中央アジア今昔映画祭

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1991年12月、ソビエト連邦が崩壊。ユーラシア大陸中央部の内陸地域に位置する中央アジアではカザフスタン、キルギス(クルグズスタン)、タジキスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタンの5カ国が独立。それから30年が経ちました。
この度開催される中央アジア今昔映画祭では、中央アジア5か国とも関係の深いアフガニスタンも含めて、9作品が上映されます。

2021年12月11日~ 渋谷・ユーロスペース他
https://trenova.jp/centralasia

渋谷 ユーロスペース 12/11(土) - 12/31(金)
横浜 シネマリン 12/11(土) - 12/24(金)
名古屋 シネマテーク 12/11(土) - 12/17(金)
京都 出町座 12/10(金) - 12/16(木)
大阪 第七藝術劇場 12/18(土) - 12/24(金)
兵庫 元町映画館 12/4(土) - 12/10(金)

各劇場のタイムテーブルなど詳細はこちらで!
https://trenova.jp/centralasia/#theater


*上映作品*

テュベテイカをかぶった天使
Angel v tyubeteyke
監督・脚本:シャケン・アイマノフ 脚本:ヤコフ・ジスキント
出演:アミナ・ウルムザコワ、アリムガズィ・ラインベコフ、ビビグリ・トゥレゲノワ、ビケン・リモワ
ソ連/1968年/ロシア語、カザフ語/カラー/88分


ジャミリャー
Dzhamillya
監督:イリーナ・ポプラフスカヤ 脚本:チンギス・アイトマートフ
出演:ナタリヤ・アリンバサロワ、スイメンクル・チョクモロフ、ボロト・ベイシェナリエフ
ナレーション:チンギス・アイトマートフ
ソ連/1969年/ロシア語、キルギス語/モノクロ+カラー/78分


少年、機関車に乗る
Bratan
監督・脚本:バフティヤル・フドイナザーロフ 脚本:レオニード・マフカモフ
出演:ティムール・トゥルスノフ、フィルス・サブザリエフ、ナビ・ベクムラドフ、アロヴッディン・アブドゥラエフ
ソ連/1991年/ロシア語、タジク語/モノクロ/98分
http://mikki-eigazanmai.seesaa.net/article/424999974.html


黄色い雄牛の夜
The Night of the Yellow Bull / The Children of the Earthquake
監督:ムラド・アリエフ 脚本:ブラート・マンスーロフ、アシルムラド・マミリエフ
出演:マクサト・ポラトフ、アクゴゼル・ヌリィエワ、タチマメド・マメドヴェリエフ、ロラン・ブィコフ
トルクメニスタン、ロシア/1996年/ロシア語、トルクメン語/カラー/121分


海を待ちながら
Waiting for the sea
監督:バフティヤル・フドイナザーロフ 脚本:セルゲイ・アシケナージ
出演:エゴール・ベロエフ、アナスタシア ・ミクリチナ、デトレフ・ブック、ドニムハメド・アヒモフ
ロシア、ベルギー、フランス、カザフスタン、ドイツ、タジキスタン
2012年/ロシア語/カラー/110分


40日間の沈黙
40 Days of Silence
監督・脚本:サオダート・イスマイロワ 脚本:ウルグベク・サディコフ
出演:ルシャナ・サディコワ、バロハド・シャクロワ、サオダート・ラフミノワ、ファリダ・オリモワ
ウズベキスタン、オランダ、ドイツ、フランス/2014年/タジク語、アラビア語/カラー/88分


彼女の権利
Her Right
監督:サオダート・イスマイロワ
ウズベキスタン/2020年/モノクロ+カラー/15分


アイカ
Ayka
監督・脚本:セルゲイ・ドヴォルツェヴォイ 脚本:ゲンナージイ・オストロフスキー
出演:サマル・エスリャモワ、ジィパルグリ・アブディラエワ、セルゲイ・マズル、ダヴィド・アラヴェルジャン
ロシア、ドイツ、ポーランド、カザフスタン、中国、フランス
2018年/ロシア語、キルギス語/カラー/114分
作品提供:キノフィルムズ
★第19回東京フィルメックス(2018年) 最優秀作品賞
http://cineja3filmfestival.seesaa.net/article/463026879.html


カーブルの孤児院
The Orphanage
監督・脚本:シャフルバヌ・サダト
出演:クドラトラ・カディリ、セディカ・ラスリ、マシフラ・フェラージ、ハシブラ・ラソーリ
デンマーク、フランス、ルクセンブルク、アフガニスタン
2019年/ダリー語、ロシア語、ヒンディー語、ウルドゥー語/カラー/90分


