10 月 23 日(月)に開幕した第 36回東京国際映画祭が、11 月 1 日(水)に閉幕を迎え、TOHO シネマズ 日比谷スクリーン 12 にてクロージングセレモニーが行われました。
第 36 回東京国際映画祭
開催期間:2023 年 10 月 23 日(月)~11 月 1 日(水)
会場:日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区
公式サイト:https://2023.tiff-jp.net/
第 36 回東京国際映画祭 各賞受賞作品・受賞者
コンペティション部門
東京グランプリ/東京都知事賞 『雪豹』(中国)
審査員特別賞 『タタミ』(ジョージア/アメリカ)
最優秀監督賞 岸善幸(『正欲』、日本)
最優秀女優賞 ザル・アミール(『タタミ』、ジョージア/アメリカ)
最優秀男優賞 ヤスナ・ミルターマスブ(『ロクサナ』、イラン)
最優秀芸術貢献賞 『ロングショット』(中国)
観客賞 『正欲』(日本)
アジアの未来 作品賞 『マリア』(イラン)
Amazon Prime Video テイクワン賞『Gone with the wind』 ヤン・リーピン(楊 礼平)
Amazon Prime Video 審査委員特別賞 『ビー・プリペアード』 安村栄美
エシカル・フィルム賞『20000 種のハチ(仮題)』 (スペイン)
黒澤明賞 グー・シャオガン、モーリー・スリヤ
特別功労賞 チャン・イーモウ
◎クロージングセレモニー
2023年11月1日(水)17:00~
TOHO シネマズ 日比谷スクリーン 12 にて
TOHO シネマズ 日比谷スクリーン 12 にて
各賞の発表順に、お届けします。
司会:仲谷亜希子さん
◎スペシャルメンション
まずは、エシカル・フィルム賞の報告。『20000 種のハチ(仮題)』(スペイン)のエスティバリス・ウレソラ・ソラグレン監督が自席で立たれました。
©2023 TIFF
黒澤明賞 グー・シャオガン監督とモーリー・スリヤ監督も自席で立たれました。
©2023 TIFF
©2023 TIFF
◎Amazon Prime Videoテイクワン賞
日本在住の映画作家を対象にした、15分以下の短編の新人監督賞。2021年に始まり、今年で3年目。
審査委員長の行定勲監督はご欠席。審査員の玉城ティナ(俳優)、芦澤明子(撮影監督)、森重晃(プロデューサー)、戸石紀子(Amazon スタジオプロデューサー)の4名が登壇。
審査委員特別賞に続き、テイクワン賞が発表されました。
Amazon Prime Video 審査委員特別賞
『ビー・プリペアード』監督:安村栄美
戸石紀子さんより発表。芦澤明子さんより表彰状を授与。
安村栄美監督:ここにいる俳優の菊池明明さんが 7 月ごろに「一緒に短編映画を作ろう、女四人が出てくる映画を作ろう」と言ってくれたので、実現できたと思っています。仲間たちのおかげで映画が撮れていると思っているので、本当にありがたく思っております。
Amazon Prime Video テイクワン賞
『Gone with the wind』 監督:ヤン・リーピン(楊 礼平)
戸石紀子さんより発表。森重晃さんよりトロフィーを授与。
ヤン・リーピン監督:今回、低予算でフランスでハンディカムで撮った作品が、このような形で受賞させていただき誠に感動しました。わからなくても自由に映画が撮れる、僕にとってすごくロマンなことだと思います。東京国際映画祭の方々に感謝申し上げます。
講評:審査委員長・行定勲監督の講評を玉城ティナさんが代読。
「私は現在、新作の撮影のため韓国にいて、授賞式に参加できないことを、まずお許し願いたいと思います。テイクワン賞の目指すところは、Amazonスタジオが支援する長編映画をプロとして企画し、監督する力を持った新人作家を、厳選されたファイナリストの中から発見することにあります。3年目の審査員長を務めるのにあたり、あらためてそのこと全員で確認し、審査しました。議論の中で、アート性と商業性を、それぞれの作品に求めていくと自ずと候補作品が絞られ、皆が認める最終結果となりました。 受賞した方も受賞しなかった方にも、私たち審査員が次回作を期待しています。映画を作り続けてください」
