東京国際映画祭 特別上映『対外秘』舞台挨拶報告

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1992年の釜山。国会議員選挙の直前に権力者より公認を取り消されたヘウン。無所属で立候補し、市庁舎から対外秘の再開発計画書類を入手し反撃に出る・・・
権力闘争の表と裏を描いた予測不能のサスペンス。
シネジャ作品紹介

11月15日からの一般公開を前に、第37回東京国際映画祭の特別上映で、『対外秘』のジャパンプレミアが行われ、イ・ウォンテ監督と俳優のチョ・ジヌン、キム・ムヨルが舞台挨拶に登壇しました。
202年11月3日(日)19:40~
角川シネマ有楽町にて
取材:景山咲子


◎舞台挨拶
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イ・ウォンテ監督:こんばんは。僕は、イ・ウォンテ監督です。(ここまで日本語で) お会いできて嬉しいです。今日は文化の日、連休中と聞いています。観にいらしていただいて嬉しいです。

チョ・ジヌン:ほんとうにとても嬉しいです。日本に来て舞台挨拶するのは初めてです。初めて舞台挨拶する俳優チョ・ジヌンを見る日本の皆さんは初めてです。楽しい時間になってくれれば嬉しいです。

キム・ムヨル:こんばんは。私は映画『対外秘』でピルド役を演じたキム・ムヨルです。どうぞよろしくお願いします。(ここまで日本語で) 私は何度も来日し、ミュージカルに出たり、旅行もするくらい、日本はとても好きです。そんな日本で公開していただいて、とても嬉しいです。

MC:今回、たすきをつけていただくことを急遽お願いしたら快く引き受けてくださいました。監督、いかがですか?
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監督:窮屈です。ぎこちないです。(笑)

ジヌン:私は映画の中でつけていましたので、とても楽です。選挙の時には、1番です。よろしくお願いします。

ムヨル:私も映画の中でたくさん選挙運動をしましたので、慣れています。

MC: 1990年代初頭の釜山が舞台ですが、再現するのに工夫されたことは?

監督: 今の釜山は、1990年代と全く違います。発展して、再現できる場所は、ほとんどありませんでした。全国の海辺の町を探して、やっと撮影場所を見つけました。映画全体の中で、釜山で撮影したのは、30%くらいです。それ以外には、90年代を象徴するような小道具も準備して、音楽も当時有名だった大衆歌謡を選びました。

MC: 観客の皆さんは、これからご覧になるので全部は言えないですが、ジヌンさんは、善と悪を超越した政治家の役を見事に演じられているのですが、演じる際に葛藤したり、面白かったりしたことを教えていただけますか。

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ジヌン: 人間の内面には、善と悪は常に共存していると思います。その人物がどんな状況におかれているかによって善の面や悪の面が出てきます。私が演じた人物は、それとは少し違って、まるで悪魔と取り引きするようなところがありました。皆さんも、そのような状況にならざるをえない時があると思います。そういう状況の中で、それを選択せざるを得ないというもこともあって、その時には自分の新たな面を発見することになると思います。この映画の中で描かれていることを観て、自分を遠くから振り返ることができると思います。そんな映画だと思います。私は悪い人ではないのですが、自分自身を振り返ろうという気持ちで演じていました。

MC:今回、残念ながら来日されませんでしたが、イ・ソンミンさんと何度も共演されて、これからも共演されたいとのことですが、イ・ソンミンさんはいかがでしたか?

ジヌン:イ・ソンミンさん最高です! 何度も共演していますが、一番上のお兄さんのような存在で、韓国ではいわずと知れた名俳優さんですし、後輩に優しい方です。演技力はいうまでもないですよね。とにかく最高です。

MC:ムヨルさんは、監督から体重をコントロールしろと言われたそうですね。

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ムヨル: はい、その通りです。監督とは2作目。2度とも体重の指示がありました。先ほどホテルで会った時に、私に「なんでそんなに痩せているの?」と聞かれたのですが、これが普通です。撮影当時、20キロ位増やしていましたので、その気持ちはわかります。俳優というのは作品ごとに新しい顔を見せないといけませんので、常に新しい姿を見せるようにしています。ルックスは一番観客にアプローチしやすいものですので、体系のコントロールはいい経験になりました。ルックスを変えると内面まで変わってきます。すんなりと演技することができました。

MC:どれくらいの期間で、何を食べて増やしたのですか?

