イエメン人監督による、初のイエメン国内で商業公開された映画!
2/20(土)12:30からの上映前に、イスラーム映画祭主宰 藤本高之さんより、本作は映画産業のないイエメンで、テレビ局の若い人たちによって作られた映画との紹介がありました。映画館もないイエメン。2017年から2018年にかけて、結婚式場で公開され、イエメン中の人が観てロングラン。アラブ諸国やヨーロッパ諸国でも上映されています。
昨年、イスラーム映画祭5で上映された『わたしはヌジューム、10歳で離婚した』もイエメン人監督による作品ですが、イエメン国内では上映されていないので、『結婚式、10日前』がイエメン国内で初めて商業公開されたイエメン人監督による映画となりました。
昨年のイスラーム映画祭で上映したかったのですが、先方がのんびりしていて間に合わなかったとのことです。
『結婚式、10日前』原題・英題:10 Days Before the Wedding
監督:アムルー・ガマール Amr Gamal
2018年/イエメン/121分/アラビア語
イエメン南部の港町アデン。
マァムーンとラシャーは3年前に結婚する予定が内戦で延期になり、ようやく10日後に控えた結婚式の準備に大忙し。そんな最中、マァムーンの叔母が離婚して出戻り、新婚生活をおくる予定だった実家の部屋を明け渡す羽目に。家財道具を家が見つかるまで預けるものの、がめつい老女にしっかり保管料を取られる。ラシャーには内緒にするつもりが、ばれてしまう。
一方、ラシャーも内戦で家が壊され、父の従兄弟サリームの世話する家に仮住まいしている。内戦に翻弄され働けなくなった父にかわって、ラシャーが一家の大黒柱だが、稼ぎの半分は父のカート(嗜好品)代で消えてしまう。
二人で新居を探しに行くが、階段をかなりあがった安い家賃の家で妥協するしかない。結婚式の費用も切り詰めようと、あれこれ算段する・・・
踏んだり蹴ったりの状況が、コメディー仕立てで描かれているのですが、イエメン社会の大変な状況もずっしり伝わってきました。
結婚式場のキャンセルも成立して、ほっとしたところで久しぶりの外食。二人の幸せそうな食べっぷりに、思わず「よかったね」と言いたくなりました。
なんだか情けないマァムーンと違って、ラシャーは機転を利かして物事を解決していきます。逆境の中では、女性のほうがたくましく生き抜くことができそうです。
父の従兄弟のサリームは二人目の妻にラシャーを迎えたいという下心があって、何かと差し入れを持ってやってきます。その眼付のいやらしいこと!(名役者です!) そんなサリームのことも、上手に交わすラシャー。あっぱれです。
内戦で疲弊し、「世界最悪の人道危機」が続くイエメン社会ですが、そんな中でもユーモアを忘れず、タフに生きている人たちに監督がエールをおくった映画です。
挿入歌でエンドロールでも流れた切ない曲が胸に響きました。映画では、しっかり歌詞の訳も付けてくださっていました。
「Mother of the Poor/Umm-ul masakin」という作曲・歌:サーレム・ファダーク Salem Fadaq)の曲だと、先輩の麻田豊氏がyoutubeを見つけてくださいました。
https://youtu.be/rRIvUrKUiT4
映画の場面も楽しめます。ぜひお聴きください。
第8回グリーンイメージ国際環境映像祭
期間:2021年3月26日(金)〜28日(日)
会場:新潟・十日町市 道の駅まつだいふるさと会館 常春ホール(新潟県十日町市松代3816-1)
★オンラインにて同時開催
会場参加:協力費1日1,000円 学生協力費1日500円 3日間通し券2,000円 中学生以下無料・事前予約不要
オンライン参加:協力費1日1,000円 3日間通し券2,000円
☆上映作品☆
サマショール 遺言第6章 Samosely: The Will – Chapter 6
日本 Japan / 112 min / 2020年
プロデューサー・監督 Producer & Director : 豊田 直巳、野田 雅也 TOYODA Naomi, NODA Masaya
製作 Production : 映画「遺言」プロジェクト Yuigon Project
たづ鳴きの里 Tazunaki no Sato
日本 Japan / 47 min / 2020
プロデューサー Producer : 坂本 英樹 SAKAMOTO Hideki
監督 Director : 沼田 博光 NUMATA Hiromitsu
製作 Production : 北海道テレビ放送放送 Hokkaido Television Broadcasting
ヒグマと老漁師 – 世界遺産・知床を生きる Bearman of Hokkaido
日本 Japan / 49 min / 2020
プロデューサー Producer :松宮 健一 MATSUMIYA Kenichi
監督 Director : 矢内 智大 YAUCHI Tomohiro
製作 Production : NHK札幌拠点放送局 Japan Broadcasting Corp. Sapporo Station
水俣曼荼羅 MINAMATA Mandala
日本 Japan / 369 min / 2020
プロデューサー Producer :原 一男、小林 佐智子、長岡 野亜、島野 千尋 HARA Kazuo, KOBAYASHI Sachiko, NAGAOKA Noa, SHIMANO Chihiro
監督 Director : 原 一男 HARA Kazuo
