『ドイツ映画祭 HORIZONTE 2021』移民、難民、LGBTQ・世界のいまを知る映画祭 開会式トーク

『未来は私たちのもの』主演ベンヤミン・ラジャイブプルオンライン登壇

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左から月永理絵さん(司会)、クレーメンス・フォン・ゲッツェ駐日ドイツ連邦共和国大使、濱口竜介監督、ゲーテ・インスティトゥート東京のペーター・アンダース所長とウルリケ・クラウトハイムさん
オンライン:ベンヤミン・ラジャイブプルさん

ドイツ映画祭 HORIZONTE 2021 HORIZONTE 2021- FESTIVAL DES DEUTSCHEN FILMS
日程:11月18日(木)~21日(日)
会場:ユーロライブ 東京都渋谷区円山町1-5 KINOHAUS 2F
主催:ゲーテ・インスティトゥート東京
共催:German Films、協力:東北新社 STAR CHANNEL MOVIES

『ドイツ映画祭HORIZONTE 2021』の開会式のトークイベントが11月18日、渋谷のユーロライブで行われました。映画祭は、11月21日まで続きますので、興味ある方はぜひご参加ください。
*「ドイツ映画祭 HORIZONTE 2021」上映作品・日程

開会式は、クレーメンス・フォン・ゲッツェ駐日ドイツ連邦共和国大使によるご挨拶でスタート。トーク登壇者は、ベルリン国際映画祭で認められた注目の映画人、今年の同映画祭銀熊賞を受賞した濱口竜介監督が登壇、さらにオンラインでベルリンより、オープニング上映作品『未来は私たちのもの』主演のベンヤミン・ラジャイブプルクロストークの予定でしたが、『 マリアム エヴィーン刑務所に生まれて』のマリアム・ザレー監督 が登壇できず、2名でのトークになりました。マリアム・ザレー監督のオンライン登壇予定は、次回上映時の予定。
今を生き、これからの映画界で活躍が期待される若き才能がつながり、映画で語っていくことは何か、興味深いお話が展開されました。

クレーメンス・フォン・ゲッツェ駐日ドイツ連邦共和国大使
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今回は移民に焦点をあてています。ドイツのいまの社会の現実を深く知るきっかけになればと思います

濱口竜介監督
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2021年ベルリン国際映画祭コンペティション部門で、新作映画『偶然と想像』が銀熊賞(審査員グランプリ賞)を受賞。続く第74回カンヌ国際映画祭では『ドライブ・マイ・カー』がコンペティション部門に出品され、日本映画としては初となる脚本賞ほか4つの賞を受賞しました。ベルリン映画祭3月にオンライン上映。
6月に授賞式でベルリンへ行きました。野外上映で素晴らしかったです。陽の暮れる頃で、街の音と混ざり合い、偶然の音と混じりあい、映画にとても好ましかった。観客も温かく、忘れがたい上映となりました。『未来は私たちのもの』は生々しい、ドキュメンタリー映画のようだった。ベンヤミンさんのキャラクターへの理解は素晴らしい。

『未来は私たちのもの』主演のベンヤミン・ラジャイブプルさん
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大学で演劇を学び、映画のほかドイツ国内の舞台で活躍し、世界が注目する日本の演出家であるチェルフィッチュ主宰・岡田利規作・演出『No Sex』にも出演しています。『未来は私たちのもの』では数々の賞も受賞している実力派若手俳優。ラジャイブプルさんは、濱口監督の「シャリアット監督とどのようにコミュニケーションを撮ったのか?」という質問を受け「彼自身のキャラクターを忠実にではなく、私自身や集団的なアイデンティティ、移民をめぐること、クイアネスなど、複数のテーマを、第三の人物に投影しました。ドイツ映画界の新たなヒーローを生んでやろう!と思いました。

濱口監督「シンプルにキャラクターが生き生きしている。3人の関係は真に迫って、普遍的な青春映画になっている。複雑な社会的背景もひも解いている。フィルムで撮影したのですか?」

ラジャイブプルさん「最大限の誉め言葉です!残念ながらデジタルですが。助成金にも苦労し、DIY的に作りました。映画としての美学が伝わり嬉しいです」

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濱口監督「映画的な文法にそわない、映画言語でした。撮影現場は自由な雰囲気でしたか?」

ラジャイブプル「即興はなく。綿密に計画されていました。自由な空気を表わそうと、既存のストーリーテリングで作らない、映画の美学として新しい美学が作られました。ミュージックビデオがストーリーを支えていました」

