SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2021 『シネマ・オブ・スリープ』

国際コンペティション  審査員特別賞
シネマ・オブ・スリープ Cinema of Sleep

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©Inferno Pictures


監督:ジェフリー・セント・ジュールズ
出演:デイヨ・エイド、ゲテネシュ・ベルへ、ジョナス・チャーニック、オルニケ・アデリイ、デイヴィッド・ローレンス・ブラウン、リック・ドブラン、ジョン・B・ロウ
2021年 / カナダ / 105分
https://www.skipcity-dcf.jp/films/intl02.html

*物語*
誰かを殺してしまったアンソニー。実は、映画館にいて、アンソニーはスクリーンに映る自分自身のモーテルでの出来事を観ていたのだった。周りの観客は、皆、寝ている。
アンソニーは難民申請中で、ナイジェリアに暮らす家族をアメリカに呼び寄せようとしている。ある晩、泊まっているモーテルの部屋に、「追われてるの」と下着姿で女性が助けを求めて飛び込んでくる。自分のシャツを貸し、サンドイッチを買ってきて一緒に食べる。
アンソニーは、ナイジェリアでは図書館の司書をしていて、アメリカの昔の映画が好きで、映画史の教授になりたいと語る。アブリヘッドと名乗る女性はエリトリアの出身で、エリトリアの映画は戦争ばかり、ナイジェリア映画がロマンチックで現実から逃避できて好きと語る。
妻を探していると、男がチラシを置いていく。今、部屋にいる彼女の写真だ。隣室のフランクが飲みに誘いに来たり、刑事が来たりするたびにアブリヘッドを隠す・・・

『チャップリンの移民』の移民船に乗っている人たちが自由の女神が見えてどよめく場面、『カサブランカ』は難民を描いた傑作だと語るアンソニー、『マルタの鷹』のサム・スペードに憧れて育ったと語る刑事など、クラシック映画が語られ、映画愛に溢れた本作。どこまでが現実で、何が夢なのか、くらくら。最後に明かされる現実に、あっと驚かされました。
危険をおかしてまで新天地を求めて故国を出なければならない人たちが、今もあとを絶ちません。やむを得ず難民となった人たちが安住の地を見つけられることを祈るばかりです。



◆ジェフリー・セント・ジュールズ監督インタビューより
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公式サイト動画はこちら

脚本について
夢の中にいて愛する人のところに戻りたいけれど、はばまれてパニックになるという初稿を書いて、しばらくして、異文化の世界の人たちをテーマに書き直しました。色々なことが腑に落ちて、収まりました。時間軸が行ったり来たりします。ネタバレしないで説明するのは難しいですね。

クラシック映画へのオマージュ
箱に入ったイメージを持たせたいと、画角はスタンダードサイズにしました。映画『カサブランカ』などと同じ画角です。テレビも同じ画角です。携帯を使っているので、現代の話。

観てきた映画が作る国のイメージ
モーテルの部屋が主な舞台ですが、外は闇。スタジオに作った部屋で、アメリカのどこなのか判断できない工夫をしました。刑事もありがちな制服。ハリウッド映画を観てきたアンソニーの記憶にあるアメリカです。一方、アブリヘッドはナイジェリア映画を観て育ちました。

役者の文化的背景を取り入れた
アンソニーを演じたデイヨ・エイドさんは、ナイジェリア系カナダ人で、名の知れた俳優です。アブリヘッド役は、象牙海岸出身で考えていました。プロデューサーの一人がエリトリア人で、ゲテネシュ・ベルへさんを紹介してくれて、オーディションしたらいいなと起用しました。エリトリア人の背景を生かすことにしました。
カナダのウィニペグで撮影したのですが、ウィニペグには西アフリカ系のコミュニティがあって、そこで子役を紹介してもらいました。

(景山咲子)

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