SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2021 『ルッツ』

国際コンペティション 最優秀作品賞
ルッツ 原題:Luzzu

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©Léo Lefèvre


監督:アレックス・カミレーリ
出演:ジェスマーク・シクルーナ、ミケーラ・ファルジア、デイヴィッド・シクルーナ
2021年 / マルタ / 94分
https://www.skipcity-dcf.jp/films/intl05.html

マルタの伝統的な木造漁船ルッツ。
漁師のジェスマークはある日、先祖代々受け継いだルッツが水漏れすることに気づき修理に出す。一方、生まれたばかりの息子は成長不全といわれ、お金がかかる。そんな折、禁漁中のメカジキを裏取引すれば大金を稼げることを知る。そのためには漁業停止の申し出をしてルッツを売り、冷凍庫付きのワゴン車を買う必要がある。ジェスマークは大きな決断を迫られる・・・

「船を失うと、道を失うぞ」と友人。修理を終え、綺麗になったルッツに、ジェスマークは息子の足跡を付け、久しぶりにルッツで大海原に出ます。可愛い目がついたルッツは、もう水漏れもしません。これで一件落着かと思いきや、思いもしない結末が待っていました。マルタの美しい風景を舞台に描かれる、ちょっぴり悲しく愛おしい物語。(咲)


◆アレックス・カミレーリ監督インタビューより
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公式サイト動画はこちら

ルッツは今?
古い伝統的な漁船ルッツは、家族の想い出として大事にしている人もいますが、実際に漁に使っている人は少ない。水に触れていないと太陽が強いので朽ちてしまいます。撮影に使ったルッツも残念ながら駄目になってしまいました。

主人公ジェスマーク役は、本物の漁師
マルタの漁村で主人公を演じられる人を2か月位探したのですが、皆50歳以上で若い人が少ないのです。明日はニューヨークに帰るという日にジェスマーク・シクルーナとデイヴィッド・シクルーナの二人を紹介されました。映画の中では友人ですが、実際は従兄弟です。メカジキを釣った場面をやってもらったら、演技を学んだ人以上に、漁師の姿をまさに見せてくれました。ニューヨークに帰る飛行機の中で、撮った映像を観ながら悦に入ってました。撮影に入ったら、漁師から演技者へと成長してくれました。
(*サンダンス映画祭ワールドシネマ・ドラマティック部門でジェスマークは俳優賞を受賞)

マルタの美しいところだけでなく闇の部分も描いていますが・・・
ジェスマークとデイヴィッドは実名で出ていますし、コミュニティも国も批判したくありませんでした。誇張はしていません。漁業の規制で救いがないような過酷な状況に置かれていて、闇はほんとはもっと大変なことになっています。


★授賞式での竹中直人審査員長の『ルッツ』評
素晴らしい作品ばかりでしたが、『ルッツ』がずしっと残っています。船が可愛かった! 俳優の芝居が見事。本物の漁師の方たちなのに芝居がすごい。主人公の顔つき、いやになっちゃう! 本物の役者に見える。映画評論家じゃないので、理屈っぽいことを言えない、あ、評論家が理屈っぽいわけじゃないです。 どこかハードボイルドのよう。あっけなく先祖代々大事にしていた船を手放した主人公の思いが、変にネチッこくなくてクール。監督の眼差しがたまらなかった。最高の映画でした。
総評の時には、審査なんて僕には向いてないなと、お茶目に手を振る竹中直人さんでした。

(景山咲子)

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