伝説の監督 ヤスミン・アフマド 没後 10 周年記念特集上映開催!

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2009 年7 月25 日に、わずか51 歳の若さで亡くなったマレーシアのヤスミン・アフマド監督。その没後 10 周年を記念し、全長編6作品を一挙上映する特集上映が7月20日(土)~8月23日(金)にシアター・イメージフォーラムで開催される。
民族、宗教、言語が混ざり合う多民族国家マレーシアを舞台に、厳しい現実に直面しながらも、あらゆる壁を軽やかに超え、決して微笑みを忘れないヤスミンの世界。東京国際映画祭をはじめとする映画祭での上映や自主上映を重ねてたくさんのファンに愛され、2017年に代表作『タレンタイム〜優しい歌』(09)が初の劇場公開となってロングランヒットを記録した。
今回の記念特集では『細い目』、『グブラ』、『ムクシン』、『ムアラフ』の4作品に出演した女優のシャリファ・アマニ、『グブラ』楽曲や『タレンタイム』楽曲&音楽を担当したピート・テオが来日し、7月20日、7月21日の 上映後に登壇。ヤスミン・アフマド監督との思い出を語る。貴重な機会といえるだろう。

<伝説の監督 ヤスミン・アフマド 没後 10 周年記念 特集上映 概要>
日程:7月20日(土)~8月23日(金)
会場:シアター・イメージフォーラム (〒150-0002 渋谷区渋谷 2−10−2)
上映作品:
『ラブン』(03)、『細い目』(04)、『グブラ』(05)、 『ムクシン』(06)、『ムアラフ-改心』(07)、『タレンタイム〜優しい歌』 (09)
公式サイト:http://moviola.jp/yasmin10years/
特別3回券 3,900 円(税込)5月20日より発売
(当日1作品あたり一般 1,800 円のところ)

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<ヤスミン・アフマド監督プロフィール >
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1958.7.1-2009.7.25
母方の祖母は日本人。イギリスで心理学を学び、その後CMの世界で働く。03年に『ラブン』で映画監督デビューし、 その後、実妹と同じ名前で自身を投影した女性オーキッドを主役にした三部作、『細い目』(04)、『グブラ』(05)、 『ムクシン』(06)を発表。東京国際映画祭やベルリン国際映画祭での受賞をはじめ、国内外で大きな注目を集める。 続く『ムアラフ-改心』(07)では東京国際映画祭アジア映画賞スペシャル・メンションを受賞。さらなる活躍が期待されたが、『タレンタイム~優しい歌』(09)公開直後に、脳内出血により死去。活動期間はわずか6年、残した長編は6本と少ないが、その映画世界は、今さらにその重要性を増している。

<上映作品>
第1作 ラブン
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定年を迎えた父、母、就職したばかりの娘オーキッド。父は定年を機に田舎の実家を改築して暮らそうとするが、近隣の住人とうまくいかず…。家族の肖像をコミカルに描く。「ラブン」とは、目がかすむことの意味。次作から主役となる“オーキッド”が登場した記念すべきデビュー長編。

出演:M・ラジョリ カルティナ・アジズ
MVA最優秀アセアン映画賞受賞
2003/Rabun/カラー/90分
提供:Primeworks
協力:一般社団法人コミュニティシネマセンター

第2作 細い目
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香港の映画スター(金城武)が大好きなマレー系少女オーキッドは、露店で海賊版の香港映画ビデオを売る中国系の 少年ジェイソンと出会い恋に落ちる。民族や宗教が異なろうと、彼らの家族は2人の恋を理解するが…。細い目とは、 中国系の目が細いことをからかうマレーシアの言い方。

出演:ン・チューシオン シャリファ・アマニ
マレーシア・アカデミー賞グランプリ
東京国際映画祭最優秀アジア映画賞
2004/Sepet/カラー/107 分
配給:ムヴィオラ
協力:一般社団法人コミュニティシネマセンター

第3作 グブラ
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『細い目』の数年後。結婚したオーキッドは、父の入院をきっかけに、夫の裏切りに気づく。一方、町の反対側にある低所得者の地域では、イスラム教聖職者とその妻が、近隣者の困難に向き合う。 2つの世界をパラレルに描く意欲作。

