SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2021『この雨は止まない』

国際コンペティション
『この雨は止まない』This Rain Will Never Stop

konoame.jpg
©Square Eyes Film

監督 : アリーナ・ゴルロヴァ
2020年 / ウクライナ、ラトビア、ドイツ、カタール / 102分
https://www.skipcity-dcf.jp/films/intl09.html

*物語*
シリア内戦で、スレイマン一家はヨーロッパ各地やイラクなどに逃れ、散り散りになってしまった。20歳になるアンドリー・スレイマンは、シリア生まれで、父はクルド人。ウクライナ人の母の親戚を頼ってウクライナに渡ってきたが、その地でも紛争が起こり、赤十字でボランティアをしている。イラクのクルディスタン地区にある難民キャンプに親戚を訪ねる。泣いてハグして歓迎してくれる懐かしい人たち。川のすぐ向こうのシリアに行きたいが、洪水で国境の橋は渡れないという・・・

ウクライナ生まれのアリーナ・ゴルロヴァ監督が、アンドリー・スレイマンと出会い、4年にわたって彼を追ったドキュメンタリー。

シリア内戦が勃発し、母の故郷ウクライナに逃れたアンドリーとその家族。父も子どもたちのために、後からウクライナにやってきましたが、子どもは言うことを聞いてくれないし、ここでは誰も一目を置いてくれないと嘆きます。
弟アンセリーの結婚式。花嫁も皆と手をつないで踊ります。
konoame nouruz.jpg
©Square Eyes Film
イラクの難民キャンプで迎えたクルドの新年ネウロズ(春分の日)も、火を焚いて皆で手をつないで踊ります。以前は、川をはさんで、イラク側とシリア側にぞれぞれクルド人が集まって、お互いに大声で叫びあっていたと聞かされるアンドリー。シリアへの思いが募ります。
シリアに戻って人々を助けたいというアンドリーに、どこに戻る?と父。すでに故郷は荒れ地・・・ その父は死して故郷に戻ります。埋葬場面に涙。
映画は、アラビア文字のゼロ(٠)の章から始まり、1~9(١٢٣٤٥٦٧٨٩)そして、またゼロ(٠)で終わる構成。まるでドラマのようなドキュメンタリー。モノクロームで描かれた映像は、戦争に翻弄された人々の思いをずっしりと伝えてくれました。


◆アリーナ・ゴルロヴァ監督インタビューより
I_Rain_D.jpg
公式サイト動画はこちら

製作の経緯は?
アンドリーと出会い、最初はウクライナ東部を舞台に撮る構想でしたが、シリアにルーツのある人で、4年にわたって撮影しているうちに、当初予定になかった国でも撮ることになりました。まるで地球を上から俯瞰するように。

アラビア数字٠١٢٣٤٥٦٧٨٩٠という11章のアイディアはどこから?
ゼロ(٠)は決まっていました。戦争、故郷など各章に小見出し付けようと思っていたのですが、何か違うと。細切れのメタファーを描いているつもりも、統一したものも考えていませんでした。数字として並べて、ゼロから始めてゼロで終わると循環していることを表せると思いました。

(景山咲子)


この記事へのコメント