イスラーム映画祭6  ★4日目『ミナは歩いてゆく』『汝は二十歳で死ぬ』『ラシーダ』 (咲)

イスラーム映画祭6 4日目 2月23日(火・祝)

20日の初日から、藤本さんらしいチョイスを楽しんでいたのですが、今日はさらにすごい作品に出会えて唸りました。

10:00~
『ミナは歩いてゆく』 ★日本初公開
原題・英題:Mina Walking
2015年/アフガニスタン=カナダ/110分/ダリ語
監督:ユセフ・バラキ  Yosef Baraki
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アフガニスタンの首都カーブル。12歳の少女ミナは、母をターリバーンに殺され、認知症の祖父や麻薬中毒の父を養うため、学校に通いながら路上で物売りをしている。父に麻薬をやめさせようと、麻薬を提供している男に立ち向かう・・・
ユセフ・バラキ監督は1989年生まれで、現在カナダ在住のアフガニスタン人。カーブルに赴き、19日間で撮影。まだまだ厳しいアフガニスタンの状況が伝わってきて、まるでドキュメンタリーを観ているようでした。
少女たちのジョークに、「若い花嫁に食べてしまいたいくらい可愛いというけど、老いた夫は歯がなくて食べれない」というのがあって、笑うに笑えませんでした。
『アフガン零年』(2003年)で、男の子に変装して働きに出た少女を演じたマリナ・ゴルバハーリがミナの学校の先生役で出演しています。児童婚は、10年以上を経ても続いていることをミナは教えてくれました。
藤本さんは本作を是非上映したいと思うも、著作権探しが大変だったとのこと。名前で検索して監督と思われるアドレスにメールしたところ、3時間後にOKの返事が来たそうです。
監督が故国の人たちの将来に思いを馳せた力作を上映してくれた藤本さんに感謝です。


12:30~
『汝は二十歳で死ぬ』 ★日本初公開
原題・英題:You Will Die at Twenty
2019年/スーダン=エジプト=フランス=ドイツ=ノルウェー=カタール/102分/アラビア語
監督:アムジャド・アブー・アラー Amjad Abu Alala
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ムザンミルは生まれたばかりの時、母に連れられて聖者廟に行きシャイフから「20歳で死ぬ」と予言される。父親は怖れて出稼ぎに出てしまい、母親は息子を過保護に育てる。
自分は20歳で死ぬといわれて生きてきたムザンミルが、洋行帰りの男スライマーンと出会って、違う世界を知り自我に目覚めていく・・・

2019年まで30年間続いたイスラーム主義政権下で映画産業が衰退したスーダンで作られた史上7番目の長篇作品。
上映後、丸山大介さん(防衛大学校准教授)によるトーク《スーダンのイスラーム − スーフィズムと民衆》が行われました。スーダンにおけるスーフィズムの実例が興味深かったです。

15:30
『ラシーダ』
原題・英題:Rachida
2002年/アルジェリア=フランス/94分/アラビア語、フランス語
監督:ヤミーナ・バシール=シューイフ Yamina Bachir - Chouikh
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小学校の教師ラシーダは、過激派の若者たちから学校に爆弾を持ち込むよう脅されたのを拒否したことから銃で撃たれてしまう。母親と共にアルジェ郊外に身を潜めるが、そこもまた安全な場所ではなかった・・・

政府・軍とイスラーム主義勢力との対立から始まった1990年代の内戦を題材に、アルジェリア映画で初めて女性監督によって製作された作品。
アラブ映画祭2005で上映された折に観ているのですが、すっかり忘れてました。再度、観ることができてよかったです。
上映後、小倉孝保さん(毎日新聞論説委員)によるトーク《アルジェリア内戦の真実 − イスラム過激派に抵抗した男》が行われました。これがまた、すごく興味深い話でした。


東京でのイスラーム映画祭6も、余すところ、あと3日。
ぜひ時間を作ってお出かけください。どの作品もお薦めです。

公式サイト:
http://islamicff.com/index.html