2023年4月20日(木)夜7時より、渋谷・ユーロライブにて、ドイツ映画祭 HORIZONTE 2023のオープニングセレモニーが満杯のお客様をお迎えして行われました。
今年の映画祭のテーマは、〈道を拓く女たち〉。
最初に登壇したドイツ公使が、会場に大勢の女性の方たちがいらっしゃいますので、手短に・・と前置きして、ドイツでは憲法に男女同権が記載されていますが、1957年に男女平等法が制定され、それから長い道のりを歩み、今もまだ十分とはいえませんが、女性の権利拡大を求めてきたこと、これからも女性に限らずあらゆる差別撤廃を目指していることが述べられました。
オープニング作品『フェモクラシー 不屈の女たち』
監督:トルステン・ケルナー
ドイツ、2021年、100分
ドイツ連邦議会の女性議員の歩みを、戦後からメルケル政権時代まで追うドキュメンタリー。
中絶をめぐる論争の中で、妊娠を望まない場合は、男性にも避妊を心がけてほしいと発言する女性議員に、男性議員たちが心無い野次を飛ばす姿が強烈でした。勇気ある発言に対して、あまりにも酷い対応。議員ですら、そんな態度なのです。
様々な屈辱に耐えて、頑張ってきた女性たちがいて、少しずつ改善されてきたことを痛感しました。メルケルを生んだドイツですら、今なお女性の地位はそれほど向上したと思えない状況だと感じました。
オープニング作品『フェモクラシー 不屈の女たち』の上映後には、登場する女性議員の一人であるクリスタ・ニッケルスさんをお迎えしてトークが行われました。
クリスタ・ニッケルスさんは集中治療専門看護師で、1979年、ノルトライン=ヴェストファーレン州緑の党の設立メンバー。ドイツ連邦議会議員を5期(1983-85年、1987-90年、1994-05年)務め、保健省政務次官、連邦薬物・依存問題担当官、人権人道支援委員会の委員長などのポストを歴任されています。現在、70歳。私と同年代です。ドイツでも同じような時代を経てきたのだと思います。
撒いた種が育ってきた一方で、民主主義が今、危機にあるとも。世界をみると、ウクライナではロシア侵攻、イランではヘジャーブ問題で揺れ、アフガニスタンでは20年経って、またターリバーンの台頭で女性の教育の機会が奪われていることなどが引き合いに出されました。今、自由を手にしている人も、それが永遠ではないことも心してほしいと述べられました。
トークには、FIFTYS PROJECT代表で、25歳の能條桃子さんも登壇。
FIFTYS PROJECTは、政治分野のジェンダー不平等の解消を目指して、ジェンダー平等実現を目指して地方議会議員に立候補する20代・30代の女性(トランス女性を含む)やノンバイナリー、Xジェンダー等の方を増やし、横に繋ぎ、一緒に支援するムーブメントです。
クリスタ・ニッケルスさんから、若い能條さんに対して、「それぞれの世代にやり方がある、続けることに意味があります。民主主義の本質は、意見の違いに向き合ってフェアに闘うこと」とエールが送られました。
『フェモクラシー 不屈の女たち』は、世界各国で多くの女性たちに勇気と感動を与えた作品。
日本での公開は決まっていませんが、いつか日本でも多くの人たちに観ていただきたい映画です。
報告:景山咲子
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