第37回東京国際映画祭 ラインナップ発表記者会見報告

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2024年9月25日(水)14時~16時
東京ミッドタウン日比谷BASE Q HALL
MC:荘口彰久(フリーアナウンサー)


第37回となる東京国際映画祭。
「東京から映画の可能性を発信し、多様な世界との交流に貢献する」を目指し、新部門の創設など映画人や映画ファンの交流の場を様々な形で実現させていくことが、各担当者より発表されました。
新設の「ウィメンズ・エンパワーメント」部門は、女性監督の作品および女性の活躍をテーマとする作品にフォーカスを当てるもので、東京国際映画祭初の外国人シニア・プログラマーであるアンドリヤナ・ツヴェトコビッチにより発表がありました。
また、ゲストとして、フェスティバル・ナビゲーター 菊地凛子、コンペティション作品より大九明子監督、吉田大八監督、片山慎三監督、Nippon Cinema Now監督特集の入江悠監督が登壇。今年の東京国際映画祭への期待を大いに感じさせてくれました。

第37回東京国際映画祭 ラインナップ発表記者会見アーカイブ動画はこちら!
https://www.youtube.com/live/xMkds5XcMCU?si=yErQx4VEMUFx5kWW


 第37回東京国際映画祭
 2024年10月28日(月)~11月6日(水)[10日間]
 会場:日比谷・有楽町・丸の内・銀座
 http://www.tiff-jp.net/


●開催挨拶 今年の特色
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東京国際映画祭 安藤裕康チェアマン
今年の映画祭の特色として国際交流、人材育成、女性への視座という3つの柱を掲げられました。
「国際交流があるのは当然ですが、今年はもっと力を入れます。ミッドタウン日比谷の1FのLEXUS MEETS...に交流できるラウンジを設け様々なトークイベントや映画人の交流の拠点とします。また、日本とイタリアが共同製作協定を今年初めて結びました。それに関する特集を行います。未来の映画人材を育てていく目的で、TIFFティーンズ映画教室、アジアの生徒向けマスタークラス、Amazon Prime Videoテイクワン賞や黒澤明賞などで今後の映画界を担う人材を発掘してきました。また、東京国際映画祭初の外国人プログラマーを招き、女性の活躍支援を目的にウィメンズ・エンパワーメント部門を新設しました。過去にあった東京国際女性映画祭で活躍した人たちを招いたイベントも行います。」

●TIFFCOM2024
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TIFFCOM池田香織事務局長 
「映画祭併設のビジネスコンテンツマーケット。アジアはとても元気です。映画、テレビ、アニメーション、出版映像化、ロケーション情報など様々なコンテンツにまつわる商談やネットワークを行っていく場です。ぜひご来場ください」

  2024年10月30日(水)~ 11月1日(金)[3日間]
  会場:東京都立産業貿易センター浜松町館
  https://tiffcom.jp/

●スポンサー企業・審査委員長・審査委員紹介
MCよりスポンサー企業紹介のあと、今年の審査員の紹介がありました。

◆トニー・レオン審査委員長
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「審査委員長を務めることを大変光栄に思います。日本は私にとって身近な国。香港で育った12歳の頃から、日本映画の名作を観に行っていました。映画館へのエキサイティングな旅が、私にとって日本映画、人々、そして日本文化への大きな愛の始まりでした。審査委員長を務めるにあたって、この映画祭が驚きに満ちたとても楽しいものになることを期待しています」(MC代読のメッセージより)

◆審査員紹介
コンペティション部門
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橋本愛(俳優)、エニェディ・イルディコー(映画監督・脚本家)、キアラ・マストロヤンニ(俳優)、ジョニー・トー(映画監督、プロデューサー)

アジアの未来部門
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ニア・ディナタ(監督/プロデューサー/脚本家)、山下宏洋(イメージフォーラム・フェスティバル ディレクター)、横浜聡子(映画監督)

●フェスティバル・ナビゲーター 菊地凛子
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「このような大役を授かりまして光栄です。微力ながら精いっぱい映画祭を応援してまいりたいと思います。町の中にレッドカーペットがあって、東京というユニークな街で開催される映画祭。映画祭は、一緒に映画を作った人たちと映画を皆さんに届ける場だと思います。また、各国の監督や俳優さんともお会いでき、映画という共通言語で繋がれる素晴らしい場。トニー・レオンさんは大先輩ですが、すごく気さくな方で、先日もアジアンフィルムフェスティバルで声をかけていただきました」

●オープニング&クロージング作品紹介
オープニング作品『十一人の賊軍』(監督:白石和彌)
クロージング作品『マルチェロ・ミオ』(監督:クリストフ・オノレ)
予告編が流されました。


●「コンペティション部門」15作品の紹介
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◆コンペティション部門 市山尚三プログラミング・ディレクターより解説 

