10月6日(水)3時より、第22回東京フィルメックスのラインアップ発表記者会見がオンラインで開催されました。
会期:10月30日(土)-11月7日(日) (全9日間)
会場:有楽町朝日ホール(10/30-11/7)、ヒューマントラストシネマ有楽町SCR2(10/30-11/6 レイトショー会場)、オンライン
チケット販売: 10月17日(日)10am開始予定
上映日程 https://filmex.jp/2021/schedule
公式HP: https://filmex.jp/
◆新プログラム・ディレクター神谷直希氏より発表
これまでのプログラム・ディレクター市山尚三氏が、2021年4月に東京国際映画祭のプログラミング・ディレクターに就任され、新たなプログラム・ディレクターとして5月に着任した神谷直希氏よりラインアップ発表が行われました。
ラインアップ発表の前に、神谷直希氏が就任の経緯を含めて自己紹介されました。
「2000年の第1回東京フィルメックスに関わり、第2回目以降は作品・プログラム担当スタッフとして、林加奈子さんや市山尚三さんをサポートして、上映作品の選定やゲストの招聘業務に携わり、フィルメックスの過程を見てきた一人です。2年ほど、フィルメックスから離れていたのですが、昨年末から市山さんの後任を探している中で候補にあがり、出戻ってきました。外部から新しい人を招くという選択肢もあったと思うのですが、フィルメックスが培ってきたものを継承していく意向です。市山さんからも継続性についてお話がありました。良い部分は継承していくべきで、またアジアの映画祭として、アジアの作品を紹介していくという意義も担っていきたいと思っています」
「今回も東京国際映画祭と同時期開催となりますが、充分棲み分けが出来たと思います。作品ありきですので、結果に反映させたい。東京国際映画祭で市山さんがプログラミングに携わっていることに対する影響はあると思います。ディレクターが代わったことに対して、不安に思っている方もいらっしゃると思いますが、あらためて信頼を勝ち取っていくしかない。引き続き、フィルメックスをどうぞよろしくお願いします。」
東京フィルメックス・コンペティション 10作品
『見上げた空に何が見える?』 What Do We See When We Look at the Sky?
ドイツ、ジョージア / 2021 / 150分
監督:アレクサンドレ・コベリゼ(Alexandre KOBERIDZE)
『朝が来ますように』 Let it be Morning
イスラエル、フランス / 2021 / 101分
監督:エラン・コリリン(Eran KOLIRIN)
『砂利道』 Hit the Road ★長編監督デビュー作
イラン / 2021 / 93分
監督:パナー・パナヒ( Panah PANAHI )
『小石』 Pebbles ★長編監督デビュー作
インド / 2021 / 74分
監督:P.S.ヴィノートラージ(P.S. VINOTHRAJ)
『時の解剖学』 Anatomy of Time
タイ、フランス、オランダ、シンガポール / 2021 / 118分
監督:ジャッカワーン・ニンタムロン(Jakrawal NILTHAMRONG)
『ホワイト・ビルディング』White Building
カンボジア、フランス、中国、カタール / 2021 / 90分
監督:ニアン・カヴィッチ(NEANG Kavich)
『ユニ』Yuni
インドネシア、シンガポール、フランス、オーストラリア / 2021 / 95分
監督:カミラ・アンディニ(Kamila ANDINI)
『永安鎮の物語集』Ripples of Life
中国 / 2021 / 123分
監督:ウェイ・シュージュン(WEI Shujun)
『ただの偶然の旅』 Bipolar ★長編監督デビュー作
中国 / 2021 / 110分
監督:クィーナ・リー( Queena LI )
『青春墓場』 Graveyard of Youth
日本 / 2021 / 96分