★中央アジアとは
中央アジアはユーラシア大陸中央部の内陸地域で、カザフスタン、キルギス(クルグズスタン)、タジキスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタンの5カ国が該当する。加えて、中国の新疆ウイグル自治区は中央アジアと不可分の関係にあり、タタルスタンやバシコルスタンといったロシアのムスリム地域、アフガニスタンとも非常に深いつながりを持っている。
東アジアと西のイスラーム・西欧世界の交点にあった中央アジアは、テュルク系遊牧集団による征服やイスラーム化といった歴史を経て、複雑に文化が交わる場所として長い道のりを歩んできた。20世紀は長くソビエト連邦の支配下にあって社会主義体制をとってきたが、1991年のソ連崩壊と前後して5カ国が独立国となり、以後、国際社会での存在感を増している。現在、資源や観光、そして文化など様々な観点から大きな注目を集めているエリアである。
(映画祭公式サイトより)



COME BACK映画祭

コロナ禍で自粛を余儀なくされ、上映休止や縮小など影響を受けた映画を再上映する【COME BACK映画祭】があるそうです。
ラインナップの発表をお楽しみに。
Twitter https://twitter.com/CB_MOVIE_FEST
https://comeback-movie-festival.jp

■開催期間  12月4日(土)~12月19日(日)
■開催会場  Hall Mixa(Mixalive TOKYO地下2階)
       ミクサライブ東京(池袋) B2F「Hall Mixa」
      〒170-0013 東京都豊島区東池袋1-14-3
■チケット 全作品700円(税込)/全席自由席
【インターネット】ローチケWEB
【コンビニ】ローソン・ミニストップ店舗内のLoppi
12/1(水)10時~販売開始 12/4(土)~10(金)公演分
12/6(月)10時~販売開始 12/11(土)~19(日)公演分

【当日券】各回20 枚限定/各公演開場時刻より、会場Hall Mixa 受付にて販売
※開場は開演20分前となります。            
※当日券は諸般の事情により販売しない場合がございます。ご了承ください。
※ローチケWEBで予約購入の場合は、開演の3時間前まで販売いたします。
※Loppiで購入の場合は開演時刻まで販売いたします。
※未就学児のお客様はご入場できません。あらかじめご了承ください。

東京フィルメックス 『砂利道』(イラン) パナー・パナヒ監督Q&A  (咲)

*コンペティション
『砂利道』 Hit the Road  ★長編監督デビュー作
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イラン / 2021 / 93分
監督:パナー・パナヒ( Panah PANAHI )

イランの巨匠ジャファル・パナヒの息子パナーの長編デビュー作。
カンヌ映画祭監督週間でワールドプレミア上映された。

*物語*
車で旅に出る4人家族と1匹の犬。後部座席で、おおはしゃぎする幼い弟。その隣で父親は足を怪我してギブスをして、渋い顔をしている。押し黙って車を運転する兄。助手席で母親は場を明るくしようと気を使っている。
ウルミエ湖が見えてくる。「昔は泳げたのに、今は砂遊びしかできない」と父。
携帯を持ってくるなと言い聞かせていたのに、弟が隠し持っていたのを母親が岩陰に隠す。
自転車レースの一団が来る。自転車選手に声をかけたら転んでしまって、車に乗せる。
どこか張り詰めたような車の中の雰囲気が少し和らぐ。
自転車選手を下ろし、いよいよ目的地に近づき、ひたすら砂利道を行く・・・
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「家も車もあの子を送り出すために失った」という言葉などから、両親が長男を密出国させようとしていることがわかります。約束の場所にいくと、羊の皮を選ぶように言われます。白は目立つからダメというので、それを被って山越えするのでしょう。羊の皮だけなのに、羊一頭分の値段というのが世知辛いです。ウルミエ湖のそばを通ったので、山越えしてイラクに行くのか、トルコに行くのか・・・
途中で乗せた自転車選手、複雑な話になった時に、「ペルシア語で説明するのは難しい。アゼリー(トルコ系のアゼルバイジャン語)じゃないと」と語っています。ウルミエ湖のあたりは、トルコ系や、クルドの人たちの多いところ。
葡萄が名産で、紀元前の昔からワインが作られていたところですが、イスラーム政権になってからワイン醸造は禁止されました。加えて、ダム開発などでウルミエ湖が干上がってきていて、農業にも支障をきたしています。

さて、両親は幼い弟に、兄がいなくなることをどう話すか案じていて、「花嫁と駆け落ちしたっていう」と話しています。
なぜ兄が密出国するのかの理由は、映画を観る私たちにも実は明かされていません。上映後にリモートで行われた監督とのQ&Aで、そのワケも明かされました。
父ジャファル・パナヒ監督の作品とは違うテイストの、緊迫感溢れる中にイラン人らしいユーモアを交えた作品でした。(咲)



◆Q&A (リモート) @有楽町朝日ホール
11月2日(火)18:30からの上映後
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パナー・パナヒ(監督)
神谷 直希(東京フィルメックス プログラム・ディレクター)
ショーレ・ゴルパリアン(通訳)

