第8回グリーンイメージ国際環境映像祭 上映日程&作品詳細

第8回グリーンイメージ国際環境映像祭

-映像のまなざし ここから向かう未来-

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期間:2021年3月26日(金)〜28日(日)
会場:新潟・十日町市 道の駅まつだいふるさと会館 常春ホール(新潟県十日町市松代3816-1 ほくほく線「まつだい」駅直結2階)

★オンラインにて同時開催
会場参加:協力費1日1,000円 学生協力費1日500円 3日間通し券2,000円 中学生以下無料・事前予約不要
オンライン参加:協力費1日1,000円 3日間通し券2,000円

日本で唯一の環境をテーマとしたグリーンイメージ国際環境映像祭。
コロナ禍による様々な問題を経験し、今年度の開催は、これまでとは違う映像祭開催へ挑戦する第一歩として、毎年、東京の会場で開催してきたのを、新潟県十日町市の松代に会場を移すとともに、全国どこからでもオンラインでご参加できる新しい開催方式になりました。

自然豊かな環境に囲まれた会場での開催と、一ヶ所に集まらなくても皆さんにご覧いただけるオンライン配信でこれまで以上により多くの皆さんに環境の今を知っていただく機会となっています。

問い合わせ :
グリーンイメージ国際環境映像祭実行委員会 新潟事務所
Tel 090-3200-1992  https://green-image.jp/

★プログラムの詳細はこちら★
https://green-image.jp/filmfestivals/8th/

★オンライン参加情報はこちら★
https://greenimage.peatix.com

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第8回グリーンイメージ国際環境映像祭には、世界43の国と地域の177作品の環境をテーマとして映像作品が応募されました。

映像祭では、その中から2度の審査を通して選ばれたグリーンイメージ賞受賞12作品を上映、最終日には、グリーンイメージ大賞が決まります。

受賞作品は、イラン、インド、オランダ、カナダ、シンガポール、スイス、日本、フランス、ペルーで製作されたドキュメンタリーと短編のアニメーションとドラマ。

水をめぐる物語、
身近な水と遠くの水を繋ぐ子どもの想像力、
気候変動による格差と紛争の火種、歴史といまを繋ぐ生のきらめき、

コミュニティをめぐる物語、
伝統を新しい価値へと育む先住民の女性たち、
野生生物とともに生きることを目指す地域の軽やかな挑戦と奇跡、
豊かさと開発に揺れる地域とひとびとの暮らし、
愛らしいめいぐるみで描かれた世界のいまと歴史を映し出す寓話

生きもの・自然と人の関係を思い巡らし、問う物語、
SNSとセルフィーの時代の自然と人の繋がり、
自然観によって紡がれた野生生物との距離、

いろどり豊かな題材が多様な手法で描かれています。

作品上映と監督トークに加えて、「馬搬・馬耕」をテーマとして里山での多様な馬の利活用の未来を考える、特別プログラムもあります。

世界の優れた環境「映像のまなざし」を通して、地球のいまが見える、日本と世界の環境と「ここから向かう未来」を考える3日間です。

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*プログラム*

◆3月26日(金)March 26 Fri.
10:00 『この水だれの水』Isn't Water
水不足で苦しむ地域の子どもたちの新聞記事を見た少女がとった小さな一歩。
イランから届いたショートドラマ。
イラン Iran / 3 min / 2019 / 言語なし No Dialogue
プロデューサー Producer :Art Department of North Khorasan
監督 Director : Noah AMANI
配給 Distribution : b2bfilm.ir


10:05 『パキスタン - 溶けゆくヒマラヤ』Pakistan's Himalayan Meltdown
「雪の家」という意味の名であるヒマラヤの氷河は、気候変動により、今世紀末までに3分の1が溶けると予測されており、南アジアの約20億人への水の供給が脅かされている。インド・パキスタンの間で起こっているシアチェン氷河を巡る紛争、パキスタンの首都カラチで横行している水泥棒、気候変動緩和のための植林政策など、水を巡る最前線のレポート。
シンガポール Singapore / 50 min / 2020 / 英語(日本語字幕) English with Japanese Subtitles
プロデューサー・監督 Producer & Director :Shehzad Hameed AHMAD
製作 Production : Mediacorp Pte Ltd
【上映後トーク】
シャーザード・ハミード・アフマドさん『パキスタン - 溶けゆくヒマラヤ』監督