『アディオス・アミーゴ』イバン・D・ガオナ監督 コロンビア
『小さな私』ヤン・リーナー監督 中国
『死体を埋めろ』マルコ・ドゥトラ監督 ブラジル
『士官候補生』アディルハン・イェルジャノフ監督 カザフスタン
『娘の娘』ホアン・シー監督 台湾
『英国人の手紙』セルジオ・グラシアーノ監督 ポルトガル
『彼のイメージ』ティエリー・ド・ペレッティ監督 フランス
『雨の中の慾情』片山慎三監督 日本・台湾
『わが友アンドレ』ドン・ズージェン監督 中国
『お父さん』フィリップ・ユン監督 香港
『大丈夫と約束して』カタリナ・グラマトヴァ監督 チェコ
『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』大九明子監督 日本
『敵』吉田大八監督 日本
『トラフィック』テオドラ・アナ・ミハイ監督 ルーマニア・ベルギー・オランダ
『チャオ・イェンの思い』ミディ・ジー監督 中国

「中国映画3本、台湾1本、香港1本と15作品中、5本が中華圏と今までになく片寄ったバランスなのですが、選考の途中からバランスに関係なく面白いものをやろうと、このような結果になりました」

◆「コンペティション部門」日本映画3作品の監督登壇
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『雨の中の慾情』片山慎三監督 、『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』大九明子監督、『敵』吉田大八監督。

東京国際映画祭の印象について
片山監督「東京国際映画祭で観た方に他の映画祭に呼んでいただいたりと、広がりがある映画祭というイメージ」
大九監督「見つけて頂いたという気持ちがあります。まさか今年も選ばれるとは思ってもみませんでした」
吉田監督「当時六本木で行われていたのですが、いい意味で浮ついた映画祭だなと(笑)。楽しかった思い出があります」

●「アジアの未来部門」10作品の紹介

石坂健治シニア・プログラマー(渡米中でビデオメッセージ)
「長編3本までの素晴らしい新人・新鋭監督の作品10本です。未来の巨匠名匠の作品をいち早く発見してください」

●「ガラ・セレクション部門」「ワールドフォーカス部門」
市山尚三プログラミング・ディレクターより各部門について説明。
 
◆「ガラ・セレクション部門」

世界の国際映画祭で注目された話題作や邦画大作の最新作など13作品を上映。
(オープニング&クロージング作品を含む)
ほとんどの作品が配給の決まったものです。

◆「ワールドフォーカス部門」
「世界の今年のいろいろな作品を上映する部門ですが、ガラ・セレクションと違って、ほとんどが配給の決まってない作品です。これを観て、配給を決めていただければ有難いですし、ここでしか観られない作品もあると思います。ドキュメンタリーが今年は4本入りました。意識したセレクションではないのですが。また、イタリアとの合作協定特集の一環で、【ナンニ・モレッティ監督特集】をしますが、中でも初期の代表作『赤いシュート』は今回の東京国際映画祭でしか観られないものです。【生誕100周年 マルチェロ・マストロヤンニ特集】は、今回の審査員キアラ・マストロヤンニのお父様の5作品です。また、【第21回ラテンビート映画祭 IN TIFF】【メキシコの巨匠 アルトゥーロ・リプステイン特集】もこの部門での開催です」

●「Nippon Cinema Now部門」
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市山尚三プログラミング・ディレクターより説明。
新作7本と、入江悠監督特集。
新作は、Amazon Prime Videoテイクワン賞受賞監督の新作2本を含めて7本。

◆「Nippon Cinema Now部門」入江悠監督特集
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入江悠監督「東京国際映画祭で、初めて『SR サイタマノラッパー』が上映された時には、尖っていて、皆でジャージで登壇してしまったのですが、ついに、自分もスーツで登壇するようになって・・・。帰ってこれて嬉しいです。フィルモグラフィーを振り返ると一貫性がないですね。題材もジャンルもバラバラで、飽きっぽいということだと思います。大作をやると小さい作品がやりたくなるんですね」

●「ウィメンズ・エンパワーメント」部門  
今年新設された東京都と連携した女性監督の作品、あるいは女性の活躍をテーマとする作品に焦点をあてた部門。7作品を上映。
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アンドリヤナ・ツヴェトコビッチ シニア・プログラマー
「初代駐日マケドニア大使、日本映画の博士号を持つ教授、映画監督、女性のエンパワーメントの提唱者として、この部門のプログラムを企画できることはとても光栄なことです。このプログラムを準備するにあたり、1985年、東京国際映画祭は同様のイベントを、東京国際女性映画祭の創設者である高野悦子プロデューサーの企画で行ったことを知りました。その時のパンフレットを読みましたら、まるで今書かれたような内容で驚きました。時代は進みましたが、まだ監督業、脚本、製作における男女平等は充分に進んでいません。世界的にみても、まだ女性が占める割合は1割から2割程度です。
このプログラムは女性の才能を称えるものだけではありません。映画業界がよりインクルーシブになり、女性が将来の映画業界の発展の為に重要な役割を果たすよう提唱するものです。
このプログラムの一環でシンポジウムも予定していますので、ぜひご参加ください。
まだまだやるべきことがありますが、この機会が必ず変化を一歩前に進めることと確信しています。
(さらに詳細を別の記事で紹介しています。)

