東京国際映画祭 トルコ映画『シレンズ・コール』 10月30日上映後のQ&A  (咲)

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東京国際映画祭 2018年 コンペティション部門
『シレンズ・コール』 2018年/トルコ

建築ラッシュの大都会イスタンブルを抜け出し、女友達シレンのいる南の町に行きたいのに、なかなか空港にたどり着けない男タクシンの物語。

上映後、ラミン・マタン監督、タクシンを演じたデニズ・ジェリオウルさん、シレン役の女優エズギ・チェリキさん、プロデューサーのエミネ・ユルドゥルムさんが登壇。Q&Aが行われました。司会は矢田部さん。

司会:東京にブラックユーモアをもってきてくださってありがとうございます。

監督:上映していただき光栄です。楽しんでいただけたなら嬉しいです。

司会:タクシン役のデニズ・ジェリオウルさん、1回目の10月27日の上映の時にはいらっしゃらなくて、今回2回目の上映には飛んできていただけました。

デニズ:イスタンブルから出られなかったら、まさに作品通りでした。脱出して来ることができて嬉しいです。

エズギ:(トルコ語で発言し、監督が英語に通訳)東京に来ることができてとても嬉しいです。皆さんに楽しんでいただけたなら幸いです。
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プロデューサー:皆さん、ご覧いただきましてありがとうございます。
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★会場とのQ&A

ートルコ映画なので、イスラーム色が強い映画と思っていたら、モスクもスカーフの女性も出てきませんでした。
(注:ビルに埋もれたモスクや、まだ残る古い地区の市場にはスカーフの女性がたくさんいました。咲)
トルコには行ったことがないのですが、今のトルコはこの映画のような感じなのでしょうか?

監督:はい、もちろん、この映画は今のイスタンブルで撮りました。まさにこんな感じです。でも、モスクも映っていましたし、場所によってはイスラーム色の強い場所も出ています。

司会:開発は結構町中で進んでいるのですか?

監督:ほんとにイスタンブル中で古いビルを解体して、新しいビルを建てています。特に価値の高い土地で開発が進んでいます。

ー おもしろく拝見しました。東京のど真ん中の六本木で上映されているのが皮肉ですね。東京でも、30分もいけば、畑が広がっているところがあります。


監督:
イスタンブルは4時間車で走っても、まだ町から出られません。
そんな状況をもっと深堀りしたいと思ったのが、この映画のきっかけです。おかしな建築ブームが起きています。その状況が普通になっていて、それを人々がどう感じているかも描きたいと思いました。主人公は建築会社の社員で、地獄を作っている一人です。

― モーツァルトのトルコ行進曲を変調して使っているところにも意味を感じました。


監督:トルコ行進曲は、オープニング部分を編集している時に思いつきました。元々「Rondo alla turca」という曲名で、まさに、主人公がぐるぐる回って逃れられない姿にぴったりだと。少しずつ調子を崩していきました。ぐるぐる回って、最後には元に戻るのですが、若干違った人物になっています。

司会:主人公をどのように理解して演じましたか?

デニズ:この役柄は年齢も同じ位なので、考えていることを理解しやすかったです。物理的に逃げようとしているけど、何から逃げようとしているのか実はわかってない。自分の目を覚ましてくれるような役柄でした。これはやってはいけないということを教えてくれました。
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― ユートピアと思った島に行ってもお金次第で、どこまで行っても資本主義から逃れなれないのだなと思いました。
シレンという名前は、トルコでは普通によくある名前ですか? 神話からきているのでしょうか?


監督:まさにそうです。神話に出てくる人魚で、水兵たちを海に引きずり込みます。Sirenは、トルコではわりと稀な名前です。トルコ語でサイレンと同じ綴りです。

デニズ:大都市を離れたシレンを追って、彼はファンタジー求めていったのですが、現実は違いました。

監督:彼が何を学んだかは、観客の皆さんにお任せしたいと思います。

デニズ:監督は観客に考える余地を残しますが、役者としては、いつまでもぐるぐる回ってないで、ステップアップしたい。(笑)

監督:最後の方で、同じようなところに戻っているように見えますが、バーで女性から誘われても応じません。

― 映画の中でヒッピーのコミューンが出てきます。トルコ女性たちの間で、今、実際にそのような動きがあるのですか?

監督:リアルです。女性だけではないですが、イスタンブルから逃れようとして、地方でコミューンを作るけど、失敗して戻ってくることも多いです。撮影も、実際にあるコミューンで行っています。

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