<休憩 Intermission>

12:30 『水俣曼荼羅』MINAMATA Mandala
日本四大公害病の一つとして知られる水俣病。その補償をめぐっていまだ裁判の続く患者たちの戦いを15年に渡って撮影し、5年間の編集を経て完成させたドキュメンタリー。
裁判の経過とともに人々の日常生活や水俣病をめぐる学術研究までが網羅された一大叙事詩。
日本 Japan / 369 min / 2020 / 日本語(英語字幕)
プロデューサー Producer :原 一男、小林 佐智子、長岡 野亜、島野 千尋
監督 Director : 原 一男 HARA Kazuo
製作・配給 Production & Distribution : 疾走プロダクション Shisso Production
【上映後トーク】
原 一男さん 『水俣曼荼羅』 監督

19:40 終了予定


◆3月27日(土) March 27 Sat

10:00『母たちの大地』Mothers of the Land
アンデス高地に生きる5人の女性たち。農薬や遺伝子組み換え種子を使う工業的農業が主流となった中、伝統的な有機的方法で農耕を続けようと奮闘する彼女たちの日々を追う。
ペルー Peru / 74 min / 2019 / ケチュア語・スペイン語(日本語・英語字幕)Quechua, Spanish with English & Japanese Subtitles
プロデューサー・監督 Producer & Director : Alvaro SARMIENTO, Diego SARMIENTO
製作・配給 Production & Distribution : HDPeru

<休憩 Intermission>

12:15『たづ鳴きの里』Cries of the Crane
北海道長沼町の農家が100年以上前に姿を消したタンチョウを呼び戻す活動を始めた。洪水対策として造られた遊水地に湿地を復活させ、ツルの繁殖を目指すものだ。空き地が湿地へと変わっていく中、別の動物が訪れて農業被害が起き、ツルを追いまわす撮影者も現れる。住民と農業とツルの共存を目指して模索を続ける農民たちの1500日。
日本 Japan / 47 min / 2020 / 日本語(英語字幕) Japanese with English Subtitles
プロデューサー Producer : 坂本 英樹 SAKAMOTO Hideki
監督 Director : 沼田 博光 NUMATA Hiromitsu
製作 Production : 北海道テレビ放送 Hokkaido Television Broadcasting
【トークセッション】
沼田 博光さん 『たづ鳴きの里』 監督
竹山 史朗さん 株式会社モンベル 常務取締役 広報本部長

<休憩 Intermission>

13:50 『ワットエバートゥリー』WhateverTree
ある1本の枯れ木が、生きものたちを惹きつけ、自然を愛する人々を惹きつけ、大勢のSNSフォロワーたちを惹きつける。ソーシャルメディア時代の人と自然の関係を切り取るアニメーション。
カナダ Canada / 12 min / 2020 / 言語なし No Dialogue
プロデューサー・監督・製作・配給 Producer & Director & Production & Distribution : Isaac KING


14:05 『移民ホッキョクグマ』Migrants
地球温暖化によって北極に住めなくなった2頭のホッキョクグマ。生きる場所を求める旅の中で、ヒグマに出会い、共生しようと試みるのだが‥‥。
愛らしいめいぐるみアニメーションで描かれるこの世界の寓話。
フランス France / 9 min / 2020 / 言語なし No Dialogue
プロデューサー Producer :Carlos De CARVALHO
監督 Director : Hugo CABY, Antoine DUPRIEZ, Aubin KUBIAK, Lucas LERMYTTE, Zoe DEVISE
製作 Production : Pole 3D
配給 Distribution : Je Regarde
【上映後トーク】
ユーゴ・キャビさん 『移民ホッキョクグマ』 監督