製作・配給 Production & Distribution : 疾走プロダクション Shisso Production
Isn’t Water
イラン Iran / 3 min / 2019
プロデューサー Producer :Art Department of North Khorasan
監督 Director : Noah AMANI
製作 Production : Art Department of North Khorasan
配給 Distribution : b2bfilm.ir
Mothers of the Land
ペルー Peru / 74 min / 2019
プロデューサー・監督 Producer & Director : Alvaro SARMIENTO, Diego SARMIENTO
製作・配給 Production & Distribution : HDPeru
The Human
オランダ The Netherlands / 11 min / 2019
プロデューサー・監督 Producer & Director : Harko WUBS
製作・配給 Production & Distribution : Hark’oh Film
Kombinat
スイス Switzerland / 76 min / 2020
プロデューサー Producer :Xavier DERIGO
監督 Director : Gabriel TEJEDOR
製作 Production : IDIP Films
配給 Distribution : Filmotor
Village In The Sky
インド India / 20 min / 2018
プロデューサー Producer :Film and Television Institute of India
監督 Director : Ramesh Laxmanrao HOLBOLE
製作 Production : Film and Television Institute of India
WhateverTree
カナダ Canada / 12 min / 2020
プロデューサー・監督・製作・配給 Producer & Director & Production & Distribution : Isaac KING
Migrants
フランス France / 9 min / 2020
プロデューサー Producer :Carlos De CARVALHO
監督 Director : Hugo CABY, Antoine DUPRIEZ, Aubin KUBIAK, Lucas LERMYTTE, Zoé DEVISE
製作 Production : Pôle 3D
配給 Distribution : Je Regarde
Pakistan’s Himalayan Meltdown
シンガポール Singapore / 50 min / 2020
プロデューサー・監督 Producer & Director :Shehzad Hameed AHMAD
製作 Production : Mediacorp Pte Ltd
会場:新潟・十日町市 道の駅まつだいふるさと会館 常春ホール(新潟県十日町市松代3816-1)
★オンラインにて同時開催
会場参加:協力費1日1,000円 学生協力費1日500円 3日間通し券2,000円 中学生以下無料・事前予約不要
オンライン参加:協力費1日1,000円 3日間通し券2,000円
☆上映作品☆
サマショール 遺言第6章 Samosely: The Will – Chapter 6
日本 Japan / 112 min / 2020年
プロデューサー・監督 Producer & Director : 豊田 直巳、野田 雅也 TOYODA Naomi, NODA Masaya
製作 Production : 映画「遺言」プロジェクト Yuigon Project
たづ鳴きの里 Tazunaki no Sato
日本 Japan / 47 min / 2020
プロデューサー Producer : 坂本 英樹 SAKAMOTO Hideki
監督 Director : 沼田 博光 NUMATA Hiromitsu
製作 Production : 北海道テレビ放送放送 Hokkaido Television Broadcasting
ヒグマと老漁師 – 世界遺産・知床を生きる Bearman of Hokkaido
日本 Japan / 49 min / 2020
プロデューサー Producer :松宮 健一 MATSUMIYA Kenichi
監督 Director : 矢内 智大 YAUCHI Tomohiro
製作 Production : NHK札幌拠点放送局 Japan Broadcasting Corp. Sapporo Station
水俣曼荼羅 MINAMATA Mandala
日本 Japan / 369 min / 2020
プロデューサー Producer :原 一男、小林 佐智子、長岡 野亜、島野 千尋 HARA Kazuo, KOBAYASHI Sachiko, NAGAOKA Noa, SHIMANO Chihiro
監督 Director : 原 一男 HARA Kazuo
製作・配給 Production & Distribution : 疾走プロダクション Shisso Production
Isn’t Water