フォトセッション
◎アジアの未来部門
長編3本目までのアジア(日本・中東を含む)のフレッシュな作品を世界に先駆けて上映するアジア・コンペティション部門。すべてが世界初上映。
審査委員:マーク・ノーネス、 レイモンド・レッド、武井みゆき
武井みゆきさんより講評:
審査会議が始まり、すぐさま全員一致となりました。すべての作品が素晴らしかったということです。トーンはそれぞれ異なっていたのですが、新たな気付きを教えてくれる映画もあれば、心ゆくまで楽しめる映画もありました。10作品には不思議なことに、いくつかの要素がどこか重なり合ったような内容をもっていました。アジア世界の一断面を表装しているのだと思いました。すべての映画が魅力的だということは、残念なことに審査会議が長く続くことを意味していました。10の賞があれば、すごく楽だったのですが、一つに絞らなければいけませんでした。血まみれな映画もあったのですが、私たちは血まみれにならず平和的な話し合いの末に1本の映画に決めることができました。 7本が初長編、3本が長編2作目というフレッシュなものでした。アジアが、世界が、今、とても大きな問題を抱えています。こうした新しい映画監督たちが新しい目で映画の未来を見つめ続けてくれることを実感できて、感謝しています。
アジアの未来 作品賞 『マリア』(イラン)
監督:メへディ・アスガリ・アズガディ
マーク・ノーネスさんより発表。
レイモンド・レッドさんよりトロフィー授与。
来日出来なかったメへディ・アスガリ・アズガディ監督のコメントを奥さまであり編集を担当したエルナズ・エバドラヒさんが暗記したものを披露しました。写真右は、主役のカミャブ・ゲランマイェーさん。
「東京国際映画祭、審査員の方々、この映画をセレクトしてくれた方々、心よりお礼を申し上げます。この賞をいただき、私はもう一回映画で人生を歩んでいけるという力を貰いました。編集を担当した妻、主役の俳優さんはじめ映画に関わったすべての人にこの場を借りて感謝を申し上げたいと思います。また、私たちのイラン映画の巨匠であるアミール・ナデリ監督にはお礼を申し上げたいと思います。私たちはいただいたこの賞をアミール・ナデリ監督に差し上げたいと思います」
◎コンペティション部門
◆観客賞
『正欲』監督:岸善幸
プレゼンターは、フェスティバルナビゲーターの安藤桃子さん
「映画は、実は映画にないと思っています。映画は観る皆さんの中にあるものだと思います。観客賞というのは、映画祭で一人一人の観客の皆さまの心に最も沸き立った作品ではないかと思っております」とコメント。
安藤桃子さん、岸善幸監督
岸善幸監督:
観客の中に映画があると僕も信じています。この作品は、多様性の中“多様性”という言葉に弾かれてしまうようなマイノリティの中のマイノリティ、非常に小さな人間たちを題材にしています。言葉だけでなく、この映画を見てたくさんの人が多様性の本当の意味を感じていただければと思っています。11月10日から公開ですけれども、こんな素敵な賞をいただけて幸せです。主演の稲垣さん、新垣さん、磯村さん、みなさんに伝えたいと思います。
◆最優秀芸術貢献賞受賞
『ロングショット』監督:ガオ・ポン
プレゼンター:チャオ・タオ(俳優・プロデューサー、中国)
若い監督のデビュー作で、90年代、やむを得ず退職させられた人たちを描いた物語です。人間と空間がこの映画の主役で、ともに特別な雰囲気を醸し出し現場を作りあげました。特筆すべきは、この映画の素晴らしい撮影と美術です。
ガオ・ポン監督:
この瞬間を、映画の撮影のために一緒にやってきてくださった、私の色々なスタッフや役者の皆さんに捧げたいと思います。そして、製作をしてくださった皆さんに感謝したいと思います。一番苦しかった時期をずっと支えてくださいました。新人監督としての私に素晴らしい製作の環境を提供してくださったのです。私はこの『ロングショット』を若手の監督として撮るために、数々の先輩方に学ばせていただきご支援をいただきました。中国の映画界では、若手を支えようという雰囲気がございます。この素晴らしい伝統的な雰囲気をこれからもぜひ持ち続けていけるように私たちも頑張りたいと思います。このような名誉な賞をいただいたということは、夢ではなくて現実になったのだと思います。今、世界では戦争が頻発し、そして非常に苦しい中で生きている人たちがいます。しかし映画の役割というのは人と人の心と心を繋ぎ、世界を平和に導くものだと私は信じております。