監督:奥田庸介(OKUDA Yosuke)
特別招待作品 9作品
【オープニング作品】
『偶然と想像』 Wheel of Fortune and Fantasy
日本 / 2021 / 121分
監督:濱口竜介(HAMAGUCHI Ryusuke)
【クロージング作品】
『メモリー・ボックス』 Memory Box
フランス、レバノン、カナダ、カタール / 2021 / 100分
監督:ジョアナ・ハジトゥーマ&カリル・ジョレイジュ(Joana HADJITHOMAS & Khalil JOREIGE)
『アヘドの膝』 Ahed's Knee
フランス、ドイツ、イスラエル / 2021 / 109分
監督:ナダヴ・ラピド(Nadav LAPID)
『永遠に続く嵐の年』 The Year of the Everlasting Storm
アメリカ、イラン、チリ、タイ、イギリス、シンガポール / 2021 / 121分
監督:ジャファール・パナヒ(Jafar PANAHI)、アンソニー・チェン(Anthony CHEN)、マリク・ヴィタール(Malik VITTHAL)、ローラ・ポイトラス(Laura POITRAS)、ドミンガ・ソトマヨール(Dominga SOTOMAYOR)、デヴィッド・ロウリー(David LOWERY)、アピチャッポン・ウィーラセタクン(Apichatpong WEERASETHAKUL)
『狼と羊』 Wolf and Sheep
デンマーク、フランス、スウェーデン、アフガニスタン / 2016 / 86分
監督:シャフルバヌ・サダト( Shahrbanoo Sadat )
『魔法使いのおじいさん』The Bogeyman
インド / 1979 / 90分
監督:G.アラヴィンダン( G.ARAVINDAN )
『瀑布』The Falls
台湾 / 2021 / 129分
監督:チョン・モンホン( CHUNG Mong-Hong )
『行くあてもなく』 I'm So Sorry
香港、フランス、オランダ / 2021 / 96分
監督:チャオ・リャン( ZHAO Liang )
『麻希のいる世界』 The World of You
日本 / 2021 / 89分
監督:塩田明彦( SHIOTA Akihiko )
配給:シマフィルム
メイド・イン・ジャパン部門 4作品
『春原さんのうた』 Haruhara-san's Recorder
日本 / 2021 / 120分
監督:杉田協士( SUGITA Kyoshi )
配給:イハフィルムズ
『夜明けの夫婦』Dawning on Us
日本 / 2021 / 135分
監督:山内ケンジ( YAMAUCHI Kenji )
配給:スターサンズ
『MADE IN YAMATO』
日本 / 2021 / 120分
監督:冨永昌敬( TOMINAGA Masanori )、清原惟( KIYOHARA Yui )、山本英( YAMAMOTO Akira )、竹内里紗( TAKEUCHI Risa )、宮崎大祐( MIYAZAKI Daisuke )
配給:boid/VOICE OF GHOST
『リング・ワンダリング』Ring Wandering
日本 / 2021 / 103分
監督:金子雅和( KANEKO Masakazu )
配給:ムービー・アクト・プロジェクト
プレ・オンライン配信 3本
今年のフィルメックス・コンペティションで上映する3監督の過去フィメックスで紹介した作品を映画祭開催に先立ってオンラインでプレ配信
『消失点』Vanishing Point
タイ / 2015 / 100分
監督:ジャッカワーン・ニンタムロン(Jakrawal NILTHAMRONG)
『昨夜、あなたが微笑んでいた』 Last Night I Saw You Smiling
カンボジア、フランス / 2019 / 77分
監督:ニアン・カヴィッチ(NEANG Kavich)
『見えるもの、見えざるもの』The Seen and Unseen
インドネシア、オランダ、オーストラリア、カタール / 2017 / 86分
