イスラーム映画祭9『アユニ/私の目、愛しい人』 ★山崎やよいさんトーク「14年目のシリア革命」

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『アユニ/私の目、愛しい人』原題・英題:Ayouni
監督:ヤスミーン・フッダ / Yasmin Fedda
2020年/シリア=イギリス/74分/アラビア語・英語・イタリア語

1970年から親子2代にわたるアサド独裁政権が続くシリア。2011年3月、シリアにも及んだアラブの春。アサド政権は民衆蜂起を弾圧。これまでに10万人以上が強制失踪している。
シリア系パレスチナ人で、ウィキペディアの創設に関わったプログラマーのバーセル・サファデイと、人権派弁護士のヌーラは、2013年、獄中結婚し、シリア革命家夫婦と言われる。
1970年代から中東を拠点に修道院の修復や宗教間の融和をはかる活動を続けてきたイタリア人神父パオロ・ダル・オグリオ。2013年にラッカで強制失踪する。妹マチが、神父の行方を追う・・・

「ダマスカス行き」と書かれた2階建てバスの外側いっぱいに掲げられた強制失踪した人たちの写真。家族がバスに乗り、愛しい人たちの解放を求めて世界各地を回ります。
そんな訴えも空しく、バーセル・サファデイ処刑のニュース。政府は肯定も否定もしない・・・

◆3/16(土) 10:00からの上映後トーク
【テーマ】《特集:14年目のシリア革命①― 震災後のシリア北西部と革命の現在地》
【ゲスト】山崎やよいさん(アラビア語通訳/「イブラ・ワ・ハイト」発起人/ NPO法人Stand with Syria Japan監事)

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山崎やよいさんは、考古学者として、シリアのアレッポに23年滞在。今回、本作の字幕監修をされ、「パソコンで見ていた小さな画面と違って、大きな画面で見た本作は、初めて見たような気持ち。独裁政権はともかく、シリアは気候・風土のいい国」

以下、山崎やよいさんの言葉より:
2011年のシリアでの民衆蜂起は、宗教や民族の違いを越えた革命。「内戦」と言われると、ちょっと違う。

去年、アサド政権は野戦軍事裁判を廃止したが、軍事裁判は今も残る。
処刑されたことが家族にはなかなかわからない。
今も15万人以上が拘束されているが、面会はほぼ無理。
かなりの賄賂を払って居場所を聞き出しても、さらに賄賂を積んで面会にこぎつけるのも難しい。

パオロ・ダル・オグリオ神父はフレスコ画などの修復で有名なイタリア人神父。
シリア政府は修復にお金を出さない。

ヤスミーン・フッダ監督は、元々パオロ神父を取材していて、その過程でバーセルさんのパートナーであるヌーラさんと知り合う。

バスの外側に掲げられたバーセル・サファデイさんの写真の隣に、知り合いのシリアの女性サマルさんの写真を見つけて、心臓が止まりそうに。サマルさんが失踪していることを忘れていたことにもハッとした。 ISIS(イスラム国)は、アサド政権の利益になることしかして来なかったとサマルさんから聞いたことがある。
2011年、革命が起きた時、アサド政権はイスラミスト(過激なイスラム思想を持つ人)を解放している。何かあった時に、過激派イスラームのせいにする意図。

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★『アユニ/私の目、愛しい人』は、あと1回 上映があります。

3月23日(土)17:50~
上映後トーク
【テーマ】《特集:14年目のシリア革命②― 「革命前のシリアは平和だった」言説のまやかし》
【ゲスト】黒井文太郎さん(軍事ジャーナリスト)


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