監督:ご挨拶を申し上げます。愛している日本で私の映画が上映されて光栄に思っています。日本の人たち、日本の文化、映画、アニメ、すべてを愛してます。この映画を楽しんでいただければ嬉しいです。
今回の上映を客席で皆さんと一緒に観ている私の大好きなパルヴィーズさんに捧げます。いつか日本にいって一緒に食事するのを楽しみにしています。
(ショーレさんより、いらっしゃったらお立ちになってくださいと声がかかり、なんと、立ったのは私の友人のパルヴィーズさんでした! 遠くに見つけて大きく手を振る監督。)

― サミラ・マフマルバフ監督やハナ・マフマルバフ監督たちと比較すると、37歳で長編デビュー作は決して若くないと思うのですが、どういう経緯でこの作品を作られたのでしょうか?

監督:ジャファル・パナヒの息子として、映画を作って一歩踏み出すのが難しかった。どうやって自分のアイデンティティを出せばいいかずっと考えていました。最初の一歩を踏み出す勇気がなかなかありませんでした。映画を愛してきた私が、踏み出すのは今だと思って作りました。写真を撮ったり、撮影助手をしたり、編集をしたり、映画の世界にずっといたのですが、フィーチャーフィルムを作る勇気がなかなかありませんでした。

― 撮影に際して、意識されたことは? 狭い社内と、広大な景色の対比が捉えられていました。

監督:狭いところと広いところのコントラストをテーマの中に入れようとしました。テーマは息子を国から出すという悲劇的な気持ちで動いているのですが、微笑んだりふざけたり冗談を言ったりして笑わそうとしています。国境が近くなって、いよいよ別れなければいけなくなったとき、家族からカメラも離しています。広いところで彼らを映すようにしています。車の中の撮影はとても大変でした。機材の中でもなるべく最小限のもので撮影しました。

― 車の中の撮影はキアロスタミ監督のことを思い出します。

監督:車の使い方ですが、イランでは色々規制があるので他の国とちょっと違います。車の中では好きな音楽を大きな音で出して聴けます。ルールがあって外では聴けない音楽もあります。女性は車の中ではスカーフをはずせます。私たちにとって車はただの車じゃなくて二つ目の家といえます。大都会から逃げて車で自然の中に行くときには自由にいろいろなことができます。車を使うと、余計なロケーションはいりません。
現実的に撮ろうとしても、家の中でも女性がスカーフをはずせません。検閲に引っかかりますので。家の中では撮りたくありません。一人でいるときにスカーフを被っているのはおかしいです。町の中の撮影はストレスが多いので好きじゃないです。静かな中でと思うと、車の中や自然の中で撮ることになります。

― 子役について多くの質問がきています。キャスティングのプロセスとどういう演出をされたのか教えてください。

監督:いろんな人に、こういうキャラクターの子を探してると言ったら、皆からテレビドラマに出ているあの子がいいと教えてくれました。私はそのドラマを見てなかったのですが、会ってみたら、すごいエネルギーを持っていました。6歳半なのに、すごく理解してくれて、すぐに友達になりました。まだ現場で本読みはできないので、母親がセリフを読んで、それを全部覚えて現場に来てくれました。彼と同じ年くらいの気持ちになって遊んで、エネルギーがあがってくると撮影に入りました。とても頭がいいからセリフはちゃんと言ってくれたのですが、いらない動きもしていたので、これはこうした方がいいというと、すぐにやってくれるので、演技力に毎日びっくりしていました。

― 歌が劇中でいくつか出てきましたが、有名な曲でしょうか?

監督:別れる時には、ノスタルジーを感じる曲を聴きたくなると思います。子供時代にドライブに行ったときに社内で聴いていた思い出のある方も多いと思います。使った歌は、革命前の歌だけど、家族で旅する時に車の中でよく聴きます。今作られている歌よりも昔の曲の方が詩もしっかり作られています。イラン人ならよくわかるのですが、ハッピーなメロディーでも、詩は悲しい。一つの歌の中でもパラドックスがありますので、そのような曲を選びました。

― 長男が出国しようとする理由は?