◆最優秀男優賞
ヤスナ・ミルターマスブ(『ロクサナ』、イラン)
講評と発表:チャン・ティ・ビック・ゴック(プロデューサー、ベトナム)
感情的でシンプルな役柄は、彼の真摯な演技によってイランの平凡な現代社会の豊かな生活を目の当たりにする機会を与えてくれました。
ヤスナ・ミルターマスブ:
コンニチワ サラーム。審査員の皆さんにお礼を申し上げたいと思います。このいただいた賞を監督のパルヴィズ・シャーバズィさんに伝えたいと思います。また会場にいる撮影監督のプーヤ・シャーバズィにもお礼を申し上げたいと思います。
ムスリムだろうがクリスチャンだろうがユダヤだろうが関係ないと思います。我々の人生の中で一番最悪なのは戦争で命を落とすことですし、子供が戦争のために亡くなっていくのはやはりいけないと思います。戦争を止めましょう。
◆最優秀女優賞受賞
ザル・アミール(『タタミ』監督/俳優)
講評と発表:審査委員長 ヴィム・ヴェンダース
この女優さんは、共同監督も務めた方です。『タタミ』のザル・アミールさんです。
ザル・アミール (ビデオメッセージ)
大きな驚きとともに受賞を光栄に思います。日本で皆さんと一緒にお祝いしたかったです。現在深夜2時です。撮影から帰宅して受賞の知らせを聞きました。これは私にとって特別で大きな意味をもつ受賞です。俳優という職業はアスリートに似ていると思いました。両者とも人前でチャンスやタイミングをつかむ必要があり、身体的にも精神的にも重圧がかかります。イラン人アスリートは常にスポーツと国の狭間に置かれ恐怖を乗り越え、尊厳を失わないようにしています。その立場は私も共感できることばかりでした。この作品に登場するマリアムもそうした一人です。彼女は自由を得ながらも大きな代償を払うことになります。最高のパートナーであるアリエンヌ・マンディがいなければこのような作品にはならなかったでしょう。彼女の献身的な仕事に対する私の感謝の気持ちは計り知れません。改めて最優秀女優賞を受賞できたことを光栄に思います。この賞はイランの女性たちに捧げたいと思います。畳の上、路上、そして家庭の中でひっそりと虐げられている彼女たちへ。本当にありがとうございました。
ヴィム・ヴェンダース コメント:ザル・アミールさんが柔道のコーチとして政府の決断と自由の意志との間で葛藤する姿を演じて、大変信ぴょう性がありました。
◆最優秀監督賞
岸善幸監督 『正欲』
講評と発表:アルベルト・セラさん
複雑な難しい世界の中、個人であることの難しさを描いた岸善幸監督に捧げます。
岸善幸監督:
4 作品目の監督作品ですけれども、名誉ある賞をいただけてこれからの映画作りの励みになります。これからも頑張っていこうと思います。この作品が描いているのは多様性ということの意味を、すべての人が自由で自分を偽らずに生きていける社会とは何かということを問いかけています。世界、日本もそうですけれども中々自分のアイデンティティを確立するのが難しい時代です。この作品を観て多様性の意味を皆さんに考えていただけたら本当に嬉しいです。これを励みにこれからもいろんな映画をいろんなテーマで作っていきたいと思います。
◆審査員特別賞
『タタミ』監督:ザル・アミール、ガイ・ナッティヴ(ジョージア/アメリカ)
講評と発表:國實瑞惠さん(プロデューサー)
スリリングなストーリーを、女性二人の迫真の演技に手に汗を握りしめて、最後まで見入ってしまいました。鮮烈なモノクロ映像で、より緊張感を高める作品『タタミ』に審査員特別賞をお贈りします。
ザル・アミール(共同監督/俳優) ビデオメッセージ