出演:シャリファ・アマニ アドリン・ラムリ
マレーシア・アカデミー賞グランプリ
2005/Gubra/カラー/113 分
提供:Nusanbakti Corporation Sdn Bhd
協力:一般社団法人コミュニティシネマセンター

第4作 ムクシン
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オーキッドは10歳、ムクシンは12歳。夏休みに出会った二人はすぐに仲良くなる。ムクシンは、オーキッドに恋心を抱くが…。それぞれの抱える家族や近隣者の悩みを浮かび上がらせながら、幼い2人の思春期の入口の輝きを描き出す。

出演:モハマド・シャフィー・ナスウィプ シャリファ・アルヤナ シャリ ファ・アマニ
ベルリン国際映画祭ジェネレーション部門審査員グランプリ
2006/Mukhsin/カラー/97 分
提供:Primeworks
協力:国際交流基金

第5作 ムアラフ-改心
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父を嫌って家出したマレー系の姉妹。叔母の所有する空き家に暮らす2人は、中国系のキリスト教徒の青年教師と出会う。彼は子供時代のつらい記憶から宗教を憎悪していたが、信仰を大事にする姉妹に惹かれるうち、自分を前向きに 変えて行く。

出演:ブライアン・ヤップ シャリファ・アマニ
東京国際映画祭アジア映画賞スペシャル・メンション
2007/Muallaf/カラー/87 分
提供:Orked Binti Ahmad
協力:一般社団法人コミュニティシネマセンター

第6作 タレンタイム~優しい歌
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ピアノの上手なムルーは、耳の聞こえないマヘシュと恋に落ちる。二胡を演奏する優等生カーホウはギターがうまい転入生ハフィズに嫉妬する。たくさんの民族が暮らす街で、音楽コンクール“タレンタイム”に挑戦する高校生 たちのかけがえのない青春とその家族を描くヤスミンの遺作長編。

出演:パメラ・チョン マヘシュ・ジュガル・キショール
音楽:ピート・テオ
マレーシア・アカデミー賞最優秀監督賞含む主要4賞
シネマニラ国際映画祭最優秀東南アジア映画賞
2009/Talentime/カラー/115分
配給:ムヴィオラ

<特別上映作品>
●15 マレーシア (15 Malaysia)
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ピート・テオが企画したマレーシアの監督 15 人によるオムニバス作品。マレーシア社会の多様性をすくい取 っている。この中の短編「チョコレート」がヤスミン・アフマドの遺作となった。

監督:ヤスミン・アフマド、ホー・ユーハン、ジェームス・リー他
製作:ピート・テオ
2009/カラー/80 分

【同時上映】ピート・テオ制作作品
提供:ピート・テオ
協力:東京国際映画祭プログラミンググループ

● Here in My Home [Music video] 2008年/4分
監督:ヤスミン・アフマド、ホー・ユーハン
プロジェクトプロデューサー・作曲:ピート・テオ

● I Go [Music video] 2008年/4分
監督:カマル・サブラン
製作・作曲・出演:ピート・テオ

<来日ゲスト(7/20、7/21 上映後に登壇)>
シャリファ・アマニ
(『細い目』『グブラ』『ムクシン』『ムアラフ』女優)
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映画、舞台で活躍。特にヤスミン・アフマド監督作品で知られており、『細い目』、『グブラ』、『ムクシン』、『ムアラフ―改心』 の4作品に出演し、ヤスミン作品に欠かせない存在となる。『タレンタイム〜優しい歌』では、サード助監督も務めた。日本との結び つきも深く、細井尊人監督『クアラルンプールの夜明け』や国際交流基金アジアセンター×東京国際映画祭共同製作のオムニバス映画 『アジア三面鏡 2016:リフレクションズ』では行定勲監督の「鳩 Pigeon」に出演し、津川雅彦、永瀬正敏と共演。2018 年には、 日本で公演した日本・マレーシア・インドネシア共同制作の舞台「ビューティフル・ウォーター」にも出演。自らも短編映画を監督す るなど、多彩な活躍を続けている。

