ベトナム映画祭2018 

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Liên hoan phim Việt Nam 2018 tuyển tình nguyện viên
(白)

日越国交樹立45周年記念 【ベトナム映画祭2018】

会期:2018年9月1日(土)から9月9日(日)までの9日間
会場:横浜シネマ・ジャック&ベティ
主催:ベトナム映画祭 2018 実行委員会
https://www.facebook.com/vietnamff2018/
上映作品
新旧10数作品を順次発表の予定

『ベトナムを懐(おも)う』(英題:Hello Vietnam)グエン・クアン・ズン監督
1995年のニューヨーク。祖父トゥーはベトナムの農村で生まれ育ち、幼馴染と結婚し、つましく暮らしてきた。妻の遺言で、アメリカに渡った息子グェンの元にやってくるが、一緒に住むことは叶わずに老人ホームに入居する。たった一人の孫娘タムはアメリカ生まれで、習慣・価値観の全く違うトゥーに懐いてはくれない。妻の命日にホームを抜け出したトゥーは、親友のナムを誘い二人だけで伝統的な供養をする。そして、トゥーを怖がっていたタムの本心を初めて聞くことになった。

ベトナム人家族3世代の故郷への思いを綴った作品。トゥーが思い出すのは、緑深く陽光が降りそそぐ故郷。今は暗い空から雪が舞うニューヨークに住んでいます。この対比に望郷の思いが伝わってきます。トゥーの胸の中にある故郷はいつも美しく輝き、味わったはずの苦労は時間が薄めてくれています。
孫娘のタムにとってベトナムは見知らぬ外国に過ぎません。祖父がよかれと思って説明し、押し付ける習慣もいやでたまりません。
真ん中の世代のグェンが、父と娘タムの間の大きな溝を埋める役割、架け橋にならなければいけないのに、と疑問が浮かびます。グェンには忘れてしまいたいほどの理由がありました。タムがあまりに頑なに祖父を拒否するのも不思議でしたが、これも後でわかります。タムのボーイフレンドがごく普通に接するのが救いでした。
世代間の思いが理解されず、すれ違ってしまうのは現代でも起き得ること。まず「何故?」と相手を知ろうとすること、自分の心を開くことですよね。(白)


『漂うがごとく』(原題: Choi voi 英題:Adrift)ブイ・タク・チュエン監督
ハノイに住む通訳のズエンは、2歳年下のタクシー運転手ハイと出会って3ヶ月でスピード結婚をした。披露宴でハンは酔いつぶれ、ズエンは初夜に1人で眠るはめになる。義母は息子をズエンに盗られた気がして、なにかと世話を焼きたがる。それから何日も、ハイは仕事に疲れて帰っては子どものように眠るだけだった。ズエンは友だちのカムに頼まれて、彼女のボーイフレンドのトーを訪ねていくが、家に着いたとたん、ズエンはトーに襲われてしまう。

現代のハノイが舞台。じっとりとした空気と街の暑さが感じられる作品。出てくる男たちが皆どこかダメです。支える女たちも決して満足しているわけではなく、愛情を求めて漂っています。すれ違う新婚の夫婦、祖父母の秘められた過去、闘鶏に夢中の父としっかり者の娘、危険な男と引き寄せられる女たち・・・それぞれのカップルがハノイの街で息づいていました。繊細な東洋とハイカラな西洋が混ざり合ったような街です。
薬草の蒸し風呂に入るカムとズエン、布越しのシルエットが官能的。母親が自分のために刺繍した花嫁衣裳をズエンに贈ったカム、彼女が愛したのはトーではなく、ズエン?説明が少ない分想像が拡がりました。
第66回ヴェネツィア国際映画祭の国際批評家連盟賞を受賞。(白)


『フェアリー・オブ・キングダム』(原題: TAM CAM 英題:THE UNTOLD STORY)ゴ・タイン・バン監督
身も心も美しい娘タムは、継母と義妹にいじめられて辛い日々を過ごしていた。ある日、隣国の姫君たちと、国中の娘が城のパーティに招待される。皇子の妃候補を探すためだった。継母に仕事を言いつけられ、身を飾る晴れ着もなく城に行けないタムの前に魔法使いが現われる。

元ネタはベトナムの昔話「タムとカム」。まんまベトナム版シンデレラストーリーに、権力を巡る戦いが加わる娯楽大作です。惜しくも解散したベトナムの人気ボーイズグループ、365daband(バーサウナム)のアイザックが皇子を、ほかのメンバーが側近を演じています。イケメンな4人が、ゲームの主人公たちのような衣装、甲冑姿のアクションを見せて、目の保養になります。本作で監督デビューのトップ女優ゴ・タイン・バン(ベロニカ・グゥ)が、継母役も熱演。この方はほかの作品でも様々な顔を見せていますので、見つけるのを楽しんでください。(白)

『Đừng đốt(焼いてはいけない)』ダン・ニャット・ミン監督
ベトナム戦争に医師として身を投じたダン・トゥイー・チャムは、医薬品も乏しい中必死の医療を続けていた。アメリカ軍の攻撃はますます激しくなり、トゥイーは殉職してしまう。アメリカ軍兵士のフレッドは、診療所のがれきの中から日記を見つける。中をあらためたベトナム人通訳が、フレッドに「Don't burn !」と声をかけたことから、処分せずにアメリカに持ち帰る。35年のときを経て、ベトナムの遺族のもとへ日記が戻ることになった。

若いベトナム人女性医師の日記をもとに映画化された作品。敵を人と思わないのが戦争です。アメリカ兵はこの敵国人の日記の中に、自分たちと違わない血の通った人間を見ます。繊細で愛情深く、気高い志を持って任務を全うしていた女性でした。図書館で原作の「トゥイーの日記」を見つけました。極限状態の中にあっても美しいものを見つけ、傷ついた人を癒し、家族や友人に心を馳せるトゥイー。平和な世まで生きていたら、どんなにか良い仕事をし、国を建て直すのに役立ったことか。彼女の日記は数奇な運命を経て、会いたかった母親の元へと戻り、出版されて多くの人に感銘を与えました。2度と戦火に追われることのないよう、一人ひとりが自分のできることを考えなくては。(白)

『草原に黄色い花を見つける』ヴィクター・ヴー監督 
作品紹介はこちら
『The Rebel 反逆者』(原題:Dong mau anh hung 英題:The Rebel)チャーリー・グエン監督
『ニンホアの家』(原題:A House in Ninh Hoa)フィリップ・ヴィトマン監督
『目を閉じれば夏が見える』(原題:Nhắm Mắt Thấy Mùa Hè 英題:Summer in Closed Eyes)Cao Thuy Nhi監督
『モン族の少女 パオの物語』ゴー・クアン・ハーイ監督
2007年の監督インタビュー記事はこちらです。
『超人X.』グエン・クアン・ズン(ユン)監督
『サイゴン・ボディガード』落合賢監督
『ひと夏の初恋』(原題:Ha Cui Tinh Dau 英題:First Love, Last Summer)

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