世界は燃えています。イランは燃えていて、そこに住む素晴らしい人々を殺害しています。パレスチナは燃えていて何千人もの市民の死を嘆いています。イスラエルは燃えていて、人々が殺されています。いたるところで無実の人々が不正により血を流し、私たちが生み出した混乱のなかで無力になっています。しかし、私たちは映画を作りました。この映画は憎しみ合うように育てられた人々の奇跡的な組み合わせにより生まれた物語です。イスラエルとイランの監督が一緒に仕事をするのはとても大変なことです。あらゆる困難を乗り越えて初めて団結し、歴史を作ることになるのです。しかし、映画が公開された時は歴史がこのように動くとは思っていませんでした。この映画にひとつの力があるとすれば、それは闇の時代に光と戯れることでしょう。日本で「柔道」という言葉は柔和な道を意味すると聞きました。それこそが私たちが進みたい道です。未来ある唯一の道です。この映画『タタミ』は日本の名前ですが、普遍的な問題を語っています。憎しみに向き合い敬意を示す勇気をどう持ちうるかです。
ガイ・ナッティヴ(共同監督)ビデオメッセージ
このすばらしい驚きをザル・アミールと共に感謝したいと思います。私たちはちょうど東京からの長いフライトを終えロスに降り立ったところです。皆さんの反応を肌で感じ、美しい東京で過ごしたすばらしい1週間でした。『タタミ』は日本の伝統へのオマージュであり相手を敬うことでもあります。そして、イスラエル人とイラン人の初の共同作業でもありました。私たちは政府が阻止しようとしていたことを実行したのです。兄弟姉妹になるために協力し合いました。そのことを認めてくださり映画を見てくれて、感謝しています。そして困難な状況の中で生きている私たち全員にとって、それがどれほど重要なことなのかを理解してくれたことに感謝します。この映画が暗いトンネルの中の小さな光明となることを願っています。
◆東京グランプリ/東京都知事賞
『雪豹』 監督 ペマ・ツェテン監督
東京グランプリ発表の前に、コンペティション部門審査員全員が登壇。
講評と発表:審査委員長 ヴィム・ヴェンダース
審査員全員が、万女一致で東京グランプリを53歳の若さで亡くなられたペマ・ツェテン監督の『雪豹』に与えることを決めました。
(出演者はじめ関係者が登壇)
残念ながら、監督は5月に亡くなられてしまいました。ほんとうに若い、まだ53歳でした。チベット語で作られた映画、ゴージャスな風景、自然の中でのユーモラスな演技、そしてその映像の一部がデジタル効果でよって夢想されたものだとしても素晴らしい動物を見せてくれたことを称賛したいと思います。
東京都知事賞 贈呈
東京都産業労働局次長 松本明子さんが小池百合子都知事メッセージを代読
皆さまようこそ東京国際映画祭においでくださいました。
東京グランプリを受賞されました『雪豹』の関係者の皆様にお祝いを申し上げるとともに ペマ・ツェテン監督に心から哀悼を意を表します。審査員長のヴィム・ヴェンダース監督は最新作『PERFECT DAYS』で東京を舞台に選び美しく魅力的に撮影してくださいました。感謝申し上げます。今年の カンヌ国際映画祭で役所広司さんが最優秀男優賞を受賞されたことも大変誇らしく思います。
今年のコンペティション部門には、114の国と地域から1942作品の応募がありました。
毎年、数多くの新しい才能がここ東京から世界に羽ばたいています。映画は私たちに感動や生きる喜びを与え、心に潤いをもたらし、人々の心の繋がりを深めます。今年は海外から多数のゲストをお迎えし、様々な交流が生まれています。東京から映画の魅力を発信することで、多様性あふれる素晴らしい世界に繋がっていくことを期待しています。東京国際映画祭が世界中の人々を魅了する文化の祭典として、今後ますます発展することを祈念しております。
ジョン・ハオ (エグゼクティブ・プロデューサー)
代表して感謝の言葉を述べさせていただきます。非常に残念なことに私たちのペマ・ツェテン監督はここにくることができませんでした。しかしながら、今日こうやっていただいた賞は、監督が私たちに与えてくれた賞だと思います。この映画を世に出してくださいました中国電影の関係者の方々や製作に携わってくださいました方々にも感謝申しあげます。
ペマ・ツェテン監督の息子さんには、監督の跡を継いで映画を作り続けていただきたいと願っております。
