Osaka Asian Film Festival EXPO 2025 – OAFF 2026
2025大阪・関西万博開催に合わせて、いつもの3月開催に引き続き2025年2度目の映画祭が8月29日(金)から9月7日(日)まで開催されました「第21回大阪アジアン映画祭」ですが、全68作品(うち、世界初上映23作、海外初上映5作、アジア初上映3作、日本初上映23作)が上映され、期間中、多数のゲストが登壇した。製作国・地域は、20の国と地域(ブータン、中国、フランス、香港、イタリア、インド、日本、カザフスタン、ラトビア、モンゴル、ミャンマー、ノルウェー、フィリピン、カタール、シンガポール、台湾、タイ、アメリカ、ベトナム)の作品が上映された。
暉峻創三プログラミング・ディレクターの下、オープニング作品、クロージング作品のほか、「コンペティション部門」、「特別注視部門」、「インディ・フォーラム部門」、特集企画<台湾:電影ルネッサンス EXPO 2025>、<Special Focus on Hong Kong EXPO 2025>、「特別招待作品部門」、「神戸女学院大学国際学部協賛上映」、「特別上映《VIPO Film Awardの成果》」の部門がそろい、ABCホール、テアトル梅田、T・ジョイ梅田、大阪中之島美術館、大阪市中央公会堂で開催されました。
オープニングは、1970年の大阪万博を背景に、ジュディ・オングが主演を務め、ミュージカルとアクションを融合させたスペクタクル・エンタテインメント映画『万博追跡』(2Kレストア版)が上映された。
公式サイト https://oaff.jp
私は8月29日から9月3日まで参加。ほんとは全日参加したいところですが、万博の影響で宿泊代がいつの2倍に跳ね上がっていたので、6日間にしました。中華圏の作品を中心に14本の作品を観ました。そんな中から観た作品をいくつか紹介します。
8月29日(金)オープニング・セレモニー(ABCホール)
オープニング作品『万博追跡』(2Kレストア版)上映前にセレモニーが行われました。大阪映像文化振興事業実行委員会 上倉庸敬委員長の開会の挨拶、大阪市経済戦略局 鳥越義弘理事による大阪市長挨拶代読に続き、19作品から39名のゲストがそろいました。作品ゲストを代表して『万博追跡』出演のジュディ・オングさんが日本語と中国語で挨拶しました。
『万博追跡』(2Kレストア版)
Tracing to EXPO ’70 (2K Restoration) [萬博追踪]
監督:リャオ・シャンション(廖祥雄)
出演:ジュディ・オング(翁倩玉)ほか
2025年(オリジナル版:1970 年)|台湾|97分|言語:中国語
ゲスト:ジュディ・オング(出演)/アーサー・チュウ(国家電影及視聴文化中心(TFAI)チェアマン)
6400万人以上の来場者があったという1970年の大阪万博を舞台に、ジュディ・オングが主演を務めた作品。題字や監督・出演者など、漢字が右から左に書かれていて、台湾もその頃、戦前の日本のように、横書きが右から左だったんだと知った。
日本生まれの台湾人雪子(ジュディ・オング)が万博を利用して恩人を探すという話で、協力するのは隣に住む恋人の藤本哲雄。二人は大学生らしい。台湾パビリオンのコンパニオンに合格した雪子。哲雄も万博に行きたくて父親に万博に行くお金を無心するが協力を得られず、万博会場の食堂でバイトをみつけ、二人は仕事の合間に恩人を探す。雪子の父親は太平洋戦争中に亡くなったが、母子家庭で苦しい生活を支えるため、台湾からお金を送ってくれる人がいたのです。雪子は父の死の真相や、誰が支援してくれているのか知りたくて探すのですが、それを探るために万博会場を駆け巡ります。
キーパーソンの山崎という人と知り合い、その人と一緒だった人を訪ね、だんだんに真相に近づいて行きます。観光案内のような万博パピリオん巡りや、サスペンスのような人探しなどのあと、雪子の父は上海で日本軍にスパイとみなされて殺されたという思いがけない事実がわかります。
蒋介石の時代で、蒋介石のおかげで今日の台湾がある」なんて言葉が出てきたり、加害者の日本と被害差の台湾という話の展開で、加害と贖罪を巡る話になっていく。アイドルのエンターテイメント映画だと思っていたら、思わぬ展開。ジュディ・オングさんの存在感が光る作品でした。
当時も今も、万博なんて国威高揚のようなイベントには興味がない私なので、当時どんな国が参加しているかなんて知らなかったけど、当時は、中国の代表として台湾が出店していたということを知ったし、1970年の万博の様子を見ることができた。ま、今回も大阪には行ったけど万博には参加せず。
日本人も中国語で話しているので、万博以外は台湾なのかな?と思ってしまって、最初、話がチンプンカンプン。展開を理解するのに四苦八苦。後のほうで、万博以外のところもほとんど日本が舞台というのが理解でき、話が繋がった。雪子は20歳というのに1970年は戦後25年だから時代考証など突っ込みどころはいくつもあるのだけど、ま、そのへんはおいとくとして、あの当時の台湾映画を観ることができました。