<休憩 Intermission>

15:00 『空にある村』Village In The Sky
十分な飲み水も灌漑施設もないインド・アガスワディー村に、最新の風力発電所開発計画が持ち上がる。開発により生活は改善されるはずだったが‥‥。
インド India / 20 min / 2018 / マラーティー語(日本語・英語字幕)Marathi, with English & Japanese Subtitles
プロデューサー Producer :Film and Television Institute of India
監督 Director : Ramesh Laxmanrao HOLBOLE
製作 Production : Film and Television Institute of India

<休憩 Intermission>

15:30 『サマショール 遺言第6章』Samosely: The Will - Chapter 6
放射能汚染により全ての村民が避難した福島県飯舘村。東日本大震災から6年後、避難指示が解除され、仮設住宅で暮らす元酪農家の長谷川健一さんは、ふるさとに戻るのか決断を迫られる。思い立ちチェルノブイリを訪れた長谷川さんが出会ったのは、原発事故から30年後の立入禁止区域に暮らすサマショール(自主帰還者)たちだった。原発事故を苦に命を落とした酪農家仲間の『遺言』と、意志を受け継ぐ飯舘村のサマショールたちの第六章。
日本 Japan / 112 min / 2020年 / 日本語(英語字幕)Japanese with English Subtitles
プロデューサー・監督 Producer & Director : 豊田 直巳、野田 雅也 TOYODA Naomi, NODA Masaya
製作 Production : 映画「遺言」プロジェクト Yuigon Project 
【上映後トーク】
豊田 直巳さん 『サマショール 遺言第6章』 監督

<休憩 Intermission>

18:10『コンビナート』Kombinat
ロシア中央に位置する重工業都市マグニトゴルスク。錆びついた煙突が並び立つ巨大工場の影に、人々の生活がある。製鉄所労働者サシャ、コンビナートの主催講座でサルサを教えるレナ、公害による障がいを持つ娘の親ゲニア、それぞれの日常を通して、この街のかたちが浮かび上がる。
スイス Switzerland / 76 min / 2020 / ロシア語(日本語・英語字幕)
プロデューサー Producer :Xavier DERIGO
監督 Director : Gabriel TEJEDOR
製作 Production : IDIP Films
配給 Distribution : Filmotor

19:30終了予定


◆3月28日(日)March 28 Sun

10:00 『ヒト科ヒト属』The Human
「人間」をネーチャーフィルム風に観察記録するとどう見えるのか?人と自然との関係性を風刺するショートドラマ。
オランダ The Netherlands / 11 min / 2019 / 英語(日本語字幕)
プロデューサー・監督 Producer & Director : Harko WUBS
製作・配給 Production & Distribution : Hark'oh Film

10:15 『ヒグマと老漁師 - 世界遺産・知床を生きる』Bearman of Hokkaido
世界自然遺産登録から15年目の北海道・知床。その奥地にある、ヒグマの世界的密集地帯ルシャにカメラを据え、人とヒグマが共存する姿を36年にわたって克明に記録した。野生のヒグマを叱る老漁師の姿を通して、西洋的な自然観とは異なる、「人も自然の一部にすぎない」という自然観が浮かび上がる。
日本 Japan / 49 min / 2020 / 日本語 Japanese
プロデューサー Producer :松宮 健一 MATSUMIYA Kenichi
監督 Director : 矢内 智大 YAUCHI Tomohiro
製作 Production : NHK札幌拠点放送局 Japan Broadcasting Corp. Sapporo Station 
【上映後トーク】
松宮 健一さん 『ヒグマと老漁師 - 世界遺産・知床を生きる』プロデューサー