監督:カミラ・アンディニ(Kamila ANDINI)
オンライン配信
配信期間:11月7日(日)-11月23日(火・祝) (予定)
料金:1作品1,700円
配信方法:公式サイトにて告知
https://filmex.jp/2021/news/information/online2021
SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2021 『宴の日』
国際コンペティション
宴の日 英題:Festival 原題:잔칫날
監督:キム・ロッキョン
出演:ハジュン、ソ・ジュヨン
2020年 / 韓国 / 108分
https://www.skipcity-dcf.jp/films/intl03.html
*物語*
イベント司会などで日銭を稼いでいるギョンマン。入院中の父を妹ギョンミと交代で看ていたが、亡くなってしまう。悲しむ暇もなく、通夜の食事から祭壇や棺など、葬儀社に選択を迫られる。蓄えはないから節約するしかない。そんな折、売れっ子の先輩から、自分の代わりに翌日港町で開かれる老婦人の傘寿の誕生日会の司会に行ってほしいと頼まれる。ギャラは200万ウォン。父が亡くなったとは言えず、葬儀を抜け出して港町に行く。依頼主から、両親は陽気な夫婦だったけど、父が亡くなってから母が落ち込んでいるので、笑わせてほしいと頼まれる。踊りの時に着てほしいと、父親が愛用していた韓服を渡される。亡き夫の服を着たギョンマンを見て、「ヨボ~(あなた)」とにっこり笑って倒れる老婦人。救急車で運ばれるが、亡くなってしまう。ギョンマンが手を取ったことから倒れたと疑われ、警察に取り調べられ、なかなか帰してくれない。葬儀社からは、まだ決めてなかった棺のことで電話がかかってくる。妹ギョンミも、喪主がいないことを親戚に責められ、途方に暮れてしまう・・・
傘寿のお祝いで亡くなった老婦人の葬儀は、息子が有力者らしく盛大。ギョンマンならずとも、格差に溜息が出ます。肉親が亡くなり、呆然としている時に、葬儀の段取りをしなくてはいけないのは、ほんとにつらいものです。葬儀社に言われるままになってしまいがちですし、せっかくならお金をかけてあげたいとも思うものです。そんな悲喜こもごもを、ユーモアも交えて描いた作品でした。韓国の葬儀や誕生祝の様子を垣間見れたのも興味深かったです。
◆キム・ロッキョン監督インタビューより
公式サイト動画はこちら
撮影は、父の葬儀をした場所で
9年前に父を亡くしてから、いろいろ考えるようになりました。
葬儀場は大切な人を見送る場所。3日間の間に、お金を重要視する人がいたり、内輪で喧嘩が起こったりするのを子どもの頃にも見たことがありました。愛する人を思い、悲しみに浸る3日間でありたいと思いました。
「後悔しないで生きていきたい」という自身の思いからお葬式をテーマにしました。
父の葬儀で出せなかった感情を主演二人に託した
兄ギョンマンは、痛みを抱えているのに表に出せないという人物です、
ハジュンは「バッドパパ」(18)などテレビドラマで活躍していますが、オーディションの時に明るい姿しか見せないのに、あとから映像を見てみたら、それだけでないのを感じました。もう一度会ってみたら、私と似ていて、ギョンマンにも似ていて、お願いしました。二人でギョンマンを作っていきました。いい目をしていて、それも決め手でした。
妹ギョンミは、兄妹二人が一人の人物に見えるようにしたいと、ハジュンさんに決めた後に、ソ・ジュヨンさんにお願いしました。二人一緒のシーンは多くないのですが、撮影が終わってから、むしろ親しくなってました。
私は父の納棺の時に、我慢して感情を出せませんでした。私が当時出来なかったことを主演の二人に託しました。
映画を観て、人生で大切なことは何か、そして、大切な人のことを思っていただければと思います。
監督と俳優の両方を続けていきたい
本作は、初監督作品ですが、自分の俳優経験が役に立ったと思います。でも、俳優経験に基づいて、出演する俳優たちにお話しするので、しつこいと思われたかもしれません。心を使って演じないといけないので、心が傷つかないように心がけました。
