第35回東京国際映画祭(2022) クロージングセレモニー写真集

『ザ・ビースト』が東京グランプリ・最優秀監督賞・主演男優賞の3冠


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受賞者のみなさん


第35回東京国際映画祭 クロージングセレモニー 2022年11月2日(水)

10月24日(月)に日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開幕した第35回東京国際映画祭。11月2日(水)に東京国際フォーラムにてクロージングセレモニー行われました。遅くなりましたが、その時の写真を各部門における各賞の発表・授与、登壇者のコメントともに掲載します。

第35回東京国際映画祭 各賞受賞作品・受賞者
コンペティション部門
★東京グランプリ/東京都知事賞
『ザ・ビースト』(スペイン/フランス)
★審査員特別賞 『第三次世界大戦』(イラン)
★最優秀監督賞
 ロドリゴ・ソロゴイェン監督『ザ・ビースト』(スペイン/フランス)
★最優秀女優賞
 アリン・クーペンハイム『1976』(チリ/アルゼンチン/カタール)
★最優秀男優賞
 ドゥニ・メノーシェ『ザ・ビースト』(スペイン/フランス)
★最優秀芸術貢献賞 『孔雀の嘆き』(スリランカ/イタリア)

観客賞 『窓辺にて』(日本)

アジアの未来
★作品賞 『蝶の命は一日限り』(イラン)

AmazonPrimeVideoテイクワン賞 該当者なし

特別功労賞 野上照代


授賞式写真集

特別功労賞 野上照代
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スティーヴン・ウーリー(『生きる LIVING』プロデューサー)、安藤裕康チェアマンと
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野上照代さん:ありがとうございます。なんて言ったって95歳(2022年現在)ですからよくもったものです。私は映画が本当に好きだし、映画という表現をここまで続けてきてくれた色々な監督たちに感謝します。いろいろな表現があるけれど、やっぱり映画ほどリアルで具体的で真実に迫るものはない。やはり素晴らしい表現だと思います。ありがとうございました。
野上照代さんは、1950年黒澤明監督の『羅生門』にスクリプターとして参加。その後『生きる』以降の全黒澤作品に、記録、編集、制作助手として参加した。

Amazon Prime Video テイクワン賞 該当者なし

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プレゼンター行定勲監督:Amazon Prime Video テイクワン賞の今年の該当作品はありませんでした。私たちプロの立場であっても、映画の企画が生まれ完成するまでというのは奇跡的なものです。完成した作品より消えていった作品の方が多いのが現実です。このAmazon Prime Video テイクワン賞は新人監督に長編映画の企画を実現するチャンスを与えるという夢のような賞です。しかし、それに見合う実力、この人に獲らせたいという想いを今回のファイナリストの作品から見出すことが出来ませんでした。
審査会議では辛辣な意見が飛び交いました。「それぞれの作品には良さがある。しかしそれは世界に繋がっていない。15分という短編には強い作家性が込められるべきだが、それを感じられなかった。どの作品にもイメージの飛躍が我々の想像を超えるものではなかった」。しかし、今はまだ賞に値するものではないが、今回のファイナリストに残ったいつか評価される才能がこの中にいるのではないかと期待したいと思います。
ここ数年、さまざまな短編映画祭の審査委員を務めてきましたが、昨年のテイクワン賞のレベルには正直驚かされました。こんなにも才能のある作家がまだいるのかと。「実力はあるが商業ベースではない若手を見出す」、「世の中をもっと広く意識した作品を作ろう」とする才能をAmazonスタジオが支援をするテイクワン賞にふさわしいのは辛辣な意見を聞いてきた作り手であり、この賞はそれでも作り続けるという作り手にこれから手を差し伸べるべきだと思います。今回の結果を是非、来年のAmazon Prime Video テイクワン賞に繋げていただきたいと切に思います。来年は更なる飛躍をしていただいて、また若い人たちがどんどん応募してきていただけたらと思っています。

アジアの未来作品賞 『蝶の命は一日限り』
モハッマドレザ・ワタンデュースト監督(イラン)
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アジアの未来部門審査委員と共に 斉藤綾子、ソーロス・スクム、西澤彰弘
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モハッマドレザ・ワタンデュースト監督:この賞をいただき、とても感銘を受けています。今は芸術性の高い映画がいろいろな映画祭で賞を貰ったりしないので、東京国際映画祭は今でも芸術性を大事にする映画、芸術の言葉で一つの物語を語る映画を大事にしてくれることに、私たちは心強さを感じています。私たちは監督として一つの社会問題を、映画の言葉で表現することはとても重要なことであると信じてます。この場を借りて、この賞をイランの大変素晴らしい女性たちに捧げたいと思います。世界の平和、そして戦争がない平和を願って、スピーチを終わりたいと思います。

