イスラーム映画祭9 『辛口ソースのハンス一丁』(ドイツのトルコ移民)
『辛口ソースのハンス一丁』
原題:Einmal Hans mit scharfer Soße 英題:A Spicy Kraut
監督:ブケット・アラクシュ / Buket Alakus
2013年/ドイツ/92分/ドイツ語・トルコ語
予告篇https://youtu.be/SklT3XcHt10
親の祖国と生まれ育った国の価値観に挟まれながら、自身の幸せを探す移民二世の姿を描くコメディ映画です。
妊娠した妹の結婚を、姉が先に結婚すべきという伝統的価値観の親に認めさせるため、主人公ハティジェは偽りの婚約者探しを始めます…。
移民二世に共通するアイデンティティの揺らぎを賑やかかつポジティブに描いて印象は軽快。
『おじいちゃんの里帰り』と同じく、トルコ系の女性監督による作品です。
移民や難民がテーマのドイツ映画と聞くと
ヘビーな社会派ドラマを連想しますが、
中には『おじいちゃんの里帰り』や
『はじめてのおもてなし』のような
コメディもあります。
『辛口ソースのハンス一丁』もその一つ。
親の祖国と生まれ育った国、
双方の価値観に挟まれる移民2世ならではの
恋愛観を描くコメディ映画です。
主人公一家はトルコ系。
妊娠して結婚を望む妹のため、
ハティジェは姉が先に結婚すべきという
価値観を崩さない親の手前、
偽りの婚約者を探す事に…。
恋愛や結婚相手にはドイツ人男性を望みながら、
内面的にはトルコ人男性のような情熱も望む…。
風変わりなタイトルには
そんな主人公の恋愛観が託されています。
本作は東京と関西で何度か上映されていますが、
今回は過去の上映では訳されていなかった
トルコ語の台詞や歌にもかなり字幕を付けました。
『ハンズ・アップ!』のチェチェン語然り、
ここが映画祭の腕の見せどころです。
3/16(土)と23(土)に上映いたしますのでぜひ。
(藤本高之)
★東京・渋谷ユーロライブ上映日
3/16土 19:40
上映後トーク
【テーマ】《「ドイツのアリはいないのか?」 ―トルコ系移民二世の恋愛と家族関係》
【ゲスト】渋谷哲也さん(ドイツ映画研究者/日本大学文理学部教授)
3/23土 10:00
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