監督:イランの人たちは理由がわかっているので、誰も尋ねません。理由は大切じゃなくて、自分のアイデンティティを探すために外国に出るのです。

― ロードムービーに現代のイラン社会の持つ問題がうまく落とし込まれていました。

監督:どういうジャンルになるか考えずに書いていました。イランの若者は行き止まりに立ってしまった気持ちになっています。闇でイランから出国した友達もみてきました。

―最後に一言お願いします。

監督:神谷さんも会場の皆さんも、遅くまで私の話を聴いていただいて、心からお礼を申し上げます。これからもよい時間を過ごしますように。ありがとうございました。


★映画が終わってから、Q&Aの時に監督から名前の出たイラン人のパルヴィーズさんと、その友人アリさんと3人で焼き鳥屋さんへ。緊急事態宣言が解けて、日比谷界隈の居酒屋はどこも大賑わい。皆でコロナもやっと収まってきたのを実感! でも予断を許さないですね。
二人は20年以上前の東京国際映画祭のイラン映画上映の時に知り合った方たち。パルヴィーズさんは、3年前にイランに帰国した折にパナー・パナヒ監督と知り合ったとのこと。リモートQ&Aで監督から名前が出て驚いていました。37歳という革命前を知らない監督が、王制時代の流行歌を使っていることにも驚いていました。
上映後のQ&Aで、「両親はなぜ長男を出国させようとしているのか?」という質問が出て、「イラン人からは出ない質問」と監督が答えていましたが、二人に「兵役から逃れたいから?」と尋ねたところ、そういうケースもあるけど、それだけじゃないと。
アリさんの隣の家も、家を売って長男を外国に行かせたそうです。アリさんたちは、イラン・イラク戦争に徴兵されて行ったあと、パスポートが貰えて、当時、ビザなしで入国することの出来た日本に来て、その後、それぞれ在留資格を得て日本で暮らしています。
イランに帰れば、広々とした家があるのに・・・


まとめ:景山咲子





イスラーム映画祭7 (2022年2月開催)上映作品が発表されました (咲)

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2月から延期されていました【イスラーム映画祭6】のユーロスペースでの延長分が、【イスラーム映画祭6エクステンデッド】として、11月6日(土)~11日(木)に開催されたばかりですが、来年2月に開催する【イスラーム映画祭7】の上映作品が早々に発表されました。
イスラーム映画祭 主宰の藤本高之さんの思いの籠ったラインナップです。
どうぞご期待してお待ちください。

【イスラーム映画祭7】
【東 京】
会期 : 2022年2月19日(土) - 2月25日(金)
会場 : 渋谷ユーロスペース( http://www.eurospace.co.jp/
【名古屋】
会期 : 2022年3月3月19日(土)~25日(金)
会場 : 名古屋シネマテーク( http://cineaste.jp/
【神 戸】
会期 : 2022年4月30日(土) - 5月6日(金)
会場 : 神戸・元町映画館( http://www.motoei.com/
主催 : イスラーム映画祭
公式サイト:http://islamicff.com/
Twitter : http://twitter.com/islamicff
Facebook : http://www.facebook.com/islamicff

イスラーム映画祭7 東京篇ゲスト情報
http://cineja3filmfestival.seesaa.net/article/485232744.html


◆上映作品◆

①『ある歌い女(うたいめ)の思い出』 ★オープニング作品
原題:Samt El Qusur 英題:The Silences of the Palace
監督:ムフィーダ・トゥラートリ / Moufida Tlatli
1994年/チュニジア=フランス/アラビア語、フランス語/129分
字幕:日本語
配給:エスパース・サロウ
予告篇(本篇の一部)
https://youtu.be/2Vmtb6B6nTs

1994年に製作され世界各国で賞賛を浴び、日本では2001年に劇場公開されたチュニジア映画『ある歌い女(うたいめ)の思い出』を21年ぶりにリバイバル上映。劇場公開当時の35mmフィルムで上映します。
本作のムフィーダ・トゥラートリ監督は今年2月、新型コロナウイルス感染症により73歳でこの世を去りました。
チュニジアは、1956年にフランスから独立。
王制廃止前夜の王宮で過ごした在りし日を回想する母と娘の葛藤を美しい映像と多彩なアラブ音楽で描いたトゥラートリ監督は、アラブ映画における女性監督のパイオニア的存在となりました。


②『ヌーラは光を追う』★日本初公開
原題:Noura Rêve英題:Noura's Dream
監督:ヒンド・ブージャマア / Hinde Boujemaa
2019年/チュニジア=ベルギー=フランス=カタール=オランダ/アラビア語/93分
字幕:日本語
予告篇
https://youtu.be/vJcsiBuwKlE

『ある歌い女の思い出』でデビューしたアラブ映画を代表する俳優ヒンド・サブリー主演作。2013年の山形国際ドキュメンタリー映画祭でデビュー作『良いはずだった明日』が紹介された、ヒンド・ブージャマア監督初の劇映画です。
ヌーラは夫が刑務所に収監されている間に密かに愛し合う恋人と離婚の手続きを進めますが、離婚が成立する直前に夫が突然、大統領恩赦で釈放され窮地に…。
イスラームが国教のチュニジアでは独立後に一夫多妻を国家法で禁じた一方、男女の不義の関係には厳しく5年の懲役刑が課せられます。彼女の運命は…。

③『時の終わりまで』★日本初公開
原題:Ila Akher Ezaman 英題:Until the End of Time
監督:ヤスミーン・シューイフ / Yasmine Chouikh
2018年/アルジェリア=UAE/アラビア語/94分
字幕:日本語、英語
予告篇
https://www.youtube.com/watch?v=inbUUG5irrE