ペマ・ツェテン監督はチベット語でチベットの映画を撮る、その開拓者でありました。そして小説家でもあり、この 20 年来監督は小説を書き続けており世界的にも受け入れられておりました。ペマ・ツェテン監督は初期から晩年にいたるまで様々なスタイルを貫いてチャレンジして撮られてきた監督です。『ティメー・クンデンを探して』『オールド・ドッグ』そして『雪豹』に至るまで、各作品、皆、作風を変えてチャレンジ精神旺盛に映画を撮っていらっしゃいました。『タルロ』ではモノクロをうまく使って素晴らしい作品に仕上げています。2018年の『轢き殺された羊』は、これまでと全く違うスタイルの素晴らしい作品でした。2019年の『羊飼いと風船』に至って、今までの幻想的な作風からリアリズムに転換されました。チベットの草原に生きる普通の庶民を極めてリアルにわかりやすく描きました。そして『雪豹』はコロナの期間に準備が始められて、2023 年に完成したものです。これもまた作風が異なっています。チベットの高原地帯の様々な自然の生態系などをテーマに描きながら、非常に幻想的なところもあるという作風で描いた作品でした。簡単に功績を紹介しましたが、ペマ・ツェテン監督の精神を、意思を継いでこれからも映画を作っていきたいと思います。
ジンパ(俳優)
監督はもうここにはおられませんが、監督と一緒に映画を撮ってきた者として、皆さんに心から感謝したいと思います。(最後にチベット語でお礼の言葉)
(マイクの位置が低いままで、背の高いジンパさん、かがんでのスピーチでした。右は、エグゼクティブ・プロデューサーのジョン・ハオさん。)
ション・ズーチー(俳優)
この作品に出させていただいたことを嬉しく思っております。今日は感動で胸がいっぱいでございます。ペマ・ツェテン監督が私たちにこういう機会を与えてくれたんだと思います。永遠に彼に感謝したいと思います。
ツェテン・タシ(俳優)
小さな町からやってきました。ペマ・ツェテン先生はここにはおりませんけれども、私たちといつも一緒にいる気がします。先生ありがとう。
すべての表彰が終わり、審査委員長 ヴィム・ヴェンダースより総評;
第36回東京国際映画祭の審査委員長を務められたことを光栄に思います。そして他の4人の映画関係者からなる実力派の審査員と共に世界中から集まった15本のコンペティション部門の作品を観てその中から満場一致で東京グランプリと他の5つの賞を選ぶことができました。本当に素晴らしい作品を数多く見ることができましたが、セレクション全体が、同等の水準であるかどうかというのは確信できませんでした。また、オープニング作品として『PERFECT DAYS』を紹介できたことを誇りに思うと共に、このような機会を与えてくれた映画祭に感謝申し上げます。東京国際映画祭大好きです。これからも成功を祈っております。ありがとうございました。
©2023 TIFF
☆クロージング作品『ゴジラ-1.0』
予告編上映の後、山崎貴監督、神木隆之介、浜辺美波が登壇。
神木隆之介
今回、16年ぶりの東京国際映画祭、この作品がクロージング作品ということでこんなに光栄なことはないなと。そしてこの『ゴジラ-1.0』という作品で、山崎監督をはじめ信頼する人たちでこの場に立てることを光栄に思っております。
― 浜辺さんは初日にレッドカーペットを歩かれていかがでしたか?
浜辺美波
東京国際映画祭に初めて参加させていただいて、いつも映像では観ていたのですが、こんなにも熱のあるイベントだとは思っていなくてかなり驚きました。ゴジラ、山崎監督、神木さんと共に歩くことができて楽しかったです。
山崎貴監督:『ゴジラ』が昔、東京国際映画祭のクロージングで毎年毎年上映された時代がありまして、最速で『ゴジラ』が観れる機会が東京国際映画祭だったのでいいなと思っていました。久しぶりに『ゴジラ』がクロージングを飾るということで、先輩たちにあこがれていた時代がありますので、ついに自分の『ゴジラ』が栄えある場所に来られたんだと非常に嬉しく思っております。しかも、一般の方に観ていただける初めての機会が東京国際映画祭のクロージングなので、そのことも楽しみに今日は来ました。
― 世界中に愛される『ゴジラ』に出演が決まっていかがでしたか?