イラン Iran / 3 min / 2019
プロデューサー Producer :Art Department of North Khorasan
監督 Director : Noah AMANI
製作 Production : Art Department of North Khorasan
配給 Distribution : b2bfilm.ir
Mothers of the Land
ペルー Peru / 74 min / 2019
プロデューサー・監督 Producer & Director : Alvaro SARMIENTO, Diego SARMIENTO
製作・配給 Production & Distribution : HDPeru
The Human
オランダ The Netherlands / 11 min / 2019
プロデューサー・監督 Producer & Director : Harko WUBS
製作・配給 Production & Distribution : Hark’oh Film
Kombinat
スイス Switzerland / 76 min / 2020
プロデューサー Producer :Xavier DERIGO
監督 Director : Gabriel TEJEDOR
製作 Production : IDIP Films
配給 Distribution : Filmotor
Village In The Sky
インド India / 20 min / 2018
プロデューサー Producer :Film and Television Institute of India
監督 Director : Ramesh Laxmanrao HOLBOLE
製作 Production : Film and Television Institute of India
WhateverTree
カナダ Canada / 12 min / 2020
プロデューサー・監督・製作・配給 Producer & Director & Production & Distribution : Isaac KING
Migrants
フランス France / 9 min / 2020
プロデューサー Producer :Carlos De CARVALHO
監督 Director : Hugo CABY, Antoine DUPRIEZ, Aubin KUBIAK, Lucas LERMYTTE, Zoé DEVISE
製作 Production : Pôle 3D
配給 Distribution : Je Regarde
Pakistan’s Himalayan Meltdown
シンガポール Singapore / 50 min / 2020
プロデューサー・監督 Producer & Director :Shehzad Hameed AHMAD
製作 Production : Mediacorp Pte Ltd
TBSドキュメンタリー映画祭
期間:2021年3月18日(水)~21日(日)・
会場:ユーロライブ
プログラム:TV放映版から新たに編集をした作品に加え、劇場公開作を含む全22作品を上映!
各上映には監督、その他ゲストによるトークイベントを開催予定。
主催:TBSテレビ 共催:ユーロスペース
公式サイト: http://www.tbs.co.jp/documentaryeigasai2021/
★配信上映もあります。詳しくは公式HPをご覧ください。
★上映作品・22作品★
■上映日程■
三島由紀夫vs東大全共闘 ~50年目の真実~
監督:豊島圭介 2020年/DCP/5.1ch/108分 ©2020映画『三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実』製作委員会
シネジャ作品紹介
生きろ 島田叡―戦中最後の沖縄県知事
監督:佐古忠彦 2021年/DCP/5.1ch/118分 ©映画「生きろ 島田叡」製作委員会
タブレット越しで“最期の別れ”~いのちと向き合うコロナ最前線
監督:神保圭作 藤野智史 岸慶太郎 2021年/ステレオ/40分 © TBSテレビ
NY日本人医師が自ら語る 新型コロナ重症からの生還
監督:池田裕行 2021年/ステレオ/30分 © TBSテレビ
GReeeeN初告白 東日本大震災5年にHIDEが語っていたこと ディレクターズカット版
監督:武石浩明 2021年/ステレオ/30分 © TBSテレビ
MR.BIG~3・11から10年 被災地とともに歩んだ外国人バンド
監督:川西全 2021年/ステレオ/60分 © TBSテレビ
米軍(アメリカ)が最も恐れた男 カメジロー不屈の生涯
監督:佐古忠彦 2019年/DCP/ステレオ/128分 © TBSテレビ
シネジャ 作品紹介
シネジャ 佐古忠彦監督インタビュー
あの時だったかもしれない~テレビにとって「私」とは何か~
監督:是枝裕和 2008年/ステレオ/76分 ©テレビマンユニオン/TBSテレビ
88/50 ギリヤーク尼ケ崎の自問自答~と、それから
監督:秌場聖治 2021年/ステレオ/70分 © TBSテレビ
キャンバスの枠を越える 画家・山口歴(Meguru.Y)IN NY
監督:豊田和真 2021年/ステレオ/30分 © TBSテレビ
モデル 雅子 を追う旅
監督:大岡大介 2019 年/DCP/ステレオ/88分 © 2019 Masako, mon ange.
