イスラーム映画祭6  ★5日目 『私の娘の香り』(咲)

イスラーム映画祭6 5日目 2月24日(水)

会場のユーロスペースに向かう坂の下で、4年前のイスラーム映画祭で知り合ったE子さんと遭遇。今回、なかなか会えないなぁ~と思っていたのでした。もし会えれば・・・とお菓子までご用意してくださっていて、感謝♪
E子さん、1本目の『タワー』は観られたけど、2本目の『私の娘の香り』は満席で諦めて帰るところとのことでした。トーク付きの回は、特に人気です。平日も賑わっていて、自分のことのように嬉しいです。
ユーロスペースに着いたら、ロビーでこの日のトークに登壇する山崎やよいさんにお会いできました。昨年のイスラーム映画祭5で、『ゲスト:アレッポ・トゥ・イスタンブール』上映後のトークに登壇され、その後、渋谷駅でのシリア大空襲を抗議するデモンストレーションの折に直接お話することができたのを懐かしく思い出しました。
その時のことは、こちらで!

私にとっては、この日で今回のイスラーム映画祭で初上映されるものはすべて観終えることになりました。

12:45~
『私の娘の香り』
原題:Kizim Gibi Kokuyorsun  英題:Scent of My Daughter
2019年/トルコ=アメリカ=フランス/トルコ語・フランス語・英語・クルド語・アラビア語/96分
監督:オルグン・オズデミル Olgun Özdemir
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2016年7月14日、革命記念日を祝う花火があがる中、南仏ニースでテロが起こる。アルメニア系移民2世のフランス女性ベアトリスは、犠牲になった父の遺体を遺言に従ってトルコの故郷の村に埋葬しに赴く。シリア国境に近いハタイ県のワクフル村はトルコで唯一残るアルメニア人の村。(アルメニア語ではヴァケーフ)
同じ頃、ISISの奴隷となっていたシリア出身のヤズィ―ド教徒のクルド人の少女ヘヴィは、トルコ軍に救出されたが、難民キャンプに姉がいると聞いて探すために逃げ出す。
ベアトリスとヘヴィは、墓地で知り合う。トルコ軍の青年イブラヒムもまた、両親の眠る墓地を訪れ、二人と出会う・・・

墓石に刻まれたイブラヒムの両親の没年2013年5月11日から、レイハンルの爆弾テロで犠牲になったことがわかるとのこと。
悲しみを抱えた民族の違う3人が出会い、心を通わせていく物語。

3人が出会うハタイは、1939年にトルコ共和国の領土になった地で、かつてギリシャ語ではアンティオコス、アラビア語ではアンタキアと呼ばれた、BC17000年に遡る古い歴史を持つ地。メソポタミアの一部でアナトリアの門と呼ばれたところ。1972年からハタイの名称になっています。アタチュルクが頑張ってトルコの地になりましたが、頑張らなければシリアだったので、シリアの人たちは今でもシリアのものだという意識を持っているとのこと。
ワクフル村は、人口129人の小さな村で、すべてアルメニア人。村には聖母マリア教会があります。
(ユヌス・エムレトルコ文化センター主催のオンラインツアー 2020年12月9日の回「ハタイ」で聞いた話から抜粋)

歴史的にも様々な民族が行き交った地での物語。争わず、共存する世界であってほしいと願う監督の思いを感じました。

上映後、山崎やよいさん(考古学者/シリア紛争被災者支援プロジェクト、「イブラ・ワ・ハイト」発起人)によるトーク《革命から10年のシリア危機 − 国を追われた人々の声》。
まさに、山崎さんが暮らしていたシリアのアレッポから、この映画の舞台になったハタイはすぐ近く。訪れたときの写真も見せてくださいました。アラビア語も通じ、市場はシリアのものに似た風情とのこと。

トークを最後まで聞きたかったのですが、3時半から同じ建物の地下にある映画美学校の試写室で『狼をさがして』を観る予定にしていた為、途中で退席しました。

今回も大満足のイスラーム映画祭でした。
藤本高之さんが、映画を選択し、字幕にもこだわって準備し、会場入口では検温もするという一人で何役もこなしての映画祭。これからも期待しています♪