これからも監督と俳優の両方をやっていきたいです。
監督としては、2本目の長編を撮り終えました。このインタビューの背景は、その映画のセットです。
宴の日 英題:Festival 原題:잔칫날
監督:キム・ロッキョン
出演:ハジュン、ソ・ジュヨン
2020年 / 韓国 / 108分
https://www.skipcity-dcf.jp/films/intl03.html
*物語*
イベント司会などで日銭を稼いでいるギョンマン。入院中の父を妹ギョンミと交代で看ていたが、亡くなってしまう。悲しむ暇もなく、通夜の食事から祭壇や棺など、葬儀社に選択を迫られる。蓄えはないから節約するしかない。そんな折、売れっ子の先輩から、自分の代わりに翌日港町で開かれる老婦人の傘寿の誕生日会の司会に行ってほしいと頼まれる。ギャラは200万ウォン。父が亡くなったとは言えず、葬儀を抜け出して港町に行く。依頼主から、両親は陽気な夫婦だったけど、父が亡くなってから母が落ち込んでいるので、笑わせてほしいと頼まれる。踊りの時に着てほしいと、父親が愛用していた韓服を渡される。亡き夫の服を着たギョンマンを見て、「ヨボ~(あなた)」とにっこり笑って倒れる老婦人。救急車で運ばれるが、亡くなってしまう。ギョンマンが手を取ったことから倒れたと疑われ、警察に取り調べられ、なかなか帰してくれない。葬儀社からは、まだ決めてなかった棺のことで電話がかかってくる。妹ギョンミも、喪主がいないことを親戚に責められ、途方に暮れてしまう・・・
傘寿のお祝いで亡くなった老婦人の葬儀は、息子が有力者らしく盛大。ギョンマンならずとも、格差に溜息が出ます。肉親が亡くなり、呆然としている時に、葬儀の段取りをしなくてはいけないのは、ほんとにつらいものです。葬儀社に言われるままになってしまいがちですし、せっかくならお金をかけてあげたいとも思うものです。そんな悲喜こもごもを、ユーモアも交えて描いた作品でした。韓国の葬儀や誕生祝の様子を垣間見れたのも興味深かったです。
◆キム・ロッキョン監督インタビューより
公式サイト動画はこちら
撮影は、父の葬儀をした場所で
9年前に父を亡くしてから、いろいろ考えるようになりました。
葬儀場は大切な人を見送る場所。3日間の間に、お金を重要視する人がいたり、内輪で喧嘩が起こったりするのを子どもの頃にも見たことがありました。愛する人を思い、悲しみに浸る3日間でありたいと思いました。
「後悔しないで生きていきたい」という自身の思いからお葬式をテーマにしました。
父の葬儀で出せなかった感情を主演二人に託した
兄ギョンマンは、痛みを抱えているのに表に出せないという人物です、
ハジュンは「バッドパパ」(18)などテレビドラマで活躍していますが、オーディションの時に明るい姿しか見せないのに、あとから映像を見てみたら、それだけでないのを感じました。もう一度会ってみたら、私と似ていて、ギョンマンにも似ていて、お願いしました。二人でギョンマンを作っていきました。いい目をしていて、それも決め手でした。
妹ギョンミは、兄妹二人が一人の人物に見えるようにしたいと、ハジュンさんに決めた後に、ソ・ジュヨンさんにお願いしました。二人一緒のシーンは多くないのですが、撮影が終わってから、むしろ親しくなってました。
私は父の納棺の時に、我慢して感情を出せませんでした。私が当時出来なかったことを主演の二人に託しました。
映画を観て、人生で大切なことは何か、そして、大切な人のことを思っていただければと思います。
監督と俳優の両方を続けていきたい
本作は、初監督作品ですが、自分の俳優経験が役に立ったと思います。でも、俳優経験に基づいて、出演する俳優たちにお話しするので、しつこいと思われたかもしれません。心を使って演じないといけないので、心が傷つかないように心がけました。
これからも監督と俳優の両方をやっていきたいです。
監督としては、2本目の長編を撮り終えました。このインタビューの背景は、その映画のセットです。
(景山咲子)