シネジャ作品紹介
アキノ白昼の暗殺 特別編~この報道が歴史を動かした~
取材:料治直矢 田近東吾 北代淳二ほか 2021年/ステレオ/80分 © TBSテレビ
天才”鉄道画家” 福島尚
監督:及川悟郎 2021年/ステレオ/50分 © TBSテレビ
大麻と金と宗教 ~レバノンの“ドラッグ王”を追う
監督:須賀川拓 2021年/ステレオ/50分 © TBSテレビ
影の戦争 アメリカと中東の戦乱十五年
監督:村瀬健介 2021年/ステレオ/60分 © TBSテレビ
ムクウェゲ「女性にとって世界最悪の場所」で闘う医師
監督:立山芽以子 2021年/ステレオ/70分 © TBSテレビ
シネジャ作品紹介
“死刑囚”に会い続ける男
監督:西村匡史 2021年/ステレオ/70分 © TBSテレビ
女子少年院の後輩たちへ…元レディース総長、涙で伝えたメッセージ
監督:山岡陽輔 中島哲平 2021年/ステレオ/25分 © TBSテレビ
お母ちゃんが私の名前を忘れた日 ~若年性アルツハイマーの母と生きる~
監督:堀江將一郎 2021年/ステレオ/60分 © TBSテレビ
消えた事件、弟の執念
監督:岸将之 2021年/ステレオ/25分 © TBSテレビ
死刑を免れた男達 ~カメラが初めて捉えた無期懲役囚の実態
監督:巡田忠彦 2021年/ステレオ/50分 © TBSテレビ
香港2019―あの時、何があったのか-
監督:日下部正樹 2021年/ステレオ/80分 © TBSテレビ
☆タイアップ情報☆
■LOFT9Shibuya/TBSドキュメンタリー映画祭先行特別上映会&トークイベント
[MR.BIG~3・11から10年 被災地とともに歩んだ外国人バンド]
日時:3月8日(月)OPEN18時、START18時30分/TV放映版上映(上映時間25分)、ゲストによるトークイベント
トークゲスト:川西全(『MR.BIG~3・11から10年 被災地とともに歩んだ外国人バンド』監督)
ゲストスピーカー:伊藤政則(音楽評論家・DJ)
司会:初田啓介(TBSアナウンサー)
料金:当日3,000円/配信2,000円
[香港、沖縄、今と未来へ] 香港2019×生きろ 島田叡
日時:3月15日(月) OPEN18時、START18時30分/TV放映版上映、ゲストによるトークイベント
トークゲスト:日下部正樹(『香港2019』監督/「報道特集」キャスター)・佐古忠彦(『生きろ 島田叡―戦中最後の沖縄県知事』監督)
ゲストスピーカー:倉田徹(立教大学教授)香港出身留学生ほか
料金:当日1,500円/配信1,000円
LOFT9 Shibuya
東京都渋谷区円山町1-5KINO HAUS 1F ※渋谷駅下車、Bunkamura交差点左折、ユーロスペースビル1F
www.loft-prj.co.jp/loft9/
※ゲスト・イベント内容は予告なく変更となる場合がございます。ご了承ください。
■大盛堂書店にてTBSドキュメンタリー映画祭&『生きろ 島田叡―戦中最後の沖縄県知事』パネル掲示
開催期間 3月1日(月)~4月4日(日)
TBSドキュメンタリー映画祭上映作品22作品と、映画祭での先行上映が決まった『生きろ 島田叡―戦中最後の沖縄県知事』(3月20日公開)の劇中写真を掲示いたします。
大盛堂書店 東京都渋谷区宇田川町22-1 ※スクランブル交差点すぐ http://www.taiseido.co.jp
イスラーム映画祭6 ★5日目 『私の娘の香り』(咲)
イスラーム映画祭6 5日目 2月24日(水)
会場のユーロスペースに向かう坂の下で、4年前のイスラーム映画祭で知り合ったE子さんと遭遇。今回、なかなか会えないなぁ~と思っていたのでした。もし会えれば・・・とお菓子までご用意してくださっていて、感謝♪