<休憩 Intermission>

特別プログラム「馬搬・馬耕-里山での多様な馬の利活用の未来」

13:00 上映『里馬の森から ― 森を活かす古くて新しい技術・馬搬』Working Horses in the Woodlands
現在、日本では人と馬がともに暮らす姿は見ることはできなくなった。山から木を馬と共に搬出する「馬搬」を生業とする馬方は、馬搬が盛んだった東北地方でも岩手県の74歳の職人とその弟子38歳の2人だけになり、全国でも数名を残すのみである。機械に頼らない、山や自然を壊さない生き方が注目されている中、わずかに残る昔ながらの馬との暮らしや文化を1年に渡り記録した。
日本 Japan / 55min / 2016 / 日本語 Japanese
エグゼクティブプロデューサー Executive Producer:小泉 修吉 KOIZUMI Shukichi
プロデューサー・監督 Producer & Director : 尾立 愛子 ODACHI Aiko
製作 Production:グリーンイメージ国際環境映像祭実行委員会 GREEN IMAGE Film Committee

<休憩 Intermission>

14:10 シンポジウム Symposium
【出演者】
中川剛さん 木曽馬保存会事務局
波多野 篤さん スガノ農機株式会社 開発本部長 / 商品開発部長
山口 昇さん  国際大学国際関係学研究科教授
岩間 敬 馬方・一般社団法人馬搬振興会 代表理事

特別プログラム共催:一般社団法人馬搬振興会

<休憩 Intermission>

16:00
表彰式 Award Ceremony

【審査委員】
鵜飼 哲さん  一橋大学名誉教授
岡田 秀則さん 国立映画アーカイブ主任研究員
安川 香澄さん 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構 地熱統括部 特命審議役

17:00終了予定

*プログラム、スケジュールは変更することがあります。ご了承ください。



イスラーム映画祭6 名古屋編 上映日程&トーク情報

2021年3月20日(土) - 3月26日(金)
会場:名古屋シネマテークhttp://cineaste.jp/

名古屋シネマテーク イスラーム映画祭6紹介ページ
http://cineaste.jp/m/3100/3160.htm

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◇上映日程◇

★印 上映後、ゲストによるトークがあります。
それ以外の回は、上映後にイスラーム映画祭主宰の藤本高之さんによる解説があります。

3/20(土)
12:20『結婚式、10日前』
★上映後オンライントーク:
《内戦終結を願って − 映画から知るイエメンという国》
ゲスト:和家麻子さん(危機管理コンサルティング会社勤務)

15:25『シェヘラザードの日記』

3/21(日)
12:20『私の娘の香り』

14:30『汝は二十歳で死ぬ』

3/22(月)
12:20『青い空、碧の海、真っ赤な大地』

15:10『マリアの息子』

3/23(火)
12:20『ザ・タワー』

14:10『痕跡 NSUナチ・アンダーグラウンドの犠牲者』
★上映後トーク
《映画『痕跡』の新しさ − 移民社会を生きる普通の人々》
ゲスト:渋谷哲也さん(東京国際大学教授/ドイツ映画研究者)

3/24(水)
12:20 『孤島の葬列』

14:30『シェヘラザードの日記』 
★上映後オンライントーク
《#私もシェヘラザード − 語り始めた彼女たち》
ゲスト:佐野光子さん(アラブ映画研究者)

3/25(木)
12:20『ミナは歩いてゆく』

14:45『私の娘の香り』

3/26(金)
12:20『ラシーダ』

14:30『長い旅』



イスラーム映画祭6 ★インド映画『青い空、碧の海、真っ赤な大地』

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南インド・マラヤーラム語映画
『青い空、碧の海、真っ赤な大地』★日本初公開
原題:Neelakasham Pachakadal Chuvanna Bhoomi
英題:Blue Skies, Green Waters, Red Earth
監督:サミール・ターヒル Sameer Thahir
2013年/インド/137分
言語:マラヤーラム語 / 英語 / ヒンディー語 / オリヤー語 / アッサム語 / ナガ語 / タミル語 / テルグ語 / ベンガル語

上映前に「チケットが10分で売り切れました」とイスラーム映画祭主宰の藤本さん。インド映画人気、根強いです。
インド南西のケーララから北東のナガランドまで4800キロを旅する物語で、多言語国家インドらしく、これだけの距離を移動するので、9つの言語が出てきます。藤井美佳さんにお願いして、すべて違うカッコにしてもらったとのこと。足りなくなって、ベンガル語の歌はカッコなし。