<コンペティション>
観客賞 『窓辺にて』今泉力哉監督


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今泉力哉監督:私の作品は個人的な本当に小さな悩みを題材に恋愛映画をずっと作り続けています。世界には戦争だったり、ジェンダーの問題だったり、さまざまな問題がある中で、私は小さな、本当に小さな取るに足らない悩みとか、個人的な問題を、恋愛を通じてコメディ的な笑いも含めて描こうと思って今まで作り続けています。映画に限らずですが、小説とかそういうものは大きな問題を取り上げてそれについて語るものとしての側面があるけれど、自分は主人公も受動的だったり、自ら行動できなかったりとか、見過ごされるような小さな問題について映画をずっと作り続けています。自分が映画を作ってきて、こうやってこの場に立っているのを嬉しく思いますし、今後も続けていければと思います。ネガティブに捉えるだけではなく、そこにある小さな喜びとか、そういうものを自分なりにできることを考えて行こうと思います。

最優秀芸術貢献賞『孔雀の嘆き』
サンジーワ・プシュパクマーラ監督(スリランカ/イタリア)

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『孔雀の嘆き』チーム
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サンジーワ・プシュパクマーラ監督:日本の政府・日本のみなさんに大変多くのサポートいただきましたことを心から感謝したいと思います。私たちが困難の間、皆さんから非常に強力なサポートを得ることができました。ありがとうございます。また、私の映画の源となりました妹、兄弟に感謝しています。この映画を全てのスリランカの人に捧げたいと思います。私たちは税金で教育を受けることが出来ました。私はこの映画そのものをスリランカの人々に捧げたいと思います。

最優秀男優賞 ドゥニ・メノーシェ
『ザ・ビースト』(スペイン/フランス)

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2019年の観客賞『動物だけが知っている』ドミニク・モル監督の代わりにトロフィを受け取ったドゥニ・メノーシェさん
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ドゥニ・メノーシェさん:東京国際映画祭は大好きな映画祭です。賞をいただくことができて光栄です。日本が大好きで日本の文化を素晴らしく思っております。世界中が「日本的」だったらもっと住みやすくなるに違いありません。ですから受賞を大変喜ばしく思っております。残念ながら、今私はモントリオールにいます。また日本に行くことを楽しみしにしていて、いつか日本で映画を作ってみたいです。

最優秀女優賞 アリン・クーペンハイム
『1976』(チリ/アルゼンチン/カタール)

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アリン・クーペンハイムさん:このような素晴らしい賞をいただいて大変嬉しく驚くと共に、大変光栄に思っております。映画祭審査委員のみなさん、そしてこの役を私に託してくれたマヌエラ・マルテッリ監督、『1976』の素晴らしいチームの仲間たち、非のうちどころのない愛情に満ちたチームワークに改めてお礼を申し上げます。本当はみなさんと一緒に祝いたいのですが、私は文字通り地球の裏側にいます。とても遠いチリのサンティアゴからみなさんに暖かい抱擁を送ります。あなた方一人一人の幸運を祈ります。

代理でトロフィを受け取った『1976』のマヌエラ・マルテッリ監督
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私の作品を上映する機会を与えてくださった東京国際映画祭の皆さまに心から感謝しています。そしてまた、この素晴らしい日本という国、素晴らし日本の皆さまに心から感謝しています。実は10歳の時にこの主演のアリンさんにインタビューする機会があったんです。それで今、彼女がこの作品で賞を獲ったことにとても感激しています。

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プレゼンテーター シム・ウンギョン

審査員特別賞『第三次世界大戦』(イラン)
ホウマン・セイエディ監督 代理:出演女優マーサ・ヘジャーズィさん

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マーサ・ヘジャーズィさん:残念ながら監督がこの場に来られなかったので、代わりにメッセージを読ませていただきます。日本のために、そして私の幻想のために。この世界は山であり、私たちの行動は呼びかけである。呼びかけは声として入ってくる、声には呼吸がないが、声は聞くことができる。私の声はあなたの元に届くでしょう。私は今、この瞬間みなさんと一緒にいることができません。それは私が望まなかったからではなく、そうせざる得なかったからです。けれど私の声はそこにあります。あなた方と一緒にいられなかったこと、あなた方の文化や伝統に触れられなかったことが、とても悲しいです。しかし私は何年も前からみなさんの声を聞いているのです。俳句を読む度に、村上春樹やカズオ・イシグロの本を開く度に、黒澤映画をみる度に。私は皆さんのことをよく知っています。そしてもうすぐ皆さんに会いに飛んでいきます。世界平和を願い、日本のみなさんに会えることを願い、私たちを受け入れてくれたことに深く感謝の気持ちをお送りします。”