ピート・テオ
(『グブラ』楽曲、『タレンタイム』楽曲&音楽)
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シンガーソングライター、映画音楽家、俳優、映画プロデューサーとして活躍するマレーシアを代表するマルチ・アーティスト。ヤス ミン・アフマド監督との仕事は、2004 年に始まり、『グブラ』に主題歌「Who for you?」を提供。『タレンタイム〜優しい歌』で は「I Go」「Angel」「 Just One Boy」を映画のために書き下ろした。ヤスミンとは長編映画だけでなくミュージックビデオや CM で も一緒に仕事をしている。ヤスミン以外にもマレーシア新潮流の監督たちと交流が深く、マレーシア映画界を牽引する重要な人物でも ある。2017 年には押井守監督のアニメ映画『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』のハリウッド実写版『ゴースト・イン・ザ・ シェル』に俳優として出演。

シネマジャーナル ヤスミン・アハマド関連記事もよろしかったらご覧ください。(暁)

●2006年 シネマジャーナル本誌69号 ヤスミン・アハマド監督特集 
『ラブン』『ガブラ』『マクシン』 『Rain Dogs』『グッバイ・ボーイズ』『クブラドール』『永遠の夏』『分かち合う愛』を紹介
http://www.cinemajournal.net/bn/69/contents.html

●2007年 ピート・テオ 大特集 インタビュー
http://www.cinemajournal.net/special/2007/peteteo/index00.html

●シネマジャーナル本誌71号にも上記ピート・テオインタビュー掲載
http://www.cinemajournal.net/bn/71/contents.html

●2009年 第22回東京国際映画祭ピックアップ特集
ホー・ユーハン(何宇恆)監督インタビュー
(最後にヤスミン・アフマド監督急逝お知らせあり)
http://www.cinemajournal.net/special/2009/Ho_Yuhang/index.html

●2015年 スタッフ日記 マレーシア映画ウィーク あと2日です
(ン・チューセン、シャリファ・アマニ、ピート・テオ来日。『細い目』主人公のン・チューセンの来日はこの時だけです)
http://cinemajournal.seesaa.net/article/417481741.html

●2018年 第31回東京国際映画祭 ピート・テオ特集
http://cineja3filmfestival.seesaa.net/article/463436408.html

フランス映画祭2019横浜 『カブールのツバメ』 ザブー・ブライトマン監督&エレア・ゴべ・メヴェレック監督インタビュー

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来日した共同監督のザブー・ブライトマンさん(左)と、エレア・ゴべ・メヴェレックさんのお二人にお話を伺う機会をいただきました。 

『カブールのツバメ』  原題:Les Hirondelles de Kaboul
監督・脚本:ザブー・ブライトマン、監督:エレア・ゴべ・メヴェレック 
出演:ジタ・アンロ、スワン・アルロー、シモン・アブカリアン、ヒアム・アッバス
2019年/フランス・ルクセンブルク・スイス/フランス語/1.85:1/82分
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© LES ARMATEURS – MELUSINE PRODUCTIONS – CLOSE UP FILMS - ARTE FRANCE CINEMA - RTS - KNM 2018

*ストーリー*
1998年夏、アフガニスタンのカーブルはターリバーン勢力の支配下に。ズナイラとモフセンのカップルは、暴力と悲惨な現実の中でも希望を持ち続けていたが、ある行動が災いし…。
2019年、カンヌ国際映画祭ある視点部門コンペティション出品。

監督・脚本:ザブー・ブライトマン
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1982年に「Elle voit des nains partout !」で映画デビュー。その後、『ラ・ブーム2』(82)、『ゴールド・パピヨン』(84)に出演してコメディエンヌぶりを発揮。「Billy Ze Kick」(85)での演技が評判となり、セザール賞有望若手女優賞にノミネート。90年代には、ディアーヌ・キュリス、フィリップ・リオレといった監督の作品に出演。2001年には初の長編映画『記憶の森』を手がけ、その年のセザール賞で最優秀作品賞を含む3部門を受賞。その後も精力的に映画やテレビドラマ製作に携わり、2013年にはコメディ・フランセーズの依頼で「システム・ラバディエ」を演出。2014年はパリ・オペラ座にてオペラ演出家デビューも果たした。

監督:エレア・ゴべ・メヴェレック (アニメーション作家)

