イスラーム映画祭7 (2022年2月開催)上映作品が発表されました (咲)
2月から延期されていました【イスラーム映画祭6】のユーロスペースでの延長分が、【イスラーム映画祭6エクステンデッド】として、11月6日(土)~11日(木)に開催されたばかりですが、来年2月に開催する【イスラーム映画祭7】の上映作品が早々に発表されました。
イスラーム映画祭 主宰の藤本高之さんの思いの籠ったラインナップです。
どうぞご期待してお待ちください。
【イスラーム映画祭7】
【東 京】
会期 : 2022年2月19日(土) - 2月25日(金)
会場 : 渋谷ユーロスペース( http://www.eurospace.co.jp/ )
【名古屋】
会期 : 2022年3月3月19日(土)~25日(金)
会場 : 名古屋シネマテーク( http://cineaste.jp/ )
【神 戸】
会期 : 2022年4月30日(土) - 5月6日(金)
会場 : 神戸・元町映画館( http://www.motoei.com/ )
主催 : イスラーム映画祭
公式サイト:http://islamicff.com/
Twitter : http://twitter.com/islamicff
Facebook : http://www.facebook.com/islamicff
イスラーム映画祭7 東京篇ゲスト情報
http://cineja3filmfestival.seesaa.net/article/485232744.html
◆上映作品◆
①『ある歌い女(うたいめ)の思い出』 ★オープニング作品
原題:Samt El Qusur 英題:The Silences of the Palace
監督:ムフィーダ・トゥラートリ / Moufida Tlatli
1994年/チュニジア=フランス/アラビア語、フランス語/129分
字幕:日本語
配給:エスパース・サロウ
予告篇(本篇の一部)
https://youtu.be/2Vmtb6B6nTs
1994年に製作され世界各国で賞賛を浴び、日本では2001年に劇場公開されたチュニジア映画『ある歌い女(うたいめ)の思い出』を21年ぶりにリバイバル上映。劇場公開当時の35mmフィルムで上映します。
本作のムフィーダ・トゥラートリ監督は今年2月、新型コロナウイルス感染症により73歳でこの世を去りました。
チュニジアは、1956年にフランスから独立。
王制廃止前夜の王宮で過ごした在りし日を回想する母と娘の葛藤を美しい映像と多彩なアラブ音楽で描いたトゥラートリ監督は、アラブ映画における女性監督のパイオニア的存在となりました。
②『ヌーラは光を追う』★日本初公開
原題:Noura Rêve英題:Noura's Dream
監督:ヒンド・ブージャマア / Hinde Boujemaa
2019年/チュニジア=ベルギー=フランス=カタール=オランダ/アラビア語/93分
字幕:日本語
予告篇
https://youtu.be/vJcsiBuwKlE
『ある歌い女の思い出』でデビューしたアラブ映画を代表する俳優ヒンド・サブリー主演作。2013年の山形国際ドキュメンタリー映画祭でデビュー作『良いはずだった明日』が紹介された、ヒンド・ブージャマア監督初の劇映画です。
ヌーラは夫が刑務所に収監されている間に密かに愛し合う恋人と離婚の手続きを進めますが、離婚が成立する直前に夫が突然、大統領恩赦で釈放され窮地に…。
イスラームが国教のチュニジアでは独立後に一夫多妻を国家法で禁じた一方、男女の不義の関係には厳しく5年の懲役刑が課せられます。彼女の運命は…。
③『時の終わりまで』★日本初公開
原題:Ila Akher Ezaman 英題:Until the End of Time
監督:ヤスミーン・シューイフ / Yasmine Chouikh
2018年/アルジェリア=UAE/アラビア語/94分
字幕:日本語、英語
予告篇
https://www.youtube.com/watch?v=inbUUG5irrE
イスラーム映画祭6で紹介した『ラシーダ』のヤミーナ・バシール=シューイフ監督の息女、ヤスミーン・シューイフ監督のデビュー作。
