田中美津のドキュメンタリーを上映。ウーマンリブの活動家としての姿だけでなく、現在の沖縄基地問題にもかかわる姿勢に、継続する志を見ることができました。監督トークでは、まったくウーマンリブを知らない世代の監督自身が、田中美津を発見する過程を通して、次の世代に伝える大切さを思いました。
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イギリス「50歳以上の女性映画祭」より6編の短編上映
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2015年にイギリスで創設された「50歳以上の女性映画祭(WOFFF)」から、6作品を上映。この映画祭は、高齢者が過小評価されている映画界を変えたいという思いから出発していることから、すべて高齢者が主人公。その中で興味深かったのは、「認知症にやさしい映画」名付けられた『ハニーズ&ベアーズ』と『だるまさんがころんだ』。最初の作品は、高齢者がシンクロナイズドスイミングをする姿を優雅に撮影したもので、体形がどうあれ、この私が好きという気持ちがあふれている。映像を見るだけで伝わるものがあるのは次の作品も同じ。日本と同じ「だるまさんがころんだ」をしながら、思い出が走馬灯のように現れては消える幻想的な映像の作品です。ストーリーが単純で分かりやすく、映像だけで伝わること、上映時間が短いことが認知症の方も鑑賞しやすいのではないかということで、イギリスの地域で巡回上映などしているとのことでした。
そのほか、『ありのままの私たち』では、年齢を重ねて体形が変わったりするけれど、私はこれでいいと肯定していく姿をオシャレに描いています。『ママ、男になる』は、60歳になった女性が「一日男になる」ことに挑戦。いままで封印してきた思いを子どもたちにも理解してもらいながらかなえていく姿はほほえましく、楽しい。『リンダの話』は、この6編の中で唯一のドラマ。8分の中で、高齢女性リンダの正体はいったい何?という疑問を驚くような展開の中で見せていく、大爆笑のコメディ作品。そして『金曜日のサーファーたち』は、オーストラリアの海岸でボディボードを楽しむおばあちゃんたちの姿を撮影したドキュメンタリー。ゆっくりと波乗りを楽しむ姿は、年輪の重なりが生む人生謳歌のようでした。
年齢を重ねることは、新たなパワーを獲得することと確信できる作品群に脱帽するとともに、ぜひ日本の高齢者パワーも見せてほしいと思いました。                       (小野由理)

 今回見た4本の映画の中では、差別や偏見と闘いながら、様々な分野で自らの能力やキャリアを生かして活躍するパワーあふれる女性たちの姿がありました。
 また年齢を重ねても出来ることはたくさんあると教えてくれるエネルギッシュなシニア女性たちの姿も印象的でした。それぞれの作品を観ながらシニア女性のエネルギーと底力に元気を貰い、女性監督の作品とシニア女性の出演する作品を上映する「シニア女性映画祭」の意義を改めて感じた2日間でした。 (長田千代子)
       
「歳をとって良いことは、悩んでいたことが分かること」。映像の中のシニア女性から発せられたこの言葉。思わず「そうなんだよね。」と、頷いた私がいました。映画祭は、一貫して女性たちが差別や偏見と向かい合いながら、自身の人生を自分らしく生きている姿を映し出していました。これらの作品を、これからを生きる世代の女性たちが観たら、頼りになる羅針盤になるのではと思った映画祭でした。     (向山千代)

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