*物語*
ケーララ州北部カリカットに住むムスリムの青年カシ。愛する女性アシが突然姿を消し、バイクで彼女の故郷ナガランドまで探しにいく旅に出る。一人で行くはずが、親友スニがついてくる。4800キロ離れたナガランドまでの長い旅。まずはカルナータカ州のIT産業の町バンガロールへ。インド東海岸へ出て北上中の夜道で強盗に襲われ、バイカー集団に助けられた二人は誘われるままにプリーの海辺に行く。カシはそこでサーファーの女性イシタと出会い惹かれあうが、アシのことを打ち明け、再び旅立つ。途中、道に迷い、山中の先住民の集落で泊めてもらうことになる。村の長ビマルから、この地で地下資源が見つかり、大企業が土地を搾取しようとしていることを聞かされる。村を出て大都市コルカタで数日滞在し、さらに北上。アッサム州から北東7州に越えるあたりでムスリムを標的にした暴動に遭遇する。カシはスニと別れ、いよいよ一人でナガランドを目指す。教会で祖母と一緒に暮らすアシとついに再会するが、祖母からアシの追手が迫っているので逃げろと言われる・・・


「青春ロードムービー」と紹介されていたので軽いノリを想像していたら、多様なインド社会を背景にした重厚な作品でした。政治的要素もあって、上映後の安宅直子さん(編集者/インド映画研究)のお話を聞いて、この映画の複雑な背景をようやく少し理解することができました。

2/21(日)10:00からの上映後トーク
《多宗教、他民族、多言語を体感するインドの旅》
【ゲスト】安宅直子さん(編集者/インド映画研究)

今は有名になったサミール・ターヒル監督のデビュー作。
おしゃれを追求した人なので、ケーララならTシャツで済むところ、ジージャンを着せたりしている。
カシとスニの乗るロイヤルエンフィールドのバイクは、若者たち憧れのインド産バイク(元の英国会社はつぶれている)。入手できるのは、IT系の人などある程度裕福な層。

二人が世話になる山奥の先住民。
インド北部:アーリア人、南部:ドラヴィダ人 それよりも前からいるのが先住民で、インドでは指定部族。
文明の及ばない僻地で、文明の利器と縁のない暮らしをしている人たちが多い。
不可触民(ダリト)と共にインドの最底辺。
住んでいる地域に鉱物資源が発見されると追い立てられる。

この先住民の村の長ビマルは、ベンガル人のインテリ階級出身。かつては共産主義者で、今はひっそりと山奥の先住民の村で暮らしている。
インドで毛沢東主義派の共産党(マオイスト)ができたのは、2004年。

インド北東部8州の人たちは、ほかのインドを「本土」と呼ぶ。
かなり多くの人たちが、本土に学生や出稼ぎとして出ている。
ケーララ州にも、北東部の人が多く出稼ぎに来ている。
一方、ケーララの人たちはドバイなどに出ている。
主役のカシもドバイ生まれ。

インド北東部8州のうち、シッキムはほかと違い、シッキムを除く7州を「セブンシスターズ」と呼ぶ。
北東部の丘陵地帯の部族社会は、ほとんどがシナやチベット族。
宗教はアニミズムかキリスト教。
ナガランドは首狩りで有名で、落ち着いていない証拠。
ナガランドは、85%がキリスト教。
(この地域にキリスト教徒が多いことは、2018年に公開された『あまねき旋律(しらべ)』を参照ください。
シネジャ作品紹介 
監督インタビュー 

ナガランドでは、長年、独立運動をしている。(1947年のインド独立以前から)
鎮圧のためのアッサムのライフル部隊は、アッサムの人たちではなく、本土から集められた人たちで構成されている。
アシの父親は、ムンバイ出身のマラーター人で、ライフル部隊に所属していた為、その血を引くアシは狙われている。