イスラーム映画祭6で紹介した『ラシーダ』のヤミーナ・バシール=シューイフ監督の息女、ヤスミーン・シューイフ監督のデビュー作。
聖廟参詣のお祭りが行われる墓地を舞台にしたドラマです。墓地で遺体の“お浄め”を生業とする男性と姉を亡くして人生に絶望した女性を中心に、イスラームにおいて重要な“死”に対する考え方が時代とともに変容している状況を、仄かなユーモアを交えつつシニカルに描いています。元々は編集者であるバシール=シューイフ監督が娘のデビュー作でも編集を担当しました。

④『ソフィアの願い』★日本初公開
原題:Sofia 英題:Sofia
監督:マルヤム・ビンムバーラク / Meryem Benm'Barek
2018年/フランス=カタール=ベルギー=モロッコ/アラビア語、フランス語/85分
字幕:日本語、英語
予告篇
https://youtu.be/BBdWdhyg0RE

マルヤム・ビンムバーラク監督の初長篇作品。
婚前交渉や中絶が違法のモロッコ。 本作は婚外子を生む20歳の女性ソフィアの物語で、2021夏に公開された『モロッコ、彼女たちの朝』
のルブナ・アザバルも出演しています。
ある日、破水したソフィアは従姉のレナに連れられ病院で出産しますが、父親の身分証明書が提出できなければ病院に通報されてしまいます…。
人権よりも家族の名誉が重んじられる社会―。
根深い家父長制のみならず、金やコネが物を言うモロッコの格差社会や、それを生み出す政治の歪みにも目を向けた作品です。

⑤『泣けない男たち』★日本初公開
原題:Muškarci ne plaču 英題:Men Don't Cry
監督:アレン・ドルリェヴィチ / Alen Drljevic
2017年/ボスニア=ヘルツェゴビナ=スロベニア=クロアチア=ドイツ/ボスニア語/99分
字幕:日本語、英語
予告篇
https://www.youtube.com/watch?v=3dgSSQGJSe4

ボスニア映画を初めて取り上げます。
先頃公開された今年必見の1本、『アイダよ、何処へ?』のヤスミラ・ジュバニッチ監督がプロデュースし、彼女の諸作で助監督等を務めてきた新鋭アレン・ドルリェヴィチ監督の長篇デビュー作。
ボスニア内戦で心や身体に傷を負った、セルビア人、クロアチア人、そしてボシュニャク人(ボスニアムスリム)それぞれの男性たちが人里離れたホテルでセラピーを受けるところから映画は始まります…。
セラピーを題材とする事により、戦争が人間に与える深刻な影響や、どの民族も被害者でありまた加害者でもあったボスニア内戦の構図を巧く表現している作品です。


⑥『天国と大地の間で』★日本初公開
原題:Between Heaven and Earth 英題:Between Heaven and Earth
監督:ナジュワー・ナッジャール / Najwa Najjal
2019年/ルクセンブルク=パレスチナ=アイスランド/アラビア語、ヘブライ語、フランス語、英語/92分
字幕:日本語、英語
予告篇
https://youtu.be/ku9y-Y9xUZs

ドキュメンタリーとフィクションの双方で実績を持つパレスチナ人監督、ナジュワー・ナッジャール監督の長篇第3作。
5年の結婚生活を経て別れようとしているパレスチナ人夫婦の物語です。
ヨルダン川西岸に住む2人は離婚のためイスラエルの裁判所に出向きますが、夫の父親の過去に不明な点があった事から受理されずそれを知るため束の間の旅に出ます…。
2人の道行きがやがて“パレスチナ”をめぐる旅となり、彼の地の問題が宗教や民族を起因とするものではない事が浮き彫りになるロードムービーです。


⑦『アジムの母、ロナ』★日本初公開
原題:Rona, Madar-e Azim 英題:Rona, Azim's Mother
監督:ジャムシド・マームディ / Jamshid Mahmoudi
2018年/アフガニスタン=イラン/ペルシャ語、ダリ語/89分
字幕:日本語、英語
予告篇
https://youtu.be/wW7ptD1gB8Q

アフガニスタン=イラン合作映画。
ジャムシド・マームディ監督は実際にイランのアフガニスタン難民という背景を持ち、日本でも過去に長篇デビュー作『数立方メートルの愛』が上映されています。
(シネマジャーナル 93号 2015年春発行に監督インタビュー掲載しています。)
“難民”という存在は国を追われて逃げるところばかりが注目されがちですが、彼らが本当に大変なのは第三国に住み着いたあと…。
本作はある難民一家を通じ、家族とくに母への愛とイランにおけるアフガン難民の境遇をリアルかつ丹精に描いています。
『東京クルド』になぞらえるなら“テヘラン・アフガン”でしょうか。