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応用美術を勉強した後、2003年にエコール・デ・ゴブランでアニメーションを学ぶ。初監督した短編作品「MADAME」(06)がアヌシー国際アニメーション映画祭に出品された。その後、TV番組や高級ブランドなどのグラフィックデザイナーとしてキャリアを積み、自身がアニメーターとして参加した短編「BANG BANG!」(ジュリアン・ビサロ監督)が2015年のセザール賞にて最優秀アニメーション映画にノミネート。キャラクター・アニメーションを多く手がけ、2016年にはコミック原作のアニメ・シリーズ「Lastman」に参加。本作は彼女の初長編作品となる。


◎インタビュー
2019年6月20日(木) 14:00~14:25 
   ヨコハマグランドインターコンチネンタルホテル 12Fにて

FM横浜の生放送出演を終えて、駆けつけてくださったお二人に、お話を伺いました。

ザブー: 遠いところの話をご覧いただき、ありがとうございます。

― 実は私にはわりと身近なところの話です。
ターリバーンが猛威をふるっていた時代の映像をいくつか観ています。公開処刑の場面は実写だと目を背けたくなる光景です。 
アニメーションで描いたことにより、目をそむけずに見ることができ、しかも、その残酷さはしっかり伝わってきました。

二人:まさにそうだと思います。

― 原作は有名な物語ですが、どんな経緯で、アニメで描こうと思われたのですか?

ザブー:シナリオの段階で、アニメでと決まっていました。監督を探していると話が私のところにきました。原作をアニメ用に脚色しています。いろいろな候補者がいる中で、エレアさんにアニメーションをお願しました。

― カーブルの情景がとても生き生きと描かれていましたが、お二人はアフガニスタンにいらしたことがありますか?

二人:キャブール!(フランス語では、こう発音するようです) 行ったことはないですね。

― 本作を描くのにあたって参考にしたドキュメンタリーなどはありますか?

エレア:いろんな写真家が撮ったものも見ましたし、当時のドキュメンタリーをほんとにたくさん客観的に観ました。
原作はフィクションなので、少し距離を持って作ったほうがいいと思いました。カーブルの町の光の感じや埃とか、写真家の方から見せていただいたものがとても参考になりました。


― 原作者のヤスミナ・カドラさんというのは、女性の名前ですが、実は男性ですよね。アニメで描くのにあたり、お会いになりましたか?

ザブー:
アルジェリアの軍人だった人で、奥様の名前をペンネームにしているのですね。もちろんお会いしたことがあります。
原作を映画用に修正したところはありますが、基本的な考え方や設定は同じです。脚色の段階で、いくつか変更しています。中でも主人公の女性が絵を描くことにしたのは、映画のオリジナルです。デッサンを描くことや、写真を撮ることもターリバーンの政権下では禁止されていました。

― 人間らしく生きたいというヒロイン・ズナイラの思いが切々と伝わってきました。看守がズナイラさんに恋をしているのを、奥さんが見守るという夫婦の愛情も描かれていましたね。

ザブー:愛する気持ちから夫のために女性は自分を犠牲にします。すべて愛がもとにあります。

― 40年前のソ連が入る前のアフガニスタンに駐在していた人たちや旅をした人たちから、のどかで平和だったアフガニスタンのことをよく聞いていました。ですので、逆に私たちは今すごく平和に過ごしているけれど、いつ恐怖政治にさらされるかもしれないという意味で多くの人の共感を得ることができる作品だと思います。

二人:
ありがとうございます。

― 共同監督ですが、どのように制作を進めていったのでしょうか?

ザブー:2つの段階があります。アニメを作る前に、役者に演じてもらって、身体の動きや口の動きを見て、それを再現するように描きました。人間的な動きを反映さえています。

エレア: カーブルの景色については、ビデオなども参照しました。技術的にはできるだけエネルギーを倹約する工夫もしました。2Dの手法に、デッサンに必要があれば動きを加えました。

最後のサラという女性の一人のシーンなのですが、監督の意向に沿う形でスタートしたのですが、役者の動きが2分間ほとんどなくて、動きがないとアニメで描くのにはとても難しいのです。最後に息づかいと、ちょっとした動きがあって、それを活かしました。


― ヒアム・アッバスさんなど声の出演者に実際に演じて貰ったのですね?