●「アニメーション部門」
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藤津亮太プログラミング・アドバイザー
「ビジョンの交差点:INTERSECTION of VISIONS」と題して、国内7作、海外5作品の計12作品を上映するほか、3つのシンポジウムを予定。
「アニメーション監督への道」国内外の上映作品の監督から話を聞く
「日本アニメの新世代」インディーズからメジャーに越境する若手監督が未来を語る
「『宇宙戦艦ヤマト』の歴史的意味」ゲスト:氷川竜介氏


●「黒澤明賞」
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受賞者:
三宅 唱監督
(『Playback』『きみの鳥はうたえる』『ケイコ 目を澄ませて』『夜明けのすべて』)

フー・ティエンユー監督
(『マイ・エッグ・ボーイ』『本日公休』)

選考委員:山田洋次監督、奈良橋陽子氏、川本三郎氏、市山尚三東京国際映画祭プログラミング・ディレクター

●「エシカル・フィルム賞」
映画を通して環境、貧困、差別といった社会課題への意識や多様性への理解を広げることを目的として2023年に新設。
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審査委員長:齊藤 工(俳優・映画監督)
ノミネート3作品『ダホメ』『ダイレクト・アクション』(以上ワールド・フォーカス部門)『Flow』(アニメーション部門)

●「交流ラウンジ」
ミッドタウン日比谷1FのLEXUS MEETS…にて交流できるラウンジを設け様々なトークイベントや映画人の交流の拠点とする。

●オリジナルグッズの紹介
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●関連イベント
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主だった3つのほか、多数のイベントが開催されることを紹介。

★質疑応答
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ゲストの5名への質疑応答のあと、安藤裕康チェアマン、市山尚三プログラミング・ディレクターへの質疑応答が行われました。

安藤裕康チェアマン、市山尚三プログラミング・ディレクターへの質疑応答を抜粋してお届けします。

― Amazon Prime Videoテイクワン賞はなくなったのですか?

安藤:3年続けてきましたが、アマゾンプライム側の都合で一旦休止となりました。
今回、Amazon Prime Videoテイクワン賞をかつて受賞した監督二人の作品が上映されます。
映画祭の役割として、同じような企画ができるといいなと思っています。
市山:さらに若い新人を発掘する部門を来年考えたいと思っています。

― ガラセクションとワールドフォーカス部門のラインナップですが、カンヌ映画祭の出品作が少ないようですが。

市山:カンヌ出品作は、日本の配給がほとんどついています。1本、取り上げたいと思っていた作品も、最近になって権利が売られてしまいました。
できれば配給の決まっていない作品をやりたいと思っています。
カンヌ受賞作品は、中国や韓国に比べると、日本で配給される率が高い状況です。
ヴェネチア、ベルリンの受賞作は配給が決まっていないので、上映することにしました。

― 東京国際映画祭の顔が見えてこないのですが、これが特色だという点は?

安藤:世界の映画祭の中で、どんな特色を出すかですが、カンヌ、ヴェネチア、ベルリンに追い付け追い越せというわけではなく、独自のカラーとして、アジアに位置する東京として、アジアとの交流、アジアのわかる映画祭を目指したい。釜山、北京、上海、香港など近隣の映画祭とも交流しながら、イランまで含むアジアをアピールしたい。

― 選考のプロセスは

市山:①応募がくるもの ②セールスエージェントからのエントリー ③市山などが海外の映画祭で観て、ぜひ観せたいと思うもの等の中から、予備選考委員メンバーから挙がったものを、最終的に市山の判断で決めます。多数決ではありません。
ポイントは難しい。最初にテーマは決めません。新しい発見のあるものを選びます。Wellmadeよりも、どこか面白いもの、時代を反映したものを選んでいます。


第37回東京国際映画祭10月28日(月)~11月6日(水)の10日間の開催期間中、約200本の映画が上映されます。
ぜひ、これはという映画を見つけてご覧ください。

報告:景山咲子
★取材位置が右寄りでしたので、写真(特にスライド)が斜めになってしまったこと、どうぞお許しください。


◆Facebookに、縮小前の写真を掲載しています。
https://www.facebook.com/media/set/?set=a.1071019465025638&type=3

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