TBSドキュメンタリー映画祭 『ムクウェゲ「女性にとって世界最悪の場所」で闘う医師』

ムクウェゲ「女性にとって世界最悪の場所」で闘う医師.jpg

© TBSテレビ

監督:立山芽以子
撮影:寺尾文人 音声:長谷部全伸 吉良絵里菜 
編集:大生哲司 

2018年、ノーベル平和賞を受賞した医師デニ・ムクウェゲ。
1955年、アフリカ中部、コンゴ民主共和国(旧ザイール)東部地区ブカヴで生まれ、牧師の父が人々のために祈る姿を見て、8歳の時、自分は医師として人を助けると決意。出産で命を落とす女性が多く、婦人科医になるが、最初の患者はレイプされた女性だった。
ムクウェゲ医師が湖の畔の町ブカブに1999年に設立したパンジ病院には、年間2500人~3000人がレイプされ運び込まれてくる。これほどまでにレイプが横行しているのには、ある理由があった・・・ 

「女性にとって世界最悪の場所」と呼ばれるコンゴ東部地区。
1994年の隣国ルワンダでの大量虐殺を機に、コンゴに難民と共に虐殺の首謀者たちが逃げ込み、100もの武装勢力の乱立する無法地帯となりました。これまでに40万人以上の女性たちがレイプされていて、それも、生後6か月の赤ちゃんから、90歳を越える女性まで。武装勢力がレイプするのは、欲望を満たすためではなく、恐怖を植え付け支配するため。この地域では、スズ、金、レアメタル等の天然資源が豊富で、それを奪うのが目的なのです。コンゴは、窓もドアも警備員もいない宝石店のようなもの。埋蔵量は世界一なのに、世界一の輸出国ではないのです。豊富な資源があるのに、住民は貧困の中で暮らしています。
レアメタルは、スマホやPCの原料。ムクウェゲ医師は、コンゴの女性たちの犠牲によって採掘された原料のスマホを使っているかもしれないことを思えば、決して遠い国の問題でないと、国際社会の無関心を嘆きます。
2019年9月に来日したムクウェゲ医師。滞在中に広島を訪れ、核兵器は廃絶されるべきと強調しました。実は、広島に落とされた原子爆弾にはコンゴで採掘されたウランが使われているのだそうです。
暗殺未遂に遭い、一度は国を離れたムクウェゲ医師ですが、今も、国連軍に見守られながらパンジ病院の敷地内で暮らし、女性たちの治療だけでなく自立のための手助けもしています。
2018年のノーベル平和賞授賞式の時に、イラクのヤズィーディー教徒の女性でイスラム国の性奴隷を強いられたナディア・ムラドさんの隣に立っていたムクウェゲ医師のご功績をあらためて知ることのできる映画でした。(咲)


TBSドキュメンタリー映画祭での上映日程
2021年3月20日(土)18:00~
上映後トーク:立山芽以子監督、華井和代(東京大学講師)、米川正子(筑波学院大学准教授)

★オンライン配信のチケットは、こちらで!
https://eplus.jp/sf/detail/3386850002-P0030010

2021年/ステレオ/70分 © TBSテレビ
RITA-Congoのサイト:https://www.rita-congo.org/single-post/tbs-movie-0318
TBSドキュメンタリー映画祭公式サイト:http://www.tbs.co.jp/documentaryeigasai2021/


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