神木隆之介:プレッシャーが大きかったですね。日本を代表し、そして世界でも愛されている『ゴジラ』という存在に関わるということ、そしてその作品の主役をやらせていただくというのはとても大きなものを背負わなければいけないのかというプレッシャーが大きかったです。11月3日に公開ですが、今は、そのプレッシャーというのはなくて、皆さんに愛されている『ゴジラ』という作品に関われたことを誇りに思っていますので、どう感じていただけるのかを楽しみにしています。
浜辺美波:シンゴジラという新作以降、しばらくゴジラを観れないと思っていましたので、ゴジラが帰ってくることに驚き嬉しく思いました。『ゴジラ』という作品に出演できることが念願だったので、それが叶うということで嬉しさと、台無しにしないように頑張らなきゃいけないなという気持ちになりまして、監督をはじめ皆さんと一緒に作品を作る中で、皆さんの今まで培ってきたものを全力で出せるように、胸に飛び込むような意気込みがありました。
― これからご覧になる皆さんに、監督からメッセージをお願いします。
山崎監督
僕らは本当に、劇場にお客さんに帰って来てもらいたいという思いで、体感する映画が一つのその答えなんじゃないかなと思って、劇場で観る映画に相応しいものを作ろうと思って頑張ってきましたし、ここにいる二人をはじめ皆にゴジラと真剣に取り組んでいただいて素敵な映画ができたんじゃないかと思ってます。ぜひ、劇場で観ていただきたいですし、劇場というものはこんなに映画を観るのに素晴らしい場所なんだってことをもう一度認識していただいて、映画がすごく素晴らしい文化だということを改めて感じていただきたいなと思います。一番最初の上映が東京国際映画祭でできることをほんとうに光栄なことだと思っています。
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最後に、安藤裕康チェアマン挨拶
いよいよ今年の映画祭、閉幕に近づいてまいりました。
初日から秋晴れの素晴らしい天気が続きまして、お陰でたくさんのたくさんのお客様に映画祭に足を運んでいただきました。
これまでの集計で、作品のチケットをご購入いただいた方が5万人超。昨年から36%の増加。そのほかの関連イベントを含めますと、7万人以上の方にご参加いただきまして、昨年比 25%増となっております。そして、海外からも2000人近い方が映画祭を訪れてくださいました。足を運んでくださったお客様の皆様のおかげだと思っております。そして、映画祭を色々な形で支えてくださった関係者の方たちのお陰だと思っております。心から御礼を申し上げたいと思います。
事務局で働いております100人以上の職員が、昼夜を分かたず激務をこなしてくださいました。また事務局を支える裏方、そして裏方のまた裏方のボランティアやインターンの方々がさらに300人くらいいらっしゃって、いろいろな職務をこなしてださいました。今、この瞬間も職務についていらっしゃいますので、全員は無理なのですが、壇上に上がっていただけませんか。
(おそろいのグレーのパーカーを着たボランティアの方たちが登壇。安藤チェアマンも拍手を贈りました。)
ここに東京国際映画祭の閉幕を宣言いたします。
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第 36 回東京国際映画祭 動員数 <速報値・1 日は見込み動員数>
■上映動員数/上映作品本数:74,841 人/219 本 *10 日間
(第 35 回:59,541 人、125.7%増/174 本、125.9%増 *10 日間)
■上映本作品における女性監督の比率(男女共同監督作品含む):22.4%
(219 本中 38 本、同じ監督による作品は作品の本数に関わらず1人としてカウント)
■その他リアルイベント動員数:73,081 人
■ゲスト登壇イベント本数:169 件 (昨年 157 件、107.6%増)
■海外ゲスト数:約 2,000 人(昨年 104 人、1923%増)
■共催提携企画動員数:約 20,000 人
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最後に、フォトセッション
私の位置からは『マリア』の編集エルナズ・エバドラヒさんの顔が隠れてしまいました。
トップには東京国際映画祭提供の公式写真を掲載させていただきました。
また、今回、毎年取材している宮崎暁美さんが抽選に外れてしまい、彼女の撮影による素晴らしい写真をお届けすることができませんでしたこと、申し添えておきます。
写真・報告:景山咲子
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