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もっともっと詳しい解説をしてくださったのですが、この程度の報告でどうぞお許しください。この映画の複雑な背景がやっとわかったので、機会があれば、ぜひもう一度観たいです。

景山咲子



TBSドキュメンタリー映画祭 『ムクウェゲ「女性にとって世界最悪の場所」で闘う医師』

ムクウェゲ「女性にとって世界最悪の場所」で闘う医師.jpg

© TBSテレビ

監督:立山芽以子
撮影:寺尾文人 音声:長谷部全伸 吉良絵里菜 
編集:大生哲司 

2018年、ノーベル平和賞を受賞した医師デニ・ムクウェゲ。
1955年、アフリカ中部、コンゴ民主共和国(旧ザイール)東部地区ブカヴで生まれ、牧師の父が人々のために祈る姿を見て、8歳の時、自分は医師として人を助けると決意。出産で命を落とす女性が多く、婦人科医になるが、最初の患者はレイプされた女性だった。
ムクウェゲ医師が湖の畔の町ブカブに1999年に設立したパンジ病院には、年間2500人~3000人がレイプされ運び込まれてくる。これほどまでにレイプが横行しているのには、ある理由があった・・・ 

「女性にとって世界最悪の場所」と呼ばれるコンゴ東部地区。
1994年の隣国ルワンダでの大量虐殺を機に、コンゴに難民と共に虐殺の首謀者たちが逃げ込み、100もの武装勢力の乱立する無法地帯となりました。これまでに40万人以上の女性たちがレイプされていて、それも、生後6か月の赤ちゃんから、90歳を越える女性まで。武装勢力がレイプするのは、欲望を満たすためではなく、恐怖を植え付け支配するため。この地域では、スズ、金、レアメタル等の天然資源が豊富で、それを奪うのが目的なのです。コンゴは、窓もドアも警備員もいない宝石店のようなもの。埋蔵量は世界一なのに、世界一の輸出国ではないのです。豊富な資源があるのに、住民は貧困の中で暮らしています。
レアメタルは、スマホやPCの原料。ムクウェゲ医師は、コンゴの女性たちの犠牲によって採掘された原料のスマホを使っているかもしれないことを思えば、決して遠い国の問題でないと、国際社会の無関心を嘆きます。
2019年9月に来日したムクウェゲ医師。滞在中に広島を訪れ、核兵器は廃絶されるべきと強調しました。実は、広島に落とされた原子爆弾にはコンゴで採掘されたウランが使われているのだそうです。
暗殺未遂に遭い、一度は国を離れたムクウェゲ医師ですが、今も、国連軍に見守られながらパンジ病院の敷地内で暮らし、女性たちの治療だけでなく自立のための手助けもしています。
2018年のノーベル平和賞授賞式の時に、イラクのヤズィーディー教徒の女性でイスラム国の性奴隷を強いられたナディア・ムラドさんの隣に立っていたムクウェゲ医師のご功績をあらためて知ることのできる映画でした。(咲)


TBSドキュメンタリー映画祭での上映日程
2021年3月20日(土)18:00~
上映後トーク:立山芽以子監督、華井和代(東京大学講師)、米川正子(筑波学院大学准教授)

★オンライン配信のチケットは、こちらで!
https://eplus.jp/sf/detail/3386850002-P0030010

2021年/ステレオ/70分 © TBSテレビ
RITA-Congoのサイト:https://www.rita-congo.org/single-post/tbs-movie-0318
TBSドキュメンタリー映画祭公式サイト:http://www.tbs.co.jp/documentaryeigasai2021/


イスラーム映画祭6『汝は二十歳で死ぬ』 イスラーム聖者の言葉を信じたスーダンの母子 (咲)

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『汝は二十歳で死ぬ』 ★日本初公開
原題・英題:You Will Die at Twenty
2019年/スーダン=エジプト=フランス=ドイツ=ノルウェー=カタール/102分/アラビア語
監督:アムジャド・アブー・アラー Amjad Abu Alala

