6月1日(土)、2日(日)
シネマ・ヌーヴェル、テアトル徳山Ⅰ(山口県周南市)
<上映作品>
『銃』『種まく旅人~夢のつぎ木~』『妻の愛、娘の時』『最も危険な遊戯』『オボの声』『チルソクの夏』
<ゲスト>
佐々部清監督(種まく旅人~夢のつぎ木~/チルソクの夏)
武正晴監督(銃)
齋藤孝監督(オボの声)
友人が周南「絆」映画祭のスタッフで、この映画祭のことは以前から知ってはいたのですが、今回、この映画祭に初めて行ってきました。
きっかけは終活。長年溜めていた「映画チラシ」を整理しようと思っていたけど、捨てるのももったいない。誰かもらってくれないかなと思っていたら、周南絆映画祭でフリマがあると聞き、このチラシをこちらで活用してくれたらと思い、友人に声をかけたら「送ってもらってもいい」とのことでした。
でもあまりにたくさんあり、とりあえず整理できた分だけでもと思ったら、なんと段ボール4箱くらいになってしまった。たまたま九州に車で帰る友人がいるので、その段ボールを乗せてもらい、一緒に届けに行くことにしたのでした。映画祭の1ヶ月くらい前に届けにいけたらいいかなと思っていたら、なんと東京出発が5月25日になってしまい、徳山に着いたのが27日夜。映画祭スタッフの方に映画チラシを渡して、そのまま九州へ行こうと思っていた。でも、映画祭のラインナップを見たら1日は観た事がない作品が3本あったので、この映画祭に参加しようと思ったのでした。でも映画祭まで3日もあったので、今まで行くチャンスがなかった秋吉台とか萩とかを観光し、その後、31日に徳山にもどり1、2日映画祭に参加しました。
徳山駅近くの商店街の中にある、映画館シネマ・ヌーヴェルとテアトル徳山Ⅰ(同じビルの中)で上映されていたけど、現在、この二つの映画館は閉館されていると聞いた。いろいろなイベントに使われているらしい。でも映画館の設備やたたずまいは残されていて、映画好きな人たちの思いが感じられる会場だった。
2019年6月1日(土)
『銃』武正晴監督
映画祭の初回上映である『妻の愛、娘の時』は、東京フィルメックス、試写、公開に向けた映画上映会など、すでに何回か観ているし、シルヴィア・チャン監督の来日レポートも書いているので今回は観ず、観損なっていた『銃』(武正晴監督)から。
『銃』(武正晴監督)は、東京国際映画祭で上映され、主演した村上虹郎が新人賞である東京ジェムストーン賞を受賞。武正晴監督が監督賞を受賞したけど、作品はとうとう公開されても観ることができず気になっていたので、この機会に観てみようと思ったのでした。
たまたま拾った銃を隠し持つ主人公(村上虹郎)。警察に届け出ず、この銃を使う方法ばかり考えている。だんだん狂気を帯びてくる青年。大学生活、友人との関係、女友達との関係、自分の周りの状況があるけど、しだいに「銃」のことばかりが頭に浮かぶ。そしていつも利用している自販機の近くで思わず銃を使い猫を殺してしまった。慌てて逃げ出したけど、近所に設置されていた防犯カメラから身元を知られてしまい、刑事が訪ねてくる。そして「やがては人間を殺してしまうかも」という刑事を演じたリリー・フランキーの言葉が真に迫る。最後、村上虹郎の実の父親である村上淳が出てきた時には思わず笑ってしまったし、最後の意外な展開にウーンとうなってしまった。
それにしても、男ってどうして「銃」が好きなんだろう。
*参照
シネマジャーナルHP 第31回東京国際映画祭 アウォードセレモニー報告
http://www.cinemajournal.net/special/2018/tiff-fin/index.html
狂気とユーモア感覚。これは武正晴監督の『百円の恋』や『イン・ザ・ヒーロー』、『嘘八百』など他の作品にも通じるところ。この映画祭に参加するまで、『百円の恋』がこの映画祭で生まれたということを忘れていたけど、話を聞いて思い出した。『百円の恋』は、周南絆映画祭で、2012 年に新設された脚本賞、第一回「松田優作賞」グランプリ作品だったのだ。武監督は、この映画祭と縁が深い監督だったのですね。現在、北海道で撮影している作品の合間を縫って作品撮影の時にゲストで参加されていた。
『最も危険な遊戯』村川透監督 1978年
松田優作愛に満ちた周南映画祭ならではの上映作品。この作品は第一回のこの映画祭でも上映されたそう。40年前の作品である。私自身は松田優作さんの作品を映画館で観た記憶はない。でも子供の頃TVでは観たような記憶がある。
松田優作演じる殺し屋のハードボイルド映画。不死身な殺し屋を演じる松田優作の姿にあこがれる男たちがたくさんいたなと思うくらい、この映画でも殺し屋は銃をぶっ飛ばしまくる。
私自身はこういう映画はほとんど観てこなかったけど、今も松田優作を慕い続け、映画祭で上映し続けているのは、山口県下関出身の郷土が生んだ伝説の俳優というのもあるのだろう。ゲストには松田優作さんと文学座同期で、共演作もある俳優の重松収氏と元俳優の野瀬哲男さんが登場し、舞台挨拶で松田優作さんにまつわる話を聞かせてくれた。
そして、この映画祭でひゃ松田優作賞という脚本賞がある。第一回の松田優作賞には151本の応募があったそう。それを全作読むのに、映画祭の大橋広宣実行委員長は大変無理をして、病気になってしまったそう。
グランプリ作品が『百円の恋』で、この映画祭が生み出した映画である。
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