最優秀監督賞 ロドリゴ・ソロゴイェン監督
『ザ・ビースト』(スペイン/フランス)

コンペティション部門東京 グランプリ/東京都知事賞
『ザ・ビースト』


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ロドリゴ・ソロゴイェン監督:最優秀監督賞と、東京グランプリ/東京都知事賞の2つの賞をいただき本当に嬉しいです。心より光栄に思います。授賞式に参加できないのは残念ですが、『ザ・ビースト』や映画祭、そして素晴らしい東京という街を楽しんでいただければと思います。どうか皆様、良い夜を。

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左から小池百合子東京都知事、ロドリゴ・ソロゴイェン監督に代わって登壇したアルベルト・カレロ・ルゴ ラテン・ビート映画祭プログラミングディレクター、ジュリー・テイモア審査員長。

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スペシャルプレゼンター小池百合子東京都知事:今年のコンペティション部門は107の国と地域から、1695本の応募がありました。毎年数多くの新しい才能がここ東京から世界へ羽ばたいていることを大変うれしく思います。映画には人々の心を繋げる大きな力があります。この映画祭を通じて相手の個性や考えを尊重し一人ひとりの夢、希望が育まれることを期待しています。

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ジュリー・テイモ審査委員長:『ザ・ビースト』は音楽、撮影、物語、脚本、役者、そして演出も本当にすべてに感動したし、心を動かされるこれこそまさに「映画」だと感じさせてくれる作品でした。最後まで競っていた『第三次世界大戦』は本当にワイルドで、『パラサイト半地下の家族』や『ゲット・アウト』やチャップリンの『独裁者』のような映画で、本当にショックを受けましたし驚かされました。イランでホロコーストの映画が撮影されていて、現場の作業員が無理やり収容所のエキストラにさせられていたり、主人公の男性が困難な状況にある中でヒトラーにさせられたり非常に珍しい映画。ぜひ2本とも配給されてほしいと願っています。私たちは馴染のあるものに慣れてしまっている傾向があるけど、それは問題だと思います。そうではなく自分ではない他の人の人生を経験し歩むことで自分を豊かにしてくれるのが映画だと思います。

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安藤裕康映画祭チェアマン:映画祭の来場者が昨年の倍以上になったことを来場者に報告。いろいろな場所でイベントを実施し、映画祭としての存在感、華やかさを表すことができたのではないかと思います。今、日本は国力が弱くなっているのではないかとか、自信をなくしていると言われたりしますが、私は芸術文化に関する限り、まだまだ日本は世界で勝負できると思っております。東京国際映画祭は、映画を通じて世界との架け橋になりたい。これからも飛躍していきたいと締めくくった。

第 35 回東京国際映画祭
開催期間:2022 年 10 月 24 日(月)~11 月 2 日(水)
会場:日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区
公式サイト:www.tiff-jp.net

第35回東京国際映画祭 動員数 <速報値・2日は見込み動員数>
■上映動員数/上映作品本数:59,414人/169本*10日間
(第34回:29,414人/126本*10日間)
■上映本作品における女性監督の比率(男女共同監督作品含む):14.8% (169本中25本)
■その他リアルイベント動員数:50,842人
■ゲスト登壇イベント本数:157件 (昨年:65件、241.5%増)
■海外ゲスト数:104人 (昨年:8人、1300%増)
■共催提携企画動員数:約20,000人

クロージング作品 『生きる LIVING』

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スティーヴン・ウーリープロデューサー

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脚本のカズオ・イシグロとオリヴァー・ハーマナス監督

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主演のビル・ナイ

黒澤明の不朽の名作『生きる』が第二次世界大戦後のイギリスを舞台に蘇る。主演はビル・ナイ。脚本はノーベル賞作家のカズオ・イシグロ。監督はオリヴァー・ハーマナス
103分カラー英語日本語字幕2022年イギリス東宝株式会社

まとめ・写真 宮崎暁美

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