ゲストプロフィール

◆濱口竜介監督

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東京大学文学部卒業後、映画の助監督やTV番組のADを経て、東京藝術大学大学院映像研究科に入学。在学中は黒沢清監督らに師事し、2008年の修了制作『PASSION』がサン・セバスチャン国際映画祭や東京フィルメックスで高い評価を得る。酒井耕監督と共同制作した『東北記録映画3部作』と呼ばれるドキュメンタリー群(11~13)や、4時間を超える長編『親密さ』(12)などでメガホンをとる。15年に発表した監督・脚本作『ハッピーアワー』では、ロカルノ国際映画祭やナント国際映画祭など、数々の国際映画祭で主要な賞を受賞した。商業映画デビュー作品『寝ても覚めても』(18)が、カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に選出される。2020年のベネチア国際映画祭で銀獅子賞(監督賞)を獲得した黒沢清監督の『スパイの妻』でも、野原位とともに脚本を手がけている。2021年ベルリン国際映画祭コンペティション部門で、新作映画「偶然と想像」が銀熊賞(審査員グランプリ賞)を受賞。続く第74回カンヌ国際映画祭では『ドライブ・マイ・カー』がコンペティション部門に出品され、日本映画としては初となる脚本賞ほか4つの賞を受賞した。

◆ベンヤミン・ラジャイブプル 『未来は私たちのもの』主演

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1990年ドイツ・テュービンゲン生まれ。2013年ベルリン芸術大学で演劇を学び始め、在学中からベルリンのドイツ座やフォルクスビューネ劇場、ポツダムやリューベックの劇場の舞台に立ち、映画にも出演。2017年卒業後すぐにミュンヘン・カンマーシュピーレ劇場の専属俳優に抜擢され、岡田利規作・演出『No Sex』にも出演した。2019年演劇専門誌『テアター・ホイテ』で新人賞を獲得。『未来は私たちのもの 』(ファラズ・シャリアット監督、2019)では主役を演じ、他の2名の出演俳優とともにファースト・ステップス賞のうちのゲッツ・ゲオルゲ奨励賞を受賞した。ドイツ俳優賞の新人部門にもノミネートされた。2020年には映画『ODYSSEE』(Nikolas Darnstädt監督)やウエブシリーズ 『DRUCK』 (監督:Luzie Loose, ファラズ・シャリアット, Sophie Linnenbaum)にも出演。

『ドイツ映画祭 HORIZONTE 2021』
ベルリン国際映画祭での受賞作で日本未公開作品を中心に6本の劇映画と1本のドキュメンタリー映画をラインナップ。移民の背景を持つ若い世代の監督による5作品は多様で切実なテーマが生き生きとそして、アーティスティックに描かれ、ここでしか観ることができないラインナップ。コロナ禍で延期していたが、渋谷のユーロライブにて、11月18日(木)~21日(日)開催。

<概要>
オープニングを飾るのが1994年生まれのイラン系ドイツ人のファラズ・シャリアット監督による自伝的デビュー作『未来は私たちのもの』。ドイツにおける移民系の青年の成長とLGBTQカルチャーを繊細かつポップに描きベルリン国際映画祭テディ賞受賞作。監督が日本のアニメファンであり、アニメへの愛が随所に見られ、楽しめます。その他、ドイツ在住のイラン人モハマッド・ラスロフ監督による問題作、ベルリン国際映画祭金熊賞受賞作『悪は存在せず』。政治犯が収容されるイランの刑務所で生まれ、その後ドイツに渡った女優、作家のマリアム・ザレーが初めてカメラを通じて自身の誕生の場所に迫るドキュメンタリー映画『マリアム エヴィーン刑務所に生まれて』。ドイツにおけるイスラム教徒のコミュニティの現実を描くメフメト・アキフ・ビュユックアタライ監督(トルコ系ドイツ人)『オライの決断』、A.デブリーンの小説を原作とするファスビンダー監督によるテレビ映画を、アフガニスタン系ドイツ人のブルハン・クルバニ監督が移民による現代版にリブートした3時間を超える長編大作『ベルリン・アレクサンダープラッツ』。
主演のヘレナ・ツェンゲルが11歳でドイツ映画賞歴代最年少の女優賞を獲得したベルリン国際映画祭2020銀熊賞『システム・クラッシャー 家に帰りたい』(新鋭ノラ・フィングシャイト監督)、ファスビンダーを名匠オスカー・レーラー監督が描いた『異端児ファスビンダー』。

<上映作品 >
・未来は私たちのもの Futur Drei(監督:ファラズ・シャリアット) オープニング上映作品
・システム・クラッシャー 家に帰りたい Systemsprenger(監督:ノラ・フィングシャイット)
・悪は存在せず There Is No Evil(監督:モハマッド・ラスロフ)
・ベルリン・アレクサンダープラッツ Berlin Alexanderplatz (監督:ブルハン・クルバニ)
・マリアム エヴィーン刑務所に生まれて Born in Evin(監督:マリアム・ザレー)
・異端児ファスビンダー Enfant Terrible(監督:オスカー・レーラー)
・オライの決断 Oray(監督:メフメト・アキフ・ビュユックアタライ)

公式HP https://www.goethe.de/doitsueigasai2021

テキスト提供 ドイツ映画祭 HORIZONTE 2021
写真・まとめ 宮崎暁美

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