聖廟参詣のお祭りが行われる墓地を舞台にしたドラマです。墓地で遺体の“お浄め”を生業とする男性と姉を亡くして人生に絶望した女性を中心に、イスラームにおいて重要な“死”に対する考え方が時代とともに変容している状況を、仄かなユーモアを交えつつシニカルに描いています。元々は編集者であるバシール=シューイフ監督が娘のデビュー作でも編集を担当しました。
④『ソフィアの願い』★日本初公開
原題:Sofia 英題:Sofia
監督:マルヤム・ビンムバーラク / Meryem Benm'Barek
2018年/フランス=カタール=ベルギー=モロッコ/アラビア語、フランス語/85分
字幕:日本語、英語
予告篇
https://youtu.be/BBdWdhyg0RE
マルヤム・ビンムバーラク監督の初長篇作品。
婚前交渉や中絶が違法のモロッコ。 本作は婚外子を生む20歳の女性ソフィアの物語で、2021夏に公開された『モロッコ、彼女たちの朝』
のルブナ・アザバルも出演しています。
ある日、破水したソフィアは従姉のレナに連れられ病院で出産しますが、父親の身分証明書が提出できなければ病院に通報されてしまいます…。
人権よりも家族の名誉が重んじられる社会―。
根深い家父長制のみならず、金やコネが物を言うモロッコの格差社会や、それを生み出す政治の歪みにも目を向けた作品です。
⑤『泣けない男たち』★日本初公開
原題:Muškarci ne plaču 英題:Men Don't Cry
監督:アレン・ドルリェヴィチ / Alen Drljevic
2017年/ボスニア=ヘルツェゴビナ=スロベニア=クロアチア=ドイツ/ボスニア語/99分
字幕:日本語、英語
予告篇
https://www.youtube.com/watch?v=3dgSSQGJSe4
ボスニア映画を初めて取り上げます。
先頃公開された今年必見の1本、『アイダよ、何処へ?』のヤスミラ・ジュバニッチ監督がプロデュースし、彼女の諸作で助監督等を務めてきた新鋭アレン・ドルリェヴィチ監督の長篇デビュー作。
ボスニア内戦で心や身体に傷を負った、セルビア人、クロアチア人、そしてボシュニャク人(ボスニアムスリム)それぞれの男性たちが人里離れたホテルでセラピーを受けるところから映画は始まります…。
セラピーを題材とする事により、戦争が人間に与える深刻な影響や、どの民族も被害者でありまた加害者でもあったボスニア内戦の構図を巧く表現している作品です。
⑥『天国と大地の間で』★日本初公開
原題:Between Heaven and Earth 英題:Between Heaven and Earth
監督:ナジュワー・ナッジャール / Najwa Najjal
2019年/ルクセンブルク=パレスチナ=アイスランド/アラビア語、ヘブライ語、フランス語、英語/92分
字幕:日本語、英語
予告篇
https://youtu.be/ku9y-Y9xUZs
ドキュメンタリーとフィクションの双方で実績を持つパレスチナ人監督、ナジュワー・ナッジャール監督の長篇第3作。
5年の結婚生活を経て別れようとしているパレスチナ人夫婦の物語です。
ヨルダン川西岸に住む2人は離婚のためイスラエルの裁判所に出向きますが、夫の父親の過去に不明な点があった事から受理されずそれを知るため束の間の旅に出ます…。
2人の道行きがやがて“パレスチナ”をめぐる旅となり、彼の地の問題が宗教や民族を起因とするものではない事が浮き彫りになるロードムービーです。
⑦『アジムの母、ロナ』★日本初公開
原題:Rona, Madar-e Azim 英題:Rona, Azim's Mother
監督:ジャムシド・マームディ / Jamshid Mahmoudi
2018年/アフガニスタン=イラン/ペルシャ語、ダリ語/89分
字幕:日本語、英語
予告篇
https://youtu.be/wW7ptD1gB8Q
アフガニスタン=イラン合作映画。
ジャムシド・マームディ監督は実際にイランのアフガニスタン難民という背景を持ち、日本でも過去に長篇デビュー作『数立方メートルの愛』が上映されています。
(シネマジャーナル 93号 2015年春発行に監督インタビュー掲載しています。)
“難民”という存在は国を追われて逃げるところばかりが注目されがちですが、彼らが本当に大変なのは第三国に住み着いたあと…。
本作はある難民一家を通じ、家族とくに母への愛とイランにおけるアフガン難民の境遇をリアルかつ丹精に描いています。
