あいち国際女性映画祭に行ってきました2(暁)

2018年9月6日(木)

『ドリ-ム』 原題:Hidden Figures
アメリカ/2016年/127分
監督:セオドア・メルフィ
出演:タラジ・P・ヘンソン、オクタヴィア・スペンサー、ジャネール・モネイ、ケビン・コスナー
配給:20世紀フォックス映画

まだまだ知られていない実話を知りたい

去年公開された『ドリーム』、ベストテンに入れた作品だったので、もう一度観てみようと思い参加した。宇宙開発の話は様々な形で伝えられてきたけど、開発に関わった人の中で開発のこととか中心になった人たちのことがほとんどで、ここに出てきた計算係だった女性たちのような、数字や計算に強い黒人女性が、こんなにもたくさんロケット開発のために働いていたということを知った。
宇宙開発計画初期、アメリカとソ連の宇宙開発競争真っ只中の1961年、コンピュータもまだ発達していない時代に、NASAでは優秀な頭脳を持つ黒人女性たちが、ロケットの打ち上げに欠かせない計算手として働いていた。人種差別・女性差別が今よりずっとひどかった時代。その中でも特に優れた3人の黒人女性を中心に偉業と差別との闘いが描かれている。彼女たちの計算能力にびっくりだけど、そういう能力があっても、まだまだ人種差別がひどかった時代(今でもいいとは言いがたいけど)、アメリカ初の有人宇宙飛行を達成するため、彼女たちを含めてたくさんの人たちが働いている様子が描かれていた。

アメリカの「どうだ、アメリカは!すごいだろう」的なサクセスストーリーを描いた作品は嫌いなんだけど、この作品は、その中でもNASAで働いていた黒人女性たちの闘いと活躍が描かれていて、とても興味深かった。
所長はものわかりの良い人のように描かれていたけど、差別している側は言われないと気がつかない。ロケット打ち上げの「ドリーム」はかなえられたけど、公民権運動に大きな影響を与えた、1963年の「ワシントン大行進」でキング牧師があらゆる人種の自由と平等、民主主義を訴え「私には夢がある」と演説した「ドリーム」は未だに達成されていない。


『まわる映写機めぐる人生』

英題:Projecting Film, Projecting Life
日本/2018年/110分
監督:森田惠子
出演:鈴木文夫、荒島晃宏
配給:映像Sプロジェクト

映画を愛する人、必見の作品


『まわる映写機 めぐる人生』は、森田惠子監督の『小さな町の小さな映画館』『旅する映写機』に続く映画にまつわる三部作の完結編。映画が誕生して123年。映写技師、自主上映活動、映画鑑賞会、日本一古い映画館を維持して興行を続ける人たちなど、映すことに心をかたむけた人たちを訪ねたドキュメンタリー。
この作品のHPに、この作品を作ったきっかけが書かれています。
「『まわる映写機 めぐる人生』を作るきっかけは、「川越スカラ座」の『旅する映写機』の初日(2014年5月24日)に、本作に登場する元埼玉大宮東映の支配人であり映写技師だった石川直二さんが訪ねてくださったことでした。
開館前からいらしてくださり、手にしていたのは私も見るのが初めだった黒革の「映写技術者免状」でした。 「初日なら監督さんが来るかもしれないと思ってね」と、体調を心配する奥さまを説得して大宮から駆けつけてくださったのです。上映後のトークでは、急遽、観客の皆さんに博物館級の「映写技術者免状」を見て頂き、お話もしていただきました。その時のお話がとても興味深かったことと、石川さんの表情があまりにも魅力的だったので、これは撮らなければ…と思ったのです。
方針など何もないまま、6月19日にご自宅を訪問し撮影をスタートさせました。その後はいつものことながら、台本もないまま芋づる式の撮影を重ねてゆきました。そして、映写に関わる皆さんのお話を伺いながら、映像が時代ごとにどのような形で使われてきたのか、ということにも関心が深まり学ばせていただきました。」とあります。

森田監督の作品は観たことがなかったけど、タイトルに惹かれて観ることにした。タイトルからは映写技師の人の物語かなと思ったのだけど、映写技師だけでなく、映画の上映活動をしている人や、映画館を続けるためにいろいろ活動している人など、たくさんの映画を愛する人たちが出てきて、映画に対する思いに溢れた作品だった。映画全盛期は掛け持ち上映があり、フィルムを運ぶ専用の人がいたり、上映途中でフィルムが切れた時の応急処置の話など、フィルムの品質が悪かった時代の映写には色々な工夫が必要だったことなど、フィルム上映時のエピソードはとても興味深かった。映画の自主上映をめぐる人たちの交流の話もとても面白かった。また「文化として映画・良い映画を子供たちに見せよう」と、子供たちに社会教育としての映画を届けようと上映会を続けている人たちがいたり、過疎の里山の村での上映会している学生たちがいたりと、様々な形で、映画上映をしている人たちがいるということを知って心強かった。
TVで紹介され、前から行ってみたいと思っていた、日本で一番古い映画館「高田世界館」が出てきて、いつか行ってみたいと思った。そして高野史枝さんが監督した『厨房男子』で撮影を担当した城間典子さんが出てきてびっくり。京都造形芸術大学映画学科を卒業した方で、京都の里山で暮らしながら、手作りの自主上映会を行うところが映されていて、彼女はこういう活動をしているのだと知った。


『世界で一番ゴッホを描いた男』 
原題『中國梵高』
英題:China’s Van Goghs
中国、オランダ/2016年
監督:ユイ・ハイボー、キキ・ティンチー・ユイ
出演:チャオ・シャオヨン
配給:アーク・フィルムズ、スターキャット

模倣から創造へ 最後の展開に拍手

複製画制作で世界の半分以上のシェアを誇る油絵の街、中国南部深圳市大芬(ダーフェン)。出稼ぎでこの街にやって来た趙小勇(チャオ・シャオヨン)は独学で油絵を学び、20年もの間ゴッホの複製画を描き続けてきた。独立し、自らの工房を持ち、弟子もいる生活になったが、絵を描くのも食事も寝るのも全て工房の中。そんな生活の中、ゴッホの複製画なら趙小勇と言われるまでになった。オランダの画商との信頼も得て、交流を続けるうち、いつしか「本物のゴッホの絵を見たい」と思うようになったが、毎日の締め切りに追われる生活の中、その願いはなかなかかなわない。しかし、長年の夢をかなえるため、何人かの仲間と「本物のゴッホの絵」を見る旅行を実行に移す。本物の絵を見ることで、ゴッホの絵に対する想い、絵にかけた想いがわかるのではないか、そして今の自分を見つめ直し、これからの人生や仕事に役立ち、きっと何かを得られるだろうという思いの元、アムステルダムを訪れた。そして得られたものは。
本物のゴッホの絵を見て衝撃を受けた趙小勇は、自分は何をすべきかと考えるようになり、「自分は職人か芸術家か」考えた末、長年離れていた故郷の姿を描き始めた。長年培った絵の技から生まれた作品は見事なもの。

去年、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2017でこの作品が上映された時、観損ね、新宿のシネマカリテでの上映も観ることができず、残念に思っていたら、この映画祭で上映されるということがわかり、この作品を観に行こうと、この映画祭に来た。
ゴッホの複製画に人生を捧げる男と、自身の想いの目覚めを追った感動のドキュメンタリーだった。
劇場公開が決まった。

公式HP『世界で一番ゴッホを描いた男』



















この記事へのコメント