E子さん、1本目の『タワー』は観られたけど、2本目の『私の娘の香り』は満席で諦めて帰るところとのことでした。トーク付きの回は、特に人気です。平日も賑わっていて、自分のことのように嬉しいです。
ユーロスペースに着いたら、ロビーでこの日のトークに登壇する山崎やよいさんにお会いできました。昨年のイスラーム映画祭5で、『ゲスト:アレッポ・トゥ・イスタンブール』上映後のトークに登壇され、その後、渋谷駅でのシリア大空襲を抗議するデモンストレーションの折に直接お話することができたのを懐かしく思い出しました。
その時のことは、こちらで!
私にとっては、この日で今回のイスラーム映画祭で初上映されるものはすべて観終えることになりました。
12:45~
『私の娘の香り』
原題:Kizim Gibi Kokuyorsun 英題:Scent of My Daughter
2019年/トルコ=アメリカ=フランス/トルコ語・フランス語・英語・クルド語・アラビア語/96分
監督:オルグン・オズデミル Olgun Özdemir
2016年7月14日、革命記念日を祝う花火があがる中、南仏ニースでテロが起こる。アルメニア系移民2世のフランス女性ベアトリスは、犠牲になった父の遺体を遺言に従ってトルコの故郷の村に埋葬しに赴く。シリア国境に近いハタイ県のワクフル村はトルコで唯一残るアルメニア人の村。(アルメニア語ではヴァケーフ)
同じ頃、ISISの奴隷となっていたシリア出身のヤズィ―ド教徒のクルド人の少女ヘヴィは、トルコ軍に救出されたが、難民キャンプに姉がいると聞いて探すために逃げ出す。
ベアトリスとヘヴィは、墓地で知り合う。トルコ軍の青年イブラヒムもまた、両親の眠る墓地を訪れ、二人と出会う・・・
墓石に刻まれたイブラヒムの両親の没年2013年5月11日から、レイハンルの爆弾テロで犠牲になったことがわかるとのこと。
悲しみを抱えた民族の違う3人が出会い、心を通わせていく物語。
3人が出会うハタイは、1939年にトルコ共和国の領土になった地で、かつてギリシャ語ではアンティオコス、アラビア語ではアンタキアと呼ばれた、BC17000年に遡る古い歴史を持つ地。メソポタミアの一部でアナトリアの門と呼ばれたところ。1972年からハタイの名称になっています。アタチュルクが頑張ってトルコの地になりましたが、頑張らなければシリアだったので、シリアの人たちは今でもシリアのものだという意識を持っているとのこと。
ワクフル村は、人口129人の小さな村で、すべてアルメニア人。村には聖母マリア教会があります。
(ユヌス・エムレトルコ文化センター主催のオンラインツアー 2020年12月9日の回「ハタイ」で聞いた話から抜粋)
歴史的にも様々な民族が行き交った地での物語。争わず、共存する世界であってほしいと願う監督の思いを感じました。
上映後、山崎やよいさん(考古学者/シリア紛争被災者支援プロジェクト、「イブラ・ワ・ハイト」発起人)によるトーク《革命から10年のシリア危機 − 国を追われた人々の声》。
まさに、山崎さんが暮らしていたシリアのアレッポから、この映画の舞台になったハタイはすぐ近く。訪れたときの写真も見せてくださいました。アラビア語も通じ、市場はシリアのものに似た風情とのこと。
トークを最後まで聞きたかったのですが、3時半から同じ建物の地下にある映画美学校の試写室で『狼をさがして』を観る予定にしていた為、途中で退席しました。
今回も大満足のイスラーム映画祭でした。
藤本高之さんが、映画を選択し、字幕にもこだわって準備し、会場入口では検温もするという一人で何役もこなしての映画祭。これからも期待しています♪
会場のユーロスペースに向かう坂の下で、4年前のイスラーム映画祭で知り合ったE子さんと遭遇。今回、なかなか会えないなぁ~と思っていたのでした。もし会えれば・・・とお菓子までご用意してくださっていて、感謝♪