⑧『子供の情景』
原題:Le Cahier  英題:Buddha Collapsed out of Shame
監督:ハナ・マフマルバフ / Hana Makhmalbaf
2007年/イラン=フランス/ダリ語/81分
字幕:日本語
配給:ムヴィオラ
予告篇
https://youtu.be/1DtzYPt-cUo

2009年に岩波ホールを皮切りに全国公開された、イラン映画の巨匠モフセン・マフマルバフ監督の次女ハナ・マフマルバフ監督18歳の時のデビュー作。
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『子供の情景』ハナ・マフマルバフ監督来日レポート (2009年3月)
http://www.cinemajournal.net/special/2009/kodomo/index.html

映画は、2001年の3月にタリバンがバーミヤンの巨大石仏遺跡を破壊した時の映像から始まります。
主人公は「学校に行きたい」と願う6歳の女の子バクタイ。彼女はわずかな金を手に入れ
新しいノートを買うのですが…。
国も時代も関係なく戦争の犠牲になるのは常に女性や子どもたちである事に怒りを漲らせながら、タリバンや国際社会だけでなくイランのイスラーム体制をも暗に批判した周到な作品です。

⑨『ジハード・フォー・ラブ』
原題:A Jihad for Love
監督:パーヴェズ・シャルマ / Parvez Sharma
2007年/米=英=仏=独=豪州/アラビア語、トルコ語、英語、ペルシャ語、ウルドゥー語、パンジャービー語、ヒンディー語、フランス語/81分
字幕:日本語、英語
予告篇
https://youtu.be/78jUBRio3So

インド出身のムスリムで、ゲイでもあるパーヴェズ・シャルマ監督が、信仰とセクシュアリティの間で葛藤するムスリムたちの声を集めたドキュメンタリー映画。
本作は過去に『愛のジハード』の邦題で公開されています。
2001年のアメリカ同時多発テロ事件後に本作を作る必要性を強く感じたというシャルマ監督は、6年がかりで世界各地の同胞たちを取材しました。(劇中で話される言語は9つ)
神の存在を意識しながら他者に理解されない葛藤を抱き続ける(しかしそれこそが“ジハード”では)彼らの姿を監督のカメラは真摯に捉えています。


【イスラーム映画祭7アンコール5作品】
●『二つのロザリオ』★名古屋・神戸初公開
監督:マフムト・ファズル・ジョシュクン
2009年/トルコ/87分
東西の文化が交差するイスタンブルを舞台に、“ムアッズィン(礼拝の呼びかけ役)”の青年が隣人のカトリック女性に恋をするお話です。
予告篇
https://youtu.be/L2LfGipDpHQ

●『ラシーダ』★東京のみ
2002年/アルジェリア=フランス/94分
監督:ヤミーナ・バシール=シューイフ
母と娘を主人公に、凄惨を極めた1990年代のアルジェリア内戦を題材にした庶民たちのドラマです。
予告篇
https://www.allocine.fr/.../player_gen_cmedia=18674948

●『ミナは歩いてゆく』
監督:ユセフ・バラキ
2015年/アフガニスタン=カナダ/110分
麻薬中毒の父親と病気の祖父を養うため学校に通いながらカーブルの路上で物売りをする12歳の少女の物語です。
予告篇
https://youtu.be/QH0j5JzQnfg

●『花嫁と角砂糖』
監督:レザ・ミルキャリミ
2011年/イラン/114分
大いなる死生観のもとに生きる、婚礼の祝いに集まった人々の悲喜こもごもを描く何度観ても色褪せない珠玉の名作です。
予告篇
https://www.dailymotion.com/video/xtvt6y

●『青い空、碧の海、真っ赤な大地』
監督:サミール・ターヒル
2013年/インド/137分
多宗教、多言語、多民族のインドが実感できる青春ロードムービーです。
予告篇
https://youtu.be/kAwW1-C1yFs

安宅直子さんトーク《多宗教、他民族、多言語を体感するインドの旅》
http://cineja3filmfestival.seesaa.net/article/480493464.html


ドイツ映画祭 HORIZONTE 2021 『マリアム エヴィーン刑務所に生まれて』監督Q&A (咲)

『マリアム エヴィーン刑務所に生まれて』 
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監督:マリアム・ザレー
2019年、95分、ドイツ語、ペルシア語、フランス語、英語/英語・日本語字幕付

本作の監督であるマリアム・ザレーは、ドイツで女優、そして作家として活躍している。政治犯が収容されるイランのエヴィーン刑務所で生を受けたザレーは、監督としてのデビュー作で、自身の誕生にまつわる状況を明るみに出す。1979年のイラン革命により王政を打倒すると、最高指導者ホメイニーを頂点とするイスラーム体制となる。政治的に対抗する数万人の人々を逮捕、殺害させた。逮捕された囚人の中には監督の両親も含まれていた。この迫害と刑務所での体験は、家族の間でも語られることはなかった。ザレーは、長年の沈黙の壁を破り、カメラを通じて自身の誕生の場所とその状況に切迫する。

