SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2021  『野鳥観察員』

国際コンペティション
『野鳥観察員』 英題:The Warden  原題: De Vogelwachter

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©Mark de Blok

監督:テレース・アナ
出演:フリーク・デ・ヨング、ソフィー・ヴァン・ウィンデン、クィア・シルー、ニック・ゴルターマン、ヴァウター・ヤンセン
2020年 / オランダ / 89分
https://www.skipcity-dcf.jp/films/intl10.html

*物語*
ベンティ島の浜辺にぽつんと建つ掘立小屋。ここで45年にわたり野鳥観察員をしている老人。衛星通信が壊れ、無線機で鳥の数を報告する。最後にサッカーの試合結果を聞くのが楽しみだ。1週間後、いつものように鳥類調査センターを呼び出すと、担当のトムではなく女性が出る。トムは部長に昇進したという。一方、理事会からの通達として、ベンティ島の観察所は3か月後に閉鎖するので、建物は解体して引き揚げるように言われる・・・

人生のすべてだった野鳥の観察所を、突然閉鎖すると言われた老人。
会社が傾いて、希望退職を迫られた時の私自身の気持ちを思い出しました。この先どうしたらいいのだろうと呆然となりながらも、なんとかしなければならない・・・ さて、この観察員の老人はどうするのかとハラハラ。さらに大型ハリケーンにも襲われます。
観ている私の心配をよそに、大自然の中で繰り広げられる老人の営みは、とても素敵なものでした。(咲)


◆テレース・アナ監督インタビューより
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公式サイト動画はこちら
本作はコロナの前に作ったのですが、コロナで世界中が孤独な生活がどういうものかを体験しました。主人公が孤独を楽しんでいるというのが、大事な要素です。なぜ、ひとりぼっちなのにこんなにハッピーなのか?  主人公は島の自然と一体化して、島が大好きなのです。

本作を作るきっかけは? 
5年前に南米を旅したのですが、骨の折れる旅で、これまでインド、日本、アフリカなどを旅してきたのですが、初めて国に帰りたいと思いました。それで、次の映画は地元で作ろうと決めました。私はオランダ北部にある島に住んでいるのですが、家から自転車で行ける浜辺で撮影しました。
映画は資金集めも大変です。今回はお金をあまり使わなくてもいいようにシンプルに登場人物も少なくしました。鳥も砂もそこにあるものでリアルな環境です。

観察員の老人にフリーク・デ・ヨングさんを起用したのは?
オランダではよく知られたコメディアンです。私自身が重ためな性格なので、軽やかさを出したいと思いました。コメディアンのセンスがDNAレベルで染み込んだヨングさんを思いながら脚本を書きました。けれども、役者ではないので、演出が難しかったです。2年かけてキャラクターについて話し合いました。少しずつ役に成りきっていく長いプロセスでした。撮影開始前日に衣装を着てもらったら、すっとフィットしました。ヨングさんは個性の強い方なのですが、撮影中はずっと役に入ってくれました。

墓標のイシュマエルは?
孤独な観察員に話し相手がいるということが大事です。イシュマエルが誰なのかは観る人それぞれの解釈でいいと思って説明していません。前任者かもしれません。「白鯨」の語り手がイシュマエルなので、海の物語へのオマージュともいえます。
実は、ヨングさんは45年前に私の住む島でお子さんを亡くしています。イシュマエルという名前ではないのですが、墓標で役作り出来ればという思いもありました。

(景山咲子)



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