『東京クルド』になぞらえるなら“テヘラン・アフガン”でしょうか。
⑧『子供の情景』
原題:Le Cahier 英題:Buddha Collapsed out of Shame
監督:ハナ・マフマルバフ / Hana Makhmalbaf
2007年/イラン=フランス/ダリ語/81分
字幕:日本語
配給:ムヴィオラ
予告篇
https://youtu.be/1DtzYPt-cUo
2009年に岩波ホールを皮切りに全国公開された、イラン映画の巨匠モフセン・マフマルバフ監督の次女ハナ・マフマルバフ監督18歳の時のデビュー作。
『子供の情景』ハナ・マフマルバフ監督来日レポート (2009年3月)
http://www.cinemajournal.net/special/2009/kodomo/index.html
映画は、2001年の3月にタリバンがバーミヤンの巨大石仏遺跡を破壊した時の映像から始まります。
主人公は「学校に行きたい」と願う6歳の女の子バクタイ。彼女はわずかな金を手に入れ
新しいノートを買うのですが…。
国も時代も関係なく戦争の犠牲になるのは常に女性や子どもたちである事に怒りを漲らせながら、タリバンや国際社会だけでなくイランのイスラーム体制をも暗に批判した周到な作品です。
⑨『ジハード・フォー・ラブ』
原題:A Jihad for Love
監督:パーヴェズ・シャルマ / Parvez Sharma
2007年/米=英=仏=独=豪州/アラビア語、トルコ語、英語、ペルシャ語、ウルドゥー語、パンジャービー語、ヒンディー語、フランス語/81分
字幕:日本語、英語
予告篇
https://youtu.be/78jUBRio3So
インド出身のムスリムで、ゲイでもあるパーヴェズ・シャルマ監督が、信仰とセクシュアリティの間で葛藤するムスリムたちの声を集めたドキュメンタリー映画。
本作は過去に『愛のジハード』の邦題で公開されています。
2001年のアメリカ同時多発テロ事件後に本作を作る必要性を強く感じたというシャルマ監督は、6年がかりで世界各地の同胞たちを取材しました。(劇中で話される言語は9つ)
神の存在を意識しながら他者に理解されない葛藤を抱き続ける(しかしそれこそが“ジハード”では)彼らの姿を監督のカメラは真摯に捉えています。
【イスラーム映画祭7アンコール5作品】
●『二つのロザリオ』★名古屋・神戸初公開
監督:マフムト・ファズル・ジョシュクン
2009年/トルコ/87分
東西の文化が交差するイスタンブルを舞台に、“ムアッズィン(礼拝の呼びかけ役)”の青年が隣人のカトリック女性に恋をするお話です。
予告篇
https://youtu.be/L2LfGipDpHQ
●『ラシーダ』★東京のみ
2002年/アルジェリア=フランス/94分
監督:ヤミーナ・バシール=シューイフ
母と娘を主人公に、凄惨を極めた1990年代のアルジェリア内戦を題材にした庶民たちのドラマです。
予告篇
https://www.allocine.fr/.../player_gen_cmedia=18674948
●『ミナは歩いてゆく』
監督:ユセフ・バラキ
2015年/アフガニスタン=カナダ/110分
麻薬中毒の父親と病気の祖父を養うため学校に通いながらカーブルの路上で物売りをする12歳の少女の物語です。
予告篇
https://youtu.be/QH0j5JzQnfg
●『花嫁と角砂糖』
監督:レザ・ミルキャリミ
2011年/イラン/114分
大いなる死生観のもとに生きる、婚礼の祝いに集まった人々の悲喜こもごもを描く何度観ても色褪せない珠玉の名作です。
予告篇
https://www.dailymotion.com/video/xtvt6y
●『青い空、碧の海、真っ赤な大地』
監督:サミール・ターヒル
2013年/インド/137分
多宗教、多言語、多民族のインドが実感できる青春ロードムービーです。
予告篇
https://youtu.be/kAwW1-C1yFs
安宅直子さんトーク《多宗教、他民族、多言語を体感するインドの旅》
http://cineja3filmfestival.seesaa.net/article/480493464.html
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