E子さん、1本目の『タワー』は観られたけど、2本目の『私の娘の香り』は満席で諦めて帰るところとのことでした。トーク付きの回は、特に人気です。平日も賑わっていて、自分のことのように嬉しいです。
ユーロスペースに着いたら、ロビーでこの日のトークに登壇する山崎やよいさんにお会いできました。昨年のイスラーム映画祭5で、『ゲスト:アレッポ・トゥ・イスタンブール』上映後のトークに登壇され、その後、渋谷駅でのシリア大空襲を抗議するデモンストレーションの折に直接お話することができたのを懐かしく思い出しました。
その時のことは、こちらで!
私にとっては、この日で今回のイスラーム映画祭で初上映されるものはすべて観終えることになりました。
12:45~
『私の娘の香り』
原題:Kizim Gibi Kokuyorsun 英題:Scent of My Daughter
2019年/トルコ=アメリカ=フランス/トルコ語・フランス語・英語・クルド語・アラビア語/96分
監督:オルグン・オズデミル Olgun Özdemir
2016年7月14日、革命記念日を祝う花火があがる中、南仏ニースでテロが起こる。アルメニア系移民2世のフランス女性ベアトリスは、犠牲になった父の遺体を遺言に従ってトルコの故郷の村に埋葬しに赴く。シリア国境に近いハタイ県のワクフル村はトルコで唯一残るアルメニア人の村。(アルメニア語ではヴァケーフ)
同じ頃、ISISの奴隷となっていたシリア出身のヤズィ―ド教徒のクルド人の少女ヘヴィは、トルコ軍に救出されたが、難民キャンプに姉がいると聞いて探すために逃げ出す。
ベアトリスとヘヴィは、墓地で知り合う。トルコ軍の青年イブラヒムもまた、両親の眠る墓地を訪れ、二人と出会う・・・
墓石に刻まれたイブラヒムの両親の没年2013年5月11日から、レイハンルの爆弾テロで犠牲になったことがわかるとのこと。
悲しみを抱えた民族の違う3人が出会い、心を通わせていく物語。
3人が出会うハタイは、1939年にトルコ共和国の領土になった地で、かつてギリシャ語ではアンティオコス、アラビア語ではアンタキアと呼ばれた、BC17000年に遡る古い歴史を持つ地。メソポタミアの一部でアナトリアの門と呼ばれたところ。1972年からハタイの名称になっています。アタチュルクが頑張ってトルコの地になりましたが、頑張らなければシリアだったので、シリアの人たちは今でもシリアのものだという意識を持っているとのこと。
ワクフル村は、人口129人の小さな村で、すべてアルメニア人。村には聖母マリア教会があります。
(ユヌス・エムレトルコ文化センター主催のオンラインツアー 2020年12月9日の回「ハタイ」で聞いた話から抜粋)
歴史的にも様々な民族が行き交った地での物語。争わず、共存する世界であってほしいと願う監督の思いを感じました。
上映後、山崎やよいさん(考古学者/シリア紛争被災者支援プロジェクト、「イブラ・ワ・ハイト」発起人)によるトーク《革命から10年のシリア危機 − 国を追われた人々の声》。
まさに、山崎さんが暮らしていたシリアのアレッポから、この映画の舞台になったハタイはすぐ近く。訪れたときの写真も見せてくださいました。アラビア語も通じ、市場はシリアのものに似た風情とのこと。
トークを最後まで聞きたかったのですが、3時半から同じ建物の地下にある映画美学校の試写室で『狼をさがして』を観る予定にしていた為、途中で退席しました。
今回も大満足のイスラーム映画祭でした。
藤本高之さんが、映画を選択し、字幕にもこだわって準備し、会場入口では検温もするという一人で何役もこなしての映画祭。これからも期待しています♪
