TIFF4日目(白)

10月28日(日)
今年はお天気まずまず。雨もポツポツくらいで済んでいます。
めざましかけて起きたものの、主婦は何かとやることがあり、午後イチの作品から4本。
3本が親子の話でした。

『はじめての別れ』中国
新疆ウイグル地区からTIFF初登場。ヤギや羊と草原や森を歩く少年。聾唖の母親を愚痴ひとつ言わずに介護する息子アイサ。疲れてしまった父親は母親を施設に入れようとする。兄も町に出ていった。
友達のカリビヌールは、キラキラのスパンコールのついたワンピースを着ていて(お金持ちらしい)ちょっと驚く。その両親が綿をつみながら歌う。お父さんの歌が上手すぎる。本業は歌手なのか?とにかく映像が美しい。

『靴ひも』イスラエル
母が事故死し、一人になった障害のある35歳の息子が、生まれてすぐ別れた父と同居する。腎臓病なのに透析もサボる頑固な父。はじめは互いに受け入れないけれど、いつしか・・・という家族のドラマ。
俳優さん上手くてついつい泣けてくるのだけれど、これもハッピーエンドだと思う。

『人魚の眠る家』東野圭吾原作/堤幸彦監督
篠原涼子さん子を思う母親を熱演。特殊な設定ではあるけれども、その心情に泣ける。そういえば出演者全員が泣くお話だった。

『カンボジアの失われたロックンロール』アメリカ・カンボジア
1950~1970年代のカンボジアの音楽史。
弾圧前の髪型や服装が日本でも見たスタイルで、懐かしいと思う自分(の年)を再確認。『音楽とともに生きて』で、心の支えとなり、くりかえし歌われた大歌手シン・シサモットを詳しく紹介。エンドロールでカンボジア国民に捧ぐ、と献辞が出て試写室内で拍手が起こった。ジョン・ピロジー監督はアメリカ人。
(白)

TIFF3日目(白)

10月27日(土)

昨日はご飯食べる時間が取れないくらいびっちりでした。
本日は空きはあるものの、ほかに取材できるほどはなし。早く帰りたくなって最後の1本をワールドフォーカスから。

『母との距離』フィリピン
理解ある夫と娘二人を残して家を出て恋人と暮らした妻。5年後恋人が亡くなって一人になった妻を夫は連れ戻す。娘たちには不在だった理由を明かさなかった。大学生になった長女は強く反発する。次女は少しずつ距離を縮めるが・・・
家に戻った妻は、娘の名前も呼ばず、謝る言葉もない。罪を意識するが故と100歩譲っても、一言謝っても罰は当たらないだろうと家族の代わりに怒りたくなる。

『トレイシー』香港
50代に入ったダイホンに高校生のころ親友だったチンの訃報が届く。チンの遺骨を持ってパートナーだったというボンドが香港にやってくる。
これまでずっと隠してきた感情があふれ出すダイホン。
まだ20代のジュン・リー監督の長編デビュー作。姜皓文(フィリップ・キョン)はアンディ・ラウ主演の『爆弾処理班(原題:拆弾専家)』で、第37回香港電影金像奨の最優秀助演男優賞を受賞した人です。そういえばあちこちに出ていたっけ。こんなに切ない役で観たのは初めて。

『ブラザー・オブ・ザ・イヤー』タイ
賢兄愚弟ならぬ「賢妹愚兄」、お互い気になるあまりに喧嘩ばかり。デキル妹は日本留学から帰って、広告会社社員の兄のクライアントである日本企業に就職した。おまけに日タイハーフのモジという社員と恋愛中。兄はいつものように邪魔をするが、結婚まで進みそう。
兄妹はタイとフランスのハーフということで、美男美女。素直になれずにこじれてしまった兄と妹のストーリー。甘い顔のモジ役は韓国のアイドルグループ2PMのニックン。韓国系でなく、お母さんは中国系アメリカン、お父さんがタイ人でアメリカで生まれ育っているんだそうです。

『世界の優しき無関心』カザフスタン
父親が事業の失敗から自殺、母親に借金のカタに身売り同然に出されてしまった娘サルタナット。使用人で娘を慕うクアンドゥクが用心棒のようについていく。借金は大きすぎて二人にはどうにもならなかった。
のどかな田舎道を歩く二人の映像から、厳しい現実にもまれていく。純朴な男だったクアンドゥクがハードボイルドになっていくのがおかしくもあり、哀しくもあり。

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「CROSSCUT ASIA#05 ラララ♪東南アジア」は小さな冊子です。
今年の「CROSSCUT ASIA」のテーマは音楽。上映作品の紹介や関わる人々の記事があって、読み応えのある52p。
細野晴臣さんの記事に続いて、森崎ウィンさんのインタビュー「叶った夢、これから叶える夢」が写真入りで4pありました。おー!
ラヴ・ディアス監督と石坂健治さんの対談「映画の宇宙」、高田漣さんの「ピート・テオを語る」があり、藤元明緒監督が「ミャンマーが僕に教えてくれたこと」を書いています。前は上映会場に入るときに手渡されましたが、今日は映画祭のパンフと一緒にラックに入って持ち帰れました。シネマカフェにも置いてありました。映画と一緒にお楽しみください。より深く残るはずです。(白)