それにしてもジュディ・オングさん、日本でも台湾でも大活躍だったんですね。トークの時に司会の宇田川幸洋さんがジュディさんが子供のころ出演したTVドラマ「おらあ三太だ」のファンだということが出てきたが、私も子供の頃(9歳位)この番組を見ていた。日本語を話しているのにジュディ・オングと出てきて、子供ながらなんでかなと思っていたけど、彼女が台湾の人だというのを知ったのはだいぶたってからだった。このドラマの正式題名は「三太物語」らしい。でもずっと「おらあ三太だ」だと思っていた。元気な女の仔の役だった。そして、なんとこれは生放送だったという。それを知ってびっくり。1962年頃の番組だったと思う。当時、私の家にはTVはまだなくて、近所の家か、学校で見たような気がする。その頃から、ずっと活躍してきたジュディさん。絵を描いたり、今も芸能人としてだけでなく、アーティストとしても活躍している。
8月30日(土)テアトル梅田 シネマ4
『さようなら十七歳』(2Kレストア版)
Goodbye Seventeen [再會十七歲]
監督:シン・チー[辛奇]
2025年(オリジナル版1969 年)|台湾|91分|言語:台湾語
ゲスト:アーサー・チュウ
17歳の麗芬は秋生にひそかに想いを寄せ、二人は密かに仲良くなっていたが、従弟の秋生がやはり好きな、いじめっ子の美珍に目をつけられてしまう。壮絶ないじめから麗芬を救ったのは、美珍の父だった。美珍の父母と麗芬の母は因縁の関係があっ麗芬の母た。若いころ麗芬の母と美珍の父は恋人だったのに、美珍の母の策略で海に投げ出され死んだことになってしまい、彼は美珍の母と結婚した。そして助かった麗芬の母は妊娠していて、彼の子どもを女で一つで育てていた。そして、彼と再会した。これも贖罪の映画で、このことを知った彼は、自分の娘に援助しようとする。
なんというか典型的な母娘2代にわたるいじめが描かれ、果たされなかった愛の記憶を蘇させようと運命を揺さぶっていく。
なぜ『さようなら十七歳』というタイトルなのかよくわからないが、「17歳の出来事」的なのかな。紆余曲折を経て、恋人との絆を取り戻した父と母の姿を見つめる17歳の少女の成長物語ということかな。主題歌はジュディ・オングの曲。
レストア版作成に尽力したアーサー・チュウさんがゲストで来て、この作品のレストア版を作った時のエピソードを語ってくれた。台湾語のレストア版作成はめずらしいとのこと。それにしても、いかにも悪役ぽい化粧の美珍の母や、いかにも意地悪そうな美珍と、いじめられっ子の麗芬と悲劇を背負ったような母親の姿。「いかにも映画」だった。
上映会場 ABCホール
『最後の夏』 The Last Summer [夏墜]
2025年|中国|90分|言語:中国語
監督:シー・レンフェイ [史任飛]
高層マンション10階のベランダから落下した灰皿が、下で遊んでいた幼女に激突し死なせてしまった。不注意で灰皿を落としてしまったのは女子高生。別居している両親だが、父親が家に来る日、ベランダから外を見ていたら、若い女性と父親が一緒にいるところを見てしまう。父が家に戻ってきてベランダで煙草を吸った後、灰皿を片付けずに置きっぱなしにしてしまい、それに気づかなかった女子校生は、何かの拍子に灰皿に触れ、灰皿が落ちてしまった。そして運悪く、幼い女の子にぶつかってしまった。その女の子と仲良しだった女子高生は、良心の呵責と父の秘密に挟まれ、苦悩し続ける。父の愛人のことを母に知らせるべきか、そして灰皿を落としてしまったことも。両親もその灰皿が自分の家のものだというのに気がつき、自分の家のものと名乗り出るか、どうしようかと迷う。あなたならどうする? と問いかけてくる作品。サスペンスタッチで描かれていた。
『浅浅歳月』True Love, for Once in My Life [淺淺歲月] コンペティション
監督:ドロン・シウ[蕭冠豪]
出演:セシリア・イップ[葉童]、ツェー・クワンホウ[謝君豪]
2024年|香港|109分|言語:広東語、中国語
幼馴染で結婚したアンドリューとサブリナ。一生添い遂げようと年を重ねてきた。アンドリューは、香港から中国に行き起業。中国での事業が忙しくなって、行ったきりになり、こちらもごたぶんにもれず中国に愛人を作っていた。サブリナはそれを知り、アンドリューと別れた。そして、数年後、アンドリューは病の床に伏していた。
90年代、香港から中国に渡って起業した男性たちの中には、現地の女性を愛人にした人がけっこういるのでしょう。けっこう香港や中国の映画で出てきます。この夫婦の夫もそういう一人。夫が中国につくった愛人に子供が生まれたので離婚して、ひとりで二人の子どもを育て上げた。