ムヨル:私はダイエット講師じゃないですが、増量するには3か月かかりました。撮影が終わって、また次の役の為に一か月以内に体重をもとに戻さないといけませんでした。

ジヌン:私の場合は2週間あれば大丈夫です。

MC:監督はどうしてムヨルさんに体重を増やしてほしかったのですか?

監督:どうしてかわからないのですが、とにかく増やしてほしいとお願いしました。(笑)

MC:ムヨルさん、今回釜山の方言を話されているのですが、釜山弁をどうやって習得されたのですか?

ムヨル:監督もジヌンさんもソンミンさんも、釜山の属する慶尚道(キョンサンドウ)のご出身ですので、助けていただきました。たくさん練習しましたが、いざ現場に着くとセリフが変わっていることもあって、大変な思いもしました。ジヌンさんがそっと近づいてくれて教えてくれたり、まわりが助けてくれました。

監督:ほんとに上手でした。一方では体重は増やさないといけないし、釜山の方言も覚えないといけないしで、二重の苦労をされていました。

ムヨル:ヤバイ!

MC:『対外秘』のタイトルにちなんで、これまで言ってなかった秘密を一つ必ず言ってください。

ジヌン:私はあまり秘密がない方です。一本の映画を作り終えたら、決して後ろを振り返りません。それくらい役に入り込んでいます。すぐに次の作品の準備をしないといけないからなのですが、『対外秘』は長く心に残っている映画です。政治家の持っている明と暗を知ることができました。私自身、政治家になることは考えていません。政治家の皆さんは、ほんとに苦労されていると思いました。生まれ変わるとしても、政治家にはならないと思います。俳優がいいです。

ムヨル:個人的なことですが、少し前に息子が生まれました。息子の顔は公開してないのですが、幸いなことに妻に似ています。

MC:日本の好きな場所や食べ物は?

ムヨル:生ビール、ラーメン。東京はもちろんいいですし、沖縄もとてもよかったです。

ジヌン:福岡。豚骨ラーメンにもつ鍋。

監督:日本には頻繁に来たことがあったのですが、東京は10年ぶりです。大阪や福岡にも行きましたが、冬の札幌が一番です。

MC:最後にメッセージをお願いします。

ムヨル:『対外秘』の撮影には、いい思い出が記憶に残っています。遠いところまできて、私の好きな場所で公開していただいて、多くの皆さんにお会いできるのはほんとうにうれしいです。貴重な時間を割いてきてくださいましたので、長く記憶に残る映画になってくれれば嬉しいです。

ジヌン:最初に申し上げましたが、日本の観客の皆様の前で舞台挨拶をするのは初めてです。東京国際映画祭で皆さんにご挨拶することができて、ほんとうに意義深いことと思っています。作ったのは私たちですが、これから先は皆さんのものです。思い切り楽しんでください。

監督:重みがあってシリアスな作品ですが、とても楽しめる作品だと期待しています。どうぞ楽しんでご覧ください。また次の作品で皆さんとお会いできることを願っています。

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ハードな物語と違って、とても和やかな舞台挨拶でした。



対外秘   原題:대외비(対外秘) 英題:THE DEVIL'S DEAL
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監督:イ・ウォンテ(『悪人伝』)
出演:チョ・ジヌン、イ・ソンミン、キム・ムヨル

1992年、釜山。党の公認候補を約束されたヘウンは、国会議員選挙への出馬を決意する。ところが、陰で国をも動かす黒幕のスンテが、選挙直前になって、公認候補を自分の言いなりになる男に変える。激怒したヘウンは、釜山地域再開発計画に関する〈対外秘文書〉を手に入れ、チームを組んだギャングのピルドから選挙資金を得て無所属で出馬する。対外秘文書をヘウンが入手したことを知ったスンテが戦慄の逆襲を仕掛ける・・・

2023年/韓国/韓国語/116分/カラー/スコープ/5.1ch
字幕翻訳:鷹野文子
配給:キノフィルムズ 
公式サイト:https://www.taigaihi.jp/
★2024年11月15日(金)シネマート新宿、ヒューマントラストシネマ渋谷 他全国公開




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