1991年、ドイツ、フランクフルト。マリアムが小学校2年生の時の映像。
母ナルゲス、25歳。大学院で心理学を学びながら働いている。
事情があって一緒に暮らせないイランにいる父に送ったビデオメッセージ。
当時、父35歳。

映画の役で、黒づくめのヘジャーブ姿のマリアム。
「こんな姿で逃れてくる難民はいないと監督に反論したのに、親がイラン人というだけで、こんな格好にさせられる」と笑うマリアム。

刑務所で生まれたことは、母が公に語ったことしか知らない。

市長選への出馬をフランクフルト中央駅で宣言する母。
「1985年、クリスマスイブに、2歳の娘を抱いて、ここフランクフルト中央駅にたどり着きました。クリスマスで店が閉まっていたけど、町の人がやさしく迎えてくれました。ドイツ政府は政治亡命を普通に受け入れてくれました」

逮捕された時、妊娠していた母、刑務所で、メス犬、売春婦などと言われた。
刑務所で一緒だった母の親友マリアム。今はパリでセラピストをしている彼女に話を聞きにいく。
「雑居房に、40~60人いた」
「生まれたときには、皆があなたを歓迎した」
「話さないのは、あなたを思うから。いい思い出だけを残したいのよ」

政治犯の遺児には、ほとんど取材を断られた。唯一、電話で話した女性も、「やっぱり無理。暗くなる」と、結局断られた。

政治犯の為の会議がハノーヴァーで開催され、参加するが警戒された。
イラン政府が全世界に諜報員を送っているから。

母と昔話ができない。この映画を作ることを話したら、感動してくれたけれど、なかなか話そうとしない。
王政打倒で闘った母。革命運動の中で父と知り合う。
でも、皆が望んだ自由な社会にならなかった。イスラーム政権となり、1983年、反体制派として母も父も逮捕される。死刑囚だった父は、7年の刑期で釈放された。
マリアムだけ1歳の頃、先に釈放されて、祖父母と暮らしていた。

父の姉がパリにいて、夏はいつも一緒に過ごした。
うっかり口をすべらせた伯母から自分が刑務所で生まれたことを知った。
親の世代の思いを知りたい。
第二世代の子どもたちが知らない事実が多い・・・



イランで革命が起こる直前の1978年5月に初めてイランを旅しました。旅人には反体制派の動きはわからず、平穏なイランでした。その後、あれよあれよという間に、革命のうねりが大きくなって、1979年2月に王様が追い出され、革命成就。王政打倒で様々な考えの人が闘っていたのですが、気がついたらイスラーム体制になっていたという次第。
1989年に11年ぶりに訪れたイランは、王政の頃と180度変わった社会になっていました。
王政の頃にも、秘密警察がいて、多くの反体制派の人たちが政治犯として捕まり処刑されていたので、そういう面は変わってないのが皮肉です。
革命後、アルメニアやアッシリアのキリスト教徒の人たち、ユダヤ教徒の人たちなどムスリムでない人たちをはじめ、イスラーム体制に息苦しさを感じる人たちが数多くイランを離れ、その数、800万人とも言われています。イランの人口の1割です。

映画の最後、母ナルゲスが15歳の時に父から譲られた蔵書をマリアムに見せます。大切なことが書いてあると。ページを開いて占いをしたので、ハーフェズ詩集だと思います。 イランを離れても、イラン人の心を忘れずに生きていることを感じさせてくれました。(咲)


◆マリアム・ザレー監督Q&A
11月20日(土)18:00からの上映後、リモートで開催されました。
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MC:マリアムさんは、俳優としてこれまで数々の作品に出ていらっしゃいまして、今回のドイツ映画祭でも、『未来は私たちのもの』『システム・クラッシャー 家に帰りたい』にも出演されています。また、これまでに日本でも公開された『水を抱く女』などに出演されています。現在のドイツ映画界で活躍されている女優でもあります。

*観客からの質問*
― 映画が公開後に、さらにお母様と話をされましたか?

監督:母は制作プロセスに当初から深く関わってくれました。制作する意味や、テーマの持つ重要性や意義についてなど、いろいろな話を母としながら出来上がった映画です。
2019年、ベルリン映画祭でのプレミア上映の時もその場にいました。その後、各地の映画祭で上映される時にも、ついてきてくれました。どこまで自伝的部分について、母とどこまで深く話したかは私の心の内にとどめておきます。映画という媒体を使って語ることと、自分だけの領域を区別したいと考えています。いろいろなコミュニケーションの形があって、言葉を介したこともあれば、感情のレベルなどいろいろな交流がありました。そのプロセスをどう扱うかが、映画人としての私の姿勢です。

― 多くの人に取材する中で、一番印象に残った人は?