それなのに、何年かたって香港に帰ってきた元夫が病気になると、新しい妻がいるというのに、元妻サブリナが病院に看病に行くのである。しかも、現妻と元妻が、「私がやるわ」、「いや、私が」というように、看護争いをするシーンが出てきた時には、もう観るのもいやになってしまった。なんて、男にとって都合のいい描き方なの? 「自分を捨てた夫の介護なんかするなよ」と思ってしまった。誰も面倒を見る人がいないならともかく、面倒を見てくれる人がいるわけだから。未練がましく夫を忘れられない元妻という描かれ方にがっかり。
8月31日(日)ABCホール
『私立探偵』Behind the Shadows [私家偵探]
監督:ジョナサン・リー[李子俊]、チョウ・マンユー[周汶儒]
出演:ルイス・クー[古天樂]、クリッシー・チャウ[周秀娜]、リウ・グァンティン [劉冠廷]、レイモンド・ウォン [黃浩然]
2025年|香港|99分|言語:広東語
若い女性が残虐に殺害される連続殺人事件に巻き込まれた探偵が、次なる犠牲を食い止めるため、命を懸けて真相解明に挑むサスペンス。ルイス・クーが主人公。舞台あいさつで、ジョナサン・リー監督は「主人公は“負け犬”にしようと思いました。」もともとアウヨンは仕事ができる探偵でしたが、マレーシアに移住して探偵事務所を設立したものの、依頼は浮気調査、人探し、犬探しなどの案件ばかり。さらに奥さんと結婚して20年になるけど、会話ができていないという人物像です。と語ったように、ルイスは、『トワイライト・ウォリアーズ 決戦! 九龍城砦』とは一転、しょぼくれた私立探偵アウヨンを演じる。
チョウ・マンユウ監督は、「この作品は、私立探偵の話ですが、一番表現したいのは夫婦の愛情です。世界中で“私立探偵もの”はたくさん作られてますが、犯罪ものが多い。夫婦の関係を描いたこの作品を日本の皆さんに受け入れていただけるとうれしいです」
と語った。プロデューサーは、『トワイライト・ウォリアーズ 決戦! 九龍城砦』ソイ・チェン監督。
9月1日(月)ABCホール
『私たちの意外な勇気』Unexpected Courage [我們意外的勇氣] コンペティション
監督:ショーン・ユー [游紹翔]
出演:レネ・リウ [劉若英]ほか
2025年|台湾|111分|言語:中国語
敏腕女性マネージャー ラフー(45歳)と若手ディレクターボーエン(32歳)の事実婚カップル。それぞれ活躍しているが、彼女は、13歳年下の彼が少し頼りなく感じていた。結婚にも踏み切れずにいたが、彼女の45歳の誕生日に彼女が体調を崩し、妊娠していることが判明。出産まで絶対安静の入院生活を続けることになった。そして、結婚も視座に。劉若英(レネ・リュウ)が年上の敏腕女性マネージャーを演じ、出演場面のほとんどがベッドに横たわるシーン。ベッドから仕事の指示を出す。年下の彼は、オロオロしながらも、彼女を励まし続け、だんだんたくましくなっていく。長年望んでいたキャリアが得られそうになったのに突然の妊娠。キャリアか出産か,事実婚か結婚か、選択を迫られるラーフー。そして、最後は出産へ。監督自身の実体験がベースとのことで、最後15歳になった息子が映し出される。
五月天の阿信がプロデューサーに名を連ねる。
『世界日の出の時』All Quiet at Sunrise [世界日出時]
監督:ジュー・シンZHU Xin [祝新]
2025年|中国|101分|言語:中国語
人類最初の言葉を発したという「祖先ルーシー」の論文に取り組む大学院生馬継(マーコー)。一人暮らしの息子の元へ林檎を持ってくるお節介な母を疎ましく思っている。あるとき母は、彼を梅嶺鎮という村に買ったという古い家に連れて行く。しかし、この土地の言葉(方言)が全然わからない。
彼の指導教官李教授はその主張に疑問を持っていたが、論文の中に自身の娘の失踪に関わる手がかりを見出す。論文の執筆を進めるうち、次第に彼の人生が論文に描かれた世界と重なりはじめていき、論文と現実、空想が時空を超えて混じり合ってしまう。
人類の「祖先ルーシー」なんて、とても興味あるテーマだけど、いろいろな事情、出来事、人間関係、時空の行ったり来たりで、難解で話がついて行けずだった。
監督は、「一人っ子政策における親子関係やコミュニケーションにおける葛藤について、コロナ禍で家から出られない時期に、監督が母親と実際に経験したことを基に制作した」と語っていたが、2組の親子の話。母と娘、母と息子の話が対比的に描かれていた。
『紅い封筒』The Red Envelope [Song-Daeng-Taeng-Pee] コンペティション
監督:チャヤノップ・ブンプラゴーブChayanop BOONPRAKOB
出演:ビルキン=プッティポン・アッサラッタナクン、PPクリット=クリット・アンムアイデーチャコーン
2025年|タイ|128分|言語:タイ語
うっかり赤い封筒を拾ったばかりに幽霊と結婚するハメになってしまった警官。台湾映画『僕と幽霊が家族になった件』(2023)を、タイが誇る人気スター、ビルキン&PPクリットを主演に迎えリメイク。笑って泣けるキュートなホラーコメディ!
