第37回東京国際映画祭 黒澤明賞授賞式
2024年11月5日(火) 19時~
帝国ホテル本館2F孔雀の間
帝国ホテル本館2F孔雀の間
今年度の黒澤明賞を受賞した三宅唱監督とフー・ティエンユー監督への授賞式の模様をお届けします。
景山咲子
☆オープニング映像、黒澤監督作品
MC: 黒澤 明賞は、東京国際映画祭は日本が世界に誇る故・黒澤 明監督の業績を長く後世に伝え、新たな才能を世に送り出していきたいとの願いから、世界の映画界に貢献した映画人、そして映画界の未来を託していきたい映画人に贈られる賞として、2022年に14年ぶりの復活をいたしました。
今年度は、山田洋次監督、奈良橋陽子氏、川本三郎氏、市山尚三東京国際映画祭プログラミング・ディレクターの4名の選考委員により三宅唱監督とフー・ティエンユー監督に決定いたしました。
安藤裕康 東京国際映画祭チェアマン:
黒澤明の名前をご存知ない方が世界で増えていることから、功績を後世に語り継いでいきたいと3年前に復活させました。この賞は世界の映画界に貢献した方と将来を託す方に贈られてきましたが、最近は、未来を託す方に移ってきています。東京国際映画祭は、今年、未来の映画人の育成を方針の一つとして打ち出していて、それと一致して、嬉しく思っています。黒澤監督の映画製作への思いを後世に伝えていきたいと思っています。その思いを語る黒澤監督のメッセージを晩餐会の折に披露いたします。最後に黒澤賞にご協賛いただきました株式会社カプコン様にお礼を申し上げます。
MC: 選考経緯を選考委員長・山田洋次監督よりご説明いただきます。
山田監督: フー・ティエンユー監督の『本日公休』は、ほんとに素敵な映画でした。人間を的確に絵描いていて、主人公の女性を取り巻く人間関係をとても暖かく見つめていて、しかも、きわめて斬新な手法で描いていました。僕は、この映画を観ながら、どうして日本でこういう映画を作れないのかと思いました。
三宅監督は、すでに評価を持っていますが、一昨年の『ケイコ 目を澄ませて』は特に素晴らしかった。人間をちゃんと捉えている。しかも表現が、とても先人から学んていることが、まざまざとわかる。さりげない実写、電車が走っているところなど、小津監督の作品に見らえるものでした。僕の勝手な感想ですが、主人公は、耳の聴こえない若いボクサーで、彼女を描くのに小津の手法を的確に使っていて感心しました。小津さんから学んでるかどうか、これから聞こうと思います。
お二人の素晴らしい作家を黒澤明賞に選ぶことを出来たことを嬉しく思います。
おめでとうございます。
☆予告編3本。『ケイコ 目を澄ませて』『夜明けのすべて』『本日公休』
◆授賞式
受賞者:三宅唱監督&フー・ティエンユー監督
プレゼンター:株式会社カプコン 辻本憲三 代表取締役会長
三宅唱監督:
一緒に作ってきたすべてのスタッフ・俳優たちとの仕事への賞と思っています。スタッフ皆で来れたらよかったのですが、「黒澤監督のようなサングラスをつけていけ」というようなメールをよこすような上品なスタッフばかりですので、僕一人できました。これからも、1本1本丁寧な作品作りをしていきたい。
フー・ティエンユー監督:
先ほど山田監督にお会いして、ご挨拶できて、ほんとに嬉しかったです。憧れの方、私にとってのアイドルです。間近でお会いできるなんて、夢にも思わなかったので感激しました。まずは、東京国際映画祭、選考委員の皆さまに心から感謝申し上げます。大変な栄誉です。山田監督は憧れの方です。山田監督の映画の中の人物は、身近にいるような、私の理髪店に入ってきそうな人ばかりです。山田監督の作品を観るたび、大きなパワーをいただいています。市井の人物が自然に人の心にストレートに伝わってきます。
『本日公休』を推してくださいまして、ほんとうにありがたく思います。山田監督に日本で『本日公休』を撮っていただきたいと思います。
なお、『本日公休』は、ただ今、日本で公開中です。多くの観客の皆様が感想を聞かせてくださいました。反響を聞いて、これからも映画監督として努力して、いい映画を撮っていきたいと思いました。
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授賞式の始まる前、会場中央の席に着席された選考委員である山田洋次監督に、フー・ティエンユー監督や、「ウィメンズ・エンパワーメント部門」シニア・プログラマーのアンドリヤナさんが挨拶されていました。
「ウィメンズ・エンパワーメント部門」シニア・プログラマーのアンドリヤナ・ツヴェトコビッチさんと、インドネシアの女優で監督のクリスティン・ハキムさん
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