監督:映画を作るのに6年かけました。120時間の素材から97分に出来上がったので、サイドストーリーがたくさんあります。6年間、多種多様な経験をしました。たくさんの方との出会いがありました。政治的に活動している人、人道的に重要な人、感情面でもいろいろな出会いがあって、心から感謝しています。40か国で上映して、観客の方とも交流しました。一人を選ぶことはできません。一人一人がパズルのピースのようになっていて大事です。
上映後のトークで自分と重ね合わせて話してくださる方もいました。親が刑務所にいたという方も。それを聞くたびに心を打たれました。ボスニア、トルコ、ポルトガル・・・どこにいっても、共通点や個人的な体験を語ってくださる方がいました。イランという私の特定の国における経験に共鳴して語ってくださったことに感動を覚えています。

― 監督作品を通して得られた経験は、私生活や表現者としてのあなたにどんな影響を与えてくれましたか?

監督:映画を制作したことは、私のこれまでの人生において最も意義のあることでした。これだけの長い時間をかけて集中して、自分の経歴に向かい合ったことはありませんでした。人道にかかわる犯罪を直視したことは私の人生に大きく影響しました。
出演していたシャーラさんも言ってましたが、扉を勇気をもって開けることに意義がありました。その向こうにあるものが何であるかがわかって不安がなくなりました。
俳優としての私は別の営みですが、監督したことによって、演技に対する心構えが少し軽くなった気がします。

― 最初とラストに監督がパラシュートを持つ場面があります。どんな意味がありますか?

監督:語りのレベルとして、連想を持てる余白を入れています。パラシュート、水の中の場面、森や家の中の場面など。一方で、ドキュメンタリーとして事実を語っていくのですが、映画という媒体だからこそ加えてできることがあると思いました。それは、皆さんに連想していただけるような手法。詩的なもの、メタファーとしてお見せするレベルのもの。象徴として皆さんに届くにではないかと思いました。とりわけ、トラウマや世代間の葛藤を描く場合、全部を狭い領域でなく、映画というビジュアルにおいて別の語りのレベルを入れ込むことが大事だと思っています。パラシュートの場面もそうです。これでほんとに命が助かるの?と、ユーモアも交えて描きました。一人一人何かを感じ取っていただければと思います。

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(C)Tondowski Films


― 偶然のような必然の出会いでストーリーが進んでいきますが、見えない糸に導かれたと感じた瞬間はありますか?

監督:運命的なものは確かに何かしらあって、謎めいたものです。いろいろなことが絡まりあっていくのは知識として説明できないことだと感じています。あえて理解しないようにするところに、より深いものが得られると思います。

― 監督が読んだ本で影響されたものは? また私たちに薦めたい本は?

監督:今、本棚の前に座っていますが、ちょっと考えてみます。
12世紀のペルシアの詩人ルーミーの作品はお薦めです。(日本語訳がありますと会場から)
映画のリサーチの一環で大事だった本は、ジョセフ・キャンベルの「千の顔を持つ英雄」です。人間が何千年も前から語り継いできた神話が、構造的にどう語られて続けてきたかを解き明かした本です。

― 6年間取材してきた中で、これで映画ができる!と思った発言や出会いは?

監督:映画は資金繰りができないと完成しませんので、最初に助成金が出るとわかったときには、実質的に映画ができると思いました。気持ち的に、かなり最初の方で、私はこの映画を作らないといけないと思った瞬間はありました。どういう風に作り上げるかは考えていない段階で、確かな気持ちを持ちました。

― マリアムさんと同じような状況にある子どもたちにメッセージをお願いします。

監督:(しばらく考えて)人生は時にはとても困難なこともありますが、素敵なこともたくさんあるし、贈り物を得られる時もあります。決して人生を怖がらないでほしいです。必ず、贈り物が得られると信じています。愛は必ず勝利します。

― 今後も監督作を作っていくご予定はあるのでしょうか?

監督:次回作を準備中で、脚本を書いているところです。今度は12~13歳の子どもが主人公のフィクションです。

*マリアムさんの監督次回作、そして出演次回作を楽しみにしたいと思います。


マリアム・ザレー

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1983年テヘラン生まれ。フランクフルト・アム・マインで育ち,バーベルスベルク映画大学で演劇を学ぶ。最近では,ドラマシリーズ『4 Blocks』(Marvin Kren監督,2017),映画『未来を乗り換えた男』(Transit, クリスティアン・ペッツォルト監督,2018)および多数の劇場で俳優として活躍している。また,俳優業の傍ら,作家および監督としても活動している。2017年には,劇作『Kluge Gefühle』により,ハイデルベルク演劇祭シュトゥッケマルクトで作家賞を受賞し,2018年には『4 Blocks』での演技により,グリメ賞を受賞。初監督作品である『マリアム エヴィーン刑務所に生まれて』は,2019年のベルリン国際映画祭でプレミア上映され,パースペクティヴ・ドイツ映画部門Compass-Perspektive賞を受賞した。また2020年のドイツ映画賞でドキュメンタリー部門受賞作品。