きのうは別件のためアニメアワードはお休み。日曜にはまとめて観ようと楽しみにしていました。
長編コンペ作品3本
『パチャママ』フランス
アンデスの山の中の村に住む男の子テップルパイ。いつかコンドルに乗って空を飛ぶのと、シャーマンになるのが夢。いつも自分のことばかりで、幼馴染の女の子ナエルに呆れられている。
大地の神パチャママへ一番大切なものを捧げて一人前と認めてもらう日、テップルパイはコンドルの羽根を差し出せなかった。ナエルは大切なアルパカの子を捧げて認められ、恵の雨が降る。
祖先から受け継いでいる”村の宝物マカ”がインカの役人に取り上げられてしまった。テップルパイとナエルは王宮まで取り返しにいく。
ファン・アンティン監督
シンプルに図案化された背景が絵本のようです。2015年のグランプリ『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』を思い出しました。
人物の表情がお地蔵さんに似ていて、親近感がわきます。やんちゃで自分本位な男の子が義務や責任を知り、冒険を経て一人前になっていく物語。同じ年ごろの女の子が最初からしっかりしているところが、どのアニメの設定も大体そう。これは万国共通なのねと、おもしろいです(笑)。
『キャプテンモートンと蜘蛛の女王』エストニア
お父さんがいない間、知り合いの家に預けられているモートンは、お父さんのように船乗りになりたい。家の中のものでオモチャの船を作り、虫たちを乗組員に見立てて遊んでいる。不思議な霧をあびて小さくなってしまったノートン、船に乗り込んで船長になる・・・はずだったが、船では蜘蛛の女王がいばりちらしていた。
長編の応募作品中、唯一のストップモーションアニメ。背景をつくり、小さな人形を少しずつ動かしてコマ撮りしています。たいへん手数がかかるので短編が多いのですが、これは珍しい長編です。虫たちのキャラクターが秀逸で、人形だからこそ許せるブラックユーモアも散りばめてあります。
『捨て犬』韓国
山道を走ってきた車から犬のムンチが降ろされる。遠くに投げられたボールを咥えて戻ると、飼い主の車が走り去って行くのが見えた。捨てられたことが信じられないムンチは、いつまでも飼い主を待つがもう戻ることはなかった。同じ目にあった捨て犬たちに誘われ、ムンチも廃村に住むようになった。虐待する人間から逃げ出したパミに出逢い、危ないところを救われる。山に住む彼らも人間に追われることのない土地を探していた。
犬好きなら最初のシーンから泣けてしまいそう。いろいろな犬種の子たちが個性を発揮しています。ムンチは白に青い色になっていますが、ボーダーコリー(実際は黒白で長毛)じゃないかな。悪役は思い切り悪人顔の人間が全部引き受けて、犬に優しい人間はほんの少しだけ登場します。虐げられる辛い日々から、自由と幸せを求めて旅するという世界中の難民問題にもオーバーラップする物語です。
韓国アニメで最高の興行成績を残した『庭を出ためんどり』(2011)のオ・ソンユン、イ・チュンベク監督作。人気のEXO ディオ(『あの日、兄貴が灯した光』『7号室』主演)、パク・ソダム、パク・チョルミン、イ・ジュンヒョクたちが声優として出演しています。客席がどの作品よりも埋まっていたのにびっくりしましたが、この声優効果のようです。ファンはありがたいですね。上映後のトークで第1次審査員の方が「選出したときに声優のことを全く知らなくて、チケットの売れ行きに驚いた」とおっしゃっていました。
コンペ作品4本が4本とも全く違うタイプの作品なので、観ていて優劣つけがたいです。グランプリがどの作品になるのか、私もドキドキです。11日(月)19:30から新文芸坐でグランプリ作品がもう一度上映されます。(白)
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