イスラーム映画祭6 ★4日目『ミナは歩いてゆく』『汝は二十歳で死ぬ』『ラシーダ』 (咲)
イスラーム映画祭6 4日目 2月23日(火・祝)
20日の初日から、藤本さんらしいチョイスを楽しんでいたのですが、今日はさらにすごい作品に出会えて唸りました。
10:00~
『ミナは歩いてゆく』 ★日本初公開
原題・英題:Mina Walking
2015年/アフガニスタン=カナダ/110分/ダリ語
監督:ユセフ・バラキ Yosef Baraki
アフガニスタンの首都カーブル。12歳の少女ミナは、母をターリバーンに殺され、認知症の祖父や麻薬中毒の父を養うため、学校に通いながら路上で物売りをしている。父に麻薬をやめさせようと、麻薬を提供している男に立ち向かう・・・
ユセフ・バラキ監督は1989年生まれで、現在カナダ在住のアフガニスタン人。カーブルに赴き、19日間で撮影。まだまだ厳しいアフガニスタンの状況が伝わってきて、まるでドキュメンタリーを観ているようでした。
少女たちのジョークに、「若い花嫁に食べてしまいたいくらい可愛いというけど、老いた夫は歯がなくて食べれない」というのがあって、笑うに笑えませんでした。
『アフガン零年』(2003年)で、男の子に変装して働きに出た少女を演じたマリナ・ゴルバハーリがミナの学校の先生役で出演しています。児童婚は、10年以上を経ても続いていることをミナは教えてくれました。
藤本さんは本作を是非上映したいと思うも、著作権探しが大変だったとのこと。名前で検索して監督と思われるアドレスにメールしたところ、3時間後にOKの返事が来たそうです。
監督が故国の人たちの将来に思いを馳せた力作を上映してくれた藤本さんに感謝です。
12:30~
『汝は二十歳で死ぬ』 ★日本初公開
原題・英題:You Will Die at Twenty
2019年/スーダン=エジプト=フランス=ドイツ=ノルウェー=カタール/102分/アラビア語
監督:アムジャド・アブー・アラー Amjad Abu Alala
ムザンミルは生まれたばかりの時、母に連れられて聖者廟に行きシャイフから「20歳で死ぬ」と予言される。父親は怖れて出稼ぎに出てしまい、母親は息子を過保護に育てる。
自分は20歳で死ぬといわれて生きてきたムザンミルが、洋行帰りの男スライマーンと出会って、違う世界を知り自我に目覚めていく・・・
2019年まで30年間続いたイスラーム主義政権下で映画産業が衰退したスーダンで作られた史上7番目の長篇作品。
上映後、丸山大介さん(防衛大学校准教授)によるトーク《スーダンのイスラーム − スーフィズムと民衆》が行われました。スーダンにおけるスーフィズムの実例が興味深かったです。
15:30
『ラシーダ』
原題・英題:Rachida
2002年/アルジェリア=フランス/94分/アラビア語、フランス語
監督:ヤミーナ・バシール=シューイフ Yamina Bachir - Chouikh
小学校の教師ラシーダは、過激派の若者たちから学校に爆弾を持ち込むよう脅されたのを拒否したことから銃で撃たれてしまう。母親と共にアルジェ郊外に身を潜めるが、そこもまた安全な場所ではなかった・・・
政府・軍とイスラーム主義勢力との対立から始まった1990年代の内戦を題材に、アルジェリア映画で初めて女性監督によって製作された作品。
アラブ映画祭2005で上映された折に観ているのですが、すっかり忘れてました。再度、観ることができてよかったです。
上映後、小倉孝保さん(毎日新聞論説委員)によるトーク《アルジェリア内戦の真実 − イスラム過激派に抵抗した男》が行われました。これがまた、すごく興味深い話でした。
東京でのイスラーム映画祭6も、余すところ、あと3日。
ぜひ時間を作ってお出かけください。どの作品もお薦めです。
公式サイト:
