毎年9月21日は、国連が定めたピースデー(国際平和デー)。そのピースデーに合わせて開催している「平和」や「SDGs」をテーマとした学生が対象のショートフィルムの祭典が国際平和映像祭(UFPFF, UNITED FOR PEACE FILM FESTIVAL)。第13回目となる今年は、初めて一般財団法人PEACE DAYとの共催イベントとして、9月18日(月・祝) ヒューマントラストシネマ渋谷で開催されました。東京で開催されるのも初めてとのことです。
第1部 PEACE DAYスペシャルプログラム(13:00‐14:45)
まずは、一般財団法人PEACE DAY代表理事 井上高志さんと、国際平和映像祭 代表理事 関根健次さんによるPEACE DAYオープニングトーク。
続いて、来年1月12日(金)にヒューマントラストシネマ渋谷で公開されるドキュメンタリー映画『ミッション・ジョイ ~困難な時に幸せを見出す方法~』の日本プレミア上映。
2人のノーベル平和賞受賞者、ダライ・ラマ法王とデズモンド・ツツ大主教の歴史的対談を記録した映画です。様々な抑圧を乗り越えたお二人の対談は笑いに満ちたものでした。お茶目な二人の豪快な笑い声に、ふっと寝ていたのを起こされることも数回。
上映後には、話題作『happy – しあわせを探すあなたへ』のプロデューサー清水ハン栄治さんが登壇。世界中に行って講演されているダライ・ラマ法王。出待ちの人が多くてセキュリティが厳しい中、お茶目な方だから、人の中に入っていって、どんな人にもハグ。動物園に行った時にはペンギンにハグしていたというエピソードが可愛かったです。嫌いなものを作ってはいけない、苦手なものも含めてすべてのものを愛すというメッセージ。
映画もアフタートークも、ほっこりするものでした。
第2部 国際平和映像祭(UFPFF)2023(15:00-19:00)
国際平和映像祭 事務局長 臼井 健太さんの挨拶に続き、国連広報センター所長 根本かおるさんからの国際平和デー(ピースデー)へのビデオメッセージ。
続いて、過去最大の55ヶ国258の作品の中から選ばれた10のファイナリスト作品が、5作品ずつ上映され、学生監督たちが登壇し、作品に込めた思いを語りました。
審査員の方たちからも熱心に質問が飛びました。
【オフィシャル審査員】
井上 高志(株式会社LIFULL代表取締役社長)
高橋 克三(国際平和映像祭 理事)
中村 真夕(映画監督、Omphalos Picture代表)
丹下 紘希(葡萄農家・人間見習い・映像作家)
西澤 彰弘(東京テアトル株式会社 執行役員)
サヘル・ローズ(俳優・タレント)
審査員の方たちが審査をしている間に、特別招待作品の上映。
・国連PLURAL+2022 UFPFF賞受賞作『戦争の予感』ビクトリア・オクネヴァ監督(ロシア)
・ウクライナ現地報告 ソウダルア(出張料理人/現代美食家)
・札幌国際短編映画祭2023 ピースセレクション作品招待上映
『ウィナー』監督:アリ・ケイヴァン(イラン)
実は、このイランの短編が今日の一番の目的でした! 小学校で自転車を持っていることが条件の自転車レースが行われるのに、ヴァヒド少年は、お父さんがやっと自転車を買ってくれて、エントリー締め切りを半日過ぎて先生のところに。もう締め切ったといわれるのですが、そこに登録済みの男の子が、自転車を盗まれたとやってくるのです。その色といい、タイヤにアリレザと書いてあることなど、お父さんが買ってきたという自転車とそっくり。お父さんが盗んだのか?と悩みます。ここから二転三転。ほんの15分ですが、素晴らしい作品でした。
札幌国際短編映画祭フェスティバル・ディレクターの島田英二さんがビデオで登壇。毎回、イランから200本位、応募があってレベルが高いとおっしゃってました。
続いて、ピースデートーク。
asobot inc. 代表の伊藤剛さんの進行のもと、「どのように戦争の記憶を継承できるか? 戦争当事者がだんだんいなくなる今、どう伝えていくか?」をテーマにディスカッション。
最初にUFPFF 2018受賞者で東京大学学生の庭田杏珠さんが登壇。広島県生まれの庭田さんは、被爆前の中島地区(現在の広島平和記念公園)に生家のあった方の持っていたモノクロ写真をカラーにすることで記憶が蘇り、戦争体験を語ってくれたことを、今後いかに継承していくかを模索しているとのこと。
続いて、2017年にサラエヴォで開館した子ども戦争博物館の創設者のヤスミンコ・ハリロビッチさんがビデオで参加されました。
最後に国際平和映像祭2023の授賞式。
最優秀賞:ソング・オブ・ザ・ウェイブス(監督:コロンブ・ド・ヴァラヴィエーイ/IIMデジタルスクール/フランス)
地中海を漂流する移民船で、奇妙な現象が起こる様子をアニメーションで描いたもの。審査員の方たちから上映後、質問が多く寄せられた作品でした。映像には詳しく描いていないけれど、移民船に乗っている人たちには、それぞれ一人一人の背景があって、国や事情も違うとのこと。少女が歌う鼻歌は、コンゴの歌だけれど、彼女はコンゴの出身ではなく、移動途中にコンゴの人から教えてもらったものという設定。フランスから監督のコロンブ・ド・ヴァラヴィエーイさんがIIMデジタルスクールのお仲間と二人で来日。受賞の喜びを語りました。
準グランプリ:町の平和を記録する 半世紀の地域文化貢献(監督:銭 晟揚/上智大学/中国)
審査員特別賞:私たちの「権利」(監督:杜 宇萱/早稲田大学/中国)
最後に、皆で記念写真。
心温まる一日でした。
報告:景山咲子
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