警察官見習いのメンは、ある日道端で赤い封筒を発見。拾ったところ、老女と親戚一同に取り囲まれ、交通事故で亡くなった老女の孫ティーティーと冥婚の儀式を行うよう迫られる。それを拒否したメンだが、儀式を行わないと一生不運に見舞われると脅され、災いが続いてしまった。しかたなく冥婚の儀式に参加する。その後、彼の前に現れたティーティーから現世での心残りを聞いたメンは、彼の魂を成仏させるため奮闘する。
台湾の作品も面白かったが、オリジナルより面白かった。というか、台湾作より強烈だったかも。
製作は『団地少女』『おばあちゃんと僕の約束』『いばらの楽園』(OAFF2025)等で知られるGDH。
9月2日(火)ABCホール
『フルムーン・イン・ニューヨーク』(デジタル・リマスター版)
Full Moon in New York [人在紐約]
監督:スタンリー・クワンStanley KWAN [關錦鵬]
出演:マギー・チャン[張曼玉]、シルヴィア・チャン[張艾嘉]、スーチン・ガオワー[斯琴高娃]
1989年|香港|89分|言語:広東語、北京語、英語
ニューヨークを舞台に、3人の中華圏出身の女性たちが暮らす物語。台湾出身でこの街で長く暮らす女優、ちゅか料理の店を持ち、仕事で成功するも恋愛には縁が無い香港出身のビジネスウーマン、結婚のため中国からやってきた女性。偶然出会った3人は、異国での疎外感、孤独を共有する。スタンリー・クワン監督によるシスターフッド映画の名作。
35年?ぶりに観た。前に観たのは、そんなに前だったかとびっくり。私が中華圏の映画にハマったのが1988年頃だったので、ハマって割りとすぐに観たのだろう。今でも色あせない映画だった。張曼玉も、張艾嘉も、斯琴高娃もみんな若い!今度は彼女たちの最近作を観たい。
第21回大阪アジアン映画祭 授賞結果
写真
(C)第21回大阪アジアン映画祭 受賞者集合写真
★グランプリ(最優秀作品賞)
『最後の夏』(The Last Summer/夏墜)/中国
監督:史任飛(シー・レンフェイ)
★来るべき才能賞 ホン・ソンウン監督 ...
『寒いのが好き』(Some Like It Cold/차가운 것이 좋아!)/韓国
★スペシャル・メンション
作品:『世界日の出の時』(All Quiet at Sunrise/世界日出時)/中国
監督:ジュー・シン(ZHU Xin/祝新)
俳優:マリス・ラカル(Maris RACAL)
『サンシャイン』(Sunshine)/フィリピン 主演
★薬師真珠賞 タンディン・ビダ(Tandin Bidha)
『アイ、ザ・ソング』(I, the Song)/
ブータン、フランス、ノルウェー、イタリア...
★JAPAN CUTS Award
『ジンジャー・ボーイ』(Ginger Boy)/日本
監督:田中未来(TANAKA Miki)
★芳泉短編賞
『初めての夏』(First Summer/첫 여름)/韓国
監督:ホ・ガヨン(HEO Gayoung/허가영)
★芳泉短編賞 スペシャル・メンション
『ミルクレディ』(Milk Lady)/日本
監督:宮瀬佐知子((MIYASE Sachiko)
『ブルーアンバー』(Blue Amber)/日本
監督:田中未来(TANAKA Miki)
★観客賞
『嘘もまことも』(Truth or Lies)/日本
監督:磯部鉄平(ISOBE Teppei)
●受賞結果 授賞理由など詳細は公式HPへ
https://oaff.jp/news/2025expo-winners/
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