TIFF2日目(白)

10月26日(金)
今年はできるだけ「アジアの未来」、「CROSSCUT ASIA」中心で観ることにしました。
コンペ作品はいまのところスタッフ日記に書いた『半世界』『愛がなんだ』を事前試写で。
今回は試写の予約ができないので、スタッフ全員でカバーできるかどうか疑問。席数の多いEXシアターに期待。
本日観たのはこれ。詳細はのちほど。

『海だけが知っている』台湾
台湾南東部の離島。子どもと祖父母を残して都会に出稼ぎに行く親が多い。赴任してきた若い男性教師は、転任に不満で早く町へ戻りたい。伝統舞踊の大会に生徒を参加させて、評価されようと目論む。祖母と暮らすマナウェイは、父を喜ばせたくで練習に励む。
教師以外のキャストはみな島の住民。祖母のリーさんの体験が元になっているので、孫への気持ちが思い出されて自然に涙している。マナウェイくん俳優になれるぞ。

『武術の孤児』中国
武術学校へ叔父のコネで赴任してきた国語教師。畑違いの環境にとまどうばかり。美人の校医と武術が苦手ないじめられっ子が気にかかる。
現存する学校でのロケ。ブルース・リー、ジャッキー・チェン、リー・リンチェイになりたい、と鍛錬に励む子たち。コメディタッチで描かれているけれど、こぼれてしまう子へのケアがほしかった。そのシーンが棘のように刺さって忘れられないのだけれど、解決させても記憶に残るはず。

『音楽とともに生きて』カンボジア
アメリカからギターを携えて母の故郷を訪れる娘。遠路を行く間に、母の若き時代、クメール・ルージュの迫害を受けた父、現在の映像が映し出される。貫くのは心の支えにしたシン・シサモットの歌謡曲。
拘束され強制労働中に作曲を強要される音楽家が出てくる。行方の知れないわが子と同じくらいの少年兵に監視されている。実際に子どものころクメール・ルージュに掴まり、虐待を受けながら生き延びた人が演じているらしい。処刑前に朗々と歌い上げるのがシン・シサモットの歌。

『輝ける日々に』ベトナム
『サニー』ベトナム版。韓国オリジナルより人数を減らしている。再会した親友たちが末期がんで苦しむ一人の願いを叶えようとする。キャストの性格付けなどは同じで、背景の政治事情や流れる歌はベトナムのもの。グループの名前は「荒馬団」?!とにかく賑やか。
日本版(大根仁監督)では、90年代のギャル文化が背景。Jポップスが流れ広瀬すずさんの変顔、篠原涼子さんの制服姿が拝めてお得感あり。


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13時から「アジア三面鏡」の『碧朱』松永大司監督インタビューへ。ミャンマーへ進出した日本企業のサラリーマンと、ヤンゴンの市場で働く女の子との邂逅。いやおうなく変わって行くものへの惜別が感じられた作品。主演の長谷川博巳さんも長身だけれど、松永監督も同じくらいありそう。美大生だったナンダーさんが小柄なので、2人の間にはさまるとさらに小さく見える。はかなげだけど、ちっとも物怖じせずしっかりした女の子なのだそうです。

インタビュー記事はこちら

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映画の合間に『プロジェクト・グーテンベルク』(香港)のフェリックス・チョン監督Q&Aへ。
久しぶりのチョウ・ユンファ主演のミステリー。脚本も書いた監督はユンファに似たこの役をほかの俳優で撮るつもりだったんだとか。
→すでに引退状態だったユンファへのつてもなかった
→別の役で出演を決めていたアーロン・クォックが自らコンタクトをとってくれた
→おかげでユンファが出てくれた
→「これ、誰にやらせるつもりだったの」って言われた
→ユンファ、引退は撤回。
すごい!会場から拍手が沸き起こりました。(白)