ザブー:そうです。絵と実際の役者がすごく似ています。主役の夫婦は土地独特の伝統的な人たち。演じてもらったのも看守である夫役のシモン・アブカリアンはレバノン人、妻役のヒアム・アッバスはパレスチナ人です。二人とも中東の人なので、ちょっとした仕草や振る舞いにもそれらしさが出ています。
老人役は、実は私の父に演じてもらいました。撮影後に亡くなったので、あの老人を見ると父そのもので涙が出ます。


― まだまだお聞きしたいことがあったのですが、時間がきてしまいました。いつか日本で公開されることを願っています。




フランス映画祭2019横浜  『シノニムズ』

『シノニムズ』 原題:Synonymes
監督・脚本:ナダヴ・ラピド
出演:トム・メルシエール、カンタン・ドルメール、ルイーズ・シュヴィヨット
2018年/フランス・イスラエル・ドイツ/フランス語/スコープ/123分/R15+
★第69回ベルリン国際映画祭 金熊賞受賞

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© 2018 SBS FILMS - PIE FILMS - KOMPLIZEN FILMS - ARTE FRANCE CINEMA

*ストーリー*

イスラエルからパリにやってきたヨアヴ。イスラエルの国籍を捨て、フランス国籍を取得しようと奮闘している。
広々とした空き部屋のバスタブで凍死しそうになっているところを、エミールとキャロリーヌのカップルに助けられる。
やがてイスラエル大使館の警備員の仕事に就くが、大雨の日、列を作る人々のために「国境を越えろ」と柵をあけ、皆を中に入れたことからクビになる。
「ヘブライ語の講師もしているしモデルの仕事もある」というが、カメラマンに裸になり自慰するのを強要される。「ヘブライ語で何か言って!」と指示され、「俺はここで何をしている?」とヘブライ語で叫ぶ。
国籍を取るために市民講座に通うヨアヴ。はたしてフランスは彼を救ってくれるのか?


国を捨てて、フランスに受け入れてもらいたいという思いが、ヨアヴの息づかいや吐き出すようなフランス語の単語の練習から、伝わってきました。
フランスが自国の狂気から自分を救ってくれると信じるヨアヴの姿を通じて、国籍とは? 母国語を捨てるということとは? と、様々なことを考えさせられる作品。

ナダヴ・ラピド監督にインタビューの時間をいただいていたのですが、上海で予定の飛行機に乗り損ねたとのことで、取材を断念。お聞きしたいことがいっぱいあったのに、ほんとに残念でした。

用意していた質問の一部をここに挙げておきます。

母国語を拒否するのは自分の一部を殺すのと同じという言葉がでてきました。 監督ご自身、パリに移住したのち、イスラエルに戻っていらっしゃいます。 この言葉は監督ご自身の経験からきているのでしょうか?

主人公ヨアヴの祖父がリトアニアから英領パレスチナに来た人物という設定でした。先に行った兄は自殺。家族はホロコーストで皆死んだとありました。
祖父は宗教学校の秀才だったけれど、国を出て、イディッシュ語を拒否し、もう一言も話さないと宣言。 これは、監督のお祖父さんの話でしょうか?

市民講座で、1905年は 国家と教会の分離の年と教えられます。
人の宗教も自分の宗教も話さない。教会、モスク、シナゴーグには税金を使わない。
宗教、神様はいない。税金は教育に使われる。 という説明があり興味深かったです。
メトロに乗り、イスラエルの歌を口ずさみながらメトロの中の乗客一人一人を覗き込む場面がありました。キッパを被りましたが、それ自体、フランスでは禁止行為なのではないでしょうか? (メトロが公共の場とすればですが)

ほかにもお聞きしたいことがたくさんある作品でした。


監督・脚本:ナダヴ・ラピド  プロフィール
1975年イスラエル、テルアビブ生まれ。テルアビブ大学で哲学を学び、卒業後に自国の徴兵に参加した後にパリに移住。イスラエルに戻り、サム・スピーゲル映画テレビ学校を卒業。初監督作品「Policeman」は2011年のロカルノ国際映画祭にて審査委員特別賞を受賞。「The Kindergarten Teacher」(14)は、カンヌ・批評家週間をはじめ、数多くの映画祭に出品された。2016年にはカンヌ・批評家週間の審査員も務めた。(公式サイトより)