*物語*
ラクダの死骸にハゲタカ。
沙漠を人々が歩いていく。
太鼓の音。
サキーナは生まれたばかりの息子ムザンミルを連れて聖者廟に行く。
シャイフ(老師)に息子の運命を尋ねる。
ちょうどそばで、神の名を唱えながらぐるぐる回って無我の境地に至るズィクルをしている若者がいて、20回目で倒れる。
「息子は20歳で死ぬ。神の命令は絶対だ」とシャイフ。
家に帰り夫ヌールに伝えると、夫は怖気づいてアディスアベバに出稼ぎに行ってしまう。
サキーナは壁に月日を記録しながら、一人でムザンミルを過保護に育てる。
シャイフから20歳で死ぬとしても、クルアーンは学ぶべきと言われ、モスク付属の学校に通う。
人一倍クルアーンに精通するが、20歳で死ぬ奴と男の子たちからはいじめられる。
仲良くなった少女も、成人すると、早死するムザンミルは避けて、別の男に嫁いでしまう。

成長したムザンミルはある日、届け物をしに行って洋行帰りの男スライマーンと知り合う。
写真や映画を見せてもらい、外の世界を知る
スライマーンは、「20歳で死ぬと言われたら王様のように振る舞う」という。

ケニアやリビアで出稼ぎしていた父がようやく帰ってくる。
お葬式用にと白檀を用意する母。
墓地で両親、ムザンミルはお互い自分の父の隣に埋葬すると言い争う。
壁の月日の印をランプで照らす父。 
ついに20歳の日を迎える・・・


2019年まで30年間続いたイスラーム主義政権下で映画産業が衰退したスーダンで作られた史上7番目の長篇作品。
スーダンの映画事情については、2020年4月6日に公開されたドキュメンタリー映画『ようこそ、革命シネマ』で詳しく描かれていました。
1956年にスーダンが独立して間もない1960〜70 年代に海外で映画を学んだ4人が、1989年に映画製作集団「スーダン・フィルム・グループ」を設立。同じ年、クーデターでイスラーム急進派の独裁政権が誕生し、言論の自由は奪われ、映画も発禁処分に。2015年、長い時を経て再会した4人が、映画産業が崩壊し、映画館も皆無となったスーダンで、かつて映画文化があったことを記録に残し、スーダンの人たちに映画を見せたいと奔走します。4人が行うハルツーム郊外での上映会で、砂嵐でスクリーンが飛ばされそうになっても、画面に釘付けになっている人たちの姿に胸が熱くなりました。
そんなスーダンで作られた長編映画『汝は二十歳で死ぬ』は、スーフィズムの根付く村で、聖者の言葉を頑なに信じて生きる人々の姿を描いて、一神教のはずのイスラームの違った一面を見せてくれました。
そばでズィクルをしていた青年が20回で倒れたからと、20歳で死ぬと伝えたシャイフの言葉を信じてしまう母親を、そんな馬鹿な・・・と思ってしまいますが、それが信仰の力というものなのでしょう。


◆2月23日(火・祝)12:30からの上映後のトーク
《スーダンのイスラーム − スーフィズムと民衆》
ゲスト:丸山大介さん(防衛大学校准教授)


2008年から2011年、ハルツーム大学でスーダンのスーフィズムを研究。
本作は年代も場所も特定されていないが、おそらくハルツームから南200キロ位の青ナイルと白ナイルに挟まれた地方の村と思われる。
携帯電話も衛星のお皿も出てこないが、現代の話とも思える。
恐らくオマル・バシール政権(1989年~2019年)の時代で、軍事政権の上に、イスラームを強いていた。バシール大統領は、タリーカ(スーフィ教団)を利用して政治集会を行っていた。

スライマーンがムザンミルに見せた映画は、ユーセフ・ シャヒーン監督の『カイロ中央駅』(1958年)。(アラブ映画祭2007で拝見)

スーフィズム(イスラーム神秘主義)についての解説のあと、スーダンのいくつかのタリーカ(スーフィ教団)のズィクルなどの儀式の映像を見せていただき、とても興味深いトークでした。