http://islamicff.com/index.html
20日の初日から、藤本さんらしいチョイスを楽しんでいたのですが、今日はさらにすごい作品に出会えて唸りました。
10:00~
『ミナは歩いてゆく』 ★日本初公開
原題・英題:Mina Walking
2015年/アフガニスタン=カナダ/110分/ダリ語
監督:ユセフ・バラキ Yosef Baraki
アフガニスタンの首都カーブル。12歳の少女ミナは、母をターリバーンに殺され、認知症の祖父や麻薬中毒の父を養うため、学校に通いながら路上で物売りをしている。父に麻薬をやめさせようと、麻薬を提供している男に立ち向かう・・・
ユセフ・バラキ監督は1989年生まれで、現在カナダ在住のアフガニスタン人。カーブルに赴き、19日間で撮影。まだまだ厳しいアフガニスタンの状況が伝わってきて、まるでドキュメンタリーを観ているようでした。
少女たちのジョークに、「若い花嫁に食べてしまいたいくらい可愛いというけど、老いた夫は歯がなくて食べれない」というのがあって、笑うに笑えませんでした。
『アフガン零年』(2003年)で、男の子に変装して働きに出た少女を演じたマリナ・ゴルバハーリがミナの学校の先生役で出演しています。児童婚は、10年以上を経ても続いていることをミナは教えてくれました。
藤本さんは本作を是非上映したいと思うも、著作権探しが大変だったとのこと。名前で検索して監督と思われるアドレスにメールしたところ、3時間後にOKの返事が来たそうです。
監督が故国の人たちの将来に思いを馳せた力作を上映してくれた藤本さんに感謝です。
12:30~
『汝は二十歳で死ぬ』 ★日本初公開
原題・英題:You Will Die at Twenty
2019年/スーダン=エジプト=フランス=ドイツ=ノルウェー=カタール/102分/アラビア語
監督:アムジャド・アブー・アラー Amjad Abu Alala
ムザンミルは生まれたばかりの時、母に連れられて聖者廟に行きシャイフから「20歳で死ぬ」と予言される。父親は怖れて出稼ぎに出てしまい、母親は息子を過保護に育てる。
自分は20歳で死ぬといわれて生きてきたムザンミルが、洋行帰りの男スライマーンと出会って、違う世界を知り自我に目覚めていく・・・
2019年まで30年間続いたイスラーム主義政権下で映画産業が衰退したスーダンで作られた史上7番目の長篇作品。
上映後、丸山大介さん(防衛大学校准教授)によるトーク《スーダンのイスラーム − スーフィズムと民衆》が行われました。スーダンにおけるスーフィズムの実例が興味深かったです。
15:30
『ラシーダ』
原題・英題:Rachida
2002年/アルジェリア=フランス/94分/アラビア語、フランス語
監督:ヤミーナ・バシール=シューイフ Yamina Bachir - Chouikh
小学校の教師ラシーダは、過激派の若者たちから学校に爆弾を持ち込むよう脅されたのを拒否したことから銃で撃たれてしまう。母親と共にアルジェ郊外に身を潜めるが、そこもまた安全な場所ではなかった・・・
政府・軍とイスラーム主義勢力との対立から始まった1990年代の内戦を題材に、アルジェリア映画で初めて女性監督によって製作された作品。
アラブ映画祭2005で上映された折に観ているのですが、すっかり忘れてました。再度、観ることができてよかったです。
上映後、小倉孝保さん(毎日新聞論説委員)によるトーク《アルジェリア内戦の真実 − イスラム過激派に抵抗した男》が行われました。これがまた、すごく興味深い話でした。
東京でのイスラーム映画祭6も、余すところ、あと3日。
ぜひ時間を作ってお出かけください。どの作品もお薦